亜瀝青炭燃焼時のNOx・灰中未燃分排出特性 - 電力中央研究所

電中研報告
火力発電
亜瀝青炭燃焼時のNOx・灰中未燃分排出特性
−瀝青炭との混焼時の特性評価−
背 景
現在、我が国の石炭火力では、発熱量が高く燃焼性の良い瀝青炭が用いられている。
しかし、今後、世界的に石炭需要の増大が見込まれること、ならびに発電コスト低減の
観点から、これまで用いられなかった石炭種の利用を拡大していくことが重要と考えら
れる。亜瀝青炭は埋蔵量が多く1)発熱量も 5,000kcal/kg 前後と比較的高いため、有望な燃
料として期待されているが、高水分含有率で着火性が悪く、かつ NOx を低減し難いとい
う問題点がある。このような点から考え、当面の亜瀝青炭の利用は瀝青炭との混炭燃焼
によってなされていくものと考えられる。
目 的
石炭燃焼試験炉(燃焼量:0.1t/h)を用いて、瀝青炭燃焼時と同様のバーナ操作条件にお
ける亜瀝青炭と瀝青炭との混炭燃焼時の NOx・灰中未燃分排出特性を把握する。また、
混炭時にこれらの排出量を抑制できるバーナ操作条件を明らかにする。亜瀝青炭として
2)
は、水分含有率の高いワラ炭と比較的低いアダロ炭を用いた(表1)
。
主な成果
1. 瀝青炭に亜瀝青炭を混炭し、瀝青炭燃焼時と同様のバーナ操作条件で燃焼した場合、
火炉出口の NOx 濃度は、それぞれを単味燃焼した際の NOx 濃度を混炭率に応じて平均
した値とほぼ同等になることが明らかとなった(図1)
。
2. 亜瀝青炭混炭燃焼時の灰中未燃分濃度は、灰中未燃分濃度の低い瀝青炭と組み合わ
せても低減できず、灰中未燃分濃度から計算される未燃焼率 3)についてはいずれの混炭
率においても専焼時の値よりも高くなり、混炭率が低い領域で極大値を持つ傾向を示
すことが明らかとなった(図2)。これは、亜瀝青炭に含まれる水分が蒸発する際の潜
熱の影響により、火炎温度が低下することや、生成した水蒸気によって O2 分圧が低く
なるために、瀝青炭の燃焼効率が低下したことが原因として考えられる。
3. 2次空気の旋回強度を混炭率に応じて調整すると、着火の安定により灰中未燃分濃度
が低減でき、また、二段燃焼用空気注入位置までの還元領域が広がるため、排出 NOx
濃度の低減も可能になった。その際、瀝青炭燃焼用のバーナ操作条件での NOx・灰中
未燃分排出濃度からの低減効果は亜瀝青炭混炭率が増加するほど大きくなった(図3)
。
今後の展開
実機において亜瀝青炭の混炭率として、当面最も多く使用される条件と思われる30%
までの範囲において、灰中未燃分の増加を抑制する燃焼技術を開発する。
1)1998 年の世界エネルギー会議では、亜瀝青炭の可採埋蔵量は、2,790 億トン賦存し、瀝青炭の可採埋蔵量(5,095
億トン)に次いで多いと報告されている。
2)亜瀝青炭の水分含有率は 20∼40%である。
3)未燃焼率:石炭中の可燃分が燃え残った割合。
(未燃焼率[%]=100 - 燃焼効率[%])
00─013
表1
供試炭性状
図1
図2 亜瀝青炭混炭率と灰中未燃分
濃度、未燃焼率の関係
亜瀝青炭混炭率とNOx濃度、
NOx転換率の関係
図3 バーナー操作条件調節時のNOx・灰中未燃分低減効
果(瀝青炭:ニューランズ炭、亜瀝青炭:ワラ炭)
*当所が開発したCI−αバーナの 2 次空気旋回角度を調整し、
火炉出口でのNOx濃度が最も低くなる条件とした。
研究報告:W00017
キーワード:亜瀝青炭、微粉炭燃焼、混炭、窒素酸化物、灰中未燃分
関連研究報告書 主担当者
連 絡 先
池田 道隆(横須賀研究所・エネルギー化学部)
(財)電力中央研究所 横須賀研究所 事務部 研究管理担当
Tel 0468−56−2121(代)
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