きょうと元気な地域づくり応援ファンド支援事業 平成 25 年度 事例集 福祉向上・子育て支援 平成 年 度 採 択 事 業 25 支援者側から提案した福祉事業 たそうですが、1年未満で目標数を達成できるなど、想 制度と現場の狭間で 代表取締役の板倉信太郎さんは、八幡市で福祉相談員 像以上に利用者ニーズがあることを確信したと言いま 「!-brain」では、若年性認知症の方も利用して頂けま として活動されていた経歴をお持ちです。支援者の立場 す。現在、20 名の利用者に4名のサポーターが支援を す。65 歳以下で認知症を発症した方が対象となるため、 から考えた福祉事業を実践するため、平成 18(2006) 行う体制で事業所の運営を行っているそうです。 これまでバリバリ働いていた方が多く、働きたいという 社会参加意欲があるという面で発達障害の方と似ている 年に NPO 法人を設立し、障害者の就労訓練所の運営を スタートさせます。また、個々の事業所で生み出される まず、働く意欲を と言います。就労意欲がある方に介護支援ではニーズが 技術や設備などを総合的にネットワーク化し、就労後の 利用者の方には、 これまで働いて辛かった経験がある、 合わないと感じた板倉さんは、障害者総合支援法として 支援や生み出される手仕事のデザイン性追求など、障害 一度も働いたことがないなど、働きたくても働くことに 若年性認知症の就労支援を行えることがわかり、発達障 ある方々を取り巻く資源ができるだけ社会に組み込まれ 良いイメージを持てないという悩みをお持ちの方が多い 害の方と若年性認知症の方を同じ事業所内で受け入れる るよう、多岐にわたる活動をされています。今回の応援 そうです。板倉さんは、最終的には一般企業に就職して ことにしました。これはあまり前例がないそうですが、 ファンドでは、発達障害に焦点を絞った就労支援を行う 頂けることを目標としつつ、運営する事業所は常に「こ お互いできないところを補い合って得意分野を伸ばして ために平成 24(2012)年に立ち上げた株式会社エクス んな職場で働いてみたい」と思っていただける環境整備 いくという意味で有効で、 今後もニーズが広がるだろう、 クラメーション・スタイルの事業強化のため、設備投資 に心がけているそうです。サポーターの方々の対応や就 と予想しているそうです。また、利用者の年齢層にも幅 と環境整備に取り組まれました。 労後のサポートに加え、内装も常にスタイリッシュで清 が出て、コミュニケーションの良いきっかけにもなって 発達障害の方は、対人コミュニケーションなど社会性 潔感が持てるよう一貫しています。パソコンを使った仕 いるそうです。 に課題のある方が多く、近年社会問題として注目される 事についても利用者からの反応が良く、就労の入口とし 「現場を見ながら制度の使い方、ニーズのつなげ方を わりには支援する事業所が少ないことが課題となってい てどこかクリーンで働きやすいイメージを持たれている 見つけるのが僕の役割」と、板倉さん。福祉業界でも、 たそうです。板倉さんは、能力的には問題がなくても、 のかもしれない、と板倉さん。実際には、関連会社や他 様々な支援制度が充実しているように見えて不十分な面 社会性が問題となって就労しにくい発達障害の方々を支 事業所のホームページ作成、会計業務などを担う中で、 も多く、時には制度の枠を外れてしまう事例もあると言 援するため、持ち前のパイオニア精神で、平成 25(2013) 仕事にするにはまだまだ不十分な面もあるそうです。し います。そういったケースもきちんと受け止め、かつ、 年に新しく発達障害者専用の事業所「!-brain」を立ち上 かし、興味がある分野や得意な分野にはストイックに取 事業性を確保しながら支援を続けたい・・・板倉さんは げます。これまでは、八幡市と京都市中心部の活動がメ り組む傾向が見られ、プロとして十分な職能をお持ちの 現場のニーズを見逃すことなく確実に拾い、次の展開、 インだった板倉さんは、その間を取って伏見区で新たに 方もいらっしゃったそう。そういった方が、クライアン 拠点を持つことにしました。結果的に近鉄や地下鉄での トのニーズを上手にくみ取って自立した仕事ができるよ アクセスが良く、障害者手帳所有者は公共交通の福祉割 う、 少なくともわからないことを聞けるようになるなど、 引が利用できることも後押しとなり、京都市北区や宇治 最低限の社会適応能力を身につけることができるように 市など遠方からも利用者が通ってくださるようになった サポートしています。 定して、軌道に乗るまで1~2年はかかると予想してい 障害ある中でも得意分野を活かしあいながら 社会性を培う と言います。口コミで利用者に開設情報が届くことを想 「!-brain」の分身作りにも着手し始めていました。 対人コミュニケーションを培うソーシャル・スキ ル・トレーニングの様子 株式会社 エクスクラメーション・スタイル いたくら し ん た ろ う 代表取締役 板倉 信太郎 さん 発達障害の方の特性を生かした 25 パソコン作業を通じた就労支援強化 case 事 業 概 要 株式会社 エクスクラメーション・スタイル 「!-brain」では、一般企業に就職した後も何か困り事 就労支援の拠点「!-brain」 http://www.ex-style.co.jp 代表:代表取締役 板倉信太郎 業種:障害福祉サービス業 創業:平成 25(2013)年 設立:平成 24(2012)年 住所:〒 612-8451 京都市伏見区中島北ノ口町 1 番地 ルビラ1階 TEL:075-644-4365 FAX:075-320-2645 があった時の相談窓口として、利用者、雇用者の両方へ のサポートを行っています。発達障害については、雇用 する企業側でも正しく理解している方がまだまだ少ない そうです。周りに障害について十分理解されないまま大 人になってしまった方も多く、企業側も正しい知識を持 ち、障害に応じた適切な対応が求められるそうです。 板倉 信太郎さん 52 53
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