第1次公開
4年
算数
「広さを調べよう」(11 時間扱い)
授業者
冬野
恒史
≪単元について≫
目標:面積について単位と測定の意味を理解し,面積を計算によって求めることができるとともに,
面積についての量感を豊かにできるようにする。
第 1 学年で面積の意味や測定することの意味を理解する上で基礎となる学習をしている。第 4 学年で
はこの経験をふまえて,面積について単位と測定の意味を理解し,長方形及び正方形の面積の求め方に
ついて考え,それらを用いて面積を求めることができるようにすることをねらいとしている。
算数的な活動として,長方形を組み合わせた図形の面積の求め方を,具体物を用いたり,言葉,数,
式,図を用いたりして考え,説明する活動を設定する。また課題解決のための思考の流れを明確にし,
子供の思考をより深化させるため,練り合いをワールドカフェ形式で行った後,全体で交流する場を設
ける
≪アクティブラーニングの3要素≫
【自主的・主体的な学び】
新しい発見や驚きを繰り返し
体験することができるよう,多様
な算数的活動を保障する。
また必要感や自己有用感を生
み出す工夫として,課題解決の有
用性を感じながら,見通しをもっ
て問題に取り組む活動を多く設
定する。例えば,長方形の複合図
形の求積問題では,複数の図形か
ら共通点を見いだし,問題解決の
見通しを立てながら学習を進め
ることができるようにする。
【協同的な学び】
長方形の求積公式の学習では,
公式化のプロセスや意味をより
理解できるよう,考え方を比較し
合い,学び合うことを重視する。
課題に対する気付きや学習し
た内容を表現することで,より思
考を深めることができるよう,た
くさんの他の考え方に触れるこ
とができるギャラリーウォーク
やワールドカフェ形式での話し
合いの場を設定する。
【課題解決型の学び】
解決の手段について見通しを
もちながら課題に取り組むこと
ができるよう,自力追究や学び合
いの場面で,本時のめあてを意識
できるような支援を重視し,授業
を展開する。
単元のまとめ期には,日常生活
との密接感を感じながら,面積に
ついての理解を深め,身の回りに
ある面積について課題解決的に
取り組む時間を設定する。
≪単元の評価規準≫
評
1
○
面積を数値化して表すことのよさや,計算によって求められることの便利さに気付き,身の回り
の面積を求めるなど,生活に生かそうとしている。
評
2
○
[算数への関心・意欲・態度]
量や乗法の学習を基に,単位の何こ分で数値化して表すことや,辺の長さを用いて計算で求めら
れることを考え表現したり,そのことから考えを深めたりしている。
[数学的な考え方]
評
3
○
長方形,正方形の面積を公式を用いて求める技能を身に付けている。[図形や数量についての技能]
評
4
○
面積における単位と測定の意味や,長方形や正方形の面積は計算によって求められることや,そ
の求め方を理解し,面積についての量感を身に付けている。
[図形や数量についての知識・理解]
《単元のグランドデザイン》
広さの表し方(面積を数値化するよさを体験する)
どれが一番
広いかな?
見た目だけでは
わかりづらいな
切って比べて
みようか
どれかを基準にしたら
いいんじゃないかな
長さの学習と
似ているね
正方形と長方形の面積(長方形や正方形の面積の求め方について理解する)
どの部屋が
一番広い
かな
長方形の部屋は
何㎠かな
長方形を組み合わせ
た形も求められるよ
かけ算を使えば
すぐわかるね
切ったりつないだり
してもいいんだね
大きな面積の単位(身の回りのいろいろなものの面積を求める)
一番広いグ
ラウンドは
どこかな
㎠で表すのは
大変そうだよ
もっと大きい面積は
どうなるのかな
㎡を使えば簡単
にできるね
身の回りにはほかにど
んな面積があるかな
学習内容
広さの
表し方
面積の意味と
㎠の理解
長方形と正方形
の求積公式
長方形の複合図
形の求積
長方形と
正方形の
面積
大きな面
積の単位
まとめ
大きな面積の
単位と使い分け
身の回りの面積
開始期
単
元
内
で
の
分
類
長方形や正方
形の面積の求
め方について
理解し,長方形
の複合図形の
面積を求める。
身の回りにあ
る面積につい
て,対象によっ
て適切な単位
を用い,必要に
応じて使い分
ける。
意欲の高まり
《自主的・主体的な学びを支える動機づけのための支援》
小単元
普遍単位の利
用や,面積を数
値化して表す
よさに気づく。
単位時間あたりの分類
展開期
まとめ期
開始期
①非日常との関連
・畑の広さ比べ
②日常との関連
・身の回りの面積
③活動場面の保障
・ギャラリーウォーク
展開期
④発問を工夫
・課題を自分事とし
てとらえる
⑤活動場面の保証
・ワールドカフェ形式
⑥協同的な学び
・ギャラリーウォーク
⑦活動への価値づけ
・即時フィードバック
⑧要因の実感
・適応問題の実施
まとめ期
⑨日常との関連
・身の回りの大きな
面積
⑩活動場面の保障
・多様な考え方の吟味
⑪活動への価値づけ
・適応問題の実施
《本時に関わる動機づけのための支援》
④ 発問を工夫 ~課題を自分事としてとらえる
子供が課題に密接感をもち,課題を解決していく必要感や必然性を感じながら課題を追究していく
ことができるよう,発問を工夫をする。授業の開始期に,長方形の複合図形とそうでないもの(円や
三角形の複合図形)を比較し,それらを分類する活動を通して,自ら課題を見つけ,見通しをもちな
がら自主的・主体的に学習を進められると考える。
⑤
活動場面の保障 ~ワールドカフェ形式
自分の求め方を表現することで,より思考を深めることができるよう,たくさんの他者の考えに触
れ,思考して表現することができるワールドカフェ形式での話し合いの場を設定する。具体的には,
求積公式の確認や分け方や変形(等積変形)の交流において,共通点や相違点について比較しながら,
話し合いを進められるような働きかけをする。
⑦
活動の価値づけをする支援 ~即時フィードバック
自分の成長を具体的に知ることができるよう,机間支援により即時フィードバックを行う。
【
本時案 】
(本時
5/11)
本時の目標
・ 既習の長方形や正方形の面積を求める学習を活用して,長方形を組み合わせてできた図形の面積
の求め方を具体的に考え,面積を求めることができる。
学習活動(○)と子どもの姿
○
教師の支援(☆)と評価(◇)
問題をもとに提示された図形を比較する。
☆
ができるよう,どんな図形ならば面積
公式を使って面積を求められ
そうな図形を 4 つえらぼう。
○
を求めることができるか予想を促し
本時のめあてを把握し,見通しをもつ。
てから,課題を設定する。【開始期:
直接型(発問を工夫)】
長方形を組み合わせてできた形
の面積の求め方を考えよう。
○
☆
本時の問題を確認する。
めあてを意識しながら自力追究する。
必要感や必然性を感じながら,より
自主的に課題に取り組めるよう,複合
図形を複数提示する。
この図形(左上)の面積を求めよう。
○
課題を自分事としてとらえること
予想される求め方
◇
複合図形の面積の求め方を,既習内
容をもとに考え,図や式などを用いて
いろいろな分け方で求められそうだな
表現している。
評2
☆ 多様な考え方を見つけることがで
他の形も同じやり方でできるかな
きるよう,他の図形への応用を意識付
一番簡単なやり方はどれだろう
○
ける声がけをする。
☆ より多くの考え方に触れることが
求め方についてグループで交流する。
等積変形
二つ(三つ)に分けて合わせて求めたよ
流する場を設定する。【展開期・間接
型(活動場面の保障)】
他の図をヒントに引く方法を考えたよ
○
ワールドカフェ方式により
グループ間交流を行う。
できるよう,ワールドカフェ形式で交
☆
誤答例
ぼくらのグループとは分け方が違うね
合いを進めることができるよう,声が
けをする。
☆
全体から引くやりかたもあるんだね
○
グループに戻り交流した内容を話し合う。
○
求め方を全体交流し,分類・整理する。
○
本時のめあてを意識しながら話し
多様な考え方を整理し,式化するこ
とができるよう,共通点に着目するこ
とを働きかける。
☆
考えを整理し,自信をもって表現す
分け方は違うけど,分けて合わせることは同じだ
ることができるよう,求め方や式をた
くさん板書(ホワイトボード等の利
他の図形も同じやり方でできるかな
用)し,「見える化」しておく。
学び合った内容を振り返り,まとめる。
長方形を組み合わせてできた形の面積は,分けて合わ
せたり,全体から引いたりして求めることができる。
○
◇
複合図形の面積を,公式を適用して
求めることができる。
評3
適応問題(他の3つの図形の面積を求める)に取り組む。 ☆ 達成感や有用感をより感じることが
できるよう,机間指導の中で声がけなど
の即時フィードバックを行う。
【まとめ
期・間接型(活動への価値づけ)
】
☆
机間指導においてiPadを利用し,既
習内容の確認を促す。
【
単元計画 】
広さの表し方
(2 時間)
学習活動(〇)と子供の姿
教師の支援(☆)と評価(◇)
〇 (ブロックによる)畑の広さ比べを行い,面積 ☆ 実際にその場面を設定し具体物を操作しな
の比べる方法について考え,比較する。
がら,課題解決に向かうことができるように
「どれが一番広いでしょう」
する。【開始期・間接型(非日常と関連)】
見た目だけでは
比べられないな
重ねて比べてみようか
☆ 多くの考え方に触れることができるよう,
ギャラリーウォークで交流する場を設定す
る。【展開期・間接型(協同的な学び)
】
◇ 面積の意味や面積の単位(㎠)を理解して
いる。
評4
☆ 畑の広さ比べで広さを比較をする場を設定
する。
○ 面積の単位(㎠)について知り,任意単位の考 ◇ 任意単位を用いて,面積を数値化して比べ
えで面積を比べる。
ることができる。
評3
○ 面積の単位を使って,数値化する。
☆ 既習内容(長さの学習)を生かし,任意単位
○ 数値化するよさに気付く。
で表すよさについて考えることができるよ
う,声がけをする。
少
し
の
差
も
数
字
な
数字が大きくなるほ
◇ 面積を数値化するよさに気付いている。
らわかりやすいね
ど,広くなるんだね
評1
○ 活動を振り返り,身の回りのものの面積を比べ ☆ 実際にその場面を設定し具体物を操作しな
てみる。
がら,課題解決に向かう。
【開始期・間接型(日
常と関連)】
基準を決めれば…
○ 既習内容(長さの比較)の想起をする。
「今までに同じように比べたことはないかな」
1 年生で長さ比べをしたね
切ったり,重ね
たりしたのは…
あの時は cm を学習したよ
正方形と長方形の面積(4 時間)
学習活動(〇)と子供の姿
〇 長方形,正方形の面積を計算で求める方法を考
える。
「どの部屋が広いかな」
数字で表すと比べ
1 ㎠が何こ分あるかを
やすいね
考えればいいから…
かけ算で求めるこ
とができそうだよ
○
計算で求めることがで
きると簡単だね
教師の支援(☆)と評価(◇)
☆ 問題の解決が価値あるものと感じ,課題を自
分ごととしてとらえることができるよう,多様
な比較の活動(前時の内容・過去の自分のやり
方・友達の考え方)を促す発問をする。
【開始期・直接型(発問を工夫)】
☆ 考えを整理し,課題が明確することができる
よう,それぞれの考え方を「見える化」する。
☆ 問題に対する思考の流れがわかりやすくな
るよう,気付きやつぶやきを板書する。
「公式」の意味を知り,それを用いて面積を求 ◇ 長方形,正方形の面積を公式を用いて求める
める。
技能を身に付けている。
評3
☆
面積を公式を用いて求める技能をより身に
どんな長方形もこれで
いろいろな長方形
付けることができるよう,適応問題は数多く
求められるのかな
の面積を求めよう
取り組むことができるようにする。【まとめ
期・間接型(活動への価値づけ)】
○ 周りの長さが等しい長方形や正方形の面積を調
べ,周りの長さが等しくても面積が異なる図形が ☆ 様々な資料を基に,既習事項の振り返りを行
あることをおさえる。
えるよう ICT を用いながら板書を行う。
正方形の方が面積が大
周りの長さが同じ
きい気がする
☆ 多くの考え方に触れることができるよう,ギ
なら,きっと同じ
ャラリーウォークで交流する場を設定する。
公式を使ってみよう
だよ
【展開期・間接型】
(協同的な学び)】
○ どんな図形ならば計算で面積を求めることがで ☆ より主体的に取り組むことができるよう,前
きるか考える。
時までの学習との関連を意識することができ
る発問を行う。
【開始期・直接型(発問を工夫)】
面積は,切った
求められ
長方形や正方
☆ 次時の見通しをももつことができるよう,次
りつないだりし
そうなの
形以外でも求
の課題に関連する適応問題を設定する。【まと
てもいいのかな
は…
められるかな
め期・直接型(理由の実感)
】
○
長方形を組み合わせてできた図形の面積の求め
方を具体的に考え,面積を求める。
○
求め方について全体交流し,分類・整理する。
長方形なら求め
他の切り方でも
られるから…
本時
求めてみよう
形が違ったら求め
方も変わるかも…
一番いい求め
方はどれかな
や式などを用いて表現している。
☆
評2
多様な考え方を見つけることができるよう,
他の図形への応用を意識づける声がけをする。
○
倍積変形について確
認する。
○
☆ 問題の解決が価値あるものと感じ,課題を自
分ごととしてとらえることができるよう,多様
な比較の活動(前時の内容・過去の自分のやり
方・友達の考え方)を促す発問をする。
【開始期・直接型(発問を工夫)】
◇ 面積の求め方を,既習内容をもとに考え,図
等積変形の利用について比較しまとめる。
○
多様な考え方を利用しながら,それぞれの求め
方の優位性について検証する。
◇ 面積を調べたり筋道を立てて考えたりする
ことの楽しさやよさに気付いている。
評1
☆ より思考を深めることができるよう,課題に
対する気付きを繰り返し表現するワールドカ
フェ方式で交流する場を設定する。【展開期・
間接指導(活動場面の保障)】
大きな面積の単位 (3 時間)
○
学習活動(〇)と子供の姿
小学校のグラウンドの面積を求める。
㎠で求めようと
したら大変だ
○
メジャーを使
って測りたい
面積の単位(㎡)を知り,面積を求める。
㎠よりだいぶ大きいね
公式は使えるかな
教師の支援(☆)と評価(◇)
☆ 実際にその場面を設定し,日常の場面と関
連付けながら,課題解決に向かう。
【開始期・
間接型(日常との関連)】
☆ 多くの考え方に触れることができるよう,ギ
ャラリーウォークで交流する場を設定する。
【展開期・間接指導(協同的な学び)】
紙を使って,1 ㎡の正方形を作り面積の量感をつ ☆ 様々な資料を基に,既習事項の振り返りを行
かむ活動に取り組む。
えるよう ICT を用いながら板書を行う。
◇ 面積の単位(㎡)を理解している。
評4
○ 辺の長さが m で表される場合も長方形や正方形 ☆ グラウンドの広さ比べを行い,比較をする活
の面積の公式が適用できることを理解する。
動を通し,面積の量感を豊かにする。
○
「附属小学校,附属中学校,附属幼稚園の中で,グ
ラウンドが一番広いのはどこでしょう」
○
(実在する)畑の面積について考え,新たな面
積の単位を知る。
○ 1 ㎢は何㎡か,1 ㎡は何㎠か調べる。
1 ㎡は 100 ㎠より大き
い気がするよ
まとめ
教室の広さは㎠で
表すと…
(2 時間)
学習活動(〇)と子供の姿
身の回りのいろいろな面積を見当を付けてから
調べる。
「スポーツ祭で使っていた練習場所で,一番広か
ったのはどこだろう」
(バスケットコート・実践研修室・プールなど)
〇
○
◇ 大きな面積の単位を用いて面積を表し,進ん
で生活や学習に活用しようとしている。 評 1
☆ 既習内容を生かし,任意単位で表すよさにつ
いて考えることができるよう,声がけをする。
◇ 面積の単位と,その相互関係を理解して
いる。
評4
☆ 面積の単位を適切に使い分けることができ
るよう,多くの適応問題に取り組めるようにす
る。【まとめ期・間接型(活動の価値付け)】
学習内容を適応して問題を解決する。
教師の支援(☆)と評価(◇)
面積を数値化するよさに気づいて,生活に
生かそうとしている。
評1
☆ 過去の経験から場面を設定し,日常の場面
と関連付けながら,課題解決に向かう。【開始
期・間接型(日常と関連)】
◇
☆
面積を数値化することのよさを実感するた
め,多様な適応問題に取り組めるようにし,子
供同士による相互評価を行う場を設定する。
【まとめ期・間接型(活動の価値づけ)】