Agilent 355 化学発光硫黄検出器による グレープフルーツジュース中の

Agilent 355 化学発光硫黄検出器による
グレープフルーツジュース中の
硫黄化合物の分析
技術概要
緒言
素の影響を受けます。柑橘類の加工業者はこれらの要素
の一部を制御することは可能ですが、それはすべてでは
ありません。ジュース加工業者は、これらに対処し、高
品質で一貫した柑橘製品を製造する必要があります。
食品、香料、飲料業界では、硫黄化合物の微量分析は極
めて重要です。硫黄化合物、特に揮発性の物質は、異臭
や臭気と関係があり、プラスとマイナスの両面で風味や
現場の研究では、規制のある加工パラメータとの関連性
香りに影響を及ぼします。柑橘類業界で硫黄化合物の測
をよく把握する必要があります。硫黄化合物の濃度は
定や分種化に関心が高まりつつあります。本資料では、
ppb のレベルで重要であり、また、何百もの他の化合物
Agilent 355 化学発光硫黄検出器 (Agilent 355 SCD) を
から干渉を受ける可能性があるため、分析作業は複雑で
用いた、グレープフルーツジュース中の硫黄化合物の分
す。低濃度でも製品品質に影響を及ぼし、サンプルマト
析について説明します。
リクスが複雑なため、柑橘製品中の硫黄化合物分析には、
硫黄含有化合物は、多くの食品や飲料の風味や香りの主 高感度で選択性の高い分析メソッドが必要です。SCD は
要物質です。硫黄化合物の種類や濃度に応じて、プラス
とマイナス両方の影響を示す可能性があることが分かっ
てきました。これは柑橘ジュース、特に多数の硫黄化合
物を含むグレープフルーツジュースにも当てはまります。
実際にメルカプトピナンなどの硫黄化合物は、低濃度で
もグレープフルーツの特徴的な香りに関与します。高濃
度になると、これらの化合物は不快な硫黄の臭気を発し
ます。
柑橘ジュース中の硫黄化合物の濃度は、果物の品種、成
熟度、生育条件、加工や保存の際の取り扱いといった要
非常に高い感度と選択性を示し、この分析目的に合致し
た検出器です。
以下のデータは、フロリダ大学柑橘類研究教育センター
の Russel Rouseff 教授のご厚意で提供いただきました。
柑橘ジュース中の硫黄化合物の分析方法が説明されてい
ます。さまざまな時期に採取したグレープフルーツ
ジュース中の硫黄化合物を比較した結果を示します。こ
の情報は、加工方法を検討するために有用です。
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酢酸エチルで抽出する前に、内部標準として s-メチルチ
オブタノエートをジュースサンプルに追加します。抽出
物は、SCD を用いたガスクロマトグラフで分析しました。
ジュースサンプル中の硫黄化合物濃度を定量するために、
SCD の等モルレスポンス、高い抽出効率、内部標準の既
知濃度を用いました。既知硫黄化合物の外部標準は同定
のために使用され、質量分析と連結されることもありま
す。SCD 検出器の抽出、注入、再現性の全般的な精度は
優れています。
図 1 では、さまざまな完熟度のグレープフルーツジュー
スの硫黄濃度の差を説明していますが、3 つとも合法的
に成熟させた果物からの物です。
SCD
SCDレスポンス
response
シーズン初期
Early season
シーズン中期
Mid season
シーズン後期
Late season
0
図 1.
時間
(分)
Time (min)
56
季節の異なる熟成果からのグレープフルーツ
ジュースの硫黄クロマトグラム
詳細情報
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June 14, 2007
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