第 3 講 微分方程式による梁のたわみ計算

2014 構造解析学
第 3 講 微分方程式による梁のたわみ計算
前講までは物理量関係図(再録)の左半分について考えてきた。ここからは、静定のはりに荷重
が作用したときに、はりのたわみとたわみ角を求める問題(図の右半分も含めて)を考えてみるこ
とにする。静定のはり(平面骨組の場合は並進2方向、回転1方向に対して過不足なく拘束しうる
だけの支点反力を有している構造系)では、部材力(曲げーモーメント、せん断力、軸力)は釣合式を
解くことによって得ることができる。従って、物理量関係図の左半分はカンタンに解けることにな
り、はりの長さ方向の位置を変数(x)とした場合の曲げモーメントの関数 M(x)は前講までの知
識で容易に得ることができる。よって、部材力式により曲率の関数を求めれば、あとは積分により、
曲率→たわみ角→たわみ と求めていけばよいことになる。
P(x)
x
y(x)
θ(x)
たわみ
荷重強度
×-1
積分
微分
微分
せん断力
積分
たわみ角
微分
曲げモーメント
微分
部材力式
M(x)=EIφ(x)
解析の流れ
曲率
φ(x)=
たわみ角
θ(x)=
たわみ
y(x)=
積分
3-1
×-1
曲率
積分
2014 構造解析学
Question
Q.1
等分布荷重が作用しているとき、たわみ曲線は何次関数で表される?
Q.2
曲率の関数がわかっているとき、たわみ曲線を求めるために境界条件はいくつ必要?
Q.3
では、荷重強度の関数のみがわかっているときは、境界条件はいくつ必要?
演習 3-1
長さ L のはりのたわみ曲線 y(x)、および中央点のたわみ y max を求めよ。ただし、曲げ剛
p(N/m)
性
EI は一定とする。
ymax
手順 1 まずは Q 図と M 図を描いてみる。
L
手順 2 描いた図から、関数 Q(x), M(x) を求める。
手順 3 部材力式 M(x)=EIφ(x) により、φ(x)
を求める。
手順 4 φ(x)を一回積分して、-1を掛けて、たわみ角関数θ(x) を求める。
手順 5 もう一回積分して、y(x)を求める。
手順 6 境界条件を二つ探して、これを当てはめることにより、積分定数 C 1 、C 2 を定める。
3-2
2014 構造解析学
演習 3-1
長さ L のはりのたわみ曲線 y(x)、および中央点のたわみ y max を求めよ。ただし曲げ剛性
EI は一定とする。
P(N)
手順 1 まずは M 図と Q 図を描く
L/2
手順 2 中央点の左右で曲げモーメントの関数系が
ymax
違うので,ここで場合わけをして,それぞれに
たわみ関数を求める.
L
L
《左半分》
《右半分》
手順 3 積分定数を確定する.
《境界条件》
3-3
2014 構造解析学
《連続条件》
たわみは
たわみ角は
手順 4 結局,たわみ関数と中央点のたわみは
積分定数確定のために必要な、支点条件 OR 連続条件
たわみ y
たわみ角
dy
θ=
dx
ピン・ローラー
y=0
固定端
y=0
y(左)=y(右)
中間支点
y(左)=y(右)
=0
M = EIφ = − EI
せん断力
2
d y
dx 2
Q=
dM
d3y
= − EI 3
dx
dx
d2y
M = − EI 2 = 0
dx
θ=
dy
=0
dx
自由端
中間ヒンジ
曲げモーメント
d2y
M = − EI 2 = 0
dx
d3y
Q=
− EI 3 =
0
dx
M(左)=M(右)=0
Q(左)=Q(右)(注)
θ (左)=θ(右) M(左)=M(右)
(注)
(注)右側の物理量を右→左の座標系で表示した場合,右辺に-(マイナス)が付く.
3-4