ノロウイルスによる感染性胃腸炎について 公益財団法人 郡山健康振興

ノロウイルスによる感染性胃腸炎について
公益財団法人
郡山健康振興財団
健康センター所長
野﨑
洋文
12月から3月にかけて毎年流行するのがノロウイルスによる感染性胃腸炎です。
感染性胃腸炎は、細菌、ウイルス、寄生虫が病原体となります。ウイルスでは、ロタ
ウイルス、腸管アデノウイルス、ノロウイルスなどが病原体といわれています。
平成25年度は約107万名の感染性胃腸炎が発生し、約2500名が死亡して
おります。ノロウイルスによる感染性胃腸炎かどうかは、ノロウイルス抗原検査は
3歳未満、65歳以上の方々の検査のみ健康保険適応で、通常は臨床症状で診断さ
れる事が多いので、正確な発生件数は確定できませんが、平成25年度は約1万2千
名のノロウイルス感染性胃腸炎が報告されております。寒くなっての感染性胃腸炎は、
多くの場合ノロウイルスビよるものと思われます。
<ノロウイルスの潜伏期間と症状>感染から発症までの時間は24~48時間で、主な
症状は吐き気、嘔吐、下痢・腹痛であり、発熱は軽度です。通常はこれらの症状が1~2日
で治ります。しかし3歳未満児、65歳以上の高齢者では脱水症や誤飲が原因で死亡
する場合があります。下痢や嘔吐の症状が止まっても2週間程度便よりウイルスが
出ているといわれております。
<ノロウイルス感染性胃腸炎の治療>このウイルスに対する抗ウイルス剤は有りません。
通常,対象療法で、下痢止めの薬はウイルスを増殖させ、病気の回復を遅らせるため
使用しません。体力の弱い乳幼児、高齢者では脱水症を起こし易く、水分と栄養の補給が
大切です。家庭ではスポーツドリンクや一度沸騰した水を冷やし、砂糖や塩を少し混ぜた
水分を少しずつ飲むと元気になる場合が有ります。脱水症状がひどい場合は医療機関で輸液
などの治療を受けてください。
<ノロウイルス感染性胃腸炎の診断>通常は臨床症状や周囲の感染状態から感染性胃腸炎の
診断が下される場合が多いです。3歳未満、65歳以上の方はノロウイルスを検査出来る
キットが保険適応でき、診断の補助になります。しかしノロウイルスに感染していてもこの
方法では陽性にならない場合が有ります。より確実な検査方法は便や吐物を電子顕微鏡で
遺伝子を検出する方法がありますが、この方法は食中毒や集団感染の原因究明に研究機関
などで行うもので、医療機関では行われていません。
<ノロウイルス感染の予防>ノロウイルス感染性胃腸炎を予防する予防注射は有りません。
このため周囲に感染性胃腸炎が流行したら、感染の予防が大切です。
予防の決め手はウイルスを付けないことで、下痢をした人の便や、吐物には充分注意してくだ
さい。食事前、トイレに行った後、おむつ交換後は石鹸を使用し、石鹸がなくなるまで水道水
で充分に洗い流してください。アルコールや洗剤、石鹸には殺菌力は有りませんが,充分な
手洗いにはウイルスを洗い流す作用があります。またノロウイルスには熱に弱い特徴が有りま
す。家族に下痢の症状が出た場合は熱を加えた食事が良いでしょう。生ものを調理した器具は
沸騰したお湯をか、1分以上浸すと消毒効果があります。また次亜塩素酸系の漂白剤に効果が
有りますが、市販されている除菌液(アルコール)は効果がないので注意してください。
今年は遺伝子が変異したノロウイルスの流行が懸念され、大流行になるかもしれませんので
報道にも注意を払い予防に努めてください。