Excel「ブラックショールズモデルによるオプション価格の計算」 今回はブラックショールズモデルの公式を用いてコールオプションおよびプットオプションの理論価格を計算 してみます。 公式さえ知っていれば結構簡単に計算できます。 まず記号の定義から始めます。 C:コールオプション価格 P:プットオプション価格 e:ネピア定数 T:期間(年) S:原資産価格 N(d):標準正規分布の累積確率密度関数 r:安全利子率 δ:配当利回り(原資産利回り) E:権利行使価格 σ:ボラティリティ(年間ベースの標準偏差) 公式は以下のようになります。 C Se δT N (d1 ) Ee rT N (d 2 ) P Se δT N (d1 ) Ee rT N (d 2 ) ただし σ2 S ln r δ T 2 K d1 σT d 2 d1 σ T 問題の設定は以下のようにします。 「現在の原資産価格(S)を 130、権利行使価格(E)を 130、安全利子率を 1%、期間(T)を 6 カ月(0.5 年)、ボラティ リティを 15%、配当利回りを 3%とする。このときのコール、プットオプションの理論価格を求めよ。 」 実際に Excel シートを作ると以下のようになります。 まずは B2 から B6 までに問題で与えられた初期値(S,K,r,T,σ,δ)を入れておきます。 つぎに d1 と d2 を計算する際に、長い式をセルに打ち込んでも良いのですが、打ち間違いなどを防ぐために 3 つの項に分けて計算します。 そこで Ln(S/E)、(r-δ+σ^2/2)T、σT^(1/2)に分けて 1 つずつ求めていきます。 Ln(S/E)は自然対数の計算をする LN 関数を使い B8=LN(B2/B3)のように計算します。 残りの 3 つは上記の図のように計算します。 これらを d1、d2 でまとめます。 公式通りに d1 は B13=(B8+B9)/B11、d2 は d1-σT^(1/2)つまり B14=B13-B6*B5^(1/2)と計算します。 N(d1)、N(d2)は N(d)=P(z≦d)となるような確率を求めることになります。 統計学を学んだ人は正規変数 X を Z=(X-μ)/σなどと変換して、正規分布表から確率を求めた覚えがあると思い ます。d さえ求めていれば、この確率を自動的に求めてくれるのが NORMSDIST 関数です。 よって B16=NORMSDIST(B13)のようにして N(d1)を求め、N(d2)も同様にします。 あとはコールオプション価格 C を計算するだけです。 これは公式の通りに、そしてこれまで求めてきた N(d)等を用いて B19=B2*EXP(-B7*B5)*B16-B3*EXP(-B4*B5)*B17 のようにすれば求められます。 e^(-rt)は EXP 関数を用いて EXP(-B4*B5)のようにすれば計算できます。 プットオプションは以下のようになります。
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