2015 年 2 月 27 日 自治体向けソリューション市場に関する調査結果 2015 -マイナンバー対応需要は 2015 年度に拡大・自治体クラウドの普及も加速- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて国内の自治体向けソリューション市場の調査を実施した。 1. 調査期間:2014 年 10 月~2015 年 2 月 2. 調査対象:自治体向けソリューション提供事業者、全国の地方自治体 3. 調査方法:当社専門研究員による直接面談、電話・E メールによる取材・調査、ならびに文献調査を併用 <自治体向けソリューションとは> 本調査における自治体向けソリューションとは、地方自治体で導入される情報システムのことであり、その市場規模に は、ハードウェア、ソフトウェア、SI、サービスサポート、要員派遣などを含む。地方自治体側の費目で見ると、機器購入 費、委託費、安全対策費、各種研修費用などが該当するが、職員の人件費は含まない。 【調査結果サマリー】 マイナンバー制度対応需要が拡大し、 2015 年度の自治体向けソリューション市場は前年度比 7.0%増の 574,000 百万円と予測 2014 年度は、社会保障・税番号(マイナンバー)制度への対応の必要性から、自治体においてシステ ム改修の需要が拡大したものの、制度対応への方針が決まらないことなどから導入準備が遅れたり、シス テム設計の段階で留まっている自治体も多かったため、2014 年度の自治体向けソリューション市場(事業 者売上高ベース)は前年度比 4.3%増の 536,400 百万円に留まる見込みである。2015 年度には、10 月に 国民へマイナンバーが通知されるため、マイナンバーを背景とした需要が拡大し、同市場規模(同ベー ス)は前年度比 7.0%増の 574,000 百万円になると予測する。2016 年度以降は、マイナンバー制度関連需 要が落ち着きを見せる他、自治体クラウドの普及が改修コストや運用コストを低下させていくと想定される ため、2016 年度は前年度比 6.7%減、2017 年度は前年度比 0.1%減になると予測する。 マイナンバー制度が自治体クラウドの普及にも影響 これまで自治体クラウドは、「セキュリティ面に懸念がある」、「カスタマイズに制約がある」などの理由で サービス導入を躊躇する自治体が多かった。 しかしながら、ここ数年移行のしやすさやコスト削減、他自治体との共同利用などを目的に、検討段階 から実際の導入段階に移っている自治体が増えている。また、社会保障・税番号(マイナンバー)制度へ の対応において、選択肢の一つとしてクラウド化が用意されたことも、クラウド化を進める自治体の増加に つながった。 ◆ 資料体裁 資料名:「自治体向けソリューション市場の実態と展望 2015」 発刊日: 2015 年 2 月 23 日 体 裁: A4 判 291 頁 定 価: 150,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 2 月 27 日 【 調査結果の概要 】 1. 自治体向けソリューション市場概況と予測 • 2012 年度の自治体向けソリューション市場は、住民基本台帳法の改正に伴うシステム改修が行われ たものの、経費削減への取り組みが進んだことなどから、前年度比 1.8%減となった。2013 年度は、 アベノミクス効果で景気回復の兆しが見えてきたものの、地方自治体においては経費削減の流れは 変わらず、クラウド導入による改修コストや運用コストの低下なども進み、前年度比 5.9%減となった。 このように自治体の IT 予算枠の縮小によって、市場規模は全般的に縮小傾向であった。 • 2014 年度は、2016 年 1 月に個人番号の利用開始・個人番号カードの交付が予定される社会保障・ 税番号制度(以下、マイナンバー制度)への対応の必要性から、自治体においてシステム改修の需 要が拡大した。各自治体では、既存システムの更新時期や予算、職員などの人的リソース、IT 環境 整備に関する方針などの個別の状況に応じてマイナンバー制度への準備が進められた。但し、制度 対応への方針が決まらないことなどから導入準備が遅れたり、システム設計の段階で留まっている自 治体も多かったため、2014 年度の自治体向けソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、前 年度比 4.3%増の 536,400 百万円に留まる見込みである。 • 2015 年度は、10 月に国民へ個人番号(マイナンバー)が通知されるため、対応の遅れていた自治体 でもシステム改修を進めると考える。そのため、マイナンバーを背景とした需要が拡大し、前年度比 7.0%増になると予測する。2016 年度以降は、マイナンバー制度関連需要が落ち着きを見せる他、ク ラウドの普及が改修コストや運用コストを低下させていくと想定しており、2016 年度は前年度比 6.7% 減、2017 年度は前年度比 0.1%減になると予測する。 • 2012 年度から 2018 年度までの自治体向けソリューション市場はほぼ横ばいの推移であり、2018 年 度の自治体向けソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は 545,700 百万円になると予測する。 なお、2018 年以降は、2020 年東京オリンピックに向けた公共インフラや観光関連の需要増の他、マ イナンバーを活用した官民連携が進んでいくと想定できるため、自治体向けソリューション市場は再 び成長に向かうと予測する。 2. 注目すべき動向~マイナンバー制度が自治体クラウドの普及にも影響 • 自治体クラウドは、導入時のイニシャルコストが少額で済むことや、長期間に渡る改修が不要で単年 度予算でのシステム運用となる地方自治体には最適なソリューションとされる。ハードウェアや運用の ための TCO(Total Cost Ownership、システム総保有コスト)削減が可能であり、特に IT 予算規模の 小さな町村に有効なサービスと言える。これまでクラウドは、「セキュリティ面に懸念がある」、「カスタ マイズに制約がある」などの理由でサービス導入を躊躇する自治体が多かった。しかしながら、ここ 数年移行のしやすさやコスト削減、他自治体との共同利用などを目的に、検討段階から実際の導入 段階に移っている自治体が増加している。 • また、マイナンバー制度への対応において、選択肢の一つとしてクラウド化が用意されたことも、クラ ウド化を進める自治体の増加につながった。 • なお、自治体クラウドは安価であり、且つ共同利用などに活用することで大幅な業務コストの削減に つながる可能性があるため、自治体クラウドの導入が進めば、自治体向けソリューション市場全体と して見た場合には、市場規模の縮小につながっていく可能性があると考える。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 2 月 27 日 図 1. 自治体向けソリューション市場規模推移予測 (単位:百万円) 600,000 574,000 546,600 514,300 536,400 535,800 535,000 2016年度 (予測) 2017年度 (予測) 545,700 400,000 200,000 0 2012年度 2013年度 2014年度 (見込) 2015年度 (予測) 2018年度 (予測) 矢野経済研究所推計 注 1:事業者売上高ベース 注 2:2014 年度は見込み値、2015 年度以降は予測値 注 3:市場規模には、ハードウェア、ソフトウェア、SI、サービスサポート、要員派遣などを含む。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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