Weekly Market Report Jan 31, 2011 - あおぞら銀行

あおぞら銀行
あおぞら銀行 市場営業部
Weekly Market Report
Jan 31, 2011
FX, JPY Interest Rate, Equity
1. 為替相場概況
先週は
先週は小幅な
小幅なレンジながら
レンジながら、
ながら、週末にかけて
週末にかけて値動
にかけて値動きのある
値動きのある展開
きのある展開になった
展開になった
今週は
今週は地政学的リスク
地政学的リスクの
リスクの高まりから円高
まりから円高が
円高が進む可能性も
可能性も
先週のドル円相場は、週初25日、モスクワでの自爆テロ報道による
米国債の買い(米長期金利の低下)、金利差縮小に伴うドル売り等
の影響を受けて下落。一時81.97円程度まで円高ドル安が進んだも
ののドル売りは一服し、徐々に82円台前半まで回復した。また、議決
権を持つメンバーの交代で、米国債購入継続等の政策に対する反
対票の増加が注目されたFOMCは、全会一致で可決。米景気に対す
る慎重な見方が維持され、ドル円は82.20円程度まで下落した。
27日は米格付会社S&Pが日本の長期ソブリン格付を「AA」から
「AA-」に引き下げると発表。一時ドル円は83.20円程度まで円安ドル
高が進行したが、輸出企業のドル売り等により、82.60円台まで下げ
た。米国時間28日には、米第4四半期GDP速報値が発表されてドル
が買われたが、エジプトの情勢悪化に伴う地政学的リスク等により再
び円高方向に推移した。
一方先週のユーロ相場は、24日、欧州中央銀行(ECB)のトリシエ総
裁のウォールストリート・ジャーナル紙のインタビューで、ECBの利上
げが意識されたことを受け、ユーロ/ドルは週初の1.3540ドル台から
一時1.3680ドル水準まで上昇。その後、1.3660ドル水準まで下落した
が、注目された25日の欧州金融安定ファシリティー(EFSF)債の入札
も好調な結果となったことから、再び1.37ドル台まで回復。安定的に
推移していたが、エジプトの情勢悪化により、再度1.36ドル台を割り
込む水準までユーロが売られて週末を迎えた。
今週のドル円相場は、FOMCで当面の米金融緩和維持のスタンスが
確認されたことや地政学的リスクの高まり等による米国債の買い(米
長期金利の下落)から円高ドル安に推移するものと予想。イベントと
しては4日の米雇用統計のほか、3日のECB理事会での金利政策の
動向に注目したい。
(山下)
USD/JPY
(過去1年間)
EUR/JPY
(過去1年間)
EUR/USD
(過去1年間)
(出所)トムソンロイター
今週の
今週のレンジ予想
レンジ予想 (USD/JPY)
予想者
大西泰壽
牧野剛
木下陽
國井靖子
今週のレンジ
81.30-82.80
80.90-82.90
80.50-83.00
80.70-83.50
予想のポイント
ユーロの売りからドル買い・円買いの様相。ISMや米雇用統計が弱ければ円高加速の懸念あり。
エジプト情勢不安を背景に新興国、高金利通貨が売られやすい展開。ドル、円共に強含み。
地政学リスクの高まり、ECBミーティング、米雇用統計等のイベントによりトレンドが出る週となるか。
注目の米経済指標が続く一週間。結果次第では更なる円高も。RBA、ECBの政策金利発表も注目。
当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではありません。
1
ここに示した意見は当資料作成時点の筆者の意見を示すのみであり、今後予告なしに変更される可能性があります。
データや数値の抽出範囲・基準は任意で設定している場合があります。またデータ・資料については、数値等の誤りが含まれている可能性があります。当資料に含まれるグラフ等は一部トムソン
ロイターのデータを基に作成しておりますが、当データにつきトムソンロイターは何らの責任を負わないものとします。
投資に関しては、すべてご自身でご判断ください。当資料に基づき、お客さまが投資のご判断をされた結果に基づき生じた損害・損失については当行は一切責任を負いません。
当資料は著作物であり、著作権法により保護されております。無断で全文または一部を転載することはできません。
円金利相場概況
2. 円金利相場概況
S&Pによる
S&Pによる日本国債
による日本国債の
日本国債の格下げの
格下げの影響
げの影響は
影響は限定的だが
限定的だが、
だが、エジプトの
エジプトの情勢不安には
情勢不安には注意
には注意が
注意が必要
今週は
今週は、10年国債入札
10年国債入札と
年国債入札と、米国雇用統計に
米国雇用統計に注目
先週は、S&Pによる日本国債の格下げ(AA→AA-)のニュースが飛
び込んだが、市場は冷静に受け止めた。一方、エジプト中東の情勢
不安は、今後の波乱要因となるため注意が必要。
週初25日に、日銀の展望レポートの中間評価が公表された。今回
の展望レポートでは、前回10月公表の見通しと比較すると、国際商
品市況高の影響から2011年度のCPI見通しはやや上方修正された
一方、2012年度は据え置きの評価としている。
これは、日銀は足元商品価格の動向に影響されるものの、中期的
に物価は緩やかな上昇にとどまると判断したものと推測される。
なお、今年8月に改定されるCPI基準では、現在の数値から▲0.5%
前後の低下が予想され、日銀が時間軸解除の基準と位置付ける
CPI:1%のハードルは一層上昇することになる。日銀の当面の利上
げは考えにくく、少なくとも時間軸は2012年以降も継続すると予測
する。
27日の2年国債入札は、日銀は時間軸を維持するとの予測から、
応札倍率が5.33倍、テールも1厘と順調な結果となった。銀行勢を
中心に旺盛な需要が集まった。
27日の夕刻、S&Pによる日本国債の格下げ(AA→AA-)のニュース
が入ると、ファーストアクションは債券先物は売りとなった。しかし、
翌日には格下げが日本の財政再建を促すといった受け止められ方
から、逆に債券は買われ、金利は低下する展開となった。引き続き
日本国債の信用の悪化による金利上昇は、経常収支の赤字化や、
円預金の海外流失等の発生が起こるまでは、可能性は低いと考え
る。
週を通じての円金利スワップの変化は2Y-0.3bp、5Y+0.5bp、
10Y+2bp、20Y+1.2bp、30Y+1.1bpとなった。
今週は、足元グローバルには物価上昇が続き、不安定なエジプト
中東情勢から、原油高を起点としたインフレリスクが意識される場
面もあろう。その意味で、インフレ警戒という意味で、2月1日の10年
国債入札と、2月4日の米国雇用統計に注目したい。
(池田)
年国債金利 (過去1年間)
10
年スワップレート (過去1年間)
5
(出所)トムソンロイター
今週の
今週のレンジ予想
レンジ予想 (5年スワップレート)
スワップレート)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
伊藤功一郎 0.60%-0.65% 「エジプトの地政学リスク」及び「日本国債格下の影響度合」の見極めから、様子見でレンジ取引。
後藤賢太郎 0.57%-0.64% インフレ懸念を背景に金融引き締めに向かう新興国の株安トレンドが、新たな焦点となるか。
森松敬博 0.58%-0.64% 週前半は入札絡みの調整、週後半は米雇用統計を控えて、週を通じて動意の乏しい展開を予想。
当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、何らかの行動を勧誘するものではありません。
2
ここに示した意見は当資料作成時点の筆者の意見を示すのみであり、今後予告なしに変更される可能性があります。
データや数値の抽出範囲・基準は任意で設定している場合があります。またデータ・資料については、数値等の誤りが含まれている可能性があります。当資料に含まれるグラフ等は一部トムソン
ロイターのデータを基に作成しておりますが、当データにつきトムソンロイターは何らの責任を負わないものとします。
投資に関しては、すべてご自身でご判断ください。当資料に基づき、お客さまが投資のご判断をされた結果に基づき生じた損害・損失については当行は一切責任を負いません。
当資料は著作物であり、著作権法により保護されております。無断で全文または一部を転載することはできません。
株式相場概況
3. 株式相場概況
食料価格高騰に
食料価格高騰に起因する
起因するアラブ
するアラブ諸国
アラブ諸国の
諸国のデモが
デモがオイル供給懸念
オイル供給懸念に
供給懸念に発展
NYダウ
NYダウは
ダウは、11500ドル
11500ドル程度
ドル程度まで
程度まで調整
まで調整の
調整の可能性
1月半ば
月半ば以降、
以降、調整している
調整している日経平均
している日経平均の
日経平均の上昇は
上昇は、外部環境が
外部環境が落ち着いた後
いた後となる見込
となる見込み
見込み
【海外市場】
チュニジアから始まった食料価格高騰に起因する貧困層の政権
打倒を目指す動きがエジプトに飛び火。
28日には、米国の中東政策の要であるエジプトのムバラク政権
崩壊懸念がオイル供給懸念に発展し、高値圏にあった米国株に
急落をもたらした。
エジプトは、世界最大の小麦輸入国であり、今回の穀物価格急
騰が貧困層の生活に及ぼしている影響は相当大きいはずである。
これまでデモは、チュニジア、エジプト、アルジェリアなどで起こっ
ているが、いずれも非産油国であること、貧困層が多いこと、観
光立国でリーマン後の外国人観光客激減によって経済的に打撃
を受けていることが共通点してあげられる。
一方で、同じアラブ諸国でも、サウジやクウェートなど経済的に
豊かな湾岸産油国では状況は全く異なるため、湾岸産油国の政
権転覆やそれに伴うオイル供給まで懸念するのは杞憂というと
ころか。
むしろ、今回の中東問題による米国株急落は、最近の楽観的な
見通しに基づく一本調子の上昇に対する反動の部分も大きいだ
ろう。市場は調整材料を探していたように思われる。
ただ、今年の米国株を取り巻く良好な投資環境を勘案すると、現
在出てきている中東の材料だけではトレンド転換までは考えにく
く、あくまで買われすぎの反動というところか。
テクニカルには、調整の節目となる位置として、11500ドルとい
う位置が意識される。
【国内市場】
日経平均は、昨年11月以降、上昇してきたが、1/13に1062
0円の高値を付けてからは、まずは高値警戒感から10500円
超の上値が重くなり、その後は、アップルCEO休職発表に伴う米
ハイテク株下落や、日本国債格下げと悪材料が続き、さらにここ
にきて新たな悪材料として中東情勢が出てきている。
外部環境の影響を受けやすい日経平均が上昇するためには、
中東情勢が大事に至らないことが確認されて米国株が反発する
こと、為替に波乱がないことなど、外部環境の落ち着きを確認す
ることが必要であろう。
一方で、例年、2月、3月は、買い場となることが多いのも事実で
ある。(昨年は2/9、一昨年は3/10に安値を付けている)
今週は、中東情勢の行方とそれに伴う各商品(米国株、為替、オ
イルなど)の動向が注目される。
(棚瀬)
NY DOW
(過去1年間)
日経平均 (過去1年間)
(出所)トムソンロイター
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今週のトピックス
4. 今週の
穀物相場高騰の
穀物相場高騰の背景を
背景を考える
~ 穀物相場は
穀物相場は、お天道様だけが
天道様だけが知
だけが知っている!? ~
今回の
今回の穀物価格高騰の
穀物価格高騰の原因は
原因は、『ラニーニャ現象
ラニーニャ現象による
現象による異常気象
による異常気象 』と『FRBの
FRBのQE2による
QE2による投機
による投機マネー
投機マネーの
マネーの流入』
流入』
近年の
近年の新興国急成長による
新興国急成長による需要増大
による需要増大により
需要増大により、
により、穀物価格は
穀物価格は変動レンジ
変動レンジを
レンジを切り上げている
ただ、
ただ、歴史を
歴史を振り返ると、
ると、上昇トレンド
上昇トレンドに
トレンドに入ると生産調整
ると生産調整により
生産調整により、
により、持続的な
持続的な価格上昇は
価格上昇は考えにくい
最近の穀物価格高騰により「食料危機」も叫ばれることか
ら、穀物の国際価格の動向について見てみたい。
図1: 穀物(
穀物(米、とうもろこし、
とうもろこし、小麦、
小麦、大麦等)
大麦等)の需給の
需給の推移
【ラニーニャ現象とQE2】
今回の穀物大相場は、昨年夏に観測史上最大のラニー
①需要増大・
②需要低迷・
③需要増大・
需要増大・
需要低迷・
需要増大・
低在庫局面
高在庫局面
低在庫局面
ニャ現象(南太平洋ペルー沖の海水温低下が引き起こす
現象)が発生し、ロシアの大干ばつ、豪州の大洪水など世
約15年の需給サイクル
需給サイクル
界的に異常気象が相次いだことを主な原因としている。
天候要因に加えて穀物価格の変動を大きくしているのが
投機マネーの動きである。一般に、投機マネーの動きは、
FRBの金融緩和局面において活発化する。
今回は、FRBのQE2が価格高騰を助長した。
【需給サイクルは約15年】
図1を見て頂きたいが、穀物には15年程度の需給サイク
ルがあり、1970年以降では、以下の3つの局面にわけら
れる。
① 70年~80年代前半までの需要増大・低在庫局面
② 80年代前半~2000年までの需要低迷・高在庫局面
③ 2000年以降の需要増大・低在庫局面
2000年以降の局面変化は、中国等の新興国の急成長
により、穀物の需要増大ピッチが上昇したためである。
図2: 穀物等の
穀物等の国際価格の
国際価格の動向
【穀物の生産計画】
穀物生産は、需要予測を勘案して決められる。2000年
以降の人口増加による需要増大を察知して、2000年代
前半から生産も拡大している。
しかし、生産計画は順調に収穫が得られることを前提に
決定されるため、異常気象の発生により生産量が減少す
ると、価格に大きなバイアスをかけることになる。
とうもろこし
【今後の見通し】
米
穀物の国際価格は、期末在庫が減少していることを事由
大豆
に、2006年頃から価格変動レンジを切り上げており、20
小麦
06年以前の高値水準が最近の安値水準になっている。
(→図2参照)
ただ、足元と同様、需要が旺盛で在庫水準が低かった70
年代の価格推移を見ればわかるように(図2参照)、価格
上昇トレンドに入ると生産調整が入るため、今後、持続的
に穀物価格が上昇していく展開は考えにくい。
結局は、中国の需要拡大よりも、毎年の天候をにらみな
出典:農水省HP
がら乱高下する展開が予想される。
(棚瀬)
商号:株式会社あおぞら銀行 (登録金融機関 関東財務局長(登金)第8号)
加入協会:日本証券業協会、(社)金融先物取引業協会
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ロイターのデータを基に作成しておりますが、当データにつきトムソンロイターは何らの責任を負わないものとします。
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