バイオ医薬品の品質規格試験(ペプチドマッピング) - 住化分析センター

Technical News
株式会社 住化分析センター
● バイオ医薬品の品質規格試験(ペプチドマッピング)
TN360
Specifications Test for Biologics (Peptide Mapping)
[概
要]
バイオ医薬品は、非常に複雑な構造を有する為、その品質規格試験では多角的な評価が求められます。そ
れぞれの評価項目に対し、ICH ガイドラインが公表されており、国内においてもバイオ後続品に関する指針
が出されたため、今後バイオ医薬品の創出が加速されることが予想されます。当社では、バイオ医薬品の様々
な品質規格試験サービスを行っております。
[試験項目]
原薬と製剤の規格及び試験方法の項目
項 目
装置・方法
1. 確認試験
1)ペプチドマッピング
HPLC, LC/MS
2)糖鎖マッピング
HPLC, LC/MS
3)構成アミノ酸
アミノ酸分析装置
4)SDS-PAGE
SDS-PAGE 用電気泳動
5)キャピラリー電気泳動
キャピラリー電気泳動装置
2. 純度試験
1)類縁物質
HPLC, LC/MS, 電気泳動
2)高分子タンパク質
HPLC, LC/MS, 電気泳動
3. エンドトキシン試験
エンドトキシン測定装置
4. 不溶性微粒子試験
微粒子測定装置
5. 微生物限度試験
無菌施設
6. 力価(生物活性試験)
バイオアッセイ法, SPR
7. 定量
HPLC, ELISA, ECL
[実施例]
上記規格試験項目のうち、ペプチドマッピングを示します。
ペプチドマッピングは、米国薬局方、ヨーロッパ薬局方、日本薬局方間で国際調和がなされたテーマのひ
とつであり、バイオ医薬品を構成するアミノ酸一個の相違を識別することが出来る試験法です。
原薬又は製剤
↓←酵素消化
ペプチド断片
↓←LC-UV
標準品と試料品のチャートを比較
<実験例1>
エリスロポエチンを用いたペプチドマッピングのチャート(図 1)を示します。本試料の組換えエリスロ
ポエチンは標準品と同一のチャートを示すことが確認されました。
1000
<実験例2>
800
違によるピークの保持時間のずれ(フラグメントⅠ及
600
びⅢ)が確認されている(図2)ことから、アミノ酸
mAU
インスリンではヒトとウシにおけるアミノ酸の相
A
Ⅰ
Ⅲ Ⅱ
400
Ⅳ
200
配列の相同性を確認できます。
種差でアミノ酸配
列が異なるペプチ
ド断片は、ⅠとⅢで
ある。
0
600
0
上:標準品
下:試料品
10
20
30
1000
50
60
mAU
mAU
600
200
Ⅰ
Ⅲ Ⅱ
400
Ⅳ
200
0
70
B
800
400
0
40
min
0
10
20
30
min
40
50
60
0
70
図1 トリプシン酵素消化後の EPO(遺伝子
組換え)のクロマトグラム
10
20
30
40
50
60
70
min
図2 インスリンの種差比較(A:ヒト、B:ウシ)
ペプチドマッピングは、たん白質を酵素的に処理してペプチド断片とし、その断片を再現性よく分離する
確認試験であり、精度のよい分離再現性が要求されます。
ペプチドマッピングの分析方法の妥当性検証にあたって、分析法バリデーションを実施しました。
ペプチドマッピングの分析能パラメーターとしての特異性、併行精度及び室内再現精度は良好であり(表
1)、信頼性の高い分析法であることが検証できました。
表 1 分析バリデーションの結果
項目
特異性
併行精度
室内再現精度
結果
標準物質及び試料の酵素消化物を分析した結果、ブランクでは認められ
ない明確なピークについて、保持時間、ピーク数、ピーク強度などで同
等の結果が確認された。
相対標準偏差は 0.1~0.3%と良好であった(n=3)。
相対標準偏差は 2.7~5.5%と良好であった(n=3)。
分析条件の検討、分析バリデーションを実施致します。ご相談下さい。
作成:バイオ (KN0911)3-N0-(23)
分析・測定・調査の総合分析会社
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