持続可能なアフリカゾウ獣害対策に向けた住民組織化の促進 - W

持続可能なアフリカゾウ獣害対策に
向けた住民組織化の促進
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)
岩井雪乃・公認プロジェクト「エコミュニティ・タンザニア」
Serengeti Development, Research and Environmental
Conservation Centre (SEDEREC)
特定非営利活動法人アフリック・アフリカ
背景と目的
実施体制
 アフリカゾウによる農作物被害は、近年、アフリカ
の広い地域で問題となっている。そこで本活動では、
タンザニアのセレンゲティ国立公園に隣接する村落
において、ミツバチによってゾウを追払う養蜂箱フェ
ンスを導入した。ゾウは、ミツバチの羽音が嫌いで、
すぐに逃げ出す性質をもつ。
 養蜂箱フェンスは、ゾウを追払う効果は高いが、導
入および維持管理に労力と技術が必要なため、継
続して支援する必要がある。
 また、養蜂箱フェンスよりもさらに低コストで実施で
きる対策も要請されている。そこで、ワイヤーフェン
スおよび追払いグループの強化も試行する。
 これら対策支援をつうじて、住民の組織化を促進し、
獣害に強いコミュニティになることを支援する。
早稲田大学
平山郁夫記念
ボランティアセンター
現地NGO
SEDEREC
タンザニア
セレンゲティ県
支援
観光ホテル
Gurumeti
Reserve
岩井雪乃
学生ボランティア団体
エコミュニティ・
タンザニア
特定非営利活動法人
アフリック・アフリカ
養蜂箱
ワイヤーフェンス
追払いグループ
農民組合
ロムチャンガ村
ミセケ村
パーキニゴティ村
ゾウ被害
セレンゲティ
国立公園
活動内容
養蜂箱フェンスの
修理支援
支柱のポールと屋根の藁は1年
で腐ってしまうため、毎年交換作
業が必要となる。1つの畑を囲う
のに50個の養蜂箱を設置してい
るが、畑の所有者のみで交換作
業を行うのは難しい。引き続きプ
ロジェクトから支援する。
養蜂技術向上研修
昨年度までに設置した295個の
養蜂箱のうちハチ群が営巣した
のは34個のみだった(営巣率
1.2%)。より営巣率を高めるた
めに、技術を向上する研修会を
3ヶ月に一度実施する。
ワイヤーフェンスの
試験設置
養蜂箱フェンスよりもさらに低コ
ストの対策として、養蜂箱なしで
ワイヤーのみを張りめぐらすフェ
ンスを試験的に設置する。ゾウ
に対する忌避効果がどれほどあ
るかを検証する。
追払いグループの
組織化
懐中電灯を使った集団での追払
いも有効な対策である。これを
強化するために集会を開き、グ
ループ内の連携のあり方や、効
率的な懐中電灯の使い方など
の情報を共有する。
見えてきた課題と今後の展開
 養蜂箱の課題
①盗難が相次いで起こっている。住居から離れた畑に設
置しておくと、蜂蜜がたまってきたところで盗まれてしまう。
②ポールおよび藁屋根の維持管理コストは想定以上に大
きかった。外部からの支援がなくなったら、この数の養蜂
箱を自助努力で管理するのは困難であろう。
→養蜂箱フェンスは住居に近い畑に移設する。
→養蜂箱の数をへらし、ワイヤーフェンスと組み合わせたタイ
プを試みる。忌避効果を検証し、管理労力と照らし合わせて
最適な養蜂箱の設置方法を模索する。