C型慢性肝炎に対するバニプレビルの 有効性・安全性等について

第13回
肝炎治療戦略会議
平成26年12月2日
資料2
C型慢性肝炎に対するバニプレビルの
有効性・安全性等について
国立病院機構(NHO)長崎医療センター
八橋 弘
プロテアーゼ阻害剤の構造式による分類
テラプレビルの構造式
第一世代のプロテアーゼ阻害剤
Linear 型(直鎖型)
CH3 H
CH3
H3C
テラプレビル
N
O
H
N
N
H
N
H
H
O
O
H
HN
N
H
N
H
O
H
O
O
CH3
第二世代のプロテアーゼ阻害剤
Macrocyclic 型(大環状型)
シメプレビルの構造式
バニプレビルの構造式
O
O
O
H
O
S
NH
CH3
CH3
O
H
N
H
H
CH3
N
O
H
N
N
S
O
CH3
CH3
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
著効率(SVR24率)
治療法
初回治療、再燃例
(%)
バニプレビル300㎎
1日2回内服
100
83.7%
92.0%
(23/25)
(82/98)
週1回のペグインターフェロンα-2b注射
61.9%
80
(26/42)
リバビリン 1日3-5個内服
60
前治療無効例
40
バニプレビル300㎎1日2回内服
20
週1回のペグインターフェロンα-2b注射
0
リバビリン 1日3-5個内服
0
12
24(週)
初回
治療例
前治療
再燃例
前治療
無効例
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
著効率(SVR24率)
前治療再燃例
初回治療例
(%)
100
83.7%
(%)
100
(19/19)
全症例
92.0%
(%)
100
全症例
61.9%
(23/25)
(82/98)
SVR 率
80
100%
前治療無効例
76.9
80
66.7%
80
%
(26/42)
(10/13)
(4/6)
55.2%
60
60
60
40
40
40
20
20
20
0
0
0
(16/29)
24
前治療後
前治療
再燃例 ブレークスルー例
(5/5)
部分反応例※1 無反応例※2
※1 前治療でHCV RNAが一度も陰性化せず、治療期12週までにHCV RNA量の減少が2 Log IU/mL以上の症例
※2 前治療でHCV RNAが一度も陰性化せず、治療期12週までにHCV RNA量の減少が2 Log IU/mL未満の症例
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
初回治療例対象試験
安全性の要約
バニプレビル3剤併用群
(n=98)
副作用の発現あり
2剤併用群
(n=98)
98 (100)
98 (100)
重篤な副作用の発現あり
4 (4.1)
4 (4.1)
死亡例
0 (0)
0 (0)
副作用による治療中止
7 (7.1)
10 (10.2)
重篤な副作用による中止
3 (3.1)
2 (2.0)
発現例数 (%)
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
初回治療例対象試験
いずれかの群で発現率30%以上の副作用
悪心
倦怠感
発熱
ヘモグロビン減少
好中球数減少
血小板数減少
白血球数減少
食欲減退
頭痛
脱毛症
そう痒症
発疹
発現例数 (%)
バニプレビル 3剤併用群
(n=98)
2剤併用群
(n=98)
33(33.7)
31(31.6)
79(80.6)
35(35.7)
50(51.0)
28(28.6)
45(45.9)
32(32.7)
49(50.0)
31(31.6)
29(29.6)
40(40.8)
25(25.5)
37(37.8)
80(81.6)
41(41.8)
43(43.9)
36(36.7)
45(45.9)
34(34.7)
44(44.9)
33(33.7)
33(33.7)
41(41.8)
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
バニプレビル投与群における嘔吐、悪心及び下痢の有害事象発現時期
(件)
有害事象発現件数
160
嘔吐、悪心及び下痢の有害事象発現率は58.0%(167/288例)
〔嘔吐25.7%(74/288例)、悪心35.1%(101/288例)、下痢26.0%
(75/288例)〕であった。
嘔吐、悪心及び下痢で投与中止に至った症例は2例であった。
140
120
100
80
60
40
20
0
1-15
16-30
31-45
46-60
61-75
76-90
91-105 106-120 121-135 136-150 151-165
166-
(日)
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
ブレークスルー率、再燃率
前治療再燃例
初回治療例
前治療無効例
100
(%)
100
(%)
100
80
80
80
60
60
60
40
40
40
(%)
20
1.0%
8.6%
20
0%
(8/93)
8.0%
ブレーク
スルー率
2.4%
(2/25)
(1/42)
0
0
再燃率
(14/40)
20
(0/25
(1/98)
35.0%
0
ブレーク
スルー率
再燃率
ブレーク
スルー率
再燃率
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験
IL28B(rs12979860)別
初回治療例
(%)
100
SVR 率
24
(%)
100
92.2%
(59/64)
80
前治療再燃例
94.4%
(17/18)
85.7%
前治療無効例
(%)
100
100%
(5/5)
(6/7)
67.6%
80
80
(23/34)
56.8%
60
60
60
40
40
40
20
20
20
0
0
0
CC
CT/TT
CC
CT/TT
(21/37)
(5/5)
CC
CT/TT
バニプレビル承認時評価資料
バニプレビル国内第Ⅲ相試験のまとめ
► 第2世代プロテアーゼ阻害剤で、
前治療無効例には24週間の併用投与が可能
► 治療効果(SVR24)は
初回例:83.7%
前治療再燃例:92.0% (Relapse例:100%、BT例:66.7%)
前治療無効例:61.9% (Partial例:76.9%、Null例:55.2%)
► 投与中のブレークスルー率:0~2.4%、
投与終了時の陰性化率(EOTR率):95.2~100%
再燃率:8.0~35.0%と優れた抗ウイルス効果
► 安全面はPEG/RBV併用とほぼ同等。
インターフェロン(IFN)感受性と治療効果
著効率
ペグインターフェロン
/リバビリン
採血
75%
バニプレビル3剤
初回
前治療
前治療
治療例
再燃例
無効例
IFNが
効く
遺伝子型
71%
92% 94% 100%
IFNが
効きにくい
遺伝子型
22%
68% 86% 57%
IL28B遺伝子
25%
NHO長崎医療センター 八橋弘
バニプレビル治療法の位置づけ
IFNが効く遺伝子型で
の著効率(SVR24率)
100%
92.2% 94.4%
(5/5)
初回治療、再燃例
(%)
バニプレビル300㎎
1日2回内服
100
週1回のペグインターフェロンα-2b注射
リバビリン 1日3-5個内服
(59/64)
(17/18)
80
60
前治療無効例
40
バニプレビル300㎎1日2回内服
20
週1回のペグインターフェロンα-2b注射
0
リバビリン 1日3-5個内服
0
12
24(週)
初回
治療例
前治療
再燃例
前治療
無効例
NHO長崎医療センター 八橋弘
3剤併用療法の再治療について
NHO長崎医療センター 八橋弘
3剤併用療法間の再治療の組み合わせ
テラプレビル3剤
バニプレビル3剤
シメプレビル3剤
薬事・保険上はどの方向でも3剤併用療法の再治療が可能である。
NHO長崎医療センター 八橋弘
DAAs治療
HCVRNA量
1.Potency
1.強い抗ウイルス効果
2.薬剤耐性を獲得しにくい
3.感染細胞からのウイルス排除
2.No resistance
3.Infected
cell cure
NHO長崎医療センター 八橋弘
DAAs(PI)治療では薬剤耐性が問題
pre-existing resistance-associated variants (RAVs)
薬剤耐性ウイルスの存在
PI治療
ウイルス量
薬剤耐性ウイルスの増加
薬剤耐性ウイルス
NHO長崎医療センター 八橋弘
プロテアーゼ阻害剤に対するHCV耐性変異株の種類(海外データ)
V36A/M
第一世代
/直鎖型
T54S/A
V55A
Q80R/K
R155K/
T/Q
A156S
A156T/V
D168A/
E/G/H/T/
Y
V170A/T
テラプレビル
バニプレビル
第二世代
/大環状型
シメプレビル
アスナプレビ
ル
【対象・方法】臨床試験において認められたプロテアーゼ阻害剤に対するHCV耐性変異を検討した。
C.Sarrazin et al. ; Journal of Hepatology 2012 S88-S100より作図
耐性ウイルス変異部位からみたDAAs治療法の選択-HCV1b
NS3
NS5A
NS3プロテアーゼ阻害剤
V36
テラプレビル
T54
A156
D168
NS5B
核酸型
増殖複合体の阻害剤
ポリメラーゼ阻害剤
L31.Y93
S282
V36.T54
A156
シメプレビル
バニプレビル
D168
ダクラタスビル
アスナプレビル
L31.Y93
D168
NHO長崎医療センター 八橋弘
耐性変異からみた3剤併用療法での再治療
見解の相違点
1.薬剤耐性HCVはPI治療後、消失するのか?
消失する VS 消失しない
2.同じ系統のPI(治療後の変異部位が同一)での再治療で
十分な抗ウイルス効果が得られるのか
得られる VS 得られない
3.治療中に獲得された薬剤耐性HCV変異が再治療に
及ぼす影響は
小さい VS 大きい
NHO長崎医療センター 八橋弘
3剤併用療法間の再治療の組み合わせ
テラプレビル3剤
V36.T54
A156
バニプレビル3剤
シメプレビル3剤
D168
D168部位の耐性が交叉している
D168
NHO長崎医療センター 八橋弘