= ∫ dV

2014 構造解析学
第 6 講 ひずみエネルギーとカステリアーノの定理
1. ひずみエネルギーの定義
ひずみエネルギー(strain energy)は、文字通り、構造物内部のひずみに蓄積されるエネルギー
である。そこで、もう一度、
「ひずみ」について復習してみよう。ひずみは、
・ 単位長さあたりの伸び量である。
・ 単位は[無次元]
・ はりやトラスといった部材の内部に三次元的に分布している
・ 仕事の相手は、応力(stress)である。→フックの法則
前講の例に従うと応力σとひずみεの関係が直線で表されるので、部材内部
の任意の一点における応力の仕事は、
1
1
1σ2
Wσ = σε = Eε 2 =
2
2
2 E
となる。はりの内部全体にこの仕事が分布し、この仕事の分だけひずみエネルギーが蓄積されると
すれば、ひずみエネルギーは、上式の仕事をはりの体積全体にわたって積分したものとして表示で
きる。
ひずみエネルギーの定義
U=
1
σεdV
2∫
ここで、前講におけるクラペイロンの定理を思い出すと、
クラペイロンの定理 (静力学におけるエネルギー保存則)
WE(外力の仕事)=WI(内力の仕事)=U(ひずみエネルギー)
展開.1 部材に軸力 N が作用して、⊿L だけ伸びたときのひずみエネルギーを求めてみよう。
①
軸力 N が作用したとき、各断面には、一様な
応力
σ=
が作用している。
② ひずみは(伸び)/(もとの長さ)であり、
これも同様に各断面には一様に分布している。
③
この応力とひずみの間には常にフックの法則
ε=
σ=
が成り立っている。
∫
応力、ひずみ共に、はりの内部全体にわたって一定値なので、 dV = AL とすれば、
U=
1
σεdV =
2∫
6-1
2014 構造解析学
展開.2 部材に作用する曲げモーメントの関数が M(x)となるときのひずみエネルギーを求めてみよう。
x
L
圧縮
引張
圧縮
引張
断面上縁
中立軸
v
断面下縁
断面内のひずみ分布
ε ( x, v)= v ⋅ φ ( x)
断面内の応力分布
) Eε ( x, v=
) Ev ⋅ φ ( x)
σ ( x, v=
x
U=
1
σεdV =
2∫
2. カステリアーノの定理
カステリアーノの第 1 定理
ひずみエネルギーを変位で微分すると、その変位に対応する力になる。
∂U
=P
∂y
∂U
=M
∂θ
∂U
=σ
∂ε
(どうして?)おなじみの右のはりで考えよう。
L/2
P=
y
L
6-2
48 EI
⋅ y ≡ ky
L3
2014 構造解析学
カステリアーノの第 2 定理
ひずみエネルギーを力で微分すると、その力に対応する変位になる。
∂U
=y
∂P
∂U
=θ
∂M
∂U
=ε
∂σ
(どうして?)同じく右のはりで考えよう。
L/2
P=
48 EI
⋅ y ≡ ky
L3
y
L
演習 6-1 単純ばりの左端にモーメント荷重 M 1 が
作用して左端のたわみ角がθ 1 となった。
M1
カステリアーノの定理により、θ 1 を求めよ。
①
θ1
まずは、M 図を描いて、曲げモーメント
L
の関数 M(x)を求める。
②
M(x)を二乗して(2EI)で割って、
はり全体にわたって積分することにより、
ひずみエネルギーを求める!
③
ひずみエネルギーU を求めたい変位θ 1 に対応する力(仕事の相手になる力)M 1 で微分する。
6-3