リーフレット [Leaflet]

電力中央研究所報告
電 気 利 用
経
営
再生可能エネルギー電源大量連系に対応するアンシラリ
ーサービス型デマンドレスポンスの導入可能性の検討
キーワード:デマンドレスポンス,再生可能エネルギー電源,
アンシラリーサービス,需給調整力,ポテンシャル分析
背
報告書番号:Y13030
景
風力発電や太陽光発電が大量連系している欧米の一部の地域では、同電源の出力変動
に伴う系統の需給運用に関する課題が顕在化しており、この課題解決のために、需要側
の機器制御による需給調整(アンシラリーサービス型デマンドレスポンス(DR)、Fast DR、
表 1・図 1)が実用化あるいは実証研究されている。我が国でも、将来、再生可能エネル
ギー電源の大量連系によって電源構成における火力発電設備比率が減少する場合には、
電源以外の需給調整力の確保が必要になる可能性がある。
目
的
日本の風力発電・太陽光発電の出力特性やアンシラリーサービス型 DR のポテンシャ
ル需要家の負荷特性を調査し、我が国における同 DR の導入可能性を検討する。また、
我が国に同 DR を導入する際に考慮すべきメリットとデメリットを整理する。
主な成果
1. 再生可能エネルギー電源の出力特性から見たアンシラリーサービス型 DR の要件
日本の再生可能エネルギー電源の出力特性に関する先行研究を踏まえると、再生可能
エネルギー電源大量連系時に必要となる調整力ニーズ(DR の要件)は、①長周期出力
変動への対応(変動周期 20 分以上)
、②残余需要ランプ注 1)への対応、③余剰電力への
対応の 3 点である。調整力が通年・24 時間必要なのか、特に必要とされる季節・時間帯
があるかについては今後の研究課題であることが示唆される。
2. ポテンシャル需要家へのアンシラリーサービス型 DR の導入可能性
米国の Fast DR 研究において需給調整量が大きいとされた上水道・下水道・冷凍冷蔵
倉庫・ビル空調をポテンシャル需要家として、我が国におけるアンシラリーサービス型
DR の導入可能性を検討した(表 2)。上水道・下水道・冷凍冷蔵倉庫は、通年・24 時間
で電力需要があり、エネルギー貯蔵能力を活かした需要調整実績があることから DR の
調整資源として活用できる可能性がある。ビル空調は、季節・時間帯によって電力需要
が違うため、対象需要家や時間帯を限定した DR の調整資源にできる可能性がある。今
後、より網羅的な調査を行い、DR 導入可能量を評価する必要がある。
3. 我が国にアンシラリーサービス型 DR を導入するメリットとデメリット
電源のみによる調整力と比べると、DR を導入するメリットは、調整力の増強を図れ
ること、需給調整コストを低減できる可能性があることである。デメリットは、DR の
需給調整量に不確実性があること、DR 実施時に需要側の生産プロセスに影響が出る可
能性があることである。
今後の展開
アンシラリーサービス型 DR を他の手段と比較した上で、需給両面から、同 DR の費
用便益性および調整ポテンシャル量の評価を行う。
表 1 ピーク需要抑制型 DR と
アンシラリーサービス型 DR の違い*
ピーク需要抑制型DR
アンシラリーサービス
型DR
系統ピーク抑制による供
給コストの削減や系統信
頼度の向上
需給バランスの維持
(特に再エネ大量普及
時)
発動する可能性
がある時間帯
(夏季・冬季などの)需給
逼迫時
(基本的には)通年・24
時間
通知時間
受渡しの前日または当日
(数時間前)
受渡しの数秒前~10
分前
持続時間
数時間
10分~30分間(長くて
も1時間以内)
目的
運転予備力
年間・月間運転計画
年間の
系統計画
月間の
運用計画
需要抑制および需要
造成
需要抑制
経済負荷配分
前日の
運用計画
当日の運用
周波数制御
給電の
数分前
随時調整契約
計画調整契約,時間帯別料金
需要調整の方向
前日起動停止計画
給電指令可能性
給電指令可能性があるも
給電指令可能性あり
(dispatchability)
のとないものがある
の有無
ダイナミック料金、
ネガワット取引
負荷削減
の
「受渡し」
アンシラリーサービス型
DR
図 1 電力系統の計画・運用におけるアンシラリーサ
ービス型 DR の位置づけ
*通知時間から受渡し(需要反応)までの時間が短いため、アンシラ
リーサービス型DRはFast DRと呼ばれることがある。
表 2 4 種類のポテンシャル需要家におけるアンシラリーサービス型 DR の導入可能性
上水道事業
需要調 季節
整に利
用可能
日
な時間
帯
時間帯
下水道事業
通年
ビル空調
通年
通年
平休日
処理水量が多くな 平休日
い日(雨天時は不
可)
平休日(平日の方が
調整余地が大きい)
24時間
24時間
ビル使用時間帯
需 要 削 減 、 需 要 需要削減
需要調整の方向 造成
調整手段の例
冷凍冷蔵倉庫
24時間
夏季・冬季が中心
需 要 削 減 、 需 要 需要削減、需要造成
造成
送水・配水ポンプ 揚 水 ポ ン プ の 停 庫内設定温 度の 室 内 設 定 温 度 の調
の運転制御
止 、 水 処 理 量 の 調 整 ( 上 げ 、 下 整、プレクーリング/
ピークシフト
げ)
プレヒーティング
36万kW
参考:
(年平均)
東北電力・東京
電力エリア内の
平均消費電力の
推定値*
34万kW
(年平均)
25万kW
(年平均)
160万kW
(中間期休日、昼間
平均)、
790万kW
(夏季平日、昼間平
均)
*本稿では、将来の太陽光発電・風力発電のポテンシャル容量比率(=再生可能エネルギー設
置容量kW/最大電力kW)が高い東北電力管内と、生産活動への影響が小さく需要調整余地の
ある業務部門のストック量が大きい東京電力管内を合わせた「東北電力・東京電力エリア」を対
象に、上記のポテンシャル需要家の平均消費電力を参考値として推定した。
注 1) 残余需要(=電力需要-再生可能エネルギー電源出力)が急激にかつ大幅に長時間継続して増加ま
たは減少する事象のこと。気象変化による再生可能エネルギー電源出力変化によって発生する。
研究担当者
高橋 雅仁(社会経済研究所
エネルギー技術評価領域)
問い合わせ先
電力中央研究所 社会経済研究所 研究管理担当スタッフ
Tel. 03-3201-6601(代) E-mail : [email protected]
報告書の本冊(PDF 版)は電中研ホームページ http://criepi.denken.or.jp/ よりダウンロード可能です。
[非売品・無断転載を禁じる] © 2014 CRIEPI
平成26年5月発行
13-015