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塩見クリニックニュース
2015 年 5 月
68 号
塩見クリニック
塩見精朗
高知市六泉寺町 87-5
℡088-805-0002
生活習慣病(成人病)の一つに「脂質異常症(高脂血症)」があります。脂質とはコレス
テロールや中性脂肪のことで、コレステロールは体の細胞やホルモンを作るのに必要であ
り、消化液の成分にもなります。中性脂肪はエネルギーとして使われます。しかし体の中
に過剰に存在すると、血管の壁に沈着し「動脈硬化」の原因になります。動脈硬化が進む
と血管が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞になる可能性があります。死因の第 2 位が
心疾患、第 4 位が脳血管疾患で合わせると日本人の 4 人に 1 人が亡くなる原因になってい
ます。生活習慣病である糖尿病は高血糖になると、口渇、多尿、体重減少などの症状が現
れます。高血圧症も血圧が高くなると頭痛、頭重感、めまいなどの症状が現れることがあ
ります(糖尿病や高血圧も動脈硬化を引き起こします)。しかし脂質異常症は血中の脂質がかなり高くても自
覚症状はありません。健診などで血液検査をした時に診断されることがほとんどです。動脈硬化自体も症状が
出るような病気ではないので、狭心症、心筋梗塞、脳卒中になって初めて気づくこともあります。
脂質異常症と診断される数値は右図のようになりますが、
トリグリセライド(中性脂肪)は前日の食事や飲酒に影響さ
れやすいので、12 時間以上絶食後空腹時の血液検査が正確で
す。脂質異常症は遺伝でおきることもありますが、多くは食
事が要因となっています。過食、高脂肪食に気をつけて適正
な食生活が重要です。下図のようなコレステロールを上げるような飽和脂肪酸が多い食品は控えめにし、コレ
ステロールを下げる働きのある不飽和脂肪酸を多く含む食品を積極的に摂るようにして下さい。
食事とともに重要なのが運動です(上図)。
生活習慣病の予防は毎日続けることが大切
なので、気軽に体を動かす気持ちで行うこ
とです。家事もりっぱな運動といえます。
体を壊さないように体操をとりいれたり、
汗をかいたら水分を摂ることも大切です。
家族性高コレステロール血症という遺伝性の病気があり、黄
色腫というしこりができたり、アキレス腱が厚くなったりしま
す。若年性冠動脈疾患を発症しやすいという特徴もあります。
タバコの脂質に対する害には、善玉コレステロールを下げ、
中性脂肪を上げ、動脈硬化を促進する働きがあります。
お酒の飲み過ぎ(日本酒 1 合かビール中瓶 1 本以上)は中性
脂肪を増やします。中性脂肪が極端に高い場合には急性膵炎を
おこすことがあります。
脂質異常症の治療の基本は、日常生活で食事に気をつける、
お酒を飲み過ぎない、運動をする、喫煙しないことですが、そ
れでも血中脂質の高値が続く方、家族性高脂血症の方、動脈硬
化性疾患にかかった方は内服薬での治療が必要になります。
脂質異常症、加齢(男性 45 歳、女性 55 歳以上)、高血圧、糖
尿病、喫煙、冠動脈疾患の家族歴などの方は動脈硬化になって
いないか検査をお勧めします。当院でも検査を行っています。
5 月の臨時休診日は、5 月 3 日~5 月 6 日のGWのみです。