化学発光法による活性酸素

歯科材料・器械VoL26No.2
13!
P−29
化学発光法による活性酸素(スーパーオキシドアニオ
ンラジカル)の測定に関する研究
O平 雅之、荒木吉馬
岩医大・歯・理工
用いた。多形核白血球として8週齢雄性C3H/HeNマウ
スの腹腔にチオグリコレート溶液を注射し、12時間後、
月翻空中に滲出した細胞を用いた。マウス多形核白血球
も培養には10%牛胎児血清配合RPMIl640培地を用いた。
フォルボールエステル誘導剤として200nMのPhorbol
12−myristate13−acetate(P甑)(只1585−10MG、Sigma
Studies on active oxygen (super−oxide anlon
radica!)bycねemicaHuminescence.
社)を用いた。この試薬は活性酸素の産生を促進し、
さらに単球のマクロファージヘの分化を誘導する。
[結果及び考察]
活性酸素は加齢や発癌に関係するため医学分野で多
くの研究が行われている。活性酸素は歯科生体材料に
起因する炎症反応にも深く関係しているが、関連研究
(1)キサンチンオキシダーゼーヒポキサンチン系では
活性酸素の産生が著しく早く、測定を混和後10秒間で
終了する必要が認められた。活性酸素は発生後、極め
て短時問で消失したためと考えられる。上述の配合比
で活性酸素除去酵素(SOD)を添加すると、化学発光強
度は10%にまで低下した。生体内でも酵素反応により
活性酸素の分解が可能であることが示唆された。
が極めて少ない。本研究では、(1)活性酸素(スーパー
(2)図21こ、P酸A(一)THP∼1細月包とPMA(+)THP−1細月包
M. TAIRA, Y ARAK工
工wate Med. Univ.
[緒言]
オキシドアニオン:0のに特異的に反応する発光試薬
を用いてキサンチンオキシダーゼーヒポキサンチン系
で発生した活性酸素量を化学発光法により測定し、併
せて、(2)生体防御で重要な役割を担う単球細胞と多形
核白血球(主として好中球)にフォルボールエステル
[材料および方法]
(1)活性酸素(02)の測定にはチューブタイプの化
学発光測定装置(ルミネッセンサーPSN、アトー社)(図
(各1m1培地中に5xlO6個)を37℃に保温したL5m!
エッペンチューブ中で培養した際の活注酸素産生によ
る化学発光強度を経時的に示した。1測定(60秒)ご
とに5万個(培地10鮭1)のTHP−1細胞を使用した。
フォルボールエステル(P融)誘導の有無にかかわらず
THP織細胞の活性酸素の産生量は40分程度でピークを
示すことが判明した。P融誘導は有意に丁鯉一1細胞の
活性酸素産生量を増加させることが確認された。
51臼4
由
1)と専用の発光試薬(MPEC、アトー社)を用いた。
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図1化学発光測定装置
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図2 THH細胞からの活性酸素の産生
チューブには疎水性ポリソーブタイプ(イムノチュー
ブ475477、酬C社)を用いた。300蝉のMPEC試薬を
10μ1、キサンチンオキシダーゼ0.1U(100μg/m!)
を60μ!、O.72灘ハイポキサンチン溶液を50μ1、そ
して凹2PO4Bufferを180μ1混和し、生成した活性酸
素と発光試薬との反応による化学発光強度を測定した。
計測時間を10秒から60秒まで変化させて活性酸素の
発生のタイムコースに検討を加えた。別に、0.l U(100
μg/m1)の活陸酸素除去酵素(SOD)を10件1添加し、
紐12PO4Bufferを170トし1に減らして化学発光強度を測
定した。
(2)単球細胞には10%牛胎児血清配合RPMI1640培地
で培養したヒト単球様細胞丁}P−1(理研細胞銀行)を
マウス多形核白血球の活性酸素産生量は単球細胞の
10∼20倍以上であるこ.とが確認された。好中球が殺菌
のため細胞膜にあるN佃PHオキシダーゼによって多量
の活性酸素の産生を行うのに対して、単球は細胞内食
食活動で少量の活性酸素を産生するためと考えられた。
(3)その他:ZymosanA(Sigma社)をマウスの血清
と反応させてオプソニン化ザイモザンを調製し、マウ
ス多形核白血球に作用させたが、活性酸素の産生量に
顕著な増加が観察されなかった。今後、タイムコース
等の測定条件に検討を加える必要があると考えられた。
(4)今後、金属イオンやモノマーが生体防御系細胞
の活陛酸素産生に及ぽす影響を検討する予定である。