広視野レーザ顕微鏡による 高速円筒全面観察と形状測定 新潟大学 工学部 機械システム工学科 教授 新田 勇 1 研究背景 熱膨張係数の異なる2つの部材の高精度な締り ばめを可能にする,新しい機械要素シュリンクフィッ タを開発した.シュリンクフィッタ技術は,レーザ走 査用レンズであるf qレンズを組立てに利用すると, 性能を発揮する.その技術を利用して,視野が広 いレーザ顕微鏡を開発してきた. 鏡筒 シュリンクフィッタ レンズ シュリンクフィッタにより 複数枚のレンズの光軸 中心が温度変化によら ず常に一致する 2 広視野レーザ顕微鏡とは? 分解能 1m 1mm 広い領域を一度に観察したい 光学顕微鏡 投影機実体顕微鏡 広視野レーザ顕微鏡 SEM 1μm レーザ顕微鏡 1nm 電子顕微鏡 10μm 1mm 視野幅:10 mm 20,000 ×16,000 =320 Mピクセル 1m 観察視野 3 広視野レーザ顕微鏡での観察例 一度に10mm幅の範囲を高精度測定することが可能 で測定することにすると が必要 4 広視野レーザ顕微鏡の観察 10mm幅にわたるアルミナセラミックスの観察例 1mm 50μm 5 広視野レーザ顕微鏡の観察 500円硬貨のマイクロ文字 広視野なので見つけやすい 50μm 広い領域の中から欠陥を検出することに向いている 6 新技術の基となる研究成果・技術 各種機械要素の円筒鏡面の測定 エンドミル 無給油ブシュ ニードルバルブ 円筒ころ軸受(転送面) 7 新技術の基となる研究成果・技術 4枚刃エンドミルの観察結果 大きな凹凸でも観察可能 0° ① ② 180° ③ ④ 5mm 360° テレセントリックなレーザ光のため展開図の画像に歪みがない 8 新技術の基となる研究成果・技術 4枚刃エンドミルの観察結果拡大図 刃先の摩耗 500μm 9 新技術の基となる研究成果・技術 各種機械要素の円筒鏡面の測定 摩耗 エンドミル 無給油ブシュ ニードルバルブ 円筒ころ軸受(転送面) 10 新技術の基となる研究成果・技術 • 円筒ころ軸受転送面 内輪転送面 摩耗 刃先の摩耗 円筒ころ軸受 外輪転送面 11 新技術の基となる研究成果・技術 広視野レーザ顕微鏡による平面観察 レーザ干渉技術をプラスすることで深さ方向の測定精度が向上する 参照板無 参照板有 鏡面以外でも干渉画像を 取得することが可能であり, 表面画像と干渉画像を同 時取得することができる. 12 新技術の基となる研究成果・技術 アクリル? 矢印部裏面 矢印部表面近傍 流入部裏面 流入部表面近傍 透明体の傷の検査や,射出成型時の材料の流動? 13 新技術の内容紹介について 本手法は、シュリンクフィッタ技術によ る広視野レーザ顕微鏡により,円筒 表面を高速に観察する技術である. ①他の方法に比べてコントラストの 高いデジタル画像を取得することが 可能 ②円筒形状の表面全体の微細なキ ズ等を短時間で計測可能 ③画像歪みのない円筒面の平面展 開図の作成が可能 ④レーザ干渉により高精度な形状測 定が可能 14 従来技術とその問題点 円筒面を観察する方法として,既に実用化されて いるものには,ラインセンサーによる方法等がある が, ラインセンサの他に照明装置が必要, 一度に全範囲を照明するために コントラストが低下せざるを得ない, レーザ干渉が利用できないので 高精度な高さデータが計測できない 等の改良すべき問題がある. 15 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の観察方法では難しかった,エンドミ ルのように凹凸が大きな円筒面であっても短 時間で画像取得が可能である. • 円筒表面のデジタル画像を歪みのない展 開図に変換できるので,円筒面上の寸法 計測が高精度に行える. • 円筒面全体の表面画像とレーザ干渉画像を 同時に取得することで,高精度な非接触形状 計測が実現できる. 16 想定される用途 • 本技術の特徴を活かすためには,転がり軸受 やスピンドルのような高精度円筒形状部品の 形状や傷の検査などに適用することで検査効 率のメリットが大きいと考えられる. • 上記以外に,シリンドリカルレンズなど通常の 方法では難しい透明体の形状測定などに効 果が大きいことも期待される. • また,達成された円筒面レーザ干渉技術に着 目すると,高精度円筒形状金型の微細形状 の検査などの分野や用途に展開することも可 能と思われる. 17 想定される業界 • 利用者・対象 ベアリングや加工工具, 高精度金型および, レンズ製造メーカーの加工工場 ロール・ツー・ロール生産方式の研究所等 18 実用化に向けた課題 • 現在,円筒面観察について,基本的な観察が 可能なところまで開発済み。しかし,観察スピー ドについては,適用先の要望に応じて改良する 必要がある. • 今後,レーザ干渉画像から取得する高さデータ の精度改善を行い,高精度ロール形状測定に 適用していく場合の条件設定を行っていく. • 実用化に向けて,高さデータの精度を可能な限 り向上できるよう技術を付加する必要がある。 19 企業への期待 • 広い円筒面を高精度に測定しなければならな いという課題を抱えている企業(ベアリング メーカー,工具メーカー,金型製造メーカー,レ ンズ製造メーカー),ロール・ツー・ロール製造 分野への展開を考えている企業には,本技術 の導入が有効と思われる. • 本技術は,新しい計測方法なので,上記想定 以外の使い方を教えて頂ければありがたい. 20 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 :円筒面の形状計測方法 出願番号 :特願2010-090007 出願人 :新潟大学 発明者 :新田 勇 21 産学連携の経歴 • • • • 2001年2003年-2005年 2006年-2007年 2006年- 大学発ベンチャー㈱オプセル設立 JST都市エリア産学連携促進事業 JST顕在化ステージ事業に採択 5社と共同研究実施 (これ以前も共同研究多数実施) 22 お問い合わせ先 新潟大学 地域共同研究センター 産学官連携コーディネーター 長濱,後藤,定塚 TEL 025-262 - 7554 FAX 025-262 - 7550 e-mail kenkyu@ccr.niigata-u.ac.jp 23
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