資料1 浜松市行財政改革推進審議会資料 商 工 部 1 所管の事務概要について (1)部局及び外郭団体の組織図・職員数 ① 商工部の組織 商工部の組織は、商工課、中心市街地活性化事務局、労政課、観光コ ンベンション課、公営競技事務所の5課80名で構成されている。 ② 外郭団体 商工部の所管する主な外郭団体は、 (財)浜松地域テクノポリス推進機 構、 (株)浜松都市開発、 (財)静岡県西部地域地場産業振興センター、 (財) 浜松観光コンベンションビューロー、 (財)浜松市勤労福祉協会の5団体 である。 ※別添資料1−1参照 (2)所管する部内の問題点及び改善策 ① 地域経済の振興 ア 企業誘致の積極的な促進 都市間競争が激化する中、広域合併により企業誘致用地が新たに確 保されるなどの環境変化に対応し、今後の本市の経済基盤確立のため にも、市内外からの企業立地を積極的に推進していくことが求められ ている。 【 改善策 】 本市では、平成15年4月に浜松市企業立地促進事業助成制度を制 定し、県の助成制度を補完する形での市独自の企業誘致促進策を設け たところであるが、今後とも、県の企業誘致推進部局との協力体制を 強化するとともに、市における企業誘致体制を強化し、都市間競争に 対応していく。 イ (仮)浜松市産業支援センターの整備 中小製造業の多くが下請企業で経営基盤も脆弱であり、営業力や販 売力が弱いといった問題点を抱えている。中小企業に不足しているの は、販路の開拓、資金調達、人材の確保等であり、これらに対する総 合的な支援が必要とされている。 【 改善策 】 − 1 − (ア) 浜松市産業情報室の機能を拡充し、地域の産業支援の拠点として 位置付ける「(仮)浜松市産業支援センター」の整備方針について平 成17年度内に基本的な考え方をまとめる。 (イ) 平成18年度には起業家創出支援、人材育成、知的財産戦略等の 重点施策を着実に推進するための「浜松市創業都市構想」を策定し た上で、 「(仮)浜松市産業支援センター」の平成19年4月からの稼 動を目指す。 「創業都市構想」の考え方 新市における産業構造の実態と課題を把握するとともに、政令指定都 市に向け、これまでの支援機関の有機的な連携と支援メニューの拡充、 さらには人的充実も含めた総合的な産業支援の具体的な仕組みを「浜松 モデル」として構築する。 ウ 次代を担う産業人材の育成 地域経済の発展や産業振興において核となるのは「人材」であり、 2007 年問題に象徴される優秀な技能者等の不足に対応するため、技 能・技術を継承する仕組みや中・長期にわたる人材育成が求められて いる。 【 改善策 】 (ア) 起業家精神啓発事業 実際に起業した方を講師に迎え、小・中学生の早い段階から、も のづくりへの関心を高め、起業家精神の醸成を図る。 (イ) 浜松 MOT ビジネス講座 技術者が企業経営を、経営者が技術マネジメントを学ぶ技術経営 を軸に、大学や商工会議所と連携したビジネス講座を実施し、本地 域に適合した産業人材育成システムを確立する。 (ウ) 浜松版マイスター制度 「団塊の世代」の熟練技能者の多くが退職期を迎えることに伴う、 技術や技能の継承、製造現場における中核人材の育成等の課題に対 する支援制度(浜松版マイスター制度)を検討する。 エ 新技術・新産業を誘発するための取組み 浜松地域が持続発展的な活力を維持するためには、地域発のベンチ ャー企業が次々と生まれる環境を創出することが必要であり、産学官 − 2 − 連携に対する支援体制の充実強化、並びにインキュベート施設の整備 等が不可欠である。 (ア) 大学連携型インキュベート施設整備事業 中小企業基盤整備機構が整備・運営する施設において、地域の大 学・研究機関が持つ知的財産や地域企業が持つ技術シーズを活用し て、大学発ベンチャー企業等の育成や、中小企業の新事業展開の促 進を図る。(平成18年 6 月施設オープン予定) (イ) 浜松ベンチャービジネスエイド推進事業 起業・創業・事業化を考えている市民を対象に、ビジネスコンテ ストの実施はもとより、事業計画の立案段階から市場・販路の開拓に 至るプロセスを総合的に支援する。 (ウ) 浜松市産業情報室の機能充実 浜松市産業情報室を、産業支援機関・大学・公設研究機関等の緊密 なネットワークと連携により中小企業をサポートするための拠点と して位置づけ、段階的に機能と体制を拡充していく。 (エ) ビジネスマッチング事業 コーディネーターが企業を訪問し、そのニーズや課題に対するア ドバイスに加えて、販路開拓や人材紹介等のマッチング(仲介)事業 を実施する。 ※ 別紙資料1−2参照 オ 観光・コンベンションの振興 中国をはじめとするアジア諸国などの経済成長や、グローバリゼー ションの進展などによる国内、及び国際的な都市間競争が激化してい るなか、浜松市が勝ち残っていくためには、今ある資源、強みを最大 限に活用した都市戦略が求められている。 こうしたなか、観光・コンベンションを重要な産業と位置付け、市 内外から多くの観光客を呼び込むため、新市の観光コンテンツを積極 的に活用した観光振興、及びコンベンション誘致等を図っていくこと が必要である。 政令指定都市移行に向け、新市域のネットワーク化と一体感の醸成 を図りながら、地理的条件、地域文化、交通インフラに加え、ものづ くり産業や農林水産業など本市の持つ産業特性を観光関連施策に結び つけて、地域の持続的な発展を図っていくことが重要である。 ※ 別紙資料1−3参照 【 改善策 】 − 3 − (ア) 観光ビジョンの策定・展開 平成19年度の政令指定都市移行に向け、平成17・18年度の 2年間で新市の観光ビジョンを策定し、新市の一体的な戦略計画を 構築するとともに、体系的・総合的な観光施策を推進する。 (イ) 広域観光・産業観光の推進 本市の有する観光資源の整備・活用を図るとともに、広域的な観 光ルートの整備を進め、滞留性・周遊性の向上を図る。 また、繊維、楽器、輸送用機器といったモノづくりの産業資源を 食や自然、そして音楽などと結びつけた産業観光を積極的に推進す る。 (ウ) 観光情報提供の充実 観光客やイベント・コンベンションの誘致を促進するため、 「浜松 だいすきネット」や観光パンフレット等の情報ツールの充実により、 観光宣伝・情報発信をさらに積極的に行う。 (エ) もてなしのまち・浜松 来訪者に対するもてなしを市民が普段から意識し、表現し、自ら 実践する市民運動を展開することにより、来訪者が安心して快適に 過ごせる国際コンベンション都市の実現を目指す。 (オ) コンベンションの推進 コンベンションは、地域に及ぼす経済波及効果の大きいことから、 セールス活動の充実、ICOS の活用などのサポート体制の強化、イン センティブの付与等により、その積極的な推進に努める。 カ 勤労者福祉と雇用対策 少子高齢化社会の到来と相まって、安定的な労働力の確保と雇用の 場の創出は大きな課題であり、特に近年のニートやフリーターなどの 若年者への対応をはじめ、高齢者、障害者の雇用環境を整備し、勤労 者福祉の向上にいかにつなげるかが課題となっている。 【 改善策 】 (ア) 相談事業・セミナーの実施 労働相談、就職相談、高齢者職業相談などのほか、障害者就労支援 相談などを行う。 また、障害をもつ方のためのキャリアアップや就職に役立つ能力 開発のための職業リハビリテーション事業を行い就労支援を促進す る。 (イ) 障害者等の生活・就労支援への取りくみ − 4 − 緊迫した雇用環境の中で最も影響を受けやすい就労弱者である障 害者の相談事業を行う障害者就労支援センターの活動を一層充実す るほか、無料職業紹介所の調査研究を進め、雇用対策につなげる。 ② 中心市街地の活性化 ・都心人口の減少と高齢化が進展している ・就業人口が減少している ・郊外大型店が増加する一方で都心商業のシェアが低下している ・都心大型店の破綻・退店が表面化している ・土地価格の下落など都心の評価が相対的に低下している ・中心市街地の存在意義の共有化が出来ていない ※ 別紙資料1−4参照 【 改善策 】 政令指定都市にふさわしい都心形成を進めるため、 「中心市街地における 市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」に基づ く新たな中心市街地活性化計画を策定するとともに、官民一体となって計 画を着実に実行していく。 ア 都心再生の視点 都市間競争に打ち勝ち、将来に向けて自立する都市経営を確立して いく。 ・道路・下水道・公共交通・オフィスなどの既存ストックを活用した 効率的な都市経営の推進 ・持続発展に向けた税収入を確保のためにも都心が重要 ・人、企業から選ばれる都市としての魅力ある都心の存在 イ 計画の基本方針 政令指定都市にふさわしい都心の形成 ∼民間投資が誘発される浜松の都心づくり∼ ウ 計画の体系 ・都心産業の育成 ・都心商業の誘導 ・都市ブランドの構築 ・都市交通システムの再構築 ・都心生活空間の創出 エ 計画の推進 都心機能の集積を図るための、民間活力を促進させる戦略的な事業 展開の構築 − 5 − ・規制緩和 ・インセンティブ 構造改革特区、地域再生の導入 優遇税制、支援・奨励制度の創設 ③ 特別会計・企業会計 ア 小型自動車競走事業 浜松市のオートレース事業は今までに約800億円を一般会計に繰 り出し、市の財政に貢献してきた。しかし売上げは平成4年度をピー クに減少を続け、平成12年度を最後に市への繰出しができない状況 である。 【 改善策 】 (ア) 浜松オートレース事業経営健全化計画の推進 平成14年2月に「浜松オートレース事業経営健全化計画」を策 定し、経費の削減(従業員賃金、委託料、選手賞金等4年間で約 12億円を削減)と誘客・売上増対策(単独の衛星放送実施、新投 票法(三連単等)の導入等)の両面から健全化を進めてきた。 これらにより、計画を上回る経費の削減ができたが、売上の減少 が大きく、結果としては平成15・16年度と2年連続で単年度収 支の赤字となった。 入場者・単年度収支等の推移 H12年度 入場者 発売収入 768,188 (単位:人、千円) H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 705,186 623,990 520,717 509,021 25,809,969 22,464,393 20,698,922 17,100,991 16,464,186 単年度収支 169,313 △3,569 18,607 △271,270 △186,616 一般会計繰出金 100,000 0 0 0 0 (イ) 構造改革の実施 平成17年度は業界全体での構造改革に取り組んでいる。 ・本場開催の削減、他場での場外発売及び受託の場外発売の増加、 競走会の統廃合、衛星放送の集約化、選手賞金の大幅な削減 (ウ) 浜松市オートレース事業検討委員会の設置 平成17年4月20日に学識経験者等7人の委員による事業検討委 員会を立上げ、下記の事項を諮問し、今後についての合意形成を図る こととした(12月に答申の予定)。 ・収益性、経済効果、地方財政への寄与などを考慮した存廃の判断 ・存続する場合、具体的な経営改善方策等 ・廃止する場合、その時期及び円滑な処理方針等 − 6 − イ 国民宿舎事業 国民宿舎浜名湖かんざんじ荘は昭和37年に大草山山頂に静岡県の 施設として開業し、昭和62年に浜松市に移管された後、施設老朽化 のためリゾート型国民宿舎として平成3年4月にリニューアルオープ ンした。オープン当初は好評を得、全国の国民宿舎のなかでもトップ クラスの利用客数を誇ったが、長引く景気の低迷と観光ニーズの多様 化などにより、ここ数年の利用客数は減少を続けている。さらにリニ ューアル建設時に借り入れた企業債の元利償還の負担も重く、年々累 積欠損金が拡大している。 【 改善策 】 (ア) 経営健全化策 ・新メニューの開発やセールス活動の強化等による利用者増加対策 ・人件費や光熱水費及び仕入れコスト等の経費節減対策 (イ) 民間活力の導入 ・指定管理者制度の導入 ・民営化 (3)部外(市全体)の問題点及び改善策 ① 大規模小売店舗の郊外進出による中心市街地や中小商店街への影響 郊外において、工場移転後の広大な土地が大規模小売店舗の出店用地 として活用される現状があり、様々な中心市街地活性化策を講じている にもかかわらず、中心商業地等の地盤沈下が止まらない一つの要因とな っている。 【 改善策 】 国において「まちづくり3法(中心市街地活性化法、都市計画法、大 規模小売店舗立地法)」改正の動きがあることから、この動向を見極め、 郊外における工場跡地等への大規模小売店舗出店に対する対応策を検討 していきたい。 ② 企業誘致に関する総合的な支援環境の整備 起業家精神に溢れ、産業都市としてのポテンシャルと優位性を活かし、 ナンバーワン・オンリーワン企業が集積する魅力ある都市を実現し、さ らには安定した就労社会を実現するため、居住環境や道路、教育、税制 を含んだ総合的なインセンティブの構築が必要となる。 − 7 − ③ 交流人口の拡大 21世紀に入り、社会・経済のグローバル化が進む中、情報や人の移 動・交流が伴う観光・コンベンションの分野が重要な産業分野となって きている。 様々な目的を持った人や、モノ、情報、文化が集まり、交流し、活動 することは、経済を活性化させるばかりでなく、魅力的な街づくり、文 化振興などの市民生活の向上にもつながるなど、都市政策を進める上で 不可欠なものとなっている。 本市においても、浜松の持つ可能性や地域資源、特性を最大限に活か すととともに、街づくりや魅力づくりを来訪者の視点からとらえ直し、 市民、企業、行政が一体となって都市の総合力を発揮することにより、 観光交流を推進し集客力を高めていく必要がある。 2 行政改革推進の考え方、民間委託の推進、定員管理の方針 (1)行財政改革推進の考え方 右肩上がりの経済成長によって肥大化した行政体を、今日の時代に合 ったコンパクトで質的に高い行政体に変革すると同時に、地方分権の進 展や三位一体改革、さらには政令指定都市移行といった状況変化の中で、 経済的に自立した、強い自治体を構築する。そのためには職員自身が新 たなまちづくりに燃え、意識と行動の転換を図ることこそが行財政改革 への近道である。 ① 職員が危機意識、改革意欲を共有すること。 ② 職員の能力を最大限に引き出すための人事管理が必要。 ③ 事業のスクラップアンドビルドや民間委託を実施するためには、当然な がら事務事業評価を重視し、この結果を予算及び職員配置に反映してい くシステムの構築が必要。 ④ トップの方針を的確に履行するため、必要に応じ政策形成能力に優れた 職員による市長直属の部局横断的組織を編成する。 ⑤ 厳しい都市間競争に打ち勝つためには財政基盤の強化を図ることが最優 先であり、持続的な地域経済発展のため、将来の歳入増加につながる産 業振興施策に力点を置いた予算配分が必要。 (2)民間委託の推進 簡素で効率的な行財政運営という視点に立てば、民間の持つ柔軟性や スピード、顧客本位といったノウハウを行政サービスに活用することは − 8 − 当然であり、これまでの事業や仕事を抜本的に見直し、政策の効果や住 民ニーズを分析したうえで、既存事業の思い切ったスクラップアンドビ ルド、民間委託や民営化を積極的に推進していく必要がある。 ① 民営化や指定管理者制度の導入に際し、部局単位だけでなく全庁的な見 地から、類似した業務や施設管理等のアウトソーシングを共同して進め る。 ② 特定の事業を抽出し、シンクタンクや NPO を始め民間の第三者に事業評 価を依頼し、事業の見直し作業を行う。 ③ 外部委託等について、費用対効果・効率性を重視するものと、協働・住民 参加などの政策目的を重視するものに分類する。 (3)定員管理の方針 政令市移行に伴う事務量の増加を吸収し、なお且つ適正な職員数への 削減を進めるためには、事業の見直しや統廃合による組織の簡素化と、 民間活力の導入や職員のモラール向上を図ることによる組織の活性化が 最も重要である。 ① 仕事が増えるから人も増やすという発想を改める。 ② 複線型の人事制度の導入や自己申告制を取り入れることにより、職員の 専門性をより高め、多様な市民ニーズに応えるとともに職員の配置、流 動性を高める。 ③ 中間管理職のマネジメント能力向上のための教育、訓練を強化する。 ④ 人員配置については、全ての部・課の職員を削減するのではなく、政策 の重点化によりマンパワーを集中すべきは積極的かつ柔軟に行う。 − 9 −
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