講義予定 信頼性工学 第4回 2016.10.25 千葉大学 工学部 都市環境システム学科 山崎文雄 http://ares.tu.chiba-u.jp/ 1 (1) 2016年10月 4日(火) 信頼性と信頼性工学(イントロダクション) (2) 2016年10月11日(火) 信頼性解析の基礎数理1(確率論の基礎) (3) 2016年10月18日(火) 信頼性解析の基礎数理2(信頼性の基本量) (4) 2016年10月25日(火) 信頼性解析の基礎数理3(故障率と確率分布) (5) 2016年11月 1日(火) データの統計解析1(統計データ処理) (6) 2016年11月 8日(火) データの統計解析2(最尤法と確率紙) (7) 2016年11月15日(火)データの統計解析3/システムの信頼性1 (8) 2016年11月22日(火) 中間試験 (9) 2016年12月 6日(火) システムの信頼性2(一般システムと信頼性設計) (10) 2016年12月13日(火) 故障モードの同定(FMEA, FTA, ETA) (11) 2016年12月20日(火) 構造物の信頼性工学1(破壊確率と信頼性指標) (12) 2017年 1月17日(火) 構造物の信頼性工学2(信頼性解析モデル) (13) 2017年 1月24日(火) モンテカルロ法 (14) 2017年 1月31日(火) 確率過程のモデル化 2 (15) 2017年 2月 7日(火) 期末試験 平均寿命と故障時間の密度関数 故障を減らすには 平均寿命(mean life)の計算 デバギング(debugging): 初期故障を少なくするための作 業; 事前に不良品を取り除くスクリーニング(screening), 安定化のためのエージング(aging)やならし運転など 偶発故障期の故障は,デバギングで取り除けない故障原 因の組み合わせによる. MeanLife (2.43) 平均寿命は •修理可能なシステムでは,平均故障時間間隔(mean time between failures) •修理不可能なシステムでは,平均故障時間(mean time to failure) Mean Life 故障時間の密度関数 予防保全(preventive maintenance, PM):耐用寿命を延ば すために,寿命に達した部品を故障が発生する前に取 り替える. 3 4 2.4 故障時間の確率分布 [例2.3] 故障率が一定の場合の平均寿命 (1) 正規分布(Normal distribution) t)= =一定の場合の平均寿命を求めよ. 正規分布(ガウス分布)の確率密度関数は, R (t ) (解) (2.35)より信頼度関数は f (t ) 故障時間の密度関数は 0 0 ( x )2 1 exp f X ( x) 2 2 2 dR(t ) dt ここに,, は平均値と標準偏差を表す. また、確率分布関数は密度関数を積分して MeanLife tf (t )dt te dt t x (2.45) FX x 1.0 FX(x) fX(x) 部分積分より 指数分布では平均寿命は故障率の逆数となる. x 5 x fX(x) 確率密度関数は平均値を中心として左右 対象.標準偏差が分布の広がりを表す. 正規分布: N(, 2) f X x FX x fX t )dt x 6 標準正規分布: N(, ) 1 x 2 1 exp 2 2 s f X x 確率密度関数の関係 -x x N(, 2) fX(x) FX x fX t )dt x 平均値(mean)は中央値(median), 最頻値(mode)と一致する. http://www.weibull.com/LifeDataWeb/characteristics_of_the_normal_distribution.htm x 正規分布と標準正規分布の関係 正規分布の特徴: N(, 2) FX x fX t )dt 1 FX x x 0 x 7 確率分布関数の関係 N(, ) s s = FX x 0 s=(x-)/ s 8 http://www.math.unb.ca/~knight/utility/NormTble.htm Tables of the Normal Distribution 正規分布表の使い方 練習問題 標準正規分布表 1.標準正規分布表よりxが1以下(sが1以下)となる確率を求めよ. (zはsと同じ意味) N(0, 1) 解答: z=1の値より 2.標準正規分布表よりxが-1以下(sが-1以下)となる確率を求めよ. 重要な 逆引きの値 p z 0.01 -2.3263 0.05 -1.6449 0.1 -1.2816 0.9 1.2816 0.95 1.6449 0.99 2.3263 解答: z=-1の値は 3.累積確率がp=0.90となるzの値を標準正規分布表から逆引きに より求めよ.(表の数字の間は直線補間でよい) 解答: (1.28) 0.8997, (1.29) 0.9015 1 (0.90) 10 9 統計関数とExcel (分布名からの検索) 正規分布 正規分布の%点逆引 標準正規分布 標準正規分布の%点逆引 カイ2乗分布 カイ2乗分布の%点逆引 F分布 F分布の%点逆引 t 分布 t 分布の%点逆引 ベータ(B)分布 Excel 関数名 NORMDIST NORMINV NORMSDIST NORMSINV CHIDIST CHIINV FDIST FINV TDIST TINV BETADIST 説明 正規分布の累積分布関数 NORMDIST の「逆関数」 標準正規分布の累積分布関数 NORMSDIST の「逆関数」 カイ2乗分布の上側確率 CHIDIST の「逆関数」 F分布の上側確率 FDISTの「逆関数」 t 分布の片側・両側尾部確率(x 以上・± x 以遠) TDIST の「逆関数」 ベータ分布の累積分布関数(ふつう A = 0, B = 1 の間) ベータ(B)分布の%点逆引 指数分布 ガンマ(Γ)分布 ガンマ(Γ)分布の%点逆引 二項分布 同 %点逆引き 超幾何分布 BETAINV EXPONDIST GAMMADIST GAMMAINV BINOMDIST CRITIBINOM HYPGEOMDIST BETADIST の「逆関数」 指数分布の累積分布関数。平均 = 1/λ。 ガンマ分布の累積分布関数 GAMMADIST の「逆関数」 確率 0.4 で 5 回試行 => 3 回成功する確率 確率 0.4 で 10 回試行 => 何回までで確率 0.9? サイズ N 個中 M 個が○ => n 個とって ○ x 個の確率 対数正規分布 同 %点逆引き ポアソン分布 負の二項分布 ワイブル分布 LOGNORMDIST LOGINV POISSON NEGBINOMDIST WEIBUL exp(X) (X は正規)の累積分布関数 LOGNORMDISTの逆関数 年平均 10 件の事故が 4 件起こる確率 確率 0.4 で、3 回成功するまでに 5 回の失敗あり。 寿命の確率分布。指数分布の一般化。 分布名 http://www.qmss.jp/e-stat/excel/commands-dist.htm EXCELを用いた正規分布の計算 練習問題 1.累積確率がp=0.95となるzの値を標準正規分布から 求めよ. 2.日本人成年男性の身長が,平均値170cm, 標準偏 差7cmとする.この場合,累積確率がp=0.95となる 身長は幾つか? 1)正規分布より求めよ 2)標準正規分布より求めよ 3)180cmを越える人の割合はどれだけか? 3.4σを越える確率を求めよ. 11 12 正規分布に従うシステムの故障率 http://www.itl.nist.gov/div898/handbook/eda/section3/eda362.htm#PPF システムの故障時間が正規分布 するとすると,故障率は下図 f (t ) (t ) (2.33) R(t ) f(t) =NORMINV(0.95,170,7) =NORMINV(0.95,170,7) =NORMSINV(0.95) =170+B7*7 =1-B10 =NORMDIST(180,170,7,TRUE) =NORMSDIST(4) (t ) =1-B13 f (t ) 1 F (t ) F(t) 図2.9と同じ 13 (2) 指数分布(Exponential distribution) 指数分布 (2) 1 R (t ) P0 (t ) exp(t ) R ( x) e 0.8 x (2.46) e x ,x0 0.6 ただし, t 1 / は平均寿命を表す. c また,故障時間の密度関数は, R(x) 指数分布に従うシステムの故障率 は一定となる. 0 0 dR(t ) f (t ) e t dt (2.47) (t ) f (t ) R(t ) 0 x 1 x f ( x ) e e x 故障率は当然ながら一定値となる. 時間 t T E[T ] tf (t )dt te t dt 0.2 , x0 0 0 x http://www.engineeredsoftware.com/papers/exp_dist.doc 15 (2.48) 2 1 1 E (T E[T ]) t e t dt 2 0 2 したがって寿命の変動係数は, 0 1 寿命の分散は, 2 T f(x) f ( x) 1 R( x) =一定 平均寿命は, 0.4 故障率 (t) 故障の発生をポアソン分布(過程)とみなせるとき,信頼度R(t)は 時刻tまでに故障が1つも発生しない確率なので(2.42)より ( x) 14 T (2.49) T 1 .0 T 16 指数分布 (3) (3) ワイブル分布(Weibull distribution) の場合 Exp(-t) 1.2 1 0.8 平均寿命に対応する信頼度; 信頼性の分野で最も頻繁に用いられる分布.1939年にスウェー デンの科学者ワイブル(W. Weibull)により,材料の破壊強度の分 布形を表すものとして提案された. Exp 0.6 0.4 R (tc ) e 1 0.2 (2.50) 0 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 t tm R (t ) exp tc 信頼度と時間の関係は,(2.46): R (t ) exp(t ) より t (2.51) f (t ) これより,=10-6 (平均寿命106 時間)の場合 t(R=0.9) = 1.05 x 105 時間 t(R=0.99) = 1.01 x 104 時間 高信頼度の期間は平均寿命よりずっと短い. 17 ワイブル分布 (2) http://www.weibull.com/LifeDataWeb/characteristics_of_the_weibull_distribution.htm は尺度パラメータ m m ただし, tc1/ m , t 0, tc 0, m 0 である. ここでmは形状(shape)パラメータ,は尺度(scale)パラメータと呼ば れる. 18 ワイブル分布 (3) ワイブル分布の故障率は, ワイブル分布の確率密度関数の形 この図では形状パラメータ(m)を表す t t dR(t ) t t m 1 m exp m m exp dt tc tc m 1 (t ) f (t ) R(t ) m()の値によって,ワイ ブル分布の故障率は DFR, CFR, IFRになる. 19 20
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