2011年4月 経済・市場見通し 主要なポイント トルコ経済の魅力 – 成長力:2000~01年の危機後に高成長、リーマン・ショックからも急回復 – 人口動態:若年層が多く、今後は人口ボーナスの時期を迎える – 好立地:EU加盟交渉で直接投資が急増、中東・旧ソ連・アフリカにも輸出が拡大 双子の赤字と高インフレの問題は? – エネルギー/機械輸入を主因に経常赤字は再拡大、産業基盤の強化が必要 – 財政赤字を対外借入でファイナンスする構造は不変、徴税率の改善が不可欠 – インフレは抑制されており、以前のような高インフレに戻る可能性は低い 今後の市場見通し – 利下げは終了。当社は9月に中銀が利上げを開始すると予想 – 経常赤字拡大で投資適格への格上げは来年以降か – トルコ・リラ相場は外国からの資金流入で長期的には緩やかな上昇を見込む 2 トルコの実質GDP成長率の推移 2010年は+8.9%と2009年大幅な落ち込みから急回復 2011年は+4.2%と巡航速度へ減速も長期平均(+4.0%)を上回る見込み トルコの実質GDP成長率(前年比%) (前年比%) 12 2010年 +8.9% 10 8 6 4 2 0 -2 88-89年 インフレで失速 -4 91年 湾岸戦争 83年~ オザル政権の改革 -6 -8 80 85 90 94年格下げで 市場混乱 95 出所: IMF、バークレイズ・キャピタル (注:2011年はバークレイズ・キャピタル予測) 3 99年 地震 00-01年 金融危機 00 08年 リーマン・ ショック 05 10 19 80 19 81 19 82 19 83 19 84 19 85 19 86 19 87 19 88 19 89 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 急回復したトルコ経済 トルコ経済は主要な高金利国の中でも回復が最も顕著だった 主要国GDP推移 オーストラリア 単位%:前年比 12% 10% 8% 6% 4% 2% 0% -2% -4% -6% -8% ブラジル 日本 出所:IMF 4 南アフリカ トルコ トルコのインフレ率は低下傾向 トルコでは1990年代まで高インフレが続いていたが、足元では鎮静化 商品価格上昇、リラ安の影響でインフレ率は今後上昇も以前のような高インフ レに戻る可能性は低い トルコのCPI 推移 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 出所:トルコ統計局 5 2009年 2010年 2011年 魅力的な人口動態 生産年齢人口/従属人口比率が2倍を超えた時に経済発展が加速する傾向がある 高金利国の中ではトルコは人口動態が特に魅力的 各国の生産年齢人口/従属人口比率 2.6 (倍) 2.4 人口ボーナス 2.2 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 日本 トルコ ブラジル 南ア オーストラリア 0.8 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010 2020 2030 2040 2050 注:「人口ボーナス」とは、生産年齢人口(15~64歳)/従属人口(それ以外)が2倍を超えると経済発展が加速することを指す。 出所: 国連 6 EU加盟交渉を契機に欧州からの直接投資が急増 トルコへの直接投資はEU加盟交渉開始後に急増 2005年以降の対内直接投資のうちEUからが73%を占める トルコへの直接投資 25 2005~09年の対内直接投資の内訳 その他 8% ( 10億ドル) 中東 10% 20 05/ 10 EU加盟 15 交渉開始 10 米国 9% 5 0 93-02 03 04 05 06 07 08 09 EU 73% 10 平均 出所:トルコ中銀 7 依然として難航するEU加盟交渉 トルコは1987年にEU正式加盟を申請したが、加盟交渉に進展はみられない 英国、スペイン、北欧、ギリシャはトルコ加盟を支持、独・仏・蘭が反対 トルコのEU加盟への反対理由 トルコ政府の人権保護の遅れ トルコ系移民の流入への恐れ トルコの人口の多さ 「オスマン・トルコの脅威」の記憶 欧州に属するのはトルコの領土の5% トルコ国民の99%はイスラム教徒 トルコのEU加盟への賛成理由 出所: Wikipedia 8 経済的なつながりの深さ 西洋とイスラムの共存共栄 欧州へのエネルギー輸送ルート トルコの政策金利の見通し 2010年5月に中銀は政策金利を翌日物借入金利から1週間物レポ金利に変更 12月の会合で50bpの利下げを実施するとともに準備率を引き上げ→ 金利差拡大に伴う海外からの投機的資金流入への対策 翌日物借入金利 20 1週間物レポ金利 (%) 8.0 08/ 11 16.75% バイクレイズ・キャピタル予想 当社予想 (%) 7.5 7.0 15 6.5 6.0 10 6.50% 5.5 5.75% 5 08/ 1 10/ 12 6.50% 08/ 7 09/ 1 09/ 7 10/ 1 10/ 7 5.0 10/ 4 11/ 1 出所:ブルームバーグ、バークレイズ・キャピタル 9 10/ 7 10/ 10 11/ 1 6.25% 11/ 1 11/ 4 11/ 7 トルコ・リラの見通し 当社は今後1年のトルコ・リラ相場が1ドル=1.5~1.7リラのレンジと予想 対円では1リラ=60円がターゲット USD/TRY TRY/JPY 100 1.1 リラ高 リラ高 1.2 90 1.3 80 1.4 70 1.5 60 1.6 1.7 50 1.8 40 06 07 08 09 10 11 12 06 出所:ブルームバーグ、バークレイズ・キャピタル 10 07 08 09 10 11 12 トルコの格付けはあと2ノッチで投資適格 ムーディーズは2010年1月、S&Pは2月にトルコの格付けを引き上げ 対外収支悪化見通しで投資適格への格上げは来年にずれこみか? トルコの外貨建て債務格付け 出所: Moody’s、S&P 11 ご留意事項 本書は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、記載内容に関する確実性あるい は完全性を弊社が保証するものではありません。 本書は情報提供のみを目的としており、本書に記載された証券又は商品及び他のいかなる証券 又は商品においても、その売却申込み又は購入申込みを勧誘するものではありません。 証券又は商品のご購入にあたっては、弊社まで目論見書をご請求いただき、また、契約締結前 交付書面等をお読みいただき、内容をご確認の上、ご自身で投資判断をお願いいたします。 本書の情報は作成日時点のものであり、述べられた見解は予告なしに変更されることもあります。 外貨建て資産に投資する証券又は商品の場合、為替変動によって投資元本を割り込むことがあ ります。 エイチ・エス証券株式会社 / 金融商品取引業者、関東財務局長(金商)第35号 加入協会 / 日本証券業協会 / (社)金融先物取引業協会 12
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