神経質なトランペット - 岡山県立玉島高等学校

神経質なトランペット
岡山県立玉島高等学校
理数科2年
塩田篤史
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動機
ト ラ ン ペ ッ ト を 吹 い た 経 験 か ら 気 温 が 上 が る と 音 程 が 上 が り 、気 温 が 下 が る
と音程も下がるということを不思議に思ったため、調べてみようと思った。
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目的
気温がどのように影響してトランペットの振動数を変化させているのかを
考 察 し 、実 験 に よ っ て 確 か め る 。ま た 、そ の 結 果 が 自 分 の 経 験 と 比 べ て 、ど の
ように違ったかを考える。
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仮説
気 温 が ど の よ う に ト ラ ン ペ ッ ト の 振 動 数 に 影 響 を 与 え る の か を 調 べ た 。ト ラ
ン ペ ッ ト は 真 鍮 で で き て い る 。真 鍮 の 線 膨 張 率 が 1.75×10^- 5m /℃ で あ る か
ら 、ト ラ ン ペ ッ ト の 長 さ の 変 化 は 、振 動 数 に 影 響 を 与 え る も の で は な い と し て
考える。
次 に 、音 速 に つ い て 考 え る 。常 温 の 範 囲 で 音 速 は V = 331.5+ 0.6t で 表 さ れ
る か ら 、 1℃ あ た り 0.6m /s 速 く な る こ と に な る 。
今回の実験では、共鳴もしくは共振と呼ばれる現象を利用する。共鳴とは、
固 有 振 動 数 に あ っ た 力 が 加 わ る と 大 き く 振 動 す る よ う な 現 象 の こ と で あ る 。こ
の 共 鳴 を 利 用 す る と 、紙 パ イ プ は そ の 固 有 振 動 数 の と こ ろ だ け 大 き な 音 に な る 。
音 程 は 基 本 振 動 で 決 ま る の で 、こ の こ と を 利 用 し て 紙 パ イ プ の 固 有 振 動 数 を 測
定する。
紙 パ イ プ を 使 う 理 由 は 、管 楽 器 は 大 き く 曲 が っ て い て 、長 さ の 測 定 が 困 難 だ
からである。そこで、長さのわかりやすい紙パイプを代表として取り上げた。
ト ラ ン ペ ッ ト や 紙 パ イ プ に お け る 音 程 は 基 本 振 動 に よ っ て 決 ま る 。基 本 振 動
数 は 、V = f λ 、L = 2 / λ か ら f = V / 2 L と な る 。そ の た め 、紙 パ イ プ に
お い て 音 速 V = 331.5+ 0.6t 、紙 パ イ プ の 長 さ L = 0.715 を f の 式 に 代 入 し て 、
次 の 式 を 得 る 。 f = 0.42t + 232
こ の こ と か ら 、気 温 が 1℃ 上 昇 す る ご と に 0.42H z 振 動 数 が 増 え る と い う 仮
説を立てて実験を行った。
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実験器具
・紙パイプ
・温度計
・スピーカー
・オシロスコープ
・低周波発信機
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実験方法
①低周波発信機と紙パイプをセットす
る。
②音を出して、メモリを動かしながら音
程を変えて音が一番大きくなるところを
探す。 この時、気温と振動数を記録して
おく。
③メモリを元に戻して何度も実験する。
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実 験 結 果 ( 6 月 ~9 月 )
気温と振動数の関係をグラフにとる。
関 係 が あ り そ う だ が 、傾 き は 求 め ら れ そ う
にないので平均してグラフをとる。
各 温 度 で 平 均 を と り 、グ ラ フ に と る 。グ
ラ フ 上 の 点 に あ っ た 線 を 引 き 、次 の よ う に
傾きを求める。
15℃ の 時 235.5H z
35℃ の 時 247.8H z で あ る か ら 、
( 247.8- 235.5) / ( 35- 15) か ら 、
こ の 時 の 傾 き は 、 0.62 と な る 。
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考 察 ( 6 月 ~9 月 )
・わかったこと
気温と振動数は関係がありそうだという
こと。
・改善点
気温の測定範囲が狭かったので傾き
が計算と大きくずれた。
・改善方法
測定範囲を広げて測定範囲を増やす。
実 験 結 果 ( 9 月 ~12 月 )
6 月 ~9 月 ま で の 実 験 デ ー タ に 加 え て 、
12 月 ま で の デ ー タ を 追 加 し て 考 え る 。
1 回 ご と に 温 度 を 変 え ず 、同 じ よ う な
温度で何回もデータをとる。それを
0.5℃ ご と に 平 均 を と り グ ラ フ に ま と
める。
右 の 平 均 を と っ た グ ラ フ は 、点 の 並 び
か ら 、1 本 の 直 線 で ま と め ら れ そ う に な
いことが見てわかる。
そ こ で 、2 本 の 直 線 に 分 け て 考 え る こ
とにした。
6 の傾きの出し方と同様に
25℃ ~ 33℃ の 範 囲 の 時
傾 き は 0.82
10℃ ~ 25℃ の 範 囲 の 時
傾 き は 0.38
となった。
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考察
気 温 と 振 動 数 に は 関 係 が あ り 、 温 度 の 範 囲 に よ っ て 傾 き が 変 わ る 。 25℃ ~
33℃ の 範 囲 の と き に は 計 算 と ほ ぼ 同 じ 。 10℃ ~ 25℃ の 範 囲 の と き に は 傾 き が
大きくなる。
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まとめ
気 温 が 高 く な る に つ れ て 、傾 き が 大 き く な っ て い ろ こ と か ら 、気 温 以 外 の 何
か が か か わ っ て い る と 思 わ れ る 。ま た 、自 分 の ト ラ ン ペ ッ ト を 吹 い た 経 験 で は 、
傾 き の 変 化 ま で は 分 か っ て い な か っ た も の の 、気 温 が 上 が る と 音 程 が 上 が る と
いうことについては一致していた。
11 今後の課題
・傾きの変化がなぜ起きるのかを考え、確かめる。
・実際に楽器で確かめてみる。
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参考文献
温度計・湿度計/観測の原理 気象庁
理科年表