A. 身近な異文化 1. 世界中の国々に比べると、日本という国はそれほど大きい方ではない。そんな日本を半分に分けると、東 日本のルールがあったり西日本のルールがある。東日本で通用したルールが西日本だと通用しないといっ た文化の違いが起きる。この文化の違いというのに私は驚いた。わたしはこのような文化の違いというの に昔からとても興味がありました。わたしはあまり文化の違いというのは感じたことがありませんが、こ の文化の違いを感じたことがある人はとても大きなできごとだと思いました。(→「こんなちっぽけな国 で、こんなにバラエティに富んだ地方ごとの文化が……」という感想は、それほど違和感なくみな持つか もしれませんが、 「果たして日本は本当に小さい国か」という話を、6 月ごろにすることになります。 「ふ だんあたりまえと思っていることを、もう一回考え直してみよう」は文化人類学の基本的なスタンスです が、けっこう意外でおもしろい現実が見えてくるはずです。) ○ことば・方言・標準語 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 自分の地元では「あおあざ」のことを「くろち」と呼びます。 私は昨日「青たん」の話題になったのですが、その時初めて、小さな頃から言っていた「黒字(くろじ) 」 が方言であることを知りました。 栃木出身ですが、青なじみという呼び方は初めて聞きました。(→茨城県に近い側だとそう呼ぶそうです が、群馬県に近い側や福島県に近い側はそうではないかもしれません。 ) 私は小 3 から 9 年間京都に住んでいたのですが、周りの友達は確かに「青タン」と言っていたのですが、 小 3 まで東京に住んでいた私は「青アザ」と言っていたので、身近にそういう違いがあるのはおもしろい なぁと思いました。9 年も関西にいたにもかかわらず、なかなか関東弁のイントネーションが抜けず、今 では関東弁のイントネーションと関西弁のイントネーションがごちゃごちゃに混じっています。 沖縄では青あざのことを「アオマー」や「オールー」とか言うので、ここでの呼び方は初めて聞きました。 生まれたころから神奈川に住んでいるのですが、両親の実家が福島で、お正月や夏休みなどに帰省をしま す。そのたびにことばの違いに驚かされます。例えば、ごみを「捨てる」ではなくて「なげる」と言った りしていました。 (→「(ごみを)投げる」はかなり分布域が広いです。福島=東北だけじゃなくて、西日 本でも言うはず。あと、中京圏(名古屋あたり)もかな?) 糸が「絡まる」とか「もつれる」とか言うときに、私の地元(静岡県浜松市天竜区の遠州北というところ に当たります)では「こんがらがる」と言います。「遠州弁」という方言を使っているのですが、どれが 方言なのか認識がないので分かりません。昨日、友人から「 『~だもんで』って何??」とか訊かれました(汗)。 ほかにもいろいろあるみたいです。 ★インプレッションの紙を見ると「何それ?」というのが多数ありました。方言かは分かりませんが、イ ントネーションの違いが気になります。同じことばなのですが、松江と出雲、まったく違います。一番気 になったのが虫の「カナブン」です。これを出雲で聞いたとき、何かわかりませんでした。これも異文化 になりますよね? 「だんだん」を紹介させてもらいましたが……「えのわ」これは分かりますか? こ のことばはまったくわかりませんでした。(→どっちもさすがにわかりませんが(「えのわ」は「帰るよ」 かな?) 、そもそも出雲弁はひらがなで書き表しようがない音がだいぶ混じる気がします。) ★私の地元の青森県では、南部と津軽で大きく 2 つに分かれています。私は津軽出身なので、南部はわか りませんが、まずその 2 つで方言がまったく違います。津軽でも北・南・西・東でさらに方言のちょっと した発音や単語が微妙に違ったりします。例えば私(津軽弁)では「わぁ」 、南部弁では「わい」 。津軽弁 でも地域によって、「多い」「たくさん」を「たげ」「わや」「わっつど」「ずっぱど」など、同じ意味や似 た意味を持つ単語があるのが津軽弁の特徴です。地方出身の私としては、ローカルな授業内容はとても魅 力的です。YouTube などでローカル CM があるので、授業などで流してみたりすると、身近に学べるので 楽しいのではないでしょうか。(→ローカル CM は確かに楽しいのですが、中村がおもしろさを説明しき れない(大阪と長崎しかたぶん説明できない) 、という致命的な欠点があります orz。でも、確かに眺めて いるだけでもおもしろいことは確かなので、興味を持ったひとはめいめい YouTube で動画を漁って観てみ てください。 ) ★大学生になって初めて県外に出ました。静岡には方言がないと思っていたので、方言を指摘された時は 2011.4.21. 前回 4 月 14 日インプレッション(文化人類学-民族誌) http://www.kgu1.juntak.net/2011/index.html 1/3 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. びっくりしました。語尾に「さー」は付けないんですね。御殿場駅で「俺っちクラスの女子でさ」と話し てる男の子がいて、今になって違和感を感じました(すっごい方言が入ってますね)。静岡の東部では、 うち(内)のことを複数形では「うちっち」と言います。住んでいる地域によって「常識」が異なるのは おもしろいと思いました。 異文化というのは、原始人の延長のようなものだと、授業を聞いて思った。方言というのは、原始人の家 族や集落の間で使っていた「その人たちだけにしかわからないことば」が原点なのかなあ、という気がし た。(→はい、その理解で正しいです。「その人たちだけにしかわからない」「その人たちだけがわかって いれば必要にして十分な」ことばです。 ) 自分は静岡県の出身ですが、母親は青森県出身で、初めて静岡に来たときは文化の違いに戸惑ったそうで す。家では標準語で話をしていますが、青森に住んでいる祖母から電話がかかってくると、津軽弁で会話 をしています。それを見て、方言を使い分けることができるということがうらやましく思いました。 ★先生のバイリンガルの話を聞いて、エヴァンゲリオンのアスカがドイツ語を使って母親と話すシーンを 思い出しました。そのドイツ語を聞いて、シンジがアスカと自分の違いを認識するシーンです。この場合 は国レベルの文化ですが、方言でも同じことが言えるのだなと思いました。 ★私は群馬県民なのですが、語尾に「~さ」と言います。最初は言わないように気をつけていたけど、友 達と親しくなるにつれて、お互いの方言を自然と理解して普通に話をしています。友達も自分も最初は「そ のことばおかしいよ」と言われるのが怖かったのだと思います。 言葉づかいが先生と真逆でした。両親ともに関西人で、自分自身も生まれだけは兵庫県です。両親も、家 では関西弁、外では標準語で話していたので、自然と同じ感じになりました。ふとしたときに関西弁が出 ると、わざと使ってるみたいなことを言われ、嫌な気分になったのを思い出しました。 ひとつ疑問があるのですが、標準語はどこが発祥の地なのでしょうか? 東京ですか? (→いえ、明治 30 年代の国語の小学校教科書です。言語学者が作りました。もちろん、東京のことばをそれなりに参考に はしていますが、基本的には「人工的に作った規則的な言語」です。 ) イントネーションは地域によって違うのは納得できますが、ものの名前や呼び方は、そろそろ統一されて きてもおかしくないと思います。先生はあと何年かかると思いますか? (→トキとかパンダレベルに方 言が絶滅するのは、わたしは 60~80 年後=2~3 世代後だと思います。みなさん自身が方言を(聞き取れ たとしても)ほとんど話せなくなっているとすると、その下の世代に方言の「音」が伝わっていく可能性 がなくなります。 ) ○遊びなど 19. 20. 21. 22. 23. 「ケードロ」は小学校の時にはやっていましたが、隣町では「ドローケー」と言っており、身近なところ でもまったく呼び名が違うことに驚きました。 以前大学の授業でジャンケンをする機会があって、5 人くらいでジャンケンをしたのですが、あいこにな ったときの声のかけ方が「せっせのせ」のように聞いたことのない言い方で、自分は「あいこでしょ」と いうようにしてやっているのが普通だったので、これが文化人類学で以前授業をした方言のひとつだと感 じた。ちなみに他の人もそのかけ声にとまどっていて、あいこになったときにそれぞれグー・チョキ・パ ーを出すタイミングがみんな狂ってしまった。 どんど焼きは知ってるけど、書き初めを燃やしている人はいなかった気が……。 自分は剣道をやっているのですが、都道府県や市町村が違うだけで、技の名前が違ったり、使っている道 具の名前が違ったりして、高校生の時に困った覚えがあります。ですが、剣道は誰かが日本のどこかでル ールを決めて広まったはずなのに、どうして変わってしまったのでしょうか。 (→考えられるのは、 「ルー ツが複数ある=○○流の剣道や、××流の剣道でことばが違う」とか、「道具の名前まではルールを決め なかった」とか、ですかね。 ) 自分は田舎出身です。高校は幕張の都会の学校に行きました。友達関係にも違いがあって驚きました。田 舎は「深いつながり」を持とうとしますが、都会は「浅いつながり」重視だったのです。しかも、田舎の 公用語は方言だったと言うことがわかり、同じ県内でも都会との異文化に驚いた経験があります。 ★B. 文化について 1. 2. ★アルバイトで関西出身の方(43 歳)とお話しすることがあったのですが、私が「関西……じゃあ、関西 弁(方言)しゃべれるんですね!!」と言ったら、 「関西ではな、こっちで言う関西弁が標準語やから、向こ うでそんなん言ったら怒られるよ~」と言われました。関西からすれば、こっちは「関東弁」という意味 だと思います。そういうのも文化の違いなんだなと思いました。 ★「文化は人に支えられているし、文化を担うことで人は生きがいを得る」。これを聞いて、被災地域の 2011.4.21. 前回 4 月 14 日インプレッション(文化人類学-民族誌) http://www.kgu1.juntak.net/2011/index.html 2/3 3. 4. 5. 6. 人たちの中で、若い人たちは希望を持てているのに、年老いた人たちが絶望している理由が、なんとなく わかった気がする。 ★自分的には、人と人とがルールを決めてそれが「文化」となり、そのルール(文化)が自分たちの標準 となり、あたりまえなことになる。そして、その決めたルール(文化)から出ると、不安になるのかなと 思いました。 ★人と文化との関わりをこんなに深く考えたことはありませんでしたが、そうなんだ、と発見もたくさん あり興味深いです。なんで地区単位までだとか、すごい細かい単位まで違いがあるのだろうと思っていま したが、やはり自分たちのやり方というか、一番自分たちが安心できる、ホームのような感覚があるから だと気づきました。そして、そう考えると、文化は消えてはならないものであるし、そう簡単に消えるも のではないと思いました! ★私は、文化はその場に蓄積、習得、場合によっては拡散すると考えています。人が集まり、集団になり、 独特のルールが生まれる。そこにまた新しい人がやってきて、そのルールが定着していき、文化になる。 拡散する場合は、その文化を習得した人が移動して広めたり、良い例ではオタク文化はネットに蓄積され ているから、それを習得した人は日本中、世界中にいるんだと思います。文化と人間、その関係性につい て、もっと詳しい知識を学んでいきたいと思いました。 ★★前回 B-2 の質問とその答え(中村註: 「どうしてこんなに分かれたのか?」 「いや、分かれていたのが まとまっている最中」)は納得のいくもので、「なるほど」と思えるものでおもしろかった。そもそもは、 と考えてみると、日本という国の人々が意思の疎通ができることや、外国の人々と難しくはあっても言葉 を交わせることは、奇跡のようなものなのではないかと思う。元々まったく違うことばを相互理解できる と言うことは、イコールで、お互いにお互いの異文化を理解している、と言えるのではないか。 C. その他質問・感想など 1. 2. 3. 4. 流行と文化は同じでしょうか? (→「流行」は「文化」のひとつ、 「文化」に含まれるものです。 「文化」 の方が幅が広い。 ) 授業を聞いているときふと思い出したのが、小田原に来て困っているごみの分別(伊豆→小田原)。そこ で疑問に思ったことがあり、ごみの分別も文化なのかなと考えました。ルール≒文化だから文化なのか? ごみの分別は違うのか……。教えて下さい。 (→文化人類学的には、それも文化になります。 ) 小レポートは PC で書かなくてはダメですか? 手書きではやはり評価が下がりますか? (→わたしの 授業内では特に区別はしませんが、それはそれとして、やっぱり PC で書類を作れるようになっていった 方が、のちのち圧倒的に自分のためにはなると思います。 ) インプレッションの紙、おもしろいです。自分ではまったく気づかないところにだれかが気づいて新しい 発見がある。 2011.4.21. 前回 4 月 14 日インプレッション(文化人類学-民族誌) http://www.kgu1.juntak.net/2011/index.html 3/3
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