中央家畜衛生通信 第 70 号 平成 26 年 11 月発行 岩手県中央家畜保健衛生所・岩手県中央家畜衛生協議会 目 次 ・鳥インフルエンザ感染防止対策の強化を~渡り鳥の飛来が始まっています~…1 ・死亡牛の処理について ………2 ・牛の呼吸器病 ………3 ・獣医師免許をお持ちの皆さまへ~獣医師法第 22 条の届出について~ ………4 鳥インフルエンザ感染防止対策の強化を ~渡り鳥の飛来が始まっています~ 防疫課 本年4月、国内では約 3 年ぶりに熊本県の 2 農場で高病原性鳥インフルエンザ (HPAI )が発生しました。その後の調査結果から、家きん舎には野鳥やネズミ等が侵 入可能な防鳥ネットの破損や隙間があったことが判明しています。また、この HPAI ウイルス(H5N8 亜型)は、中国で複数のウイルス遺伝子が再集合し、それが中国から 又は韓国を経由して渡り鳥とともに日本国内に侵入した可能性が高いことが報告さ れています。 韓国では、2014 年 1 月に発生した HPAI(H5N8 亜型)が 7 月まで継続し、9 月に移動制限が解除されたものの、9 月以降も再発生が確認されています。この間、 549 農場で約 1400 万羽が殺処分され、甚大な被害となっています。 また、中国でも本年 9 月に実施されたサーベイランス検査の結果、農場や生鳥市場、 野鳥生息地等で 51 件の HPAI (H5N8 亜型など5種類)の発生が確認されています。 日本へ飛来する渡り鳥のルートには中国から又は中国から朝鮮半島を経由するル ートがあり、渡り鳥は 10 月頃から日本に飛来し始めますので、これらの国を経由し た渡り鳥が既に国内に飛来していると考えられます。 従って、本年は例年にも増して鳥インフルエンザの発生リスクが高くなっているも のと考えられます。周りには常に本病ウイルスがあるとの意識で、家きん農場や飼育 舎に本病ウイルスを決して持ち込まないよう感染防止対策を徹底しましょう。 1 2 3 4 5 飼養衛生管理基準を遵守しましょう。 特に、飼育舎のネット破損や隙間をふさぎ、野鳥やネズミ等 の野生動物の侵入防止対策を徹底しましょう。 履物と車輌の消毒( 履物と車輌の消毒(履き替え) 履き替え)、衣服の交換で衛生管理区域へ の病原体持ち込みを防止しましょう。 器具機材等は汚染されないよう保管し、使用する際は確実に 消毒しましょう。 飼養家きんの健康観察を毎日行い、異常発見時には直ちに最 飼養家きんの健康観察を毎日行い、異常発見時には直ちに最 寄りの家畜保健衛生所へ連絡してください。 1 死亡牛の 死亡牛の処理について 処理について 衛生課 岩手県は、10 月3日(金)、県南地域の化製処理業者に対し、水質汚濁防止法第 13 条第1項に基づく行政処分(排水の一時停止命令、特定施設の使用の一時停止命 令、排水処理施設に係る改善命令)を行いました。 このことにより、当該業者において死亡牛の受入れ、処理ができなくなりましたが、 畜産業に係る動物の死体は産業廃棄物であり、飼養者は、これまで通り自らの責任に おいて適正に処理しなければなりません(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)。 ~牛を飼養する皆様へ~ ★ 24 か月齢以上の死亡牛は、BSE 検査が義務付けら 検査が義務 れています(牛海綿状脳症対策特別措置法第 6 条)の で、家畜保健衛生所での検査が必要です。 ★ 死亡牛の腐敗が進むと、BSE 検査の材料となる脳 脳 が融解し、検査材料を正確に採取することが困難にな 検査材料を正確に採取することが困難 ります。 ・BSE 検査が必要のない牛(24 か月齢未満)も適切な 処理が必要です。 ◎ 盛岡市、宮古市、八幡平市、滝沢市、雫石町、葛巻町、岩 手町、山田町、岩泉町及び田野畑村の方は、これまで通り地 域保冷庫を利用できます。 ◎ 紫波町、矢巾町で農協組合員の方は、所属農協の畜産担当 課へお問い合わせください。 ◎ 紫波町、矢巾町で農協組合員以外の方は、産業廃棄物収集 運搬業者へご連絡下さい。 2 牛の呼吸器病 病性鑑定課 牛の呼吸器病は、BRDC(Bovine Respiratory Disease Complex:牛呼吸器複 合病)と表されるとおり、環境要因や様々な病原体(ウイルス、細菌、マイコプラズ マ等)が関与して発症することが知られています。特に寒くなってくるこれからの季 節は、換気不良による牛舎内アンモニア濃度の上昇、寒冷ストレスによる免疫力の低 下等により、呼吸器病ウイルス(牛 RS ウイルス、牛アデノウイルス、牛パラインフ ルエンザウイルス 3 型、IBR ウイルス、牛コロナウイルス、BVD ウイルス)やマイ コプラズマが容易に感染するようになり、さらに二次的にマンヘミア・ヘモリティカ、 パスツレラ・マルトシダ、ヒストフィルス・ソムニ等の細菌が日和見的に感染し、症 状が重篤化します。 【近年の傾向】 本県の呼吸器病の病性鑑定で関与が確認されたウイルスのほとんどが、牛 RS ウイ ルスとコロナウイルスです。また、マイコプラズマやマンヘミア・ヘモリティカの関 与も確認されています。 1 牛 RS ウイルス 県外の事例として、牛 RS ウイルスとマンヘミア・ヘモリティカの混合感染によ る集団発生と死亡頭数の増加が報告されています。牛 RS ウイルスは伝播速度が速 く、短期間で牛舎内にまん延します。 2 コロナウイルス 牛 RS ウイルスと同様に、急速に伝播します。搾乳牛での発生では、顕著な泌乳 量の低下が特徴です。また、特定地域の農場で、冬季に発生が集中する事例もあり ます。 3 マイコプラズマ マイコプラズマ属菌の中でも病原性の強いマイコプラズマ・ボビスは、主に牛の 導入時に侵入します。一度農場内に侵入すると、常在化する傾向が見受けられます。 また、ほとんどの株が治療薬であるマクロライド系抗生剤に耐性を獲得しています。 4 マンヘミア・ヘモリティカ 他県の報告では、過去と異なる血清型(6 型)の株が分離される率が高くなって います。また、薬剤耐性菌の割合も増加しています。 【対策】 病気に負けない健康な牛を作ることが最も重要です。牛舎内の温度管理、換気を見 直し、飼養環境を整えることが必要です。いずれの病原体も、牛の移動、ヒトや物の 持ち込みに伴って侵入することがほとんどです。牛導入時の隔離飼養、持ち込む物、 衣服・長靴の消毒を確実に行いましょう。一次要因となるウイルスには、例年の発生 状況、地域への浸潤状況に応じて、ワクチンを選択し、適切な時期に接種する必要が あります。BRDC を効果的に抑えるためには、関与している病原体を特定し、細菌 呼吸器病で に対しては効果がある抗生剤を調べ、適切に投与しなくてはなりません。呼吸器病で お困りの方は、当所もしくは掛かり付けの獣医師にご相談ください。 3 獣医師免許をお持ちの皆さまへ~獣医師法 獣医師免許をお持ちの皆さまへ~獣医師法第 獣医師法第 22 条の届出について~ 条の届出について~ 衛生課 獣医師法第 22 条に基づき、獣医師の分布、就業状況、異動状況等を把握するため、 獣医師には 2 年毎に届出が義務付けられています。平成 26 年度は届出が必要です。 平成 26 年 12 月 31 日現在の状況を、 日現在の状況を お住まいの市町村を管轄する家畜保健衛生所 に届け出でください。届出期間は平成 27 年 1 月 1 日から 1 月 31 日までの間です。 日までの間 ~届出事項(第 6 号様式)~ ・獣医師免許証の登録番号、登録年月日 ・本籍地の属する都道府県 ・氏名、現住所、生年月日、性別 ・主たる業務の種類 ・勤務先の名称、所在地 ・従たる職業の概要 登録年月日にご注意下さい! ●一度も再交付又は書換交付を 受けていない方:獣医師免許 証の表面 表面に記載された登録年 表面 月日 ●再交付又は登録事項の変更に よる書換交付を受けた方:獣 医師免許証の裏面 裏面に記載され 裏面 た登録年月日 届出様式は獣医師法施行規則により定められております(第 6 号様式)。農林水産 省のホームページからダウンロード可能ですが、ご不明の場合は当所へお問い合わせ ください。 ★獣医師法 第二十二条(届出義務) 獣医師は、農林水産省令で定める二年ごとの年の十二月三十一日現在における氏 名、住所その他農林水産省令で定める事項を、当該年の翌年一月三十一日までに、 その住所地を管轄する都道府県知事を経由して、農林水産大臣に届け出なければな らない。 ★獣医師法施行規則 第十三条(届出) 法第二十二条 の農林水産省令で定める二年ごとの年は、昭和五十七年及び同年以 降二年ごとの各年とする。 2 法第二十二条(法附則第十一項後段及び法附則第十五項において準用する場 合を含む。)の規定による届出は、第六号様式によらなければならない。 < 連絡先 > ○岩手県中央家畜保健衛生所 電話:019-688-4111 / FAX:019-688-4012 ホームページ:http://www.pref.iwate.jp/nougyou/desaki/chuuou/index.html または「岩手県中央家畜」で検索してください ○沿岸広域振興局農林部宮古農林振興センター 電話:0193-64-2214 / FAX:0193-64-5631 ○岩手県中央家畜衛生協議会 電話&FAX:019-688-4015 4
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