Weekly Market Report - Oct 28, 2013(PDF:359KB) - あおぞら銀行

発行:市場営業部
Weekly Market Report
Oct 28, 2013
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
米雇用統計はやや弱い内容。QE縮小議論は後退しドル売り優勢の展開が続く。
先週の為替相場は、弱い米雇用統計をきっかけにQE縮小議論が
後退したことから週を通してドル売り優勢の展開。対円では比較的
小幅なレンジでの推移となったが、対ユーロでは約2年ぶりの安値
水準を付ける展開となった。
USD/JPY (過去1年間)
週初、ドル円は緩やかに円安方向へ。日経平均株価の反発や本邦
貿易統計が上半期過去最大の赤字となったこと等が材料。しかし、
その後は、22日(火)のNY時間に延期された9月の米雇用統計の発
表を控え様子見ムードが強まるとドル円の上昇も一服。98円台前半
での推移となった。注目された米雇用統計は失業率こそ7.2%と前
月の7.3%より改善されたものの、非農業部門雇用者数は14.8万人
増となり市場予想を大きく下回る弱い結果となった。これを受けて、
ドルは大きく売られる展開。特にユーロドルは1.37台後半までユーロ
高が進行した。翌23日(水)の東京時間には中国の短期金利が急騰
し、金融不安を想起させる中でリスクオフムードが強まりアジア株式
市場は総じて軟調な推移となった。円も全面高の流れとなりドル円
は97円台前半まで、ユーロ円も134円割れまで下落した。その後も
ややリスク回避の流れは意識されたようだが長続きはしなかった。
25日(金)、日経平均株価が大きく値を下げる中で、ドル円は一時97
円割れとなる場面も見られたが、その後はやや円安方向に値を戻し、
結局ドル円は97円台半ば、ユーロ円は134円台半ば、ユーロドルは
1.38ドル台前半で越週している。
EUR/JPY (過去1年間)
今週は29、30日にFOMCが開催される。QE縮小は見送られる可能
性が高いが、政府機関閉鎖の影響をFOMCメンバーがどの様に判
断しているのかを確認する意味でも重要なイベントとなろう。
またユーロの上昇が続いている点にも留意したい。対ドルでは約2
年ぶりのユーロ高水準にあり、高値警戒感も出始めている。一旦、
ユーロドルが調整するようであれば、ドル買い戻しをきっかけにドル
円の上昇要因となる展開も考えられよう。
EUR/USD (過去1年間)
(市場営業部/川口)
今週の注目経済指標・イベント
米FOMC(10月29,30日)
(出所)トムソンロイター
今週のレンジ予想
(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
伊藤功一郎
96.50-98.50
先週末の円高一服感や今週は本邦株価堅調が予想されることから、ドル円の下値は堅い展開を予想。
高野一歩
96.50-98.50
最近の米国の軟調な経済指標もあり、円安は進みづらそう。30日のFOMCの結果を注視したい。
小野口裕美子
96.50-99.50
米FOMCや相次ぐ経済指標の結果による米株の反応次第でドル円も上下する展開となりそう。
・本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の申し込みでも、取引締結の推奨でもなく、売買若しくは何らかの取引を行うことを助言したり、または勧誘したりするものでもありません。
・本資料の内容の全部または一部は、信頼できると考えられる公開情報に基づいて作成されたものですが、当行はその正確性及び完全性を保証するものではなく、一切の責任を負いません。ご利用に
際しては、ご自身のご判断でお願いします。本資料に含まれるグラフ等は一部トムソンロイターのデータを基に作成しておりますが、当データにつきトムソンロイターは何らの責任を負わないものとします。
・本資料に基づき、お客さまが投資のご判断をされた結果に基づき生じた損害・損失については当行は一切責任を負いません。
・本資料は著作物であり、著作権法により保護されております。無断で全文または一部を転載することはできません。
・本資料に掲載された各見通しは本資料作成時点での各執筆者の判断に基づいており、それらは必ずしもあおぞら銀行の意見を反映しているとは限らず、予告なしに変更される場合があります。
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Oct 28, 2013
2. 円金利相場概況
超長期ゾーンを中心に金利は低下。10年カレントは5月以来の0.5%台をつける場面も。
先週の円金利マーケットは、市場予想を下回った米雇用統計の結果
を受けて金利は低下基調が継続した。株の下落もその動きを後押し
することとなった。
10年国債金利
年国債金利 (過去1年間)
週前半、22日(火)の20年債入札は応札倍率4.33倍、テール7銭と堅
調な結果に終わり、投資家のしっかりとした需要が確認された。
同日、20年債利回りは1.47%まで低下し、超長期ゾーンを中心にカー
ブはブルフラットニングした。
翌23日は、前夜に公表された米雇用統計が弱めの結果となったこと
から、金融緩和縮小観測が後退。米国金利の大幅な低下を背景に
円債も買い進まれた。特に長期、超長期ゾーンには銀行や年金等幅
広い投資家からの買いが観測され、10年債利回りは0.60%まで低下
した。24日もこの流れは続き、10年債利回りは5月以来となる0.5%台
に突入する場面も見られた。週末金曜日は日銀買入れオペが前回
比でやや弱い結果となったこともあり、金利は若干上昇し、週末の10
年債利回りは0.61%で取引を終えている。
5年スワップレート
年スワップレート (過去1年間)
先週の円金利スワップの変動幅は以下の通り。2Y:▲0.2bp、5Y:
▲0.4bp、10Y:▲0.9bp、15Y:▲1.5bp、20Y:▲1.8bp、30Y:▲2.8bp。
超長期ゾーンを中心に金利は低下した。
今週も軟調な株価、中国の引き締め懸念から、円金利は底堅い展開
となろう。特に月末までは日銀による買入れも予想されており、需給
は引き締まりやすい。
また、29日~30日はFOMCが予定されている。連邦政府の閉鎖の影
響からマクロ指標が読みづらくなっており、早期の緩和縮小を示唆す
る内容とはならないだろう。
来月の国内での国債入札は、10年、30年、20年、40年と長期・超長
期ゾーンで勢揃いとなる。日銀による買入れがあるものの、需給面
からはイールドカーブはベアスティープ(傾斜化)しやすいだろう。
金利SWAP変化(
変化(1週間)
金利
変化( 週間)
(bp)
変化(左軸)
2013/10/18
(%)
2013/10/25
0
2
1.8
-0.5
1.6
1.4
(市場営業部/池田)
-1
1.2
-1.5
1
0.8
-2
0.6
0.4
-2.5
今週の注目経済指標・イベント
0.2
-3
10月30日(水) FOMC
0
1Y
2Y
3Y
4Y
5Y
6Y
7Y
8Y
9Y 10Y 12Y 15Y 20Y 25Y 30Y
今週のレンジ予想 (5年スワップレート)
(出所)トムソンロイター
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
森松敬博
0.32%-0.37%
日銀の国債買い入れ効果も意識される中で、円債市場は底堅い展開を予想。
寺田剛
0.33%-0.36%
FOMC等イベントを控えるが、QE縮小見送り観測が根強く、金利は上昇しづらい局面が続くと予想。
山本崇広
0.32%-0.36%
QEの早期緩和縮小見送り観測から、金利には低下圧力が掛かりやすい環境となろう。
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Oct 28, 2013
3. 今週のトピックス
サウジアラビアと米国の関係~米国の中東政策に変化~
米国のイラン政策の転換により、サウジアラビアと米国の関係が悪化
9月、オバマ大統領はこれまで悪の枢軸と名指ししてき
たイランとの電話での首脳会談を1979年ぶりに実現。
周辺諸国に衝撃を与えた。
米国の中東政策の変化にサウジアラビアが反発してい
る。サウジアラビア元駐米大使であり、情報長官である
バンダル王子は対米関係を見直すと発言。また、同国
として初めて国連安保理の非常任理事国に選出された
件も辞退し、米国への不満をあらわにしている。
イランは米国の支援するイスラエルの宿敵であり、スン
ニ派のサウジアラビアにとってはシーア派のイランは最
大の脅威であるからだ。
これらの動きの伏線は、シリア問題にある。
シリア問題についてサウジアラビアは米国とともに反体
制派を支援、アサド政権を支持するロシア、イラン、中
国と対立し、代理戦争の様相を呈していた。
こうした米国の中東政策の転換がサウジアラビアの反
発や国連での行動に反映されているのは想像に難くな
い。こうした中東パワーバランスの変化は金融市場にど
のような影響を与えるだろうか?
2013年7月にアサド政権が化学兵器を使用したとの疑
惑が浮上した際に、オバマ政権はシリアに対する軍事
介入を試みたが米国内世論の反対もありオバマ政権
は身動きの取れない状況になった。
元来、サウジアラビアは親米国家であり、多数の米軍基
地を擁する事から米国にとっても極端な関係の悪化は
望ましくなく、メインシナリオとする事はできないが、以下
のポイントが指摘できるだろう。
そのような中でロシアからシリアの化学兵器を国際管
理下に置く調停案が示され米国も渡りに舟とこれに同
調。しかしこれはシリアのアサド政権が存続する案に他
ならず、アサド政権を崩壊させるという米国・サウジ側
の外交的敗北を意味する事であった。
◆威嚇としての原油価格の操作
産出量の調整によって原油価格のボラティリティが上昇
◆米国への原油の売り惜しみ
代替として他国産原油のインデックスが上昇?
◆米国債売却
米国への抗議の意味での米国債保有量の削減
◆外貨準備の多角化
ユーロ、日本円、豪ドルの上昇要因
米国側も債務上限問題を抱え、大規模な軍事介入に
対して慎重になりつつある。2003年のイラク戦争の戦
後処理に莫大な費用と人的資源を投入したものの、そ
の成果は芳しくなく、中東へのコミットメントを弱めたい
という思いもあるようだ。
(市場営業部/池田)
【参考1】中東諸国の概略図
【参考2】ドルインデックス
反イスラエル
親イスラエル
イスラエル
ヒズボラ(シーア派)
対立
ハマス(スンニ派)
支援
アメリカ
融和方針
支援
反米・反イスラエル
イラン政策に反発
対立
イラン(シーア派)
支援
サウジアラビア(スンニ派)
シリア(アサド大統領)
イラク(シーア派)
ロシア
ス
ン
ニ
派
を
弾
圧
す
る
シ
リ
ア
と
距
離
を
置
く
86
84
82
80
78
76
74
72
70
68
66
支援
国内の多数派はスンニ派
(出所 あおぞら銀行、Bloomberg )
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