第 48 回 CDM 理事会報告 - CDM/JI羅針盤

第 48 回 CDM 理事会報告
地球環境ユニット
地球温暖化政策グループ研究員
浅田芳弘
第 48 回 CDM 理事会が、2009 年 7 月 14 日~17 日にグレナダ・セントジョーンズで開
かれた。理事 7 名、理事代理 8 名が出席した。
主な合意事項は次のとおり。
・
Ernst & Young Associes (France)の認定。
・
Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organisation、Korean Foundation
For Quality の認定スコープ拡大。
・
AM0082、AM0083、AMS­III AE の承認。
・
「運営機関向け CDM 認定基準」
、
「CDM 理事会による運営機関認定の手続き」の改訂。
・
「プラント負荷率の報告および検証に関するガイドライン」
、
「埋立地ガスからのメタン
漏出の定期測定計算に関するガイドライン」、
「登録要請時のコンプリートネスチェック
に関するガイダンス」
、
「CDM 事前検討の立証・評価に関するガイドライン」、「登録済
み PDD 記載事項の変更承認の告知および要請に関する手続き」、「登録済み PDD 記
載事項と異なるタイプの変更の評価に関するガイドライン」、「発行要請時のコンプリ
ートネスチェックに関するガイドライン」の承認。
1.運営機関の認定
(個別ケース)
・ 認定 1 件:
Ernst & Young Associes (France):スコープ 14(新規植林・再植林)の有効化審査・
検証
・ 認定スコープの拡大 2 件:
Deloitte Tohmatsu Evaluation and Certification Organisation:スコープ 1 の検証
Korean Foundation For Quality:スコープ 13 の検証
・ JQA と ICONTEC のパフォーマンス評価について、成功裏に終了したと認定パネルよ
り報告。
・ SGS United Kingdom Limited へのスポットチェックが決定。
(一般ガイダンス)
・ 改訂版「運営機関向け CDM 認定基準」が採択された。CDM 理事会は認定パネルと事
務局に対して、改訂版を直ちに発効するよう要請した。
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・ 改訂版「CDM 理事会による運営機関認定の手続き」が採択された。CDM 理事会は認
定パネルと事務局に対して、改訂版を直ちに発効するよう要請した。
・ VVM の更新・向上のために作成された作業計画が提示され、CDM 理事会は留意した。
提示された作業計画には VVM の更新・向上に向けた詳細なステップが示されていたが、
それらステップの期限についても作業計画に盛り込むよう、CDM 理事会は事務局に要
請した。また CDM 理事会は事務局に対して、定期的に行われる包括的な更新・改訂の
間にも軽微な懸念事項がある際は、更新頻度を高めることについても検討するよう要請
した。
・ 第 43 回認定パネルは 2009 年 8 月 17 日~19 日に開催予定である。
2.方法論
(1)方法論
(個別ケース)
・ 新規承認 2 件:
AM0082「Use of charcoal from planted renewable biomass in the iron ore reduction
process through the establishment of a new iron ore reduction system」スコープ 9(金
属製造)
AM0083「曝気処理による埋立地ガス排出の回避」スコープ 13(廃棄物処理)
・ 不承認 4 件:NM0267、NM0297、NM0309、NM0311
(承認方法論の改定)
・ 改正承認 5 件:AM0031、AM0034、AM0036、AM0061、ACM0006
・ 改正不承認 7 件:AM_REV_0088 、
AM_REV_0110、AM_REV_0146、
AM_REV_0150、
AM_REV_0151、AM_REV_0152、AM_REV_0153
(一般ガイダンス)
・ 「プラント負荷率の報告および検証に関するガイドライン」の承認が決定され、EB は
事務局に対して VVM の将来的な改定に考慮するよう要請した。
・ 「発熱もしくは発電システムにおけるベースライン効率決定のツール」がパブリックコ
メントの結果を考慮したうえで承認された。
・ 「ベースラインシナリオ特定および追加性立証に関する統合化ツール」の改正案に
ついて、方法論パネルへの差し戻しが決定された。
・ 「埋立地ガスからのメタン漏出の定期測定計算に関するガイドライン」が承認された。
・ 第 40 回方法論パネルは 9 月 14 日~18 日に開催予定である。
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(2)小規模 CDM プロジェクトに関する事項
(個別ケース)
・ 承認 1 件:
AMS­III AE「新築住居における省エネおよび再生可能エネルギー利用」スコープ 3(エ
ネルギー需要)
(承認方法論の改定)
・ 改定承認 10 件:AMS­II.A、
AMS­II.C 、
AMS­III.A 、
AMS­III.D、
AMS­III.E、
AMS­II.F、
AMS­II.H、AMS­II.I、AMS­I.D、AMS­I.C
(一般ガイダンス)
・ 第 22 回小規模 CDM ワーキンググループは、9 月 21 日~24 日に開催予定である。
3.PoA に関する事項
・ レビュー要請となっていた PoA「CUIDEMOS Mexico(Campana De Uso Intelegente
De Energia Mexico)­ Smart Use of Energy Mexico」(2535)について、CDM 理事会は
修正条件付き登録とした。
4.CDM プロジェクトの登録および CER の発行に関する事項
・ 2009 年 7 月 17 日時点で 1,727 件の CDM プロジェクトが登録されており、3 億 1,308
万 8,608CER が発行されている。
(1)CDM プロジェクトの登録に関する事項
(個別ケース)
・ 検討された 55 件のレビュー要請のうち、22 件が訂正条件付きで登録され、33 件につ
いてレビューが実施されることになった。
・ レビューチームの勧告が検討された 12 件のうち、9 件が訂正条件付き登録となり、3
件が登録できないとされた。
・ 2 件レビュー
・ 修正指示が出されていた1件が登録できないとされた。
(一般ガイダンス)
・ 「レビュープロセスの意思決定基準を発展させよ」というCMP4決定の要請に伴い、登
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録・発行に関するガイドライン・手続きの更新・再構築の必要性に関する事務局からの
プレゼンが行われ、CDM理事会は留意した。CDM理事会は事務局に対して、今後のEB
での検討に向けて草案作成をさらに進めるよう要請し、特に「レビュープロセスにおけ
る意思決定に関するガイドライン」のEB49での検討に向けて草案作成を進めるよう要
請した。
・ 「登録要請時のコンプリートネスチェックに関するガイダンス」が承認された。
・ 「CDM 事前検討の立証・評価に関するガイドライン」およびフォーム「F­CDM­Prior
consideration」が承認された。
(2)CER の発行に関する事項
(個別ケース)
・ レビュー要請が検討された 7 件の発行要請のうち、4 件の発行要請について訂正条件付
き発行となり、3 件の発行要請についてレビューが実施されることになった。
・
レビューチームの勧告が検討された 10 件の発行要請のうち、9 件の発行要請について
訂正条件付きで CER が発行されることになり、1 件の発行要請について承認できないと
された。
(一般ガイダンス)
・ 「登録済みPDDに記されたプロジェクトからの変更承認の告知および要請に関する手
続き」および「登録済みPDD記載事項と異なるタイプの変更の評価に関するガイドライ
ン」が採択された。これら手続き・ガイドラインは2009年10月1日より有効となる。
・ 「較正頻度要求の遵守評価に関するガイドライン」について、CDM理事会は事務局に
対して、EB49での検討に向けて草案を修正するよう要請した。
・ 「発行要請時のコンプリートネスチェックに関するガイドライン」が承認された。本ガ
イドラインは2009年9月1日時点で提出された発行要請から適用される。
・ 事務局が呈示した、現状の「CDM理事会に対する逸脱要請手続き」および「モニタリ
ング計画の改正手続き」に関する評価に、CDM理事会は留意した。CDM理事会は事務
局に対して、これら手続きの改訂案を今後のEBでの検討に向けて準備するよう要請し
た。
・ 「N2O測定に自動モニタリングシステム(AMS)を使用しているプロジェクトは、適
用方法論で規定されているEN14181に従わなければならない」というEB47報告書パラ
グラフ100の記述に関連して、CDM理事会はさらに「もしISO14956で指定された手段・
方法を証明する文書が提出されれば、AMSのQAL1適合テストはどの機関が行ったもの
でもよい」とすることを明確化した。
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5.その他の事項
・ CMP4決定文2のパラグラフ53および54(プロジェクトの地域配分に関する問題)に従
い、CDM理事会はDNAから寄せられたコメントを検討すると共に、CMPの要求に対処
するための最初の議論を行った。CDM理事会は理事会メンバーに対して、9月1日まで
にこの問題に対するインプットを事務局へ提出するよう要請した。インプットに基づい
て事務局がCMP勧告文案を作成し、EB50で検討する予定である。
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<参考>
表:第 48 回 CDM 理事会参加メンバー
地域区分
理事
アフリカ アジア 東欧 ラテンアメリカ・
カリブ諸国 西欧その他 島嶼国
非附属書Ⅰ国 附属書Ⅰ国
理事代理
Mr. Kamel Djemouai Mr. Samuel Adejuwon アルジェリア ナイジェリア
Mr. Shafqat Kakakhel Mr. Rajesh Kumar Sethi パキスタン インド
Mr. victor Nicolae Ms. Danijela Bozanic モルドバ セルビア
Mr. Hugh Sealy Mr. José D. G. Miguez バルバドス ブラジル
Mr. Martin Hession Mr. Thomas Bernheim イギリス 欧州共同体
○Mr. Clifford Mahlung Mr. Noah Idechong ジャマイカ サモア
Mr. Philip M. Gwage Mr. Xuedu Lu ウガンダ 中国 Mr. Paulo Manso Mr. Hussein Badarin コスタリカ ヨルダン
●Mr. Lex de Jonge Mr. Pedro Martins Barata オランダ ポルトガル Mr. Peer Stiansen Mr. Akihiro Kuroki ノルウェー 日本(黒木昭弘氏)
注:
・ ●議長、○副議長。1年ごとに、附属書Ⅰ国・非附属書Ⅰ国からの理事が交替で務める。
・ 網掛けのメンバーは今次会合は欠席。
・ 任期は、改選の翌年の最初の CDM 理事会まで。理事は連続最大 2 期まで、理事代理は任期の制限は
ない。
・ 理事メンバーは国連定義の 5 地域から 5 名、附属書Ⅰ国から 2 名、非附属書Ⅰ国から 2 名、島嶼国か
ら 1 名の代表として就任。
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