岩手県林業技術センター 研究成果速報 No.302 平成26年3月10日発行 アカマツたて継ぎ材の性能評価(Ⅲ) ーねじれの軽減ー 矢高(㎜/m) 1.はじめに 「たて継ぎ」には、ねじれの軽減効果があ ることが知られている。そのため、ねじれ が大きいとされるアカマツ材をたて継ぎす ることで、品質の大幅な向上が期待できる が、ねじれの軽減程度は不明である。 今回、アカマツ板材をたて継ぎし、加工 前後のねじれを測定したので報告する。 写真 材料(上:Non-FJ材、下:FJ材) 2.実験方法 (1)供試材料 試験には、岩手県産のアカマツ乾燥板材 を用いた。寸法は4 3 ×1 0 0 ×3 0 0 0 ㎜、平 材料 均含水率は1 2 %、枚数は1 4 8 枚とした。 (2)たて継ぎ(写真) 1 4 8 枚のうち1 0 0 枚の板材を4 0 ∼6 0 cm 浮き上がり量 の長さに切断し、たて継ぎした(以下「FJ材」 ロール という)。たて継ぎの詳細は2 9 4 号参照。 図1 ねじれ測定の概要 (3)モルダー加工 上記のFJ材と、4 8 枚のたて継ぎしない材 8 (以下「N o n-FJ材」という)を断面寸法3 8 :平均値 7 ×8 9 ㎜にモルダー加工した。モルダーは日 本ヴァイニッヒ(株)製U N IM A T 2 3 を用いた。 6 FJ材 Non-FJ材 (4)ねじれの測定(図1) 5 加 工 前 の 材 (4 3 ×1 0 0 ×3 0 0 0 ㎜ ) と 、 4 モルダー加工後の材のねじれを測定した。 3 材を、水平な2つのロール上に置き、3点 をロールに接した場合の1点の浮き上がり 2 量を測定した。浮き上がり量をロール間距 1 離で除し、矢高(㎜/m )を算出した。 0 3.結果 加工前 モルダー 加工前 FJ+モルダー 図2に、N o n- FJ材とFJ材における加工前 加工後 加工後 後の矢高を示す。 図2 加工前後の矢高の分布 N o n- FJ材の場合、矢高の平均値は1 .9 か ら1 .1 ㎜/m に減少し、ねじれは5 8 %まで軽 減された。このことはモルダー加工におけ 4.成果と今後の進め方 たて継ぎは、ねじれを大きく軽減させるこ る断面寸法の減少に起因するものである。 一方FJ材の場合、矢高の平均値は2 .6 から とが示され、アカマツ材の品質向上効果は高 0 .9 ㎜/m に大幅に減少し、ねじれは3 5 %ま いと推察された。 で軽減された。モルダー加工の効果を考慮 今後、県内でたて継ぎ技術が普及すること すると、たて継ぎにより、ねじれは6 0 %軽 を期待する。 減されたと推察された。 (担当者 研究部 主任専門研究員 大橋一雄) 〒028-3623 岩手県紫波郡矢巾町大字煙山第3地割560番地11 連絡先 岩手県林業技術センター ホームページアドレス:http://www.pref.iwate.jp/ ~ hp1017/ TEL FAX 019-697-1536 019-697-1410
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