訴訟の判決に関するお知らせ

平成 28 年 1 月 14 日
大王製紙株式会 社
訴訟の判決に関するお知らせ
当社は、原告(当社元課長)との間で係争中の訴訟に関し、平成 28 年 1 月 14 日付
にて判決の言い渡しを受けました。
本件訴訟は、別紙記載の6点が争われたものであります。そのうち本件告発状に関
する争点の1、2及び6は、当社の財務、経理、事業運営に関するコンプライアンス
体制、コーポレートガバナンスという本件訴訟の核心に係るものですが、本判決は、
当社の主張を全面的に認めました。本件告発状が指摘した当社のコンプライアンス、
ガバナンス上の問題がなかったことが改めて確認されたものであります。
一方、原告(当社元課長)の人事(出向命令)に係る争点3、4及び5については
当社の主張を容れなかったので、直ちに控訴しました。
下記のとおりお知らせいたします。
記
1.判決のあった裁判所及び年月日
東京地方裁判所
平成 28 年 1 月 14 日
2.争点及び判決の要旨について
1)争点1及び2について、本判決は本件告発状には当社の秘密情報が含まれて
いるだけではなく、本件告発状が指摘した事実の大半は根拠がないものと認
定し、そのような内容を含む本件告発状を当社の社長を失脚させる目的をも
って原告が当時の当社顧問(「元顧問」)に交付したことは、当社の就業規則
に違反する行為であるため、当社が原告を懲戒(降格処分)したことは違法
ではないと認定しています。
2)争点6は、本件告発状に関連して当社が公表した文書の記載が虚偽であって、
原告の名誉を毀損する不法行為になるか否かに関するものが中心ですが、本
判決は、原告が本件告発状で指摘した内容の大半は原告の「単なる私見ある
いは憶測による事実の裏付けのないもの」であるとの記載がある文書(平成
25 年 2 月 14 日)を、当社が公表したことに違法性はないと認定するととも
に、その他の点についても当社の不法行為にならないと認定しています。
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3)争点3は、本件告発状に関する懲戒処分が適法、適正に行われた後に、当社
が行った原告の通常の人事異動(関係会社Bへの出向命令)が当社の出向命
令権の濫用か否かが争われたものですが、本判決は出向命令権の濫用である
と評価して原告の主張を認めました。本判決は、正当に行われた人事異動を
無効としており、承服できませんので、控訴して上訴審において改めて御判
断を頂くことにしました。
4)争点4は、当社が本件告発状に関する調査のために本社人事部に配属してい
た原告を、調査に基づく降格処分も終了したことから、通常の人事異動とし
て原告に対し関係会社Bへの出向命令を行ったにもかかわらず、原告がこれ
を拒否したため、当社が原告を懲戒解雇処分にしたことの有効性に関するも
のですが、本判決は、関係会社Bへの出向命令は無効であり、これに従わな
いことを理由に懲戒解雇することはできないと判断したものであります。ま
た、本判決は、かかる判断を前提に、争点5に関し、当社に未払賃金の支払
いを命じています。この点、出向等の人事権は広く使用者にその裁量権が認
められているところでありますが、本判決は当社に裁量権の濫用があったと
いうものであります。
しかしながら、本判決は従来の判例の判断基準を逸脱しておりますので、直
ちに控訴して適正な判断を仰ぐことにしました。なお、本判決は関係会社B
への出向命令、懲戒解雇処分が公益通報者保護法に違反すると認定している
ものではありません。
以 上
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別 紙
本件訴訟の争点
1. 人事部付配転命令の有効性
平成25年1月7日以降、元顧問が、原告の作成にかかる「告発状」と題する文書(「本
件告発状」
)を当社の役員等に送付したことを受け、当社が、同月8日に、本件告発状の
記載内容の調査のため、原告に対し、平成24年12月26日に命じた関係会社Aへの
出向を取り消し、人事部付に配置転換を命じたこと(本件配転命令)の有効性
2. 懲戒降格処分の有効性
平成24年12月28日頃、原告は、本件告発状を金融庁等に送付する一方、元顧問に
もその写しを交付したところ、元顧問はその写しを広く第三者に開示したが、本件告発
状には、①事実と異なる記載、及び②原告が業務上知り得た当社の秘密情報の記載があ
り、元顧問の本件告発状の開示により当社の名誉が毀損され、また、当社の秘密が漏洩
されたことから、平成25年2月1日に、当社が原告を懲戒降格処分(本件降格処分)
としたことの有効性
3. 関係会社Bへの出向命令の有効性
本件降格処分の後に、当社が原告に対し、平成25年2月5日付で関係会社Bの営業所
所長として出向を命じたことの有効性
4. 懲戒解雇の有効性
関係会社Bへの出向命令が無効であると主張してこれに従わなかった原告に対し、当社
が、平成25年3月11日に、原告を懲戒解雇したこと(本件懲戒解雇)の有効性
5. 賃金請求権及び賞与請求権の有無並びにその金額
本件懲戒解雇後、当社が原告に対して賃金等を支払わなかったことにより、当社に原告
に対する未払賃金等が存するか、また、存するとしてその金額はいくらか
6. 不法行為の成否、損害の有無及びその金額
①当社の大株主である北越紀州製紙株式会社が、平成25年2月14日、本件告発状の
記載内容やその他の点を含めて、当社に対し特別調査委員会の設置を要請した旨を公表
したことに対し、同日に、当社が、本件告発状に関連して「告発された内容の大半が告
発者の単なる私見、あるいは憶測による事実の裏付けのないものであることが確認され
ております。
」との記載がある「北越紀州製紙の特別調査委員会設置の要請に対する回答
のお知らせ」を発出したこと、②関係会社Aへの出向命令、③本件配転命令、④懲戒委
員会におけるやり取り、⑤本件降格処分、⑥関係会社Bへの出向命令、⑦本件懲戒解雇
が、一連のものとして原告に対する不法行為となるか否か
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