末期腎不全のリスクとしてのメタボリックシンドローム

★1−P−79 2型糖尿病患者における糖・インスリン動態と
動脈硬化マーカーの関連
金沢大学医学部附属病院検査部1,金沢大学大学院医学系研究
科恒常性制御学2
宗広久仁子1,大場 教子’,長田美津子1,吉田 知孝1,
安藤 仁2,櫻井 勝2,栗田征一郎2,宇野 将文2,
土山奈央美2,清水 暁子2,御簾 博文2,濱口えりか2,
金子 周一2,篁 俊成2
【目的】日本人2型糖尿病患者において,動脈硬化マーカーで
ある高感度(hs)CRPと実際の動脈硬化病変(内膜中膜複合
体;IMT)が糖尿病のいかなる病態を反映するか検討.
【方法】2型糖尿病患者100名(男67,女33,年齢58±12,BMI
254±4.1,HbAlc87±2.0)を対象に糖負荷試験を施行し,hsCRP,
IMTを測定した.
【結果】1)IMTは年齢,罹病期間以外に血糖120分値(r=021,
p<0・05)と正相関した.2)hsCRPはインスリン抵抗性の指標
であるIRI前値(r=0.27,p<0.01),HOMA−IR(r=027,p<0.01)
と正相関した.3)これらの所見から予測したごとく,IMTと
hsCRPに関連は認めなかった.
【結語】2型糖尿病患者では,食後高血糖が動脈硬化に関与す
る.
★1−P−80 末期腎不全のリスクとしてのメタボリックシ
ンドローム:入院の高リスク群を対象とした
予後調査から
金沢医科大学内分泌・代謝科
小西 一典,中野 茂,津田 真一,安井 綾子,
上原 啓吾,北田 宗弘,伊藤 智彦・西澤 誠,
中川 淳,木越 俊和,古家 大祐
【目的】メタボリックシンドローム(MS)の有無で分けたコホー
トに対し,心血管イベントの発生を前向きに調査した.【方法】
入院患者を対象に,MSの有無を判定し以後外来で経過観察し
た.脱落例を除外すると解析対象は非MS群147例,MS群70
例となった.生存分析にはKaplan−Meier(KM)法,Coxモデ
ルを用いた.【結果】MS及び非MS群間で観察開始前の年齢,
性別,HbAlc及び腎機能の重症度に差はなかった.平均観察期
間は40ヶ月で,その間両群で脳,心イベントにはKM法で差
はなかったが,腎イベント(HD導入)はMS群で有意に高リ
スクであった.さらに末梢血管障害を加えた総イベントでも
MS群で高リスクであった.Coxモデルでは,腎イベントには
24時間平均SBPが予測因子となっていた.【結論】MSの存在
は末期腎不全のリスクとなることが示された.
当院に生活習慣病で外来通院中の患者213名(男性120名,女
性93名)に対し,女性腹囲のカットオフ値を75cm,80cm,85
cm,90cmの4段階に分けてメタボリックシンドロームの診断
を行い,空腹時インスリン,アディポサイトカイン,酸化スト
レスマーカー,尿中アルブミンなどの各種パラメーターを測定
し,女性腹囲の至適値の検討を行った.女性におけるMS診断
率は,腹囲別(高い方から)にそれぞれ74%,63%,53%,43%
であった.空腹時インスリン,レプチン,尿中アルブミンは,
どの腹囲設定においても有意にMS群で高値であり,逆にア
ディポネクチンはMS群で有意に低値を示した.酸化ストレス
マーカー(TBARS)は,腹囲設定85cmのみにてMS群にて
有意に高く,大血管イベント発症のリスクという観点からより
好ましい腹囲の設定値であることが示唆された.
★1−P−83 2型糖尿病患者における頚動脈内膜中膜複合体
肥厚度および内臓脂肪面積と動脈硬化性疾患
の合併に関する検討
富山大学医学部第一内科
小橋 親晃,浦風 雅春,後藤 理恵,浅水 幸恵,
Norel Din Amal Khalifa,金谷由紀子,平谷 和幸,
宇野 立人,石木 学,岩田 実,薄井 勲,
山崎 勝也,小林 正
【目的】2型糖尿病患者における頚動脈内膜中膜複合体肥厚度
(IMT)および内臓脂肪面積(Vis)と動脈硬化性合併症との関
連を検討した.【方法】当科加療中の2型糖尿病患者で,頚動
脈エコー検査にて高度動脈硬化症を有する男性24例を対象
に,腹部CT上のVisをFatScanにて測定し,動脈硬化性疾患
(IHD,脳梗塞,ASO)との関連を検討した.【結果】男性2型
糖尿病患者において,動脈硬化性疾患を有する患者(12例)
では有しない患者(12例)に比して有意にVisが増加(p<0.05)
しており,またIMTも有意に増加(p<0.05)していた.【結論】
2型糖尿病患者においても内臓脂肪蓄積が増加している患者で
は,動脈硬化性疾患の合併が高頻度であり,他の危険因子の管
理とともに,内臓脂肪の減少が,心血管イベントの抑制に重要
である可能性が示唆された.
★1−P−81 左室重量とメタボリックシンドロームの検討
東京女子医大病院糖尿病センター
原田 真耶,佐藤 麻子,尾内 高子,安芸菜奈子,
岩本 安彦
【目的】2型糖尿病患者において左室肥大とメタボリックシン
ドローム(MetS)の関係を検討した.
【対象と方法】対象は2型糖尿病患者で心疾患・腎障害のない27
名(男性15名,年齢50±12歳).心エコー図により左室重量を
計測した.ウエスト周囲径・血圧・脂質よりMetSを判定.CT
による内臓脂肪や血清アディポサイトカインの測定を行った.
【結果】左室重量はBMI・皮下脂肪面積・血清PAH・IL−6・
空腹時インスリン値が高値なほど増加を認めた.重回帰分析で
はIL−6[OR(95%CI):14.30(3.80−24.80),p=αOl]と空腹
時IRI[LO4(0−2.11),p=0.05]が左室重量を増加させる独立
した危険因子であった.
【結論】2型糖尿病の左室肥大にはアデイポサイトカインが影
響していると示唆された.
★1−P−82 メタボリックシンドローム(MS)診断基準に
おける女性腹囲の至適値の検討
埼玉医科大学・内科学・内分泌糖尿病部門
中島 洋平,犬飼 浩一,池上 裕一,今井 健太,
渡邉 昌樹,磯山 藍,大崎 昌孝,井上 清彰,
栗原 進,粟田 卓也,片山 茂裕
★1−P−84 メタボリックシンドロームの動脈硬化進展に
関わる危険因子の検討一国立病院機構・肥満
症多施設共同研究(JOMS)一
独立行政法人国立病院機構京都医療センター臨床研究センター代謝研究
部1,鳥取大学医学部健康政策医学2,国立病院機構東京医療センター3,国
立病院機構小倉病院4,国立病院機構名古屋医療センター5,国立病院機構三
重病院6,大石内科クリニック7
佐藤 哲子1,小谷 和彦2,小山 一憲3,岡嶋泰一郎4,田邉真紀人4,
加藤 泰久5,荒木 里香6,大石まり子7,須藤 聡子3,三浦奈穂子3,
田中 公貴4,坪内 博孝4,松田やよい4,島津 章1
【目的】メタボリックシンドローム(MS)は心血管疾患(CVD)
の高リスク群である.【方法】今回,国立病院機構肥満症多施
設共同(JOMS)にて,肥満症253例(平均BMI:31つ±04)
のMSの特徴,CVDリスク,血圧非依存性の動脈硬化指標
(CAVI:Cardio Ankle Vascular Index)を横断的に検討した.
【結果】全肥満症にMSが65%存在した.MS群は非MS群と
同等のBMIだが,腹囲,血圧,FBS,IRI,TG,レプチンの
有意な高値,HDL−Cの有意な低値,またhsCRPやCAVIの有
意な高値が認められた.MSの構成因子保有数が増えるとCAVI
値が有意に上昇した.CAVIを従属変数とした多変量解析によ
り,FBSとTGと有意な正相関が,アディポネクチンと強い負
の相関が認められた.【総括】肥満症・MSにてCVDリスクの
重積に伴い,炎症や動脈硬化が進展していることが多施設共同
研究にて証明された.
一S−102一