当日配布資料(802KB)

ピエゾフィルムを応用した簡便な
嚥下機能評価訓練装置
新潟大学大学院 医歯学総合研究科
包括歯科補綴分野
助教 櫻井直樹
新潟大学大学院 医歯学総合研究科
包括歯科補綴分野
教授 野村修一
新潟市 ハート歯科クリニック
院長 豊里 晃
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発表当日には、配付資料に載せていない未公開データ有
嚥下障害について
食物を体内に取り入れるために働く機能を摂食・
嚥下機能という。そして,その機能に障害をきたし
た状態を摂食・機能障害という。脳卒中の患者様
に嚥下障害が多くみられる。また,その患者様の
日常生活でも食事の自立度は高いと考えられてお
り,言い換えると最後まで残る能力ともいえる。
しかし,誤嚥による誤嚥性肺炎の危険性も指摘さ
れており,嚥下障害診断・嚥下リハビリテーション
の重要性が報告されている1)。
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嚥下障害検査・診断について1
Ⅰ.各種のスクリーニング検査2)
1.反復唾液嚥下テスト(RSST)
2.改訂水飲みテスト(MWST)
3.フードテスト(FT)
4.咳テスト
5.嚥下前後レントゲン撮影(SwXP)
Ⅱ.機器を使用した検査法(従来からの方法)
Ⅲ.新しい機器を使用した検査法
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嚥下障害検査・診断について2
Ⅰ.各種のスクリーニング検査
Ⅱ.機器を使用した検査法(従来からの方法)
1.嚥下造影検査(VF):gold standard
2.嚥下内視鏡検査(VE)
3.超音波エコー検査(US)
4.頸部聴診法(CA)
5.筋電図検査(EMG)
Ⅲ.新しい機器を使用した検査法
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嚥下障害検査・診断について3
Ⅰ.各種のスクリーニング検査
Ⅱ.機器を使用した検査法(従来からの方法)
Ⅲ.新しい機器を使用した検査法
1.小型風船による舌圧測定
2.舌圧センサーシートによる舌圧測定
3.本研究によるピエゾフィルムによる嚥下機能
検査
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従来技術とその問題点 1
嚥下造影(Videofluorography:VF)
嚥下機能を評価するものとして,現在最も信頼がおける
検査とされている。
単に構造の異常や動きの異常を見る
だけでなく,嚥下造影と模擬食品を用
いて実際の摂食場面をシュミレーション
して検査をする。
しかし,放射線被曝と造影剤の誤嚥
の危険がある。また,装置自体が高価
である欠点がある。
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従来技術とその問題点2
①小型風船による舌圧測定装置3)
②舌圧センサーシート
による舌圧測定4)
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従来技術とその問題点3
既に実用化されている簡易型嚥下機能検査装
置として
①小型風船による舌圧測定方式
②舌圧センサーシートによる舌圧測定方式
があるが,いずれも口腔内に消耗品を挿入する
必要があり,口腔期の舌の状態の評価が中心で
咽頭嚥下時の評価は難しく,広く利用されるまで
には至っていない。口腔内に挿入するので消耗
品も必要になる。
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手指用脈派測定器を用いた嚥下測定方法(我々の先行研究)
我々は,非侵襲的にかつ簡便に嚥下機能を評価する方法として,Piezoelectric Pulse
Transeducer(以下PPT)を頸部に貼付して同部の動きを電気信号として出力し,咽
頭期の嚥下運動を解析する方法を考案した.PPTから出力された電圧とVF画像とを
同時比較して,PPTの嚥下機能評価についてその有用性を報告してきた5) 。
Power Lab
システム
筋電図
PPT
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食塊移動と喉頭運動・筋電図(我々の先行研究)
実験:PPT,頤舌筋の表面筋電図,VFによる咽頭運動を同時に記録した。
結果:PPT波形により舌根部から喉頭蓋谷を通って食道へと通過する食塊が検出可能
であることが示された。
VF
PPTセンサー波形
頤舌筋の筋電図
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喉頭運動の電気信号(我々の先行研究)
本開発研究では,PPTのセンサー部分と同様のものがフィルム状になったピエゾフィ
ルムを使用した.ピエゾフィルムとは柔軟性のある圧電素子の一種である。嚥下時に
PPTとピエゾフィルムは近似した電圧波形が記録できることを報告した5)。 これらの
基礎研究を踏まえて,小型で持ち運びが可能な嚥下機能評価訓練装置を開発した。
手指用脈派
測定器
(PPT)
近似した電圧波形
ピエゾフィルム
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ピエゾフィルムを用いた嚥下機能評価訓練装置
ピエゾフィルム
1.装置について:ピエゾフィルムを用いた小型で持ち運びが可能な嚥下機能評
価訓練装置使用方法も簡単で,消耗品も不要。計測と訓練の両方に使用可能。
2.実験方法
被験者は,顎口腔機能に異常を認めず,嚥下困難感がなく,正常嚥下可能な健
康成人(男性6名,女性6名;平均年齢42.7歳)。試作機を使用して反復唾液嚥
下試験(RSST)を30秒間の行い,被験者の嚥下運動に対する自覚回数と試作機に
表示された嚥下回数の一致率を検討した。
3.実験結果
この嚥下機能評価訓練装置を用いたRSSTでの嚥下運動の検出率は97.5(%)であ
った.よって本試作機では,ピエゾフィルムの湾曲の大きさから出力される電
圧値によって,嚥下機能の評価ができる可能性が示された。
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新技術の特徴・従来技術との比較1
• 嚥下機能の観察にX線TVによる透視検査は有
用であるが、被曝や造影剤誤嚥の危険、撮影
装置が高価等の欠点がある。これに対し,個人
購入・個人利用を想定した嚥下機能評価装置と
して小型風船や圧センサーシートを用いた舌圧
測定装置や本装置が開発されているが,咽頭
期嚥下機能評価とRSSTが可能なのは本装置
のみである。
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新技術の特徴・従来技術との比較2
• 汎用のピエゾフィルムを用いて嚥下機能評価訓練装置を
開発した。嚥下機能のスクリーニング検査として多く行な
われる反復唾液嚥下テスト(RSST)を自動的に簡単に行
なえ、視覚的フィードバックも可能な小型の持ち運び可能
な装置である。
• このピエゾフィルムを用いた装置は,波形分析ではなく,
電圧値から嚥下運動を計測している。
• 嚥下機能評価訓練装置を用いたボランティア被験者の
RSSTでの嚥下運動の検出率は97.5(%)であった。確定
診断はVFが必要だが,診断補助器としては十分に機能
すると考えられる。
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新技術の特徴・従来技術との比較3
• 従来技術では、嚥下診断・訓練については,医療従事者
が視診,触診,聴診の他に特別に機器を使用して行なうこ
とが一般的である。
• 従来は医療従事者のみで嚥下診断・訓練を行なわれてい
るが,本装置では医療従事者の診断補助の他に患者自
身が視覚的フィードバックを行なうことによって,患者自身
で嚥下訓練や評価が可能になった。数字が患者自身で簡
単に見ることが可能で使用しやすい装置として開発できた。
• 本装置では,構成部品は汎用品のみで安価であり,本体
価格も安価にすることが可能で,使用時の消耗品がほと
んどない。よって購入時,使用時のコストが削減されること
が期待される。感染のおそれがないので,老健施設では
同じ装置を複数の入所者で使用できる。
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想定される用途
• 在宅高齢者における嚥下機能評価
• 軽度嚥下機能障害患者に対するリハビリテー
ション
• 嚥下機能評価に対する臨床研究
• 上記以外に,神経疾患患者治療装置に対す
る応用,医療監視機器への応用,全身的なリ
ハビリテーション機器開発への応用も期待さ
れる。
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実用化に向けた課題
• 現在、高齢者でも嚥下評価が可能であることまで
確認済み。しかし,高度の嚥下障害患者評価につ
いてはその精度が明らかになっていない。
• 今後、高度の嚥下障害患者について被験者を対
象として実験データを取得し,本装置に適用して
いく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて,体動と嚥下の電気信号の区別
ができないので,その嚥下診断の精度を100%近
くまで向上できるよう技術を確立する必要もあり。
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企業への期待
• 未解決の感度の問題はセンサーからの出力の
感度調整技術により克服できると考えている。
• 医療機器,健康機器,リハビリ機器の開発・販
売をおこなっている企業との共同開発・共同研
究を希望。本装置を商品化ができないかと考え
ています。
• また、リハビリテーション機器を開発中の企業、
リハビリテーション分野への展開を考えている
企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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参考文献
1) 植松 宏 監修:セミナー わかる!摂食・嚥下リハビリテーション1巻.医歯薬出版,
東京,p2,2007.
2) 才藤栄一,向井美惠 監修:摂食・嚥下リハビリテーション 第2版.医歯薬出版,
東京,p137,2007.
3) JMS舌圧測定器説明書.JMS社,広島, 2011.
4) 小野高裕:舌圧センサーシートの開発と応用.生産と技術,63( 1),p72-77 ,2011.
5) Toyosato A, Nomura S, Igarashi A et al. A Relation Between the
Piezoelectric Pulse Transducer Waveforms and Food Bolus Passage
during Pharyngeal Phase of Swallow. Prosthodont Res Pract 2007; 6:272275.
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本技術に関する知的財産権
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発明の名称 :嚥下機能評価訓練装置
出願番号 :特願2011-084024
出願人
:新潟大学
発明者
:櫻井直樹、野村修一
豊里 晃
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お問い合わせ先
新潟大学 産学地域連携推進機構
産学地域連携推進センター
TEL 025-262 - 7344
FAX 025-262 - 7513
e-mail [email protected]
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