研修会報告 NEW!! - 光翔会 広島県立保健福祉短期大学/大学 ・ 県立

第 11 回
光翔会研修会
【開催日時】平成 24 年 10 月 20 日(土)
【開催場所】県立広島大学三原キャンパス 2313 教室
【テーマ】
「症例検討会」
【講師】江川 晃平 先生(岩国市医療センター医師会病院/県大 3 期)
佐々木 優 先生(広島市総合リハビリテーションセンター/福祉大 3 期)
【コメンテーター】沖田 一彦 先生(県立広島大学保健福祉学部理学療法学科)
【内容】
1.江川 晃平 先生(岩国市医療センター医師会病院/県大 3 期)
➢ 病床数:201 床(回復期病棟 50 床)
急性期
回復期
外来
訪問
療育
➢ 施設基準
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
・運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
➢ リハビリテーション部門構成
PT:26 名(急性期 8 名
回復期 14 名 訪問 4 名)
OT:18 名
ST:5 名
症例
『重症片麻痺症例の歩行獲得に関する考察 ~機能解剖的視点から~』
≪介入初期の評価≫
BRS:左上下肢Ⅱ、SIAS:下肢 motor Hip 0, Knee 0, Foot 0
感覚障害・高次脳機能障害(-)
歩行能力:平行棒内介助歩行、3 動作揃い型(タマラック AFO 着用)
膝折れ・Buckling knee pattern(+)
≪経過≫
2 週間 knee brace 着用し簡易 KAFO で平行棒内介助歩行
2 週後 knee brace を外し T-cane での介助歩行
3 週後 T-cane 自己制御での歩行
4 週後 痙性亢進により左下肢の引っかかりが出現 ⇒ 分廻し歩行の適応
≪退院時の評価≫
BRS:左上下肢Ⅲ、SIAS:下肢 motor Hip 1, Knee 0, Foot 0
歩行能力:T-cane 歩行屋内外自立、2 動作前型(タマラック AFO 着用)
≪考察≫
・積極的に抗重力位をとらせたことにより内側運動制御系賦活 ⇒ 下肢の支持性確保
・歩行は脳幹以下の神経ネットワークで自動的に制御(CPG) ⇒ 機能的な改善が少な
いにも関わらず歩行能力向上
・反復練習を行うことにより内部モデルの修正 ⇒
分廻し歩行の適応
『質疑応答』
Q:CPG の賦活を狙うにあたって(介助歩行練習の際に)注意したことは?
A:麻痺側股関節伸展をしっかり出す(非麻痺側の step を大きく出す)
。
平行棒から出ても介助下で歩行リズム・スピードを作り、徐々に介助を減らし自己制
御の割合を増やしていく。
Q:運動麻痺と高次脳機能障害が回復期における歩行獲得の阻害因子になっている印象があ
るが、どう考えるか?
A:当院の考え方では情動面の問題が1番の阻害因子。随意性の低下のみで歩行を諦めるこ
とはない。
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2.佐々木 優 先生(広島市総合リハビリテーションセンター/福祉大 3 期)
➢ 病床数:100 床
➢ 施設基準
・脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)
・運動器リハビリテーション料(Ⅰ)
➢ リハビリテーション部門構成
PT:28 名
OT:20 名
ST:10 名
症例
『理学療法士の展望』
≪増える理学療法士≫
現在約 10 万人、年 1 万人ずつ増える ⇒ 20 年後には 30 万人?
需要はあるのか?すでに飽和状態?
≪増える苦情≫
患者の苦情が増えている
患者が持つ情報ツールが多様化し、患者の知識も増えている
⇒ 患者がセラピストを選ぶ時代も?
≪定年延長と理学療法士≫
定年延長、PT 増える ⇒ 新卒に入る隙間はあるのか?
20 年後は 50・60 代 PT も増える ⇒ 管理職になれなかったら年齢に関わらず実働部隊?
PT が飽和状態になると、需要はコストパフォーマンスの良い若手 PT へ
⇒ ベテラン PT のリストラ?
【全体ディスカッション】
Q:介入方針は病院で統一されているのか、それともセラピスト個人に任されているのか?
A:担当者で話をし方向性を決めていく。しかしマニュアル的なものはなくセラピストに
よる差を埋めるために検討している段階。
A:早期離床という考え方はあるが、病院のスタンスと言うよりは個人の考え方。新人は
先輩に教示をもらうなどしているため自然と考えは近くなるが病院で統一している
わけではない。
A:個人に任されている。主治医や他職種との病棟会議で方向性を決めていく。
A:リハ科全体で早期に立位・歩行をとらせるという共通認識がある。細かな決定を求め
られる際は上司に相談する。
Q:在宅のことを考えて何か行っていることはあるか?(在宅のセラピストとの連携は?)
A:在宅のセラピストへの情報提供・介助指導などを行っているが、実際はそこまで深く
考えられていない。
A:家の環境を見て、ケアマネージャとの話し合い・退院前カンファなどを行うが、主に
身体機能面の話で生活面(どのように生活するか)の話はあまり出来ていない。
A:サマリーは書くが、維持期に向けての連携は皆無。
A:家屋調査ほぼ全例。必要に応じてケアマネージャ同席・改修提案・介助指導・訪問セ
ラピストへの情報提供を行う。