1 平成 26 年度 大分大学2次試験前期日程 (数学問題) 工・経済・教育福祉・医学部 平成 26 年 2 月 25 日 • 工学部は, 1 ∼ 4 数 I・II・III・A・B・C (100 分) • 経済学部は, 1 , 2 , 4 , 5 数 I・II・A・B (100 分) • 教育福祉科学部は, 1 , 2 , 6 数 I・II・A・B (80 分) • 医学部は, 7 ∼ 9 数 I・II・III・A・B・C (80 分) 1 k > 0 とし,f (x) = x(x + k)(x + 2k) とおく.曲線 y = f (x) を C とする. (1) 関数 f (x) は異なる 2 つの極値をもつことを示しなさい. (2) 曲線 C 上の極値をとる点を P,Q とする.線分 PQ の中点 R の座標を求 めなさい. (3) 点 R が曲線 C 上にあることを示し,点 R における曲線 C の接線の方程式 を求めなさい. √ 2 原点 O を中心とする半径 2 2 の球面 S 上に 3 点 A,B,C があり, −→ −→ OA·OB = 4, −→ −→ OB·OC = 5, −→ −→ OC·OA = 6 をみたしている.三角形 ABC の重心を G とし,直線 OG と球面 S の交点のう ち G から遠い方を P とする. −→ −→ (1) |OA|,|OG| の値を求めなさい. −→ −→ −→ −→ (2) OP を OA,OB,OC を用いて表しなさい. −→ −→ (3) OA と OP のなす角を求めなさい. 3 a,b を実数とし,f (x) = (ax + b cos x) sin x とおく.関数 f (x) が Z π 2 0 f (0) = 2, 0 をみたすとき,a,b の値を求めなさい. f (x) dx = 4 2 4 100 から 999 までの自然数の集合を全体集合 U とし,そのうち 14 で割ると 3 余 るものの集合を A,9 の倍数の集合を B とおく. (1) A,B の要素の個数を求めなさい. (2) A ∩ B の要素のうち,最小のものと最大のものを求めなさい. (3) U の要素が 1 つずつ書かれた玉の入った袋から玉を 2 個取り出す.このと き,2 個の玉に書かれている数がいずれも 14 で割ると 3 余り,かつ 9 で割 り切れない場合の確率を求めなさい. 5 a,b を実数とし,f (x) = 22x−1 − a·2x + b とおく. (1) a = 3,b = 4 のとき,方程式 f (x) = 0 の解を求めなさい. (2) a > 0,b = 0 のとき,方程式 f (x) = 0 の解を求めなさい. (3) 方程式 f (x) = 0 が異なる 2 つの実数解をもつとき,点 (a, b) の表す領域 を図示しなさい. 6 正三角形 ABC があり,点 X は正三角形 ABC の頂点を移動する点である.サ イコロを投げて 5 の目が出たとき点 X は時計回りに隣の頂点に移動し,6 の目 が出たとき点 X は反時計回りに隣の頂点に移動し,それ以外の目が出たとき点 X は移動しない.はじめに点 X は頂点 A にあるとし,サイコロを n 回投げた とき点 X が頂点 A にある確率を Pn とする. (1) P1 ,P2 ,P3 を求めなさい. (2) Pn+1 を Pn を用いて表しなさい. (3) Pn を求めなさい. 7 次の各問いに答えなさい. (1) n 本中の k 本の当たりが入ったクジを n 人で順番に引く.引いたクジは元 k に戻さないとして,i 番目にクジを引く人の当たる確率が であることを n 示しなさい.ただし,0 < k < n とする. √ (2) 関数 y1 = sin x と y2 = 2 sin(a − x) について,y = y1 + y2 の最大値が 7 になるとき,定数 a の値を求めなさい. (3) 放物線 y = ax2 と直線 y = bx で囲まれる部分の面積を 2 等分する直線 x = p を求めなさい.ただし,a, b > 0 とする. 3 8 数列の和について次の一連の問いに答えなさい. (1) n X 1 k = n(n + 1) を示しなさい. 2 k=1 3 3 (2) 多項式 (k + 1) − k の展開を利用して n X 1 k 2 = n(n + 1)(2n + 1) を示し 6 k=1 なさい. n X 1 k 3 = n2 (n + 1)2 を示しなさい. (3) 4 k=1 (4) n X k 4 を求めなさい.結果は因数分解すること. k=1 9 次の一連の問いに答えなさい. xm (1) 自然数 m に対して,x > 0 のとき e > であることを示しなさい. m! xn (2) 自然数 n に対して, lim x = 0 を示しなさい. x→∞ e Z K xn−1 e−x dx とするとき, lim ΓK (n) を求 (3) 自然数 n に対して ΓK (n) = x 0 めなさい. K→∞ 4 正解 1 (1) f (x) = x(x + k)(x + 2k) = x3 + 3kx2 + 2k 2 x を微分すると f 0 (x) = 3x2 + 6kx + 2k 2 2 次方程式 f 0 (x) = 0 · · · (∗) の判別式を D とすると,k > 0 より D/4 = (3k)2 − 3·2k 2 = 3k 2 > 0 (∗) の異なる 2 つの実数解を α,β をもち (α < β),f (x) の増減表は x f (x) f (x) 0 ··· + % α 0 極大 ··· − & β 0 極小 ··· + % したがって,f (x) は異なる 2 つの極値をもつ. (2) (∗) の解と係数の関係により α + β = −2k, 2 αβ = k 2 3 1 k 2 2 したがって,f (x) を f 0 (x) で割った商 x + ,余り − k 2 x − k 3 により 3 3 3 3 µ ¶ k 2 2 1 f (x) = x+ f 0 (x) − k 2 x − k 3 3 3 3 上式および解と係数の関係により 2 4 f (α) + f (β) = − k 2 (α + β) − k 3 3 3 2 2 4 3 = − k (−2k) − k = 0 3 3 2 点 P,Q の中点 R の座標は µ ¶ α + β f (α) + f (β) , 2 2 すなわち (−k, 0) (3) f (−k) = 0 であるから,R は C 上の点である. f 0 (−k) = 3(−k)2 + 6k(−k) + 2k 2 = −k 2 したがって,C 上の点 R(−k, 0) における接線の方程式は y − 0 = −k 2 (x + k) すなわち y = −k2 x − k3 5 2 √ (1) ABC は原点 O を中心とする半径 2 2 の円周上にあるから √ −→ −→ −→ |OA| = |OB| = |OC| = 2 2 −→ 1 −→ −→ −→ OG = (OA + OB + OC) であるから 3 −→ 1 −→ −→ −→ |OG| = |OA + OB + OC| 3q −→ −→ −→ −→ −→ −→ −→ −→ 1 −→ 2 |OA| + |OB|2 + |OC|2 + 2OA·OB + 2OB·OC + 2OC·OA = 3 1√ = 8 + 8 + 8 + 2·4 + 2·5 + 2·6 3 √ 1 √ = ·3 6 = 6 3 (2) P は直線 OG と球面 S の交点のうち G から遠い方であるから,実数 k < 0 を用いて −→ −→ −→ −→ OP = k OG ゆえに |OP| = −k|OG| √ √ −→ −→ と表される.これに |OP| = 2 2,|OG| = 6 を代入すると √ √ √ 2 3 2 2 = −k· 6 これを解いて k = − 3 √ √ −→ 2 3 1 −→ −→ −→ 2 3 −→ OG = − よって OP = − × (OA + OB + OC) 3 3 3 √ 2 3 −→ −→ −→ =− (OA + OB + OC) 9 (3) (2) の結果により √ −→ −→ 2 3 −→ 2 −→ −→ −→ −→ OA·OP = − (|OA| + OA·OB + OC·OA) 9 √ √ 2 3 =− (8 + 4 + 6) = −4 3 9 −→ −→ OA と OP のなす角を θ とすると √ √ −→ −→ −4 3 3 OA·OP cos θ = −→ −→ = √ √ = − 2 2 2·2 2 |OA||OP| −→ −→ よって,OA と OP のなす角は 150‹ 6 3 f (x) = (ax + b cos x) sin x = ax sin x + 2b sin 2x を微分すると f 0 (x) = a sin x + ax cos x + b cos 2x f 0 (0) = 2 より f 0 (0) = 2 より b = 2 このとき,f (x) = ax sin x + sin 2x となるから Z π 2 0 Z π 2 f (x) dx = (ax sin x + sin 2x) dx 0 · ¸ π2 1 = −ax cos x + a sin x − cos 2x 2 0 =a+1 Z π 2 f (x) dx = 4 であるから 0 a + 1 = 4 これを解いて a = 3 7 4 (1) A = {a | a = 14m + 3 (m は整数), 100 5 a 5 999} B = {b | b = 9n (n は整数), 100 5 b 5 999} ゆえに 100 5 14m + 3 5 999, 100 5 9n 5 999 m,n が整数であることに注意してこれらを解くと 7 5 m 5 71, 12 5 n 5 111 A の要素の個数 n(A) および B の要素の個数 n(B) は n(A) = 71 − 7 + 1 = 65, n(B) = 111 − 12 + 1 = 100 (2) c ∈ A ∩ B とすると,(1) の結果から c = 14m + 3 = 9n ゆえに c − 45 = 14(m − 3) = 9(n − 5) m − 3 は 9 を因数にもつので,m − 3 = 9k とおくと (k は整数) c − 45 = 14·9k ゆえに すなわち c = 126k + 45 A ∩ B = {c | c = 126k + 45 (c は整数), 100 5 c 5 999} 100 5 126k + 45 5 999 したがって k が整数であることに注意してこれを解くと 1 5 k 5 7 よって,A ∩ B の要素のうち 最小のものは 126·1 + 45 = 171 最大のものは 126·7 + 45 = 927 (3) U の要素のうち,14 で割ると 3 余り,かつ 9 で割り切れない要素の個数は n(A ∩ B) = n(A) − n(A ∩ B) = 65 − 7 = 58 よって,求める確率は 58 C2 900 C2 = 19 58·57 2·1 × = 2·1 900·899 4650 8 5 (1) このとき,f (x) = 0 は 1 x 2 (2 ) − 3·2x + 4 = 0 ゆえに (2x − 2)(2x − 4) = 0 2 したがって 2x = 2, 4 これを解いて x = 1, 2 (2) このとき,f (x) = 0 は 1 x 2 (2 ) − a·2x = 0 ゆえに 2x (2x − 2a) = 0 2 2x > 0 であるから,a > 0 に注意して 2x = 2a これを解いて x = 1 + log2 a (3) t = 2x とおくと,t > 0 で,方程式 f (x) = 0 は 1 2 t − at + b = 0 すなわち t2 − 2at + 2b = 0 2 この方程式が異なる 2 つの正の実数解を α,β とすると,係数について α + β = 2a > 0, αβ = 2b > 0, D/4 = (−a)2 − 2b > 0 1 a > 0,b > 0,b < b2 2 よって,求める領域は,右の図の斜線部分である. ただし,境界線を含まない. したがって b 2 O 2 別解 t = 2x とおくと,t > 0 で,方程式 f (x) = 0 は 1 2 t − at + b = 0 すなわち t2 − 2at + 2b = 0 2 この 2 次方程式が異なる 2 つの正の実数解をもつとき,2 次関数 y = t2 − 2at + 2b = (t − a)2 − a2 + 2b の頂点および y 軸との交点の y 座標から −a2 + 2b < 0, 1 a > 0,b > 0,b < b2 2 a > 0, したがって 2b > 0 a 9 6 (1) サイコロを n 回投げたとき点 X が,頂点 A,B,C にある確率を,それぞ れ Pn ,Qn ,Rn とすると 2 1 1 , Q 1 = , R1 = , 6 6 3 2 1 1 Pn+1 = Pn + Qn + Rn 3 6 6 2 1 1 Qn+1 = Pn + Qn + Rn 6 3 6 1 1 2 Rn+1 = Pn + Qn + Rn 6 6 3 P1 = ···° 1 ···° 2 ···° 3 したがって 2 P2 = P1 + 3 1 Q2 = P1 + 6 1 R2 = P1 + 6 2 P3 = P2 + 3 1 Q1 + 6 2 Q1 + 3 1 Q1 + 6 1 Q2 + 6 1 R1 6 1 R1 6 2 R1 3 1 R2 6 2 3 1 = 6 1 = 6 2 = 3 = 2 3 2 × 3 2 × 3 1 × 2 × 1 6 2 + 3 1 + 6 1 + 6 + 1 6 1 × 6 1 × 6 1 × 4 × 1 6 1 + 6 2 + 3 1 + 6 + 1 6 1 × 6 1 × 6 1 × 4 × = 1 2 1 = 4 1 = 4 5 = 12 (2) ° 1 ,° 2 ,° 3 の辺々を加えると,(1) の第 1 式から Pn+1 + Qn+1 + Rn+1 = Pn + Qn + Rn = 1 ···° 4 ° 2 ,° 3 の辺々を加えると 1 5 Qn+1 + Rn+1 = Pn + (Qn + Rn ) 3 6 ° 4 より,Qn+1 + Rn+1 = 1 − Pn+1 ,Qn + Rn = 1 − Pn を上式に代入すると 1 1 5 1 1 − Pn+1 = Pn + (1 − Pn ) ゆえに Pn+1 = Pn + 3 6 2 6 µ ¶ 1 1 1 (3) (2) の結果から Pn+1 − = Pn − 3 2 3 µ ¶ µ ¶n−1 1 1 1 したがって Pn − = P1 − 3 3 2 ( µ ¶n`1 ) 1 1 2 Pn = これに P1 = を代入すると 1+ 3 3 2 10 7 (1) k 本の当たりを当たりの j(1 5 j 5 k) 番と区別し,i 番目にクジを引く人 が当たりの j 番を引く確率を Pj とすると Pj = n−1 n−2 n − (i − 1) 1 1 × × ··· × × = n n−1 n − (i − 2) n − (i − 1) n P1 , P2 , · · · , Pk は互いに排反であるから,求める確率を P とすると k X k X 1 k P = Pj = = n n j=1 j=1 (2) y2 = 2 sin(a − x) = 2 sin a cos x − 2 cos a sin x であるから y = y1 + y2 = sin x + (2 sin a cos x − 2 cos a sin x) = (1 − 2 cos a) sin x + 2 sin a cos x √ この関数の最大値が 7 であるから (1 − 2 cos a)2 + (2 sin a)2 = 7 ゆえに 2π + 2nπ, 1 2 4π + 2nπ (n は整数) 3 3 (3) 放物線 y = ax2 と直線 y = bx の共有点の x 座標は (a, b > 0) よって a= cos a = − ax2 = bx これを解いて x = 0, b a これらの放物線と直線で囲まれた部分の面積は · 2 ¸b Z b a bx ax3 a b3 2 (bx − ax ) dx = − = 2 2 3 0 6a 0 µ ¶ Z p 1 b3 b 2 したがって (bx − ax ) dx = × 2 0<p< 2 6a a 0 これを満たす p を求めればよいから ³ ap ´3 ³ ap ´2 b3 b 2 a 3 p − p = ゆえに 4 − 6 +1=0 2 3 12a2 b b ap ここで,t = (0 < t < 1) とおくと 4t3 − 6t2 + 1 = 0 b √ 1 1± 3 2 ゆえに (2t − 1)(2t − 2t − 1) = 0 これを解いて t = , 2 2 b 1 b ap = すなわち p = よって x = 0 < t < 1 であるから b 2 2a 2a 11 8 (1) k(k + 1) − (k − 1)k = 2k であるから 2 n X k=1 k= n X {k(k + 1) − (k − 1)k} ゆえに k=1 n X 1 k = n(n + 1) 2 k=1 (2) (k + 1)3 − k 3 = 3k 2 + 3k + 1 であるから n n X X 2 (3k + 3k + 1) = {(k + 1)3 − k 3 } k=1 3 n X k=1 k2 + 3 k=1 これに (1) の結果および n X k=1 n X k+ n X = (n + 1)3 − 13 k=1 = n を代入すると k=1 3 n X 1 k 2 + 3 × n(n + 1) + n = n3 + 3n2 + 3n 2 k=1 n X 1 k 2 = n(n + 1)(2n + 1) 6 k=1 よって 補足 証明法に制約がなければ,次式を利用するとよい. k(k + 1)(2k + 1) − k(k − 1)(2k − 1) = 6k 2 (3) k 2 (k + 1)2 − k 2 (k − 1)2 = 4k 3 であるから 4 n X k=1 n X k = {k 2 (k + 1)2 − k 2 (k − 1)2 } ゆえに 3 k=1 n X 1 k 3 = n2 (n + 1)2 4 k=1 補足 Sn は分かっているので,Sk − Sk−1 = ak を利用する. 12 (4) f1 (k) = k = k 2 f2 (k) = k(k + 1) = k +k 3 f3 (k) = k(k + 1)(k + 2) = k +3k 2 +2k f4 (k) = k(k + 1)(k + 2)(k + 3) = k 4 +6k 3 +11k 2 +6k とおくと,k 4 = f4 (k) − 6f3 (k) + 7f2 (k) − f1 (k) である.ここで n X 1 f1 (k) = n(n + 1) 2 k=1 n X n 1X 1 f2 (k) = {k(k + 1)(k + 2) − (k − 1)k(k + 1)} = n(n + 1)(n + 2) 3 k=1 3 k=1 n X n f3 (k) = k=1 1X {k(k + 1)(k + 2)(k + 3) − (k − 1)k(k + 1)(k + 2)} 4 k=1 1 = n(n + 1)(n + 2)(n + 3) 4 n n X 1X f4 (k) = {k(k + 1)(k + 2)(k + 3)(k + 4) − (k − 1)k(k + 1)(k + 2)(k + 3)} 5 k=1 k=1 1 = n(n + 1)(n + 2)(n + 3)(n + 4) 5 したがって n X k=1 4 k = n X {f4 (k) − 6f3 (k) + 7f2 (k) − f1 (k)} k=1 1 = n(n + 1)(n + 2)(n + 3)(n + 4) 5 1 − 6 × n(n + 1)(n + 2)(n + 3) 4 1 + 7 × n(n + 1)(n + 2) 3 1 − n(n + 1) 2 1 = n(n + 1){6(n + 2)(n + 3)(n + 4) − 45(n + 2)(n + 3) + 70(n + 2) − 15} 30 1 = n(n + 1)(6n3 + 9n2 + n − 1) 30 1 = n(n + 1)(2n + 1)(3n2 + 3n − 1) 30 解説 (k + 1)5 − k 5 の展開式を利用するのが一般的であるが,別解を紹介した. 13 連続する自然数のべき乗和 定理 0 自然数 i に対して,Si (n) = n X k i とすると,Si (n) は,n の i + 1 次式である. k=1 証明 1 i) S1 (n) = n(n + 1) であるから,i = 1 のとき,定理 0 が成り立つ. 2 ii) 1 5 i 5 p − 1 の自然数について,定理 0 が成り立つと仮定すると (k + 1) p+1 −k p+1 =1+ p−1 ³ X j=1 ゆえに ´ i + 1 k j + (p + 1)k p j ( ) p−1 ³ n n ´ X X X p + 1 j p p+1 p+1 1+ k + (p + 1)k {(k + 1) −k } = j j=1 k=1 k=1 (n + 1) p+1 p−1 ³ −1 =n+ X j=1 したがって 1 Sp (n) = p+1 ( (n + 1)p+1 − ´ p + 1 S (n) + (p + 1)S (n) j p j p−1 ³ X j=1 ) ´ p + 1 S (n) − n − 1 j j よって,Sp (n) は,n の p + 1 次式である. i),ii) より,定理 0 は成り立つ. 証終 自然数 i について Si (1) = 1, Si (k) − Si (k − 1) = k i であるから,(1) に k = 1, 0 を代入すると Si (1) − Si (0) = 1i , Si (0) − Si (−1) = 0i ゆえに 因数定理により,Si (n) は n(n + 1) を因数にもつ. Si (0) = Si (−1) = 0 (1) 14 実際, 1 S1 (n) = n(n + 1) 2 1 S2 (n) = n(n + 1)(2n + 1) 6 1 S3 (n) = n2 (n + 1)2 4 1 S4 (n) = n(n + 1)(2n + 1)(3n2 + 3n − 1) 30 1 S5 (n) = n2 (n + 1)2 (2n2 + 2n − 1) 12 1 S6 (n) = n(n + 1)(2n + 1)(3n4 + 6n3 − 3n + 1) 42 1 S7 (n) = n2 (n + 1)2 (3n4 + 6n3 − n2 − 4n + 2) 24 1 S8 (n) = n(n + 1)(2n + 1)(5n6 + 15n5 + 5n4 − 15n3 − n2 + 9n − 3) 90 1 S9 (n) = n2 (n + 1)2 (n2 + n − 1)(2n4 + 4n3 − n2 − 3n + 3) 20 1 S10 (n) = n(n + 1)(2n + 1)(n2 + n − 1)(3n6 + 9n5 + 2n4 − 11n3 + 3n2 + 10n − 5) 66 また,S0 (n) = n X k 0 = n と定義する. k=1 注意 最初に,Si (n) の i を 0 以上の整数としなかったのは,i = 0 のとき (1) に k = 0 を代入すると,00 が現れるからである. x 一般に,x0 x1 = x1 より,x 6= 0 のとき,x0 = = 1. x 0 しかし,x = 0 のとき,00 は不定形 となり,定義されない. 0 (1) を微分すると Si0 (k) − Si0 (k − 1) = ik i−1 上式の k について,1 から n まで辺々を加えると Si0 (n) − Si0 (0) = iSi−1 (n) ゆえに Si0 (n) = iSi−1 (n) + Si0 (0) S0 (n) = n を微分すると S00 (n) = 1.また,Si0 (0) は定数であるから S00 (n) = B0 = 1, Si0 (0) = (−1)i Bi とおくと (定数 Bi は後述のベルヌーイ数) Si0 (n) = iSi−1 (n) + (−1)i Bi (2) 15 ファウルハーバー (Faulhaber) の定理 ³ ´ 1 X 1 B ni+1−j (−1)j i + j j i + 1 j=0 i i を 0 以上の整数とすると Si (n) = · · · (∗) ³ ´ ただし, i + 1 は 2 項係数 i+1 Cj とする.(Bi は後述のベルヌーイ数) j 証明 i) i = 0 のとき,B0 = 1 であるから S0 (n) = B0 n よって,i = 0 のとき,(∗) が成り立つ. ii) i = m のとき,(∗) が成り立つ,すなわち ´ ³ 1 X Sm (n) = (−1)j m j+ 1 Bj nm+1−j m + 1 j=0 m が成り立つと仮定すると,(2) より 0 Sm+1 (n) = (m + 1)Sm (n) + (−1)m+1 Bm+1 m ³ ´ X j m+1 = (−1) Bj nm+1−j + (−1)m+1 Bm+1 j j=0 Sm+1 (n) の定数項が 0 になることに注意して,これを積分すると ³ ´ m + 1 m X j Sm+1 (n) = (−1)j Bj nm+2−j + (−1)m+1 Bm+1 n m+2−j j=0 ³ ´ m+2 m X j = (−1)j Bj nm+2−j + (−1)m+1 Bm+1 n m + 2 j=0 = m+1 ³ ´ 1 X (−1)j m j+ 2 Bj nm+2−j m + 2 j=0 よって,i = m + 1 のときも,(∗) が成り立つ. i),ii) から,0 以上の整数 i に対して,(∗) が成り立つ. 証終 16 (∗) に n = −1 を代入すると ³ ´ 1 X j i+1 Si (−1) = (−1) Bj (−1)i+1−j j i + 1 j=0 i i (−1)i+1 X³i + 1´ = Bj i + 1 j=0 j 自然数 i に対して,Si (−1) = 0 であるから i ³ ´ X i+1 B =0 j j j=0 具体的に示すと i = 1 のとき B0 + 2B1 = 0 i = 2 のとき B0 + 3B1 + 3B2 = 0 i = 3 のとき B0 + 4B1 + 6B2 + 4B3 = 0 i = 4 のとき B0 + 5B1 + 10B2 + 10B3 + 5B4 = 0 i = 5 のとき B0 + 6B1 + 15B2 + 20B3 + 15B4 + 6B5 = 0 i = 6 のとき B0 + 7B1 + 21B2 + 35B3 + 35B4 + 21B5 + 7B6 = 0 i = 7 のとき B0 + 8B1 + 28B2 + 56B3 + 70B4 + 56B5 + 28B6 + 8B7 = 0 .. . B0 = 1 および上の諸式から 1 1 1 1 B1 = − , B2 = , B3 = 0, B4 = − , B5 = 0, B6 = , B7 = 0, · · · 2 6 30 42 ここに得た Bj (j = 0, 1, 2, . . .) をベルヌーイ数 (Bernoulli number) という. 1 1 上の結果および (∗) から,Si (n) の ni+1 (最高次) の係数が ,ni の係数が で i+1 2 あることがわかる.例えば, ³ ´ 1X j 5 S4 (n) = (−1) j Bj n5−j 5 j=0 4 ¢ 1¡ B0 n5 − 5B1 n4 + 10B2 n3 − 10B3 n2 + 5B4 n 5µ ¶ 1 5 4 5 3 1 5 = n + n + n − n 5 2 3 6 1 = n(n + 1)(2n + 1)(3n2 + 3n − 1) 30 = 17 ベルヌーイ数 ベルヌーイ数 Bj は,次のマクローリン展開 (テイラー展開) の展開係数として1 ∞ f (x) = X Bj x = xj ex − 1 j! j=0 · · · (∗∗) と定義される.例えば,B0 ,B1 は次のようになる (ロピタルの定理を使用). x 1 = lim x = 1 x→0 e − µ1 ¶ d ex − 1 − xex x −xex 1 B1 = lim = lim = lim = − x→0 dx x→0 x→0 2(ex − 1)ex ex − 1 (ex − 1)2 2 B0 = lim x→0 ex Bj は前ページで示した漸化式を満たす. ex f (x) − f (x) = x 証明 定義式から ライプニッツの公式を利用して,上式を j 回微分すると j ³ ´ X j x (k) (j) (j) k e f (x) − f (x) = (x) · · · (∗∗) k=0 (∗∗) の右辺は,j = 1 のとき 1,j > 1 のとき 0 であるから,x = 0 とすると j = 1 のとき B0 = 1 j > 1 のとき j−1 ³ ´ X j k Bk = 0 k=0 よって,Bj は前ページの漸化式と一致する. また,g(x) = f (x) + f (−x) f (x) − f (−x) ,h(x) = とおくと 2 2 ∞ ∞ X 1 X Bj j B2j 2j j g(x) = {x + (−x) } = x 2 j=0 j! (2j)! j=0 µ ¶ −x 1 x x − −x h(x) = =− , x 2 e −1 e −1 2 1 h0 (x) = − , h(j) (x) = 0 (j > 1) 2 j が奇数のとき g (j) (0) = 0 である.とくに,j が 3 以上の奇数のとき Bj = f (j) (0) = g (j) (0) + h(j) (0) = 0 + 0 = 0 1 http://kumamoto.s12.xrea.com/chie/taylor.pdf 証終 18 前ページの f (x) は Bn の (指数型) 母関数である2 . Ã∞ ! X xn (ex − 1) = x を示せばよい. 証明 等式 Bn n! n=0 Ã∞ X xn Bn n! n=0 ! Ã∞ X !à ∞ ! n X xn x (ex − 1) = Bn n! n! n=0 n=1 à ! ∞ n−1 X X Bj 1 = xn j! (n − j)! n=1 j=0 à n−1 ! ∞ X X³ ´ xn n = B j j n! n=1 j=0 n−1 ³ ´ X n B = 0 であるから n > 1 のとき, j j j=0 à n−1 ! à n−1 ! ∞ ∞ n n X X³ ´ X X³ ´ n B x =x+ n B x =x j j j j n! n! n=1 n=2 j=0 証終 j=0 Bn の一般項を示す準備として,以下を述べる. http://kumamoto.s12.xrea.com/kyusuu/kagoshima/kagoshima 2012.pdf の p17(3) において,m 個の要素を異なる n 個のグループに分ける (各グループには, 少なくとも 1 個の要素がある) 総数 m Qn は n ³ ´ X n+k n m (−1) m Qn = k k (3) k=1 n となることを示した.このとき,n 個のグループの区別をなくした総数を すると n m n o ³ ´ 1 X m n+k n = (−1) k k n! k=1 数列 {an } の (指数型) 母関数は ∞ X n=0 o と n となる.なお,0 < m < n のとき,(3) より,(4) の値は 0 になる. 2 m n an xn である. n! (4) 19 ³ ´ ³ ´ ³ ´ n o m = m − 1 + m − 1 が成り立つように, n についても,次の漸化式 n n−1 n k が成り立つ. n o n o n o m = m−1 +n m−1 (5) n n−1 n m 個の要素を n 個のグループに分割するには,次の 2 つの手順に分けるとよい. i) m − 1 個の要素を n − 1 個のグループに分割し,m 番目の要素を n 番目のグルー o n プとして単独で追加する m − 1 通り. n−1 ii) m − 1 個の要素を n 個のグループに分割し,m 番目の要素を n 個のグループの n o どれかに挿入する n m − 1 通り. n i),ii) より,漸化式 (5) が成り立つことが分かる. n o n o n o 0 m 0 さらに,初期値 0 = 1, 0 = n = 0 (m, n 6= 0) で定義すると,漸化 n o n o n o m m − 1 m − 1 式 (5) から,3 つの数 のうち 2 つを決めれば残りが決 n , n−1 , n n o まる.ただし, m − 1 の前に n がかかっているが,n = 0 のときは,残りの 2 つ n n o から m − 1 を求めることはできないため,初期値で与えてある.漸化式 (5) から n n o すべての整数 m,n に拡張して m の値が定まる.これを第 2 種スターリング数 n (Stirling number of the second kind) という. m = 1, n = 0 のとき,(4) は, n m n o n ³ ´ (−1)n X k n (−1) k k m = n! k=0 (6) としてもよい.ここで,00 = 1 で定義すると,(6) は m, n = 0 で成り立つ. 注意 ex の級数表示について x e = ∞ X xn n=0 n! , または x e =1+ ∞ X xn n=1 n! と表される.x = 0 のときを考えると第 2 式のように表すべきであるが,0! = 1 のように,便宜的に 00 = 1 と定義しておけば,第 1 式でもよい.しかし,第 1 式で書かれる場合が一般的であり,その際,00 = 1 と判断する必要がある. 20 (6) の m と n を入れ替えた n n の m を 0 以上とすると, ∞ n X n=0 n m n m n m o xn n! o m ³ ´ (−1)m X n = (−1)k m k k m! k=0 (7) o を第 n 項とする (指数型) 母関数は = = = = = ) m ³ ´ xn (−1)m X n k (−1)k m k m! k=0 n! n=0 à ! m ∞ ³ ´ X n (−1)m X (kx) (−1)k m k m! k=0 n! n=0 m ³ ´ (−1)m X kx (−1)k m k e m! k=0 m (−1)m X³ m ´ (−ex )k k m! k=0 ∞ X ( (−1)m 1 x (1 − ex )m = (e − 1)m m! m! ここで,関数 λ(t) = log(1 − t) の第 m 次導関数は λ(m) (t) = − (8) (m − 1)! (1 − t)m ゆえに,log(1 − t) のマクローリン展開は log(1 − t) = − ∞ X tm m m=1 t = 1 − ex をこれに代入すると ∞ X (1 − ex )m x=− m m=1 上式により,(∗∗) は (8) を利用して ∞ X ∞ x 1 X (1 − ex )m xn = x =− x Bn n! e −1 e − 1 m=1 m n=0 ∞ X (ex − 1)m−1 (ex − 1)m = (−1)m n m+1 m=1 m=0 ! à ∞ ∞ ∞ n X (−1)m m! Xn n o xn X X (−1)m m! n n o xn = m m n! = m + 1 m+1 n! m=0 n=0 n=0 m=0 = ∞ X (−1)m−1 21 したがって n X (−1)m m! n n o Bn = m m+1 m=0 これに (7) を代入することにより,次式を得る. ³ ´ 1 X n Bn = (−1)k m k k m + 1 m=0 k=0 n X m (9) 注意 ベルヌーイ数は,連続する自然数のべき乗和を定式化する際の展開係数としてヤコ ブ・ベルヌーイ (1654–1705) が著書 Ars Conjectandi(推測術) で導入したものである. 和算家の関孝和 (?–1708) の没後,弟子の荒木村英 (1640–1718) 等が,関の遺稿を 整理した『括要算法』にべき乗和の展開係数としてベルヌーイ数について述べられ ていた.そのため,ベルヌーイ数を関・ベルヌーイ数と書いている文献もある. 関,ベルヌーイは,独立した研究成果であったが,ともに 1 1 1 1 B0 = 1, B1 = , B2 = , B3 = 0, B4 = − , B5 = 0, B6 = − , · · · 2 6 30 42 という結果を残していることから ³ ´ 1 X k m (−1) k k n Bn = (−1) m + 1 k=0 m=0 n n X m (10) のタイプの定義をし,(∗) は 1 X ³i + 1 ´ Bj ni+1−j i + 1 j=0 j i Si (n) = となっている. 古い専門書においては,関・ベルヌーイのオリジナルの定義による (10) を採用した ものが多かったが,近年では (9) を採用しているものが多いようである.(9) と (10) は,n が偶数のときは一致するが,n が奇数のときは符号が異なる.しかしながら, n が 3 以上の奇数のときは,Bn は 0 であるから,B1 の符号をみて,(9) と (10) のど ちらの定義に基づいているかに注意する必要がある. 22 9 (1) t > 0 のとき,et − 1 > 0 であるから,x > 0 より Z x (et − 1) dt > 0 ゆえに ex − 1 − x > 0 0 上式から ex > 1 + x ゆえに ex > x ···° 1 xm 「自然数 m に対して,x > 0 のとき e > である」を (∗) とする. m! i) m = 1 のとき,° 1 より (∗) が成り立つ. x ii) m = k のとき,(∗) が成り立つと仮定すると,t > 0 に対して et − Z x x > 0 より 0 上式から µ tk e − k! ¶ t ex > 1 + tk >0 k! dt > 0 xk+1 (k + 1)! ゆえに ゆえに ex > ex − 1 − xk+1 (k + 1)! よって,m = k + 1 のときも (∗) が成り立つ. i),ii) より,(∗) が成り立つ. x2 xm + ··· + が成り立つ. 2! m! (2) (1) の結果から,m = n + 1 とすると,x > 0 のとき 補足 x > 0 に対して,ex > 1 + x + xn+1 e > (n + 1)! x xn (n + 1)! ゆえに 0 < x < e x (n + 1)! = 0 であるから,はさみうちの原理により x→∞ x lim xn =0 x→∞ ex lim xk+1 >0 (k + 1)! 23 (3) f (x) = xn−1 とおくと f (j) (x) = (n − 1)! n−j−1 x (n − j − 1)! (1 5 j 5 n − 2) f (n−1) (x) = (n − 1)! したがって,1 5 j 5 n − 2 のとき f (j) (0) = 0 であるから Z K ΓK (n) = · xn−1 e−x dx 0 −x = −e n−2 X ¸K f (j) −x (x) − (n − 1)!e j=0 =e −K n−2 X 0 f (j) (K) − (n − 1)!e−K + (n − 1)! j=0 = n−2 X j=0 (n − 1)! K n−j−1 (n − 1)! · − + (n − 1)! (n − j − 1)! eK eK K n−j−1 (n − 1)! = 0.また, lim = 0 であるから K K→∞ K→∞ e eK (2) の結果から, lim lim ΓK (n) = (n − 1)! K→∞ 解説 部分積分法により,次式が得られる. ½ ¾ Z ekx f 0 (x) f 00 (x) f 000 (x) kx e f (x) dx = f (x) − + − + ··· + C k k k2 k3 本題は,上式において k = −1 であるから,次の結果を利用する. Z e−x f (x) dx = −e−x {f (x) + f 0 (x) + f 00 (x) + f 000 (x) + · · · } + C
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