自然観察レポーターだよりNO.208号本文(611 KB)

2013年5月
NO.208
小林 春記さん
うっとう
早々と入梅宣言がされて、これから1ヶ月半にも及ぶ鬱陶しい季節が始まる。ベランダの巣箱には
ひな
時折スズメがやってくるが未だに雛の声は聞こえてこない。中がどうなっているのか気になってしょ
のぞ
うがない。絶対覗いてはいけないのだが。スズメもシジュウカラほど好意的ではないようで、人影を
警戒している。その後のシジュウカラは一度だけ6羽の群れで庭木にやってきたのを見かけた。多分
あの親子だろう。
8日に市庁舎屋上を観察した際、島田さん等と植生種のリストを作ったのだが、あまりに当然な種名
の記載を落としてしまった。芝生圃のシバである。
庭で咲いたナガミヒナゲシで花弁が6枚の花(写真①)を見つけた。ケシの花は基本4枚であるか
らこれも畸形花だとカメラに収めた。しかし、定例観察会で歩いた綾瀬川沿いを注意して観察すると 6
片花のナガミヒナゲシが5個も見られた。
さそ
18日、誘い合って木場公園を訪れた。ボランテアの方々が草取りをしていた。どれを残してどれ
を削除するのか、帰化植物だらけの地面でこれは大変な作業である。珍しい花も種々咲いていて撮影し
ている人も意外と多いのに驚いた。最近はたとえスナップでも人を写すとプライバシーやら肖像権やら
ととかくトラブルになりやすい。それで「もの言わぬ花」にレンズを向ける人が多くなったようである。
ろぼう
そこで見たヒメフウロとそっくりな花がフィールドの路傍で見つけた。調べてみると、この花はオラン
ダフウロ(写真②)でその渡来はアメリカフウロより古く、江戸末期ごろから園芸種として、多様な変
異があるという。
綾瀬川畔(宮代橋~八条大橋)----5月25日-------ハルジオン ヒメジョオン セイヨウタンポポ ギシギシ カタバミ ノゲシ ムラサキカタバミ
シロツメクサ ニワゼキショウ イヌムギ ネズミムギ コヒルガオ ツメクサ アレチギシギシ
ドクダミ オッタチカタバミ ホソムギ ユウゲショウ ウラジロチチコグサ ヘラオオバコ
アカカタバミ イモカタバミ トキワハゼ ワルナスビ アレチギシギシ カヤツリグサ
ゼニアオイ ノハカタカラクサ ノミノツヅリ コセンダングサ ハタケニラ ノシバ
ヤブタビラコ ケキツネノボタン キュウリグサ ツルマンネングサ オオイヌノフグリ ノビル
オオジシバリ カモジグサ イチゴツナギ ナガミヒナゲシ ツボミオオバコ カモガヤ
アメリカフウロ キショウブ クサヨシ コメツブツメクサ メキシコマンネングサ
ナワシロイチゴ オニタビラコ ヤエムグラ ベニカタバミ カントウタンポポ ヤナギハナガサ
スズメノカタビラ クサイ ナルコスゲ シロバナマンテマ コモチマンネングサ ザクロ
タチイヌノフグリ チチコグサモドキ ヨウシュヤマゴボウ ヒルガオ セイヨウカラシナ
マルバアサガオ コマツヨイグサ ツルニチニチソウ トゲナシノイバラ タイトゴメ
オランダフウロ
島田寿々子さん
綾瀬川周辺(綾瀬橋~綾瀬川橋)
ふ
フィールドはイネ科植物全盛で河川敷に踏み込むのも容易でない。
ほとん
イネ科の 殆 どがネズミムギ。それにホソムギ カモジグサ イヌムギ オニウシノケグサなどが混じ
1
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っている。
背の高い草の陰では他の植物は生育しにくい。一部草の刈られた場所を見つける。ユウゲショウ ケ
キツネノボタン ニワゼキショウ アゼムシロなどが咲いていた。
余り見られなかった巨大なエゾノギシギシが今まで多かったナガバギシギシを押さえて 1m以上の大
におう
株を多数立てている。まさに仁王立ちというところ。
季節の移り変わりと共にフィールドは変わってゆく。今は春のハルジオンに替って真っ白い花をつ
けて直立するヒメジョオンが数を増している。夏が来たのだと思わせる。
今月3日あやせ新栄ビオトープの保全作業に参加した折、河川敷でサギゴケ オヘビイチゴ タビ
ラコ レンゲを発見した。これらは数年前まではあったがマイ・フィールド(河川敷)で見つけられ
なかった種である。トンボ池のそばにはカントウタンポポも確かに残っていた。
今年はオオカワジシャは数本だけ。タコノアシは赤味を帯びた茎を4~5本立てて育っている。セ
つる
ンニンソウは益々蔓を伸ばして川辺から河川敷の中程まで出てきている。草刈でとられてしまったら
と心配である。ナガボノシロワレモコウも元気に生育している。ホソバオオアマナが散生している。
人の手によって植えつけられたものだろうか。それにしても数が多い。
5月18日同好会の有志で木場公園に行く。多くの外来種が花を咲かせていて皆のテンションが上が
る。始めはどのように見て行くか戸惑ったがそのうち落ち着いて、図鑑では同定しにくい草加にもある
種をよく観ることにした。似ている植物はまとまって植栽されているので比較しやすい。それはマツヨ
イグサ属とニワゼキショウ属である。前者はヒナマツヨイグサ コマツヨイグサ マツヨイグサ メマ
ツヨイグサ----。後者はニワゼキショウ アイイロニワゼキショウ オオニワゼキショウ。目の前で本
物が見られるので、違いが良くわかった。
園内にはモンシロチョウが多く飛んでいた。近くにキャベツ畑など無いのに何を食草としているのか
疑問を持つ。庭園風に造られた場所に見慣れない黄色い花を発見する。聞くとミミイヌガラシだという。
広範囲にたくさん植えられていた。「何処に耳があるのだろう」と草を触っていた所、青虫が見つかっ
た。モンシロチョウの幼虫である。ここのモンシロチョウはこの草を食べて育っていたのだ。
5月の開花は123種である。(先月は80種)
ナデシコ科
ハコベ ウシハコベ コハコベ イヌコハコベ ノミノフスマ ノミノツヅリ
オランダミミナグサ ツメクサ ヌシトリナデシコ
タデ科
スイバ ギシギシ ナガバギシギシ エゾノギシギシ アレチギシギシ
ヒメツルソバ
アカバナ科
ユウゲショウ ヒルザキツキミソウ メマツヨイグサ コマツヨイグサ
イネ科
スズメノカタビラ スズメノテッポウ イチゴツナギ ナガハグサ カズノコグサ
イヌムギ ネズミムギ ホソムギ オニウシノケグサ コヌカグサ カモジグサ
アオカモジグサ ニワホコリ クサヨシ ヒエガエリ カモガヤ コバンソウ
ヒメコバンソウ クサムギ
カヤツリグサ科
ミコシガヤ ヤガミスゲ アゼナルコ
キク科
セイヨウタンポポ 在来タンポポ ハルジオン ヒメジョオン アレチノギク
ノゲシ オニノゲシ オオジシバリ オニタビラコ タビラコ ヤブタビラコ
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ノボロギク ハハコグサ チチコグサ タチチチコグサ チチコグサモドキ
ウラジロチチコグサ フユシラズ ハキダメギク
アメリカオニアザミ
コセンダングサ マメカミツレ
ゴマノハグサ科 トキワハゼ サギゴケ マツバウンラン オオカワジシャ ムシクサ
シソ科
ヒメオドリコソウ ホトケノザ
スミレ科
ヒメスミレ スミレ ノジスミレ
カタバミ科
カタバミ オッタチカタバミ アカカタバミ ムラサキカタバミ イモカタバミ
バラ科
ヘビイチゴ ヤブヘビイチゴ ノイバラ
キンポウゲ科
タガラシ ケキツネノボタン
ムラサキ科
ハナイバナ キュウリグサ
アブラナ科
ナズナ タネツケバナ マメグンバイナズナ イヌガラシ スカシタゴボウ
マメ科
シロツメクサ アカツメクサ
ベンケイソウ科 コモチマンネングサ メキシコマンネングサ ツルマンネングサ タイトゴメ
ヒルガオ科
ヒルガオ コヒルガオ
ナス科
イヌホウズキ タマサンゴ
クマツヅラ科
クマツヅラ ヤナギハナガサ
ユリ科
ノビル ハタケニラ ホソバオオアマナ
アヤメ科
ニワゼキショウ アイイロニワゼキショウ
オオバコ科
オオバコ ヘラオオバコ
アオイ科
ゼニアオイ タチアオイ
アカネ科
ヤエムグラ
ツユクサ科
ノハカタカラクサ
ドクダミ科
ドクダミ
イグサ科
クサイ
ケシ科
ナガミヒナゲシ
キキョウ科
ミゾカクシ
フウロソウ科
アメリカフウロ オトメフウロ
アヤメ科
キショウブ ニワゼキショウ
センダン科
センダン
キョウチクトウ科 ツルニチニチソウ
スイカズラ科
スイカズラ
緑花文化士 河野省子さん
4月から5月へと、春から初夏へ植物たちも移り変わってゆく。
むす
たくわ
咲きほこっていた春の花たちは実を結んで枯れてゆく。なかには地中や葉に栄養分を 貯 えて次の春に
そなえるものもある。
4月24日、夜来の雨に濡れた地面にイチョウの雄花が落ちているのを見つけて、開花していたこと
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を知った。同じ頃に水たまりの縁が黄色く色づいていて、顕微鏡でのぞいて見たらマツの花粉だとわか
った。独協大学の構内にはアカマツが、松並木にはクロマツの木が植えられているから、そのどちら
かと思われる。
ドイツスズランのこと。あちこちで見られるスズランはほとんどこのドイツスズランである。日本の
野生種は、高原の放牧場によく見られる。これは日光を好み、また、有毒のために牛馬が食べないので
牧草地に残って繁茂したものである。ヨーロッパ種のドイツスズランは日本種にくらべて葉の表・裏と
もに濃緑で、葉裏の白っぽい日本種とはちがうのですぐにわかる。
へい
不結実のカントウタンポポのこと。松原団地B地区に残ったカントウタンポポは高い白い塀と歩道
の間の数10cmくらいの空地にある。そのためにせっかく花を咲かせても花を訪れるチョウやハチが
いないのでカントウタンポポは結実できずにむなしくしおれてしまう。ところが、受粉しなくても種子
た ん い せいしょく
を作ることの出来る(単為 生 殖 する)セイヨウタンポポは昆虫が訪れなくても結実して種子を飛ばし
ていた。
C地区のヨモギのこと。春の新芽が草団子用に摘まれていた頃とは見違えるほどに生長したヨモギ
しんしょう
しお
の新 梢 が先から5cmくらいのところで萎れている。さわって見ると茎がぐるりと何かに傷つけられ
しわざ
ている。こんなことは人間の仕業ではない。いったいだれの仕業だろう。ここ以外では見掛けなかった。
アイスプラントの花。旭町5丁目地内に農家の野菜くず捨て場になっているところがある。そこに
白い直径2cm位の目立たない花が咲いていた。マツバギクを小さくしたような花である。調べてみる
と冬の間ビニールハウスの中で栽培し、新芽を採取して売っていたものが用済みになって捨てられて花
を咲かせたものとわかった。南アフリカ原産の多肉植物で、マツバギクやリビングストンデイジー等の
仲間である。フランスではサラダ用として食べられているそうだ。日本では佐賀大学農学部が干拓地の
除塩作物として導入したのが最初で、プチプチとした水晶玉のような食感、ちょっと塩っぱい味、メタ
ボ対策や胆機能改善が図れる、などとして、最近、もてはやされだした新顔の葉物野菜である。
今月の開花種(4月~5月15日)
きく科
ハルジオン、ヒメジョオン、ノゲシ、オニノゲシ
カントウタンポポ、セイヨウタンポポ、雑種タンポポ
ノボロギク、ウラジロチチコグサ
おおばこ科
ヘラオオバコ
ごまのはぐさ科
オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、ツタバウンラン
ひるがお科
コヒルガオ
むらさき科
キュウリグサ
みずき科
ミズキ
あかばな科
ユウゲショウ、ヒルザキツキミソウ
とちのき科
トチノキ
あかね科
ヤエムグラ
ふうろそう科
アメリカフウロ
かたばみ科
カタバミ、オッタチカタバミ
ゆきのした科
ウツギ
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まめ科
カラスノエンドウ、スズメノエンドウ、カスマグサ
けし科
ナガミヒナゲシ
なでしこ科
コハコベ、ハコベ、ノミノツヅリ、
たで科
ギシギシ、アレチギシギシ
はまみずな科
アイスプラント
ゆり科
ノビル
いね科
スズメノカタビラ、ヒメコバンソウ、イヌムギ、ネズミムギ、
チガヤ、コヌカグサ、カモジグサ
まつ科
アカマツ、クロマツ
いちょう科
イチョウ
花壇庭園の花
ミカン、ナツミカン、ピラカンサ、バラ、モッコウバラ、サツキ、オオムラサキ、
ヒルザキツキミソウ、マツバギク、キンポウゲ、パンジー、ビオラ、オオデマリ、
コデマリ、ツルニチニチソウ、ニセアカシヤ、アカマツ、クロマツ、イチョウ、
トチノキ、シラン、エビネ、ドイツアヤメ、ウツギ、ヤマブキ、キンポウゲ、
ボタン、シャクヤク
清水 ヨシ子さん
薫風香る外環を報告します。
①シラサギのコロニー
残念ながら巣作りの様子が見られません。
ウォーキングされてる御夫婦は 10 年以上前からこのコロニーを知っていたそうです。つまり外環が
できる前からのコロニーのようです。引き続き観察します。
②アカホシゴマダラチョウ
フィールドで、昨年見つけたのですが、まだ確認できません。しかし松原団地 10 階の階段に羽を痛め
て、横たわっているのを見つけました。すごい強風なので舞い上がったのか、自力でここまで飛べたの
かはっきりしません。
昨年、あの外環ドーム上まで飛べていたから、かなり上空まで飛べると予想出来ます。早速、ビニー
ル袋に捕獲し、以前紹介した若者(ファーブル君)にあげ、自分で名前を調べるようアドバイスしまし
た。しかし、先生に相談をしてもわからず、私が名前を教えました。そして、メモしようとすると「い
いよ僕、頭に入れたから。」と言われ驚きました。やはり、それだけ興味を持っている子のなのです。
②ジャコウアゲハ
食草のウマノスズクサが草加西高校の近く 100M以上の側道に分布しているのを確認しました。3 年
前、Yさんが教えてくれた時は、垣根 1 ケ所だったけど、こんな地下茎を伸ばすのだろうか。まずは力
を入れて観察します。
<ミドリ談義>
たね ま
暮れにひとにぎりの麦をいただき種蒔きし、今収穫しています。収穫の時期もわからず、どうして
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だっこく
脱穀するのもわからず、今陰干ししています。まずは、試食と口にふくんだのですが、堅い!堅い!
「これはね、口の中にふやかして皮をとって食べるの。」って、いっしょに食べながら説明してくれた
けど、本当かしら?
綾瀬川護岸に咲いていた青いお花、よく確認すると岩場の全域に咲いている。名前がまだわからず残
念。もしなかったら募集中の立て看板でウォーキングコースにしたい思いである。104 本の護岸杭は今
けつ
一番の杭玉の傑作品となり楽しませてくれている。
新善町西~国道4号バイパス外環側道
野草…・ゼニアオイ・コンフリー・マンテマ・ドクダミ・コメツブソウ・ヒヨドリジョウゴ
・セイヨウタンポポ・エノコグサ・ノボロギク・ヒメジオン・キュウリグサ・ツメクサ
・ノビル・スイバ・イモカタバミ・ヤブニンジン・クサダイオウ・ネズミムギ・ヤブガラシ
・ノゲシ・ギシギシ・チチコグサ・アメリカフウロソウ・コヒルガオ・ツユクサ・カタバミ
・ヒルガオ・ノブドウ・アメリカオニアザミ・チガヤ・セイバンモロコシ・シロツメクサ
・カラスムギ・アカバナユウゲショウ・アレチノギシギシ・カモジグサ・ノゲイヌムギ
・スズメノチヤヒキ・スズメノカタビラ・イチゴツナギ・カモガヤ・コヌカグサ
樹木…・シモツケ・コデマリ・サツキ・サカキ・マルバシャリンバイ・ピラカンサ・アジサイ
・マテバシイ・モッコク・カキ・アメリカサンゴジュ
菅 藤男さん
あやせ新栄ビオトープだより
わ か ら し
和芥子?
のりめん
ビオトープを目指して綾瀬川沿いに歩き一之橋を過ぎると土手道沿いから法面一帯が背丈ほどの枯
さや
れたセイヨウカラシナで覆われ河川敷が見えない。葉がすっかり落ちて褐色の鞘ばかりをつけている
ので、一つ取って割ってみると20粒ほどの褐色の種が出てきた。一粒つまんで噛んで見るとピリッと
した辛みとマスタードらしい味もする。そういえばセイヨウカラシナの種で和芥子を作るという話を思
い出した。一体どうやって和芥子にするのか少し興味がある。6月に春日部農林振興センターが草刈を
行う予定なので、鞘つきの種をもちかえって試してみようかと思う。(写真A、B)
せいれい いなご
精霊 蝗 虫
トンボ池の辺りからネズミムギをかき分けて誰かの踏み跡をたどって河川敷に降りると、ツメクサ
の群れが花が茶色くなってイネ科の植物たちの日陰でヒッソリしている。ビオトープの風景は、まばら
なヒメジョオンの白い花やケキツネノボタンの黄色以外、緑一色に色を奪われてしまっている。タコ
ノアシの様子を見に実験地に入る。5月26日午後に有志で臨時草刈を行ったので、今のところ3本
つな
きがか
の花柱が地下茎で繋がっている2つの群れと競合する植物はないが、雨らしい雨が降らないのが気懸
りだ。カメラを近づけようと一歩踏み出すと、一斉に小さなモノたちが跳びはねた。見ると2㎝にも満
ようや
ふ か
はね
たないショウリョウバッタの幼虫だ。卵で越冬して 漸 く孵化したばかりでまだ翅がないため飛べず、
草から草へバラバラと跳ぶ。イネ科の植物を食べながら何回も脱皮を繰り返して成虫になれるのはどれ
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だけいるのだろう(?)。梅雨が明ける頃には「キチキチキチッ」と飛ぶことだろう。(写真C)
正体見たり・・・
先日の失敗を繰り返さないように、そっと綾瀬川からの取水口に近づくと、いたっ! 水止めコンク
リート上に褐色のカエルがジッとしている。逃げられないうちパチリ、パチリとシャッターを押し、望
遠にしてアップで頭部、脚部、尾部を撮ってから、ジックリと双眼鏡で観察する。大きさは7~8㎝、
全体は褐色で頭部の口元の下部は黄緑色、目の横の鼓膜は大きい・・・。予想はしていたが、少々小ぶ
りなウシガエル(メス)らしくガッカリ。池の住人はこの個体だけではないはずなので、いずれ近い
うちに駆除作戦をしなければと思った。(写真D)
トンボ池周辺で
平日の昼下がり、ビオトープはひっそりとして土手道を歩く人もまれだ。トンボ池入口まえのゼニア
オイはもう盛りを過ぎたようだ。扉を開けて池にそっと近づくが、今日はカエルが飛び込む気配はな
い。先日のヤゴ救出作戦の後で池に放したヤゴはもう喰われてしまったろうか(?)。池の水量は変わ
らないが、周囲のフトイ、サクラタデ、シュロカヤツリの群れがまた大きくなったようだ。ここに来
るたびに、何だろうと思いつつ調べていない水辺の植物がある。直立して葉はハート形で互生、ちぎっ
て匂いを嗅ぐとドクタミに近く、花はまだつけていない。ドクダミ科と言えばハンゲショウ(まさ
か!)を思い出すが、昨年まで見たことがない。花をつけるまでもう少し様子をみようか。(写E、
F)
見かけた生き物
鳥
スズメ、カラス、ツバメ、ムクドリ、ヒヨドリ、キジバト、カワラヒワ、カワウ
昆虫
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウ、ナミアゲハ、アオスジアゲハ、
ベニシジミ、ショウリョウバッタ、ナナホシテントウ
爬虫類 カナヘビ(写真G)
両生類 ウシガエル
野草
ハルジオン、ヒメジョオン、シロツメグサ、アカツメクサ、ギシギシ、スイバ、
ヘビイチゴ、セリ、アメリカフウロ、ノゲシ、ケキツネノボタン、ヒルガオ、
コヒルガオ、アカバナユウゲショウ、ネズミムギ、イヌムギ、ヨシ、アゼナルコ、
ミコシガヤ、ヘラオオバコ等々。
写真A カラシナ
写真B カラシナ種
写真C ショウリョウバッタ
7
写真D ウシガエル
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写真E トンボ池
写真F
写真G カナヘビ
草野 美津枝さん
稲荷五丁目~葛西用水周辺
たた
水を湛えた用水の端は、5 月になると、キショウブ、シロツメグサ、ニワゼキショウちょとしたお
たけ
花畑になった。アシの丈もだいぶ高い、もとにはアゼナルコスゲ、ショウブ等がある。
a )は、シロツメクサに寄生する帰化植物である。昨年は対岸の発送センタ
ヤセウツボ(スケッチ○
ー内のみで観察された。しかし今年はこちらの岸にあるシロツメクサにも 2 株あった。気をつけて更
に観ると、工場内のマツヨイグサにもあり、キク科、セリ科、ナス科、フウロソウ科にも寄生すると
あるがマツヨイグサにもある?牧草として栽培されるシロツメクサの収量を減少させる害草として注目
されているそうです。
中旬には、水際のモモイロヒルザキツキミソウに違和感を覚える。
近所の道端には、数年前から、赤いフウロソウが咲き、今では庭一面にあるという。図鑑には、ヒ
メフウロソウ、帰化植物とある。在来種に同名があるものは別属とあった。
オオバコ、ヘラオオバコは知ってはいたが、今年初めてツボミオオバコを見つけた。細い一本づつ
の群れがあり工場の奥には、大株も一株生えていた。
b )、もう 30 年以上も毎年咲い
下旬には、いつも定位置の道路角にビロードモウズイカ(スケッチ○
てくれる。
そうぐう
29 日は、朝一番で門扉に 1.3m位のアオダイショウに遭遇し急いでカメラに写す。続いて昼には、
c )だった。飛べない様子だったの
道路のゴミかと思ったら、羽根の傷んだオオミズアオ(スケッチ○
で庭へ移す。今日は自然満喫日だ。夜 10 時過ぎに見に行った時には、すでに姿は無く飛んで行けたの
であれば良いけれど…
そして月末には、ついに田んぼに早苗が植えられた。
今月の開花は 68 種です。
・ヤエムグラ・カタバミ・コハコベ・在来タンポポ・アメリカフウロウ・ジシバリ
・スズメノテッポウ・オランダミミナグサ・スズメノカタビラ・タネツケバナ・ケキツネノボタン
・カズノコグサ・タチイヌノフグリ・コヒルガオ・ハルジオン・カラスノエンドウ・ツメクサ
・アカツメクサ・ウラジロチチコグサ・マツヨイグサ・アゼナルコスゲ・ミコシガヤ
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・ニワゼキシヨウ・キショウブ・ノイバラ・イヌムギ・ノビル・カモジグサ・オオバコ
・オオイヌノフグリ・ノボロギク・チチコグサモドキ・オニノゲシ・オツタチカタバミ
・ヘビイチゴ・ナガミヒナゲシ・シロツメクサ・チガヤ・ヤブタラビコ・ハハコグサ・ノゲシ
・ノジシャ・ユウゲショウ・ムラサキカタバミ・キュウリグサ・ドクダミ・ホトケノザ
・マツバウンラン・キツネアザミ・タイトゴメ・ギシギシ・コバンソウ・カヤツリグサ
・セイヨウタンポポ・ヨメナ・ヘラオオバコ・ハタケニラ・ムラサキサキゴケ・カラスムギ
・カラクサガラシ・ヒメジョオン・ツボミオオバコ・ビロウドモウズイカ・ノミノツヅリ
・コセンダングサ・ツルマンネングサ・メキシコマンネングサ
・ヒメフロソウ(帰化)(※同名在来種があるが別属)
c
○
オオミズアオ
a
○
ヤセウツボ
b
○
ビロードモウズイカ
近岡 勝夫さん
毎年ながらこの時期、柿の木たんぼに渡来するシギ類を楽しみにしている。近辺の環境は急速に変わ
ってきており、生き物の生態にも大きな影響を及ぼしているが、今年も5月早々に数多くのシギが到来
したのでほっとする。
恒例行事の柿の木たんぼ野鳥観察会(5/12)には、用事があって参加できないので、下見がてら 5/8、
Ⅰ )、ムナグロ、
5/10 に訪れた。すでに田植えも始まっており、その付近ではチュウシャクシギ(写真○
Ⅱ )、コチドリ、キアシシギが見られ、離れた場所にはアオサギ、コサギ、ム
キョウジョシギ(写真○
クドリの小群、キジ、モズが見られた。10 日にはコアジサシ、セッカ、オオヨシキリ、カルガモ。又
Ⅲ )、タシギも見たと写真を
早くもギンヤンマが飛び回っていた。その後、友人からトウネン(写真○
送ってくれたので、非常に珍しいので併せて紹介したい。
トウネンは、全長約 15cm旅鳥として春秋に全国に渡来するが、柿の木たんぼに来るのはまれである。
名前「当年」は成鳥になっても、今年生まれたように見えるところから着いたとか…。
Ⅳ )が渡来したが、残念ながら二日ぐらいで抜
同じ頃、そうか公園に待ちに待ったキビタキ(写真○
けて(移動)しまった。
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その他、そうか公園で見られた野鳥…ツミ(営巣)、クロジ、コゲラ、シジュウカラ、カルガモ、
カワセミ、ゴイサギ、カワウなど。
5/21 葛西用水、青北橋付近でカルガモ親子(ヒナ 10 羽)が、元気よく泳いでいた。近くにいた方に
Ⅴ )ほどらしい。心配されるのは、天敵のカラス、ヘビだが、無事に育って
聞いたら孵化後 4 日(写真○
ほしい。
Ⅵ )が早くも飛び回っていた。
5/上旬、西高校付近のいつもの場所で、ジャコウアゲハ(写真○
数年前から生育場所を、隣の川口市にも広げているが、気になるのは、食草であるウマノスズクサが
少ない事である。
≪確認動・植物等≫
平成 24 年度におけるレポーターさんにより確認さ
れた動・植物等の集計ができました。情報提供のご協
力ありがとうございました。
皆さんの周りでよく見かける昆虫が見落とされてい
る場合があります。報告をお願いします。
今後とも、引き続きよろしくお願い致します。
確認された動・植物等
鳥
植物
昆虫
その他
計
22 年度
69
474
72
3
23 年度
65
456
75
1
24 年度
86
456
57
2
618
597
601
2013年5月号NO.208 自然観察レポーターだより
発 行
電 話
FAX
Eメール
草加市 市民生活部環境課
048-922-1519
048-922-1030
[email protected]
インターネットでも自然観察レポーターだよりをご覧になれます。
草加市ホームページ
http://www.city.soka.saitama.jp
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