水稲・移植栽培

A.
Ⅰ
水
稲
水稲移植栽培
1 育 苗
1) 播 種
(1) 種籾準備
① 選
種
② 種子消毒
③
④
:塩水選を行う。塩水選の比重は粳は1.13とし糯は1.08とする。
:ばか苗病、いもち病、細菌病(もみ枯れ細菌病、苗立枯れ細菌病)対策として、種
子消毒を行う。(薬剤・方法は県防除基準に準じる)
:消毒済み種子を12∼15℃の水温で7∼10間浸種。その間2∼3日毎に水を交換する。
:催芽機を用い30℃ではと胸状態に催芽する。
浸種
催芽
(2) 播種
① 播種期
:稚苗 4月22日(移植日5月15日)、中苗 4月15日(移植日5月20日)
② 播種量
:稚苗 150∼180g/箱・乾籾、中苗 100∼120g/箱・乾籾
③ 出芽温度 :加温出芽を基本とし、出芽温度は30℃とする。
(3)苗病害防除
① 苗立枯病防除:苗立枯病対策として、殺菌剤の播種時潅注を行う。
② 細菌病防除:種子消毒で細菌病対策を行わなかった場合、薬液の播種時処理、薬剤の培土混和等
により防除する。
③ 薬剤・方法は県防除基準に準じる
2) 床 土
(1) 人工培土 :稚苗は稚苗用人工培土を使用する。中苗は中成苗用人工培土を使用する。
育苗箱には、床土20㎜、覆土5㎜を基準とするが、各育苗培土の使用基準(施肥の有無
等)に準ずる。
(2) 自然土
:火山灰土又は沖積土の水田または畑の土を使用する。握って固まらない程度に乾燥し、
3∼4㎜の篩で調製する。
自然土を利用する場合、以下の基準により肥料を混和する。
◎ 床土施肥量(成分量 g/m)
土
壌
火山灰土壌
沖積土壌
(3)
追
肥
窒
素
2
2
リン酸
加里
3
2
苗代1号の場合
2
2
33g
床土は約3.2㍑/箱の施肥量として混和。覆土は施肥の必要はない。
◎ 育苗時の追肥と移植時の窒素濃度の目標
苗 種 類
稚
中
苗
苗
追 肥 時 期
追
肥
量
1.5∼2.0葉期
2.5∼3.0葉期
N成分1g/箱
N成分1g/箱
移植時窒素濃度の目標
3.5%以上
4.0%以上
3) 育苗管理
ビニールハウス育苗を基本とし、育苗日数は概ね、稚苗23日、中苗35日を目安とする。
(1) 緑化
ハウス等へ置床後2∼3日間は、不織布、寒冷紗等で、適度に遮光しながら管理し、自然の緑色の
状態にする。この期間は遮光率50%で2∼3日を基本とする。出芽直後の苗を強い直射日光に当てる
と、苗に白化現象が生じることがあるので注意する。
※白化現象:出芽後第1葉展開頃までの期間の低温への遭遇、又は出芽日数が長くなり、芽の伸び過
ぎた苗を急に強い直射日光にさらした場合に、苗に葉緑素が形成されないまま、白化し枯死するこ
とがある。
(2) 硬化
本田の生育条件に適応できる丈夫な苗にするための管理。
緑化終了後、日中は徐々に外気にならし、移植に適応する苗に育てていく。
(3) 水管理
① 播種時
播種前に床土が充分飽和するようにかん水する。ただし、薬剤の希釈液の潅注量を
考慮し、箱内が水分過多にならないように留意する。
② 出芽期
基本的に播種時のかん水で充分であり、出芽期間のかん水は不要。
③ 緑化期
1日1回のかん水を基本とする。
④ 硬化期
かん水は基本的に1日1回で十分である。苗が大きくなり気温が上昇してくると、
蒸散量が大きくなり、1日2回のかん水が必要となる場合もある。
2回目のかん水量はしおれ防止程度とし、過かん水とならないよう注意する。
2 本 田
1) 本田準備
(1)有機物の施用:完熟堆肥1.2t/10a施用を基本とする。
生ワラ施用圃場では、腐熟促進資材を散布し秋耕を行う。
(2)土壌改良資材:リン酸及び珪酸等土壌改良資材については、土壌診断を前提に耕起前に散布する。
(3)畦畔補修
:畦畔漏水防止のため行う。
(4)耕起・代かき:耕起は、耕深15cmを目標にロータリー耕を行う。
代かきは入水して荒代をかき、さらに3∼4日後に植代かきを行う。
2) 施肥
(1) 施肥量
◎ 基本施肥量(kg/10a)
窒
基
追
肥
肥
素
6.0
2.0
リン酸
7.0
−
加
里
10.0
2.0
(2) 施肥法
基肥は耕起前施肥を基本とする。耕起後施肥の場合、肥料散布後早めに入水・代かきを行う。
追肥は、品種別栽培法により幼穂形成期または減数分裂期に施用する
3) 田植
(1) 田植時期
:稚苗 5月15日、中苗 5月20日 頃を標準とする
(2) 栽植密度
:30cm×15cm
22.2株/m を標準とする。
(3) 一株植付本数:稚苗4∼5本/株、中苗3∼4本/株程度を目安とする。
4) 本田管理
(1) 水管理
① 移植後活着までは5∼6cmの深水とし、その後は低温や強風時を除き2∼3cmの浅水とする。
② 入水は朝を基本とし、日中は止め水管理とする。
③ 有効茎数確保後中干しを実施する(6月下旬∼7月上旬)。大区画水田、排水不良圃場は溝切りを
行う。中干し後幼穂形成期までは間断灌水とする。
④ 幼穂形成期以後、前歴深水管理を基本とし減数分裂期は15∼20cmの水深を確保する。
⑤ 出穂1週間後までは湛水条件で管理し、その後は間断潅水とする。
(2) 雑草防除
① 一発剤の一回処理を基本とする。
② 移植前の除草剤処理は基本的に行わない。
③ 使用除草剤、処理方法、処理時期は県防除基準に準じて行う。
(3)
病害虫防除
① いもち防除
:予防防除を基本とする。使用薬剤、処理時期は県防除基準に準じて行う。
葉いもち
基本的の体系
②
5)
穂いもち
粒剤の移植前処理
又は
粒剤の水面施用
(6月20日頃)
粒剤の水面施用
(薬剤により
出穂20∼5日前)
その他病害虫
その他病害及び害虫防除は、発生状況に応じ対応する。
収穫・調製
坪刈調査用は刈り取り後、稲架にて2∼3週間乾燥し、脱穀調製する。
全刈調査用は成熟期に達してからコンバイ刈取り、乾燥機で乾燥し、調整する。
【 参考図表 】
◎
育苗の目標
苗の種類
苗の葉数 育苗日数 播種量
(葉)
(日)
(g)
草丈
(cm)
苗乾物量
(g/100本)
第1葉鞘 窒素濃度
(cm)
(%)
稚
苗
2.5
20∼25
180-200
12∼13
1.0-1.5
3.5-4.0
1.5以上
中
苗
3.5
30∼35
100-120
13∼15
2.0-2.5
2.5-3.0
4.0以上
◎
発
稚苗育苗の発芽適温
芽
温
度
芽が出る(ハト胸)までの日数
幼根が出るまでの日数
◎
28℃
30℃
32℃
34℃
2.3
2.8
1.9
2.6
1.6
2.1
1.8
2.2
はと胸状態
◎
育苗様式毎の必要種子量・箱数等
育苗様式
項目
稚
苗
中
散播・条播
㎡当たり株数
4
1箱当播種量
180g
10a種籾量
・ハト胸状態とはAの様な形の時をいう。
・BやCの状態のものをハト胸と呼んで
播くことが多いが、これらは正しいハト
胸期を過ぎてしまって伸ばし過ぎ。播く
ときに根や芽の先が傷ついたり、折れた
りして生長のリズムが狂い、出 芽ムラに
なり易い。
型
成
枠
苗
散播・条播
21∼24株
1株植付本数
10a箱数
苗
散播・条播
22
本
箱
3∼4
3∼4
3∼4
100∼120
60∼80
70
32
3.5∼4㎏
40
◎育苗管理の要点
◎本田水管理の要点
減 数 分 裂盛 期
警 戒 態 勢時 1 5 cm以 上
水深
15c m
減 数分 裂
初 期
10c m
減 数分 裂
終 期
注 意 体 制時 1 0 cm以 上
幼 穂
形成 期
出 穂 ・ 開花 期
5cm
中 干し 後
間 断 か んが い
前 歴深 水 か んが い
( 初 期は 4 ∼ 6cm、
そ の後 徐 々 に水 深
1 0c mに す る。 )
出 穂 まで の
おお よ そ の日 数
23日
幼 穂 形成 期
[ 平 年の 期 日 ]
北 上川 上 流 ・下 流
北部 、 下 閉伊 、
東南 部
16日
低温 が 全 く心 配 な い場 合
間 断 か んが い
7日
間 断 か んが い
浅 水管 理
(初 期 )
11日
減 数 分裂 期
(盛 期 )
0日
出穂 期
(終 期 )
7/1 9
7/2 6
7/3 1
8/ 4
8/1 1
7/2 2
7/2 9
8/ 3
8/ 7
8/1 3