教育相談だより 集団で学ぶということ

教育相談だより
高瀬高校 教育相談部
平成27年12月
集団で学ぶということ
ある本に「あいづち」についての分析
がありましたので、紹介します。漢字で
大勢の人が集まり、それが単なる烏合の衆でなく、組織となるためには3つの条件が
必要です。その3つの条件とは、共通目的・コミュニケーション・貢献意欲です。部活
動やクラスを例に取るとわかりやすいと思います。その集団に共通目的、すなわち「部
活動を通して心身を鍛える」や「全国大会出場!」、
「One for All , All for One」
のような全員が意識するものがあるかどうか。その構成メンバーの間で、コミュニケー
ションが取れているかどうか。最後に、その集団のために貢献したいという意欲を全員
が持っているかどうか。これらの3つの条件を持つ集団は組織としてまとまり、成果を
あげることができます。信愛望という共通の目的である校訓のもと、コミュニケーショ
ンの基本である挨拶が飛び交い、校内清掃をはじめとするボランティア精神に富むメン
バーが集まる高瀬高校は、そういった意味で立派な組織であると言えます。
しかし、一方では組織のメンバーは、一人ひとりが生身の人間ですので、さまざまな
悩みを持って暮らしています。その悩みの多くは、集団生活に関するもの、特にコミュ
ニケーションに関するものです。集団の中で無視されているように感じることが度重な
ると、疎外感を味わうものです。それは集団で生活することならではの悩みです。
「愛の反対は憎しみではなく、無関心である」とはマザーテレサの言葉ですが、組織
の構成員が互いに関心を持ち、温かい会話をする組織は、愛に満ちた組織になります。
「おはよう。今日は寒いね」
「元気?」という他愛のない挨拶が悩んでいる人の心に沁み
ることもあります。集団で学ぶということの意義は、そういったことにもあるように思
います。
書くと相槌と書きますが、これは鍛冶屋
の師匠が叩く槌に合わせて、弟子が入れ
る槌のことをさします。会話において、
話し手のトークの合間に挟む、聞き手の
うなずきや言葉のことです。会話の潤滑
油のような役割を果たします。小さな言
葉ですので、あまり気にせずに使ってい
る場合が多いのですが、これが意外に重
要なんです。裏面にそれを分類していま
すので、これを参考に自分がどんな相槌
を打っているか考えてみてください。
無言
こんなの初めて
私もそうなん
ほへー!
えー!?
あっりゃー
驚き
まじ?
センスいいね
持ち上げ
ほんとですか?
うそー!?
すごーい
さすが!
あのねぇ
ムリムリ
えー(↓)
驚き
持ち上げ
共感
わかるけどねぇ
反対
はぁ?(怒)
反対
相槌の種類
促進
でもねぇ
いやいやいや
無関心
謙遜
中立
ほうほう
それはそれは
ってことは?
ふーん
あっそ
だから?
いやいや
そんなそんな
はぁ
へぇ
ほぉ
つまんなーい
無関心
別にー
はい
中立
そうですか
無言
勝手にすれば?
ふーむ
なるほど
ふむふむ
じぇじぇじぇ!
大したことな
いじゃん
(目を見開いて)
なんでー
(↓)
せっかくだから
おそれいりま
す
そんなんじゃ
ないですよ
恐縮です
ですよ
謙遜
大したことない
ですよ
待ってました!
ですよ!
よ、日本一!
お察しします
その手があっ
絶対そうだっ
たか!
て
別に私は何も
してません
とんでもない
興味深いですね
ぇ
もっと聞かせ
てください
そうそう
わかるわかる
共感
やったねぇ
でしょー?
嬉しいねぇ
なるほどー! それでそれで?
促進
そうなんです
か!
このシートは、デザイナーの今泉浩晃さんが開発した、9つのマスを利用した発想法であるマンダラートというものです。真中に大きなテーマを入れ、そ
の周囲にそのためのサブテーマを設定し、それを再度、上下左右の9つのマスの中央に入れ、その周囲に具体的な例を考えていくというものです。
これを用いると、使って相手が心地よくなる相槌とそうでない相槌があることが分かります。左下にある「反対」や「無関心」の相槌は、コミュニケーシ
ョンを妨げるものです。相手の気持ちを考えると、使わない方がいい言葉ですね。
『月刊 学校教育相談 12 月号』より