GPCの原理と解析 GPCの原理とデータ解析について紹介します 原理 サイズによる溶出速度の差 固定相として用いる充填剤の細孔を利用し、試料分子を分子サイズの大きいものか ら順に分離するもので、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とも呼ばれる。 左図のように、分子サイズの大きいものはゲル表面の細孔への浸透が少なく、小さ い分子よりも早くカラム中を移動して溶出する。 このように、分子サイズ別に分離溶出させ、溶媒のみと試料溶液の屈折率の差(RI) や官能基の吸収(UV)などを用いて、濃度を検出すると、分子の分布が得られる。 得られるチャート 分析条件 GPC測定で得られる結果は、分析条件によって異なる相対値ですので、溶離液やカラムの種類、温度、標準物質と いった条件を適切に選択して行います。弊社には3台の装置があり、以下のような条件での測定が可能です。 溶離液 カラム (3本連続) 温度 (℃) THF KF-806L 40 クロロホルム K-806L 35 トルエン LF-804 50 DMF KD-802 KD-806(2) 50 HFIP HFIP-803 HFIP-806M(2) 40 分子量標準物質 塩 測定対象例 (1例として) - ポリカーボネート - ポリ乳酸 - シリコーン ポリエチレングリコール LiBr (10 mM) ポリエーテルサルホン ポリメチルメタクリレート CF3COONa (5 mM) ポリエチレンテレフタレート ポリアミド ポリスチレン <溶離液> GPC測定で最も一般的に使用される溶離液はテトラヒドロフラン、次いでクロロホルムです。 弊社では上記の他に、トルエン、DMF、HFIPを用いた測定を行っています。 DMFは極性ポリマー(メラミン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリイミド類など)の分析に適してお り、HFIPはポリアミド(ナイロン)、PETなどのエンジニアリングプラスチックが常温で測定可能です。 <カラム> GPCに使用するカラムは、充填剤の粒径により排除限界分子量(測定できる分子量の最大値)があり、各カラムの較 正曲線から測定可能範囲を知ることができます。弊社使用のカラムのうち、KF-806L(THF用)、K-806L(クロロホルム 用)は、リニアカラム(較正曲線が広範囲で直線性を示すカラム)であるため、高分子量∼低分子量の広い領域の測 定が可能です。その他は、高分子用カラム(806シリーズ)と低分子用カラム(802、803シリーズ)を併用しています。 解析 ∼微分分子量分布曲線∼ GPC測定結果として、SECクロマトグラム、微分分子量分布曲線が得られます。2つのグラフは似た形をしています が、異なる意味をもっています。 SECクロマトグラムがx軸に保持時間、y軸に記録計の応答をとった、実測値を表した グラフであるのに対し、微分分子量分布曲線はそれを規格化し、検量線を反映させたグラフで、条件のことなるクロマ トグラムの比較が可能です。 SECクロマトグラム 微分分子量分布曲線 保持時間 X 軸 log (M(分子量)) 記録応答計強度 Y 軸 dW/d(logM) SECのクロマトグラムを規格化したもの × 検量線を反映する値 保持時間毎に検出した実測値 説 明 カラムの種類や組み合わせが異なる場合も 実測値を規格化し、検量線を反映させたグラフ 解析 ∼平均分子量値∼ GPC測定により得られた分子量分布から、MnやMwといった平均分子量がわかります。異なる計算方法によって求め られる平均分子量値には、以下のような特長があり、一般的に、Mz+1>Mz>Mw>Mn> という関係が成り立ちます。
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