2015 年 12 月 24 日 臨床検査薬・機器事業に関する調査結果 2015 -2014 年度は海外向け好調も国内向けは低成長- 【調査要綱】 矢野経済研究所では、次の調査要綱にて臨床検査薬・機器事業展開企業の事業規模調査を実施した。 1.調査期間:2015 年 9 月~11 月 2.調査対象:国内の主要な臨床検査薬・機器事業展開企業 40 社(日本企業および海外企業日本法人) 3.調査方法:当社専門研究員による直接面接取材、電話取材、ならびに文献調査を併用 【調査結果サマリー】 2014 年度の臨床検査薬・機器事業規模は前年度比 7.6%増の 9,455 億円 2014 年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国 内主要 40 社の事業者売上高ベース)は前年度比 7.6%増の 9,455 億円と推計した。当該事業を臨床検 査薬と臨床検査機器・関連事業別にみると、検査薬事業が 5,680 億円、検査機器・関連事業が 3,775 億 円であった。また、国内向けと海外向け別にみると、国内向け事業が 5,242 億円、海外向け事業が 4,213 億円であった。 2014 年度の国内向け事業は消費増税前の駆け込み需要の反動減から 前年度比 0.6%増の低成長 2014 年度の国内向けの臨床検査薬・機器事業は、心不全の診断・病態把握の NT-proBNP、細菌性 敗血症鑑別診断の PCT(プロカルシトニン)、血栓症診断の D ダイマーなどの検査は堅調に推移したもの の、機器を中心に消費増税前の駆け込み需要の反動減が見られ、前年度比 0.6%増と低成長にとどまっ た。 海外向けの臨床検査薬・機器事業は拡大基調を予測 海外向けの臨床検査薬・機器事業は一部の企業による生化学自動分析装置、血球計数装置などの販 売が好調であるほか、免疫検査、凝固検査分野でも海外展開を強化する動きが強まっている。 今後は安定的な OEM 供給先の確保、販路拡大のためのアライアンス戦略などもカギを握るものと考え る。 ◆ 資料体裁 資料名:「2015 年版 臨床検査市場の展望」 発刊日:2015 年 11 月 30 日 体 裁:A4 判 363 頁 定 価:125,000 円(税別) 株式会社 矢野経済研究所 所在地:東京都中野区本町2-46-2 代表取締役社長:水越 孝 設 立:1958年3月 年間レポート発刊:約250タイトル URL: http://www.yano.co.jp/ 本件に関するお問合せ先(当社 HP からも承っております http://www.yano.co.jp/) ㈱矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム TEL:03-5371-6912 E-mail:[email protected] 本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。 本資料内容を転載引用等されるにあたっては、上記広報チーム迄お問合せ下さい。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 12 月 24 日 【 調査結果の概要 】 1. 事業概況 2014 年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国 内主要 40 社の事業者売上高ベース)は前年度比 7.6%増の 9,455 億円と推計した。 当該事業を臨床検査薬と臨床検査機器・関連事業別(表 1)に見た場合、検査薬事業は 5,680 億円、 検査機器・関連事業は 3,775 億円であった。 また、国内向けと海外向け別(表 2)に見た場合、国内向け 5,242 億円、海外向け 4,213 億円であった。 現状、海外向けウエイトが高いのは、生化学自動分析装置、血球計数装置などを展開する一部企業に限 られているが、免疫検査、血液凝固検査分野等の海外展開も徐々に進展している。海外向け臨床検査 薬・機器事業では現地企業への OEM 供給などが好調に推移し、伸長要因となっている。 2. 注目動向~国内の臨床検査薬・機器事業動向 国内における臨床検査薬・機器事業規模は、高齢者人口の増加および、がん検診など予防医療への 国の重点施策に加え、各種感染症などの流行などもあり、年率 3%前後の微増で堅調に推移してきた。 しかし、2014 年度については診療報酬改定による価格下落、機器を中心に消費増税前の駆け込み需 要の反動減などからやや低調に推移し、同年度の国内向け臨床検査薬・機器事業規模は、前年度比 0.6%増にとどまった。 検査項目別では、心不全の診断・病態把握の NT-proBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フ ラグメント)、細菌性敗血症鑑別診断の PCT(プロカルシトニン)、血栓症診断の D ダイマーなどの検査が、 比較的好調に推移している。小児感染の多いアデノウイルス抗原、A 群β溶連菌なども一定の検査需要 を有している。全体的には POCT(Point of Care Testing:臨床現場即時検査※)領域での機器、キットの伸 長がある。 ※臨床現場即時検査とは診療と並行して検査結果を出すシステム、機器などをさす 3. 将来展望 2015 年度の国内主要企業における臨床検査薬・機器事業規模(臨床検査薬・機器事業を展開する国 内主要 40 社の事業者売上高ベース)は、国内向けが前年度比 2.1%増、海外向けは同 8.0%増、あわせ て同 4.7%増の 9,900 億円を予測する。 国内向けの事業では、今後も POCT 領域や糖尿病関連、がん検診関連などの検査が堅調に推移する と予測する。新しいテーマでは呼吸器感染症分野におけるウイルス・細菌微生物の遺伝子検査などが注 目される。特に複数のウイルス・細菌微生物を同時に簡便に検査するマルチプレックス型機器は認可動 向や需要性が期待される。一般消費者向けの検査分野では異業種企業等によるヒト遺伝子検査ビジネス への参入が相次いでいるほか、薬局店頭等での自己採血検査の拡大、医療用検査薬の一般医薬品 (OTC)化等の検討も進められている。これら一般消費者向け分野は、まだ発展途上のビジネスであるも のの、国民の予防医療意識の向上、臨床検査の裾野拡大などの面で臨床検査薬・機器企業に与える影 響力は徐々に高まるものと考える。 日本企業によるグローバル展開はより強化される方向にあり、海外向けの臨床検査薬・機器事業は拡 大基調が続くと予測する。ただし、新興国における現地企業の独自の成長性等も認められ、とくにローエ ンド機器分野での販売競争は激しさを増す可能性が高い。 こうしたなか、日本企業における今後の海外向け事業の成長性という観点では、ハイエンド機器分野に よる展開、検査項目での差別化などが重要になるものと考える。また、安定的な OEM 供給先の確保、販 路拡大のためのアライアンス戦略などもカギを握るものと考える。 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd. 2015 年 12 月 24 日 図 1. 臨床検査薬・機器事業規模推移と予測 (億円) 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 2013年度 2014年度 2015年度予測 臨床検査薬事業 臨床検査機器・関連事業 国内向け臨床検査薬・機器事業 海外向け臨床検査薬・機器事業 矢野経済研究所推計 注1. 臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要 40 社の事業者売上高ベース 注2. 予測は予測値 表 1. 臨床検査薬・機器 事業別事業規模推移と予測 (単位:億円) 検査薬・機器別 2013年度 2014年度 前年度比 2015年度 予測 前年度比 臨床検査薬事業 5,387 5,680 105.4% 5,900 103.9% 臨床検査機器・関連事業 3,401 3,775 111.0% 4,000 106.0% 臨床検査薬・機器事業規模(合計) 8,788 9,455 107.6% 9,900 104.7% 矢野経済研究所推計 注3. 臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要 40 社の事業者売上高ベース 注4. 予測は予測値 表 2. 臨床検査薬・機器 国内外別事業規模推移と予測 (単位:億円) 国内向け・海外向け別 2013年度 2014年度 前年度比 2015年度 予測 前年度比 国内向け臨床検査薬・機器事業 5,211 5,242 100.6% 5,350 102.1% 海外向け臨床検査薬・機器事業 3,577 4,213 117.8% 4,550 108.0% 臨床検査薬・機器事業規模(合計) 8,788 9,455 107.6% 9,900 104.7% 矢野経済研究所推計 注5. 臨床検査薬・機器事業を展開する国内主要 40 社の事業者売上高ベース 注6. 予測は予測値 Copyright © 2015 Yano Research Institute Ltd.
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