物理学演習 IIB 問題 No.9 (物理数学 II)

物理学演習 IIB 問題 No.9 (物理数学 II)
2014 年 12 月 15 日
1. ラゲール多項式 Ln (x) (n = 0, 1, 2, · · · ) は, 母関数によって,
(
) ∑
∞
1
xt
1
exp −
=
Ln (x) tn
1−t
1−t
n!
n=0
(1)
と与えられる。これを使って, Ln (x) の具体形
Ln (x) =
n
∑
(−1)k
k=0
(n!)2
xk
(k!)2 (n − k)!
(2)
を導け。
2. ラゲール陪多項式 Ln k (x) (n = 0, 1, 2, · · · ; k = 0, 1, 2, · · · , n) は, 母関数によって,
g(t, x) ≡
(
) ∑
∞
(−1)k
xt
1
exp
−
=
Ln k (x) tn−k
k+1
(1 − t)
1−t
n!
(3)
n=k
と与えられる。これを使って, Ln k (x) の直交性
∫
∞
dx xk e−x Lm k (x)Ln k (x) =
0
(n!)3
δmn
(n − k)!
(4)
を証明せよ。
3. 水素原子のエネルギー固有関数は,
ψnlm (r) = Nnlm rl e− na Ln+l 2l+1
r
( 2r )
na
Ylm (θ, ϕ)
(n = 1, 2, 3, · · · ; l = 0, 1, · · · , n − 1 ; m = −l, −l + 1, · · · , l − 1, l)
によって与えられる。ここで, Nnlm は規格化定数, a =
ある。また, Ln
k
(a) 規格化条件
(5)
4πϵ0 ℏ2
µe2
(µ は換算質量) はボーア半径で
と Ylm は, それぞれ, ラゲール陪多項式と球面調和関数である。
∫
d3 r |ψnlm (r)|2 = 1
(6)
が成り立つように Nnlm を決定せよ。
(b) 規格化された波動関数 (5) を使って, 水素原子の平均半径 (動径座標 r の期待値)
∫
⟨r⟩ = d3 r ψnlm (r)∗ rψnlm (r)
を求めよ。
1
(7)
4. 規格化された水素原子の波動関数 (5) を使った rk の期待値
∫
⟨ k⟩
r = d3 r ψnlm (r)∗ rk ψnlm (r)
(8)
は, クラーマース (Kramers) の漸化式
⟨
⟩ 1
⟨
⟩
k + 1 ⟨ k⟩
r − (2k + 1)a rk−1 + k[(2l + 1)2 − k 2 ]a2 rk−2 = 0
2
n
4
(k > −(2l + 1))
(9)
を満たす。これを次のように証明せよ。
(a) ψnlm (r) = R(r)Ylm (θ, ϕ), χ(r) = rR(r) とおくと,
∫ ∞
⟨ k⟩
dr rk χ2
r =
(10)
0
と書けることを示せ。また, r → 0 のとき R(r) ∼ rl であることを使って, (9) で条件
k > −(2l + 1) が必要な理由を説明せよ。
(b) R(r) が満たす微分方程式
[ 2( 2
)
]
ℏ
d
2 d
l(l + 1)
e2
−
+
−
−
R = En R,
2µ dr2
r dr
r2
4πϵ0 r
から, χ(r) が満たす微分方程式
χ′′ =
[
En = −
ℏ2
2µa2 n2
]
l(l + 1)
2
1
−
+
χ
r2
ar a2 n2
(11)
(12)
を導け。(χ′ は, χ の r についての微分を表す。)
(c) 部分積分と (12) を使って, 積分
∫ ∞
dr rk−1 χ′ χ,
0
⟨
⟩ ⟨
⟩ ⟨ ⟩
を rk−2 , rk−1 , rk によって表せ。
∫
∞
dr rk (χ′ )2
(13)
0
(d) (12) を使って,
[
]
d k+1 ′ 2
2
1
k
′ 2
k+1 l(l + 1)
[r
(χ ) ] = (k + 1)r (χ ) + 2r
−
+
χ′ χ
dr
r2
ar a2 n2
(14)
が成り立つことを示せ。
(e) (14) の両辺を r について積分し, 問 (c) の結果を使うことにより, クラーマースの漸化式
(9) が成り立つことを示せ。
⟨
⟩
⟨ ⟩
5. クラーマースの漸化式 (9) を使って, r−1 , ⟨r⟩, r2 の値を求めよ。
6. ガンマ関数 Γ(z) (z は複素数) は, Re z > 0 のとき, 積分
∫ ∞
Γ(z) =
dt tz−1 e−t
0
によって与えられ, Γ(z + 1) = zΓ(z), Γ( 12 ) =
(15)
√
π を満たす。
(a) 次の式を示せ。
(
)
(2n)! √
Γ n + 12 = 2n
π
(n = 0, 1, 2, · · · )
2 n!
(b) 次のガウス型積分をガンマ関数を使って表し, その値を求めよ。
∫ ∞
2
I=
dx x2n e−αx
(n = 0, 1, 2, · · · ; α > 0)
−∞
2
(16)
(17)