西室社長記者会見要旨 日 時:平成19年2月27日(火 - 東京証券取引所

西室社長記者会見要旨
日
場
会
時:平成19年2月27日(火) 午後2時00分∼午後2時45分
所:東証 ARROWS プレゼンテーション・ステージ
見 者:代表取締役社長 西 室 泰 三
西
室 まず最初のテーマは、取引参加者の合併等に関する承認手続きの整備
等についてであります。これはお手元に資料がございますけれども、ご
承知のように、先月もみずほ証券さんと新光証券さんが合併するという
発表がございましたし、環境の変化が非常に激しくなっております証券
業界で、これから先、合併とか、あるいは組織の再編とか、提携とか、
そういうものがいろいろ活発化してくるだろうという状況にございます
ので、取引参加者の方々が合併、組織の変更、あるいは提携も含めてで
すけれども、そういうことをなさる先に、私どもの承認手続きについて、
しっかりと整備を見直しておこうと、こういう意図でございます。
もちろん、取引参加者の方々が合併等を行う場合には、現在でも私ど
もの承認審査を受けていただいておりますし、実際の審査申請手続き、
あるいは審査内容につきましては、運用上はすでに固まっております。
つまり、そのやり方については、いわば公知の事実だということでござ
いますけれども、しかしながら、それをはっきりとルールとして明示し
てこなかったということもございまして、今回これを明確なルールにす
ることにいたしました。そして、審査手続きというものをはっきりとル
ールに基づいて円滑に進めていきたいと思っております。
それから、取引参加者の方々の経営実態について、より適切に把握し
ておく必要があるという観点から、例えば取引参加者が他の会社の子会
社になるとか、そういう支配関係に大きな変更があった場合には私ども
に報告していただく、といった報告制度についても充実させていただき
たいということであります。
それから実施時期ですけれども、これは本日のうちにパブリック・ヒ
アリングにかけて、5 月には実施をしたいということであります。
次の話題、2点目は、立会外分売の見直しについてであります。これ
は、通常の売買立会では円滑に約定させることが難しいほどの大量の株
式について、売買立会によらない売却をする手段を用意するというもの
であります。この方法によりますと、1回の売却で個人株主を多く増や
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せるということもございますので、主に株式保有の分布状況を改善する
ために、つまり株主さんの数を増やすというために利用いただいており
ます。特にここ数年、個人投資家の皆さんの間で人気化したこともござ
いまして、件数は年間で 50 件を大きく上回っているという状況でありま
す。
実際には売却を担当する取引参加者から、私どもに対しまして必要事
項を届け出ていただくわけですが、こうした手続きの簡便性もあって、
ここのところ、ごく一部ではありますけれども、本来の趣旨を逸脱して
いるような動きも見えますことから、こういう制度が悪用されてはいけ
ないということで、不適正な取引が行われることがないように、私ども
が売買管理上、適当ではないと認める場合、つまり、それは例えば短期
間に何回も実施しようとしている、あるいはインサイダー規制上の重要
事実に係る開示を行って間もない時期にこれを実施するとか、そういう
場合には立会外分売の実施を認めないことを明示的に示していきたいと
いうことであります。
なお、これらは現在も運用ベースでは、証券会社に対し注意喚起を行
っている内容でありまして、実際にはこういう形で運用しておりますけ
れども、今般、これも明示的に制度の手当てをすることで、ルールを明
確にするという趣旨でございます。
これも先ほどと同じで、パブリック・ヒアリングを経まして、4月に
最終的に詳しく制定して、5月から実施となります。
3点目は、いわゆるBCP(ビジネス・コンティニュイティ・プラン)、
つまり、これは緊急時事業継続計画とも呼ばれておりますけれども、こ
れにつきまして、所要の見直しを行うということであります。これは、
自然災害等が起きたときに、証券市場全体のBCPがいかにあるべきか
ということで、もともと日本証券業協会さんの「証券市場BCP協議会」
というのがございまして、そこで検討を行ってまいりました。そのうち
の取引所取引に関しては、今申し上げた同協議会の下部組織に「取引所
取引専門部会」というのがありまして、昨年の9月ごろだと思いますけ
れども、今後の課題等をまとめた報告書がすでに公表されております。
その報告書の中で、私ども東証に示されました課題は、大きくいって 3
つあると理解をいたしております。まず一つ目は、売買機能について再
開・復旧の目標を明確にすること。二つ目は、バックアップ体制を強化
すること。三つ目は、現在のコンティンジェンシー・プランを売買の実
態に即して見直すことであります。
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いずれも極めてもっともなお話でございますけれども、そのうちの再
開に関しましては、「事象の発現後おおむね 24 時間以内」という明確な
目標を掲げたいと思いますし、バックアップ体制の強化に関しましては、
「プライマリーサイトと同時に被災しないような立地にバックアップサ
イトを設ける」という方針を掲げたいと思っております。
これらにつきましては、私どもが策定しております「事業継続基本計
画書」の中で、来月にもしっかりと盛り込んでいきたいと思っておりま
す。この「事業継続基本計画書」は、セキュリティの関係もございます
ので、残念ながら公表できない部分もございますけれども、概要につき
ましては私どものホームページに掲載しておりますので、ご一読いただ
ければありがたいと思います。
また、コンティンジェンシー・プランについては、現在は売買に参加
できない取引参加者の「売買高シェア」の合計が2割を超える場合には
売買停止を行うことにしており、売買停止の条件を「売買高シェア」で
みていたわけですけれども、市場の流動性を測る指標といたしましては、
現状では「売買高」という件数の基準よりは「売買代金」の方が適切だ
というご指摘がございます。そこで、今後は売買停止の発動基準を「売
買代金シェア」の合計が2割を超える場合に改めたいと思っております。
今までの「売買高シェア」が「売買代金シェア」となるわけです。これ
につきましては、パブリック・ヒアリングは予定をいたしておりません
ので、修正を加えまして、年度明け4月からの実施にさせていただきた
いと思います。
最後、4点目です。昨年末、一般の方々や私ども上場会社、取引参加
者の皆さんなどを対象にいたしまして、
「東京証券取引所に関する意識調
査(アンケート)」を実施させていただきました。このほど、その結果が
まとまりましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
このアンケートにつきましては、一般の方々に対しましては、東証の
認知状況や期待感、東証や株式投資に対して抱かれているイメージ、信
頼度などをお尋ねいたしました。その結果は予想どおりでありますが、
東証は一般には余りよく知られていない。期待やイメージ、信頼度につ
きましても、全般的によくわからないという回答がかなり多くございま
した。もちろん、現在、実際に株式投資を行っている方々の認知度、信
頼度などは高くなっておりますけれども、それでも貯蓄から投資へとい
う流れが本格化していく中で、私どもとしても、私どもの存在意義を世
の中に幅広くアピールして、よく理解していただくことがどうしても必
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要だろうと感じております。
そのためには、これまで以上に一般の方々とのコミュニケーションを
積極的に展開していかなければいけないと思っておりますけれども、し
かしながら、これが本当に東証が行う本来の仕事かといいますと、やは
り、その一部だとしか申し上げられないと思います。逆に言えば、一般
の認知度を上げるために浪費をするようなことは、現状では考えていな
いということであります。
それから、上場会社や取引参加者の方々に同様の質問をいたしまして、
マーケットの使い勝手など、併せてお尋ねをいたしました。東証に期待
するものとして、当然ではありますけれども、まずは「売買が円滑にで
きること」、あるいは「ルールの改善に努めること」が上位でございまし
て、この期待に対する評価としては、あるいはマーケットの使い勝手に
しましても、半分以上の方々から肯定的な回答をちょうだいいたしまし
た。「どちらかと言えば」という条件付の回答が多かったということは、
現状でも我慢はできるけれども、もっとよくなるのではないか、こうい
うご期待だろうと思います。改善すべき点は決して少なくはないと自覚
をいたしておりますので、それなりにしっかりと直すべきは直していき
たいと思っております。
信頼度につきましては、かなり高いスコアをちょうだいいたしました
けれども、これもやはり「どちらかと言えば」信頼できるということで
す。逆に言うと、絶対的に信頼しているわけじゃないという状況です。
それから、東証のイメージ、これは定番でございますけれども、
「官僚
的」であり、
「事務的」であるという回答が非常に多いということを考え
ると、マーケットの使い勝手の向上に努める中で、お使いいただいてい
る取引参加者や上場会社の皆さん方、そういう方々の目線を強く意識し
て、もっと具体的にお客様志向の会社になっていく必要があるのではな
いかと考えております。
東証が目指すべきものは何かということについて、公共性か収益性か
というお尋ねをいたしましたところ、ほとんどの方々が公共性だよと回
答されております。私どものアイデンティティは、まさにその公共性、
あるいは公に対する責任という点に求められていることは明らかであり
ますので、将来私どもが例え上場したとしても、その基本線は変わらな
いということは確保していくべきであると強く訴えていきたい、これを
改めて認識いたしました。
具体的な行動プランにつきましては、今後検討していく予定でありま
すけれども、こういうアンケート調査は、東証の歴史始まって以来だと
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いうことでございますので、今後もこれを継続的に、あるいは定期的に
やっていくということにしたいと思っております。
今日、用意いたしましたこちらからの発表、あるいは説明は以上でご
ざいます。
記
者 まずは日興についてです。上場廃止の是非についての審査は、いつく
らいまでに結論を出すのかということを改めて伺いたいのと、審査はど
ういうふうな点に重点を置いて行われるのか、その考え方についてお答
えいただけませんでしょうか。
西
室 日興コーディアルグループさんについては、現在、監理ポストに入っ
ているという状況ですが、ご承知のように今日の 4 時から日興さんの訂
正報告書の提出も含めての記者会見があると理解をいたしております。
その時点が私どもとしても訂正報告書を見せていただく最初のチャンス
になるわけですが、現状極めて微妙な時期に差しかかっておりますので、
私どものこれから先の審査の力点の置き方その他についてのご説明は、
何を言っても、裏を考えるとこうじゃないかというお話にもなりそうな
ので、中身についてのお話は今回は避けさせていただきたいと思います。
タイミングの問題ですけれども、前から申し上げておりますように、
私どもとしては予見を持たずに、日興コーディアルさんから出されるい
ろいろな報告書、そしてまた不足分については日興コーディアルさんに
直接聞き取りをするということも含めて、そういうものを総合して、で
きれば2週間くらいのタイミングをもって最終的な結論を出せればとい
うことで、現状では2週間程度というところは変わっていないのですが、
本日お出しいただく資料その他の内容にもより、それより早くなったり
遅くなったりということがないわけではないということであります。
いずれにいたしましても、最終的な決断をするときには、皆様方に対
してしっかりした説明をする責任があると思っております。
記
者 確認ですけれども、できれば2週間とおっしゃいましたけれども、基
本としては3月中旬くらいをめどにと。
西
室
記
者 もう一つは、前回の会見から今日までの間に、ニューヨーク、ロンド
ンと相次いで業務提携を結ばれたわけですけれども、今後の国際戦略の
ええ、3月中旬というのが一応のめどです。
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考え方について改めて伺えますか。
西
室 昨年の初めに、私どもいろいろと東証の将来について、社内でも討議
をいたしましたし、これからの証券取引所の業界はどういうふうになっ
ていくのだろうかということを考えました。その中で、結論として出て
きたのは、重要な点が多分三つあるのだろうと考えています。
その三つというのは、まず第一に、現在のシステムをしっかりと増強
して、そして増大していく取引ボリュームに対応できるようにするのと
同時に、次世代システムの開発を行って、世界の一流の証券取引所と競
争ができるようにするということが一つであります。
それからもう一つは、国際的な競争というものがこれから先いろんな
形で激しくなっていくだろうと思いますが、そうすると、その中で我々
が考えなければいけないことは、一つは、我々は国際的にさらに開放性
を増すというか、オープンにしていくということと同時に、海外の取引
所との関係をさらに緊密にしながら、協力すべきところは協力する、そ
して競争すべきところは競争するということを通じて、利用者の方々の
便宜を最大限に図っていくという必要があるだろう。これは国内外の利
用者の方々に、そういうふうなサービスを提供する必要があるというこ
とです。
三つ目は、自主規制機能の強化ということであります。取引所の価値
というのは、その取引所に上場しておられるそれぞれの会社の質を確保
していくということでありまして、上場審査から始まって、上場企業の
見直し、取引参加者の質の問題、そういうふうな問題を全部統合的に確
保し、それを確約することができるような自主規制機能というものを備
えている取引所でなければいけない。
この三つが多分基本であろうと思います。そういう観点から、海外の
取引所との連携につきましては、昨年の夏くらい、7 月くらいから始めた
と思いますけれども、韓国の取引所、上海、深セン、台湾、インドのナ
ショナル証券取引所、シンガポール取引所等、いろいろなところとMO
Uの締結を続けてまいりました。
それによって何が起こったかというと、中国株の上場について新しい
動きが出てきたとか、あるいは韓国の取引所の日本におけるプロモーシ
ョンをお手伝いしたとか、中国の深セン、上海の取引所が東証でプレゼ
ンテーション、プロモーションをやるお手伝いをしたとか、いろんな形
でお手伝いもしておりました。
ただ、それをやっている間に、私どもとしては、欧米の主力の取引所
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としっかりとした提携、密接な関係を持っておく必要があろうというこ
とで、ニューヨークとは一番最初は3月からですけれども、具体的な作
業に入りましたのは9月からと申し上げていいかと思います。
ニューヨーク側は、ご承知のように例のユーロネクストとの合併の問
題があって、大変に国際部門の手が足りない状況で、東証と議論をした
い気持ちはあるけれども、手が足りないから、完了するまで待ってくれ
ないかという話でした。しかし、そんなに悠長なことは言っていられな
いということで、こちらの方からむしろ催促をしながら、いろいろな提
携関係について提案もし、ディスカッションをして、結局、1月に契約
が成立したということであります。
ロンドンにつきましても同様に、昨年の秋口からロンドンとの間で、
システムについての検討の一環として、ロンドンは現状で一番進んだシ
ステムを持っている現状がありますので、場合によっては、もっと大き
な形でシステムの相互利用の方向に舵を切るかと思ったときもありまし
た。しかしながら、その部分については、我々は独自開発の道を選ぶべ
きであるという結論に達しておりますので、大きな意味でのシステムの
連携はできないけれども、いろいろな点でお互いにまだ協力できる点も
あるということでございます。
それから、特にロンドンの場合には、現在非常に注目を浴び、しかも
現実問題として、IPOの数その他について圧倒的な強さを持っている
AIM市場があります。そのAIM市場について、私どもはやはりこれ
から先を考えた場合には、徹底的にAIM市場についての情報をとるの
と同時に、協力することができれば協力するというふうな立場をとりた
いと思っておりましたので、それについての連携ということであります。
それから、ニューヨークも、ロンドンも、いずれも私どもが持ってい
ないような商品をいろいろ持っています。ニューヨークの場合には、例
えばETFで言えば、東証が現在 11 種類ですけれども、あちらは確か 120
種類くらいあるのですかね。それからロンドンの場合には 40 種類くらい
だと思います。例えばETFをとればそういうことであるように、我々
の持っていないような商品を、これから東証が全部最初から開発して、
そして組成して、上場するというのは手間暇かかりすぎる。それだった
ら、日本の市場で使っていただけるような上場可能なETFは、ニュー
ヨークのもの、あるいはロンドンのものを持ってくるということも可能
であると思いますし、実際にやれると思っております。
それぞれの取引所との間でワーキング・グループを組んで、いろいろ
な打ち合わせをやり、前向きの交渉をこれから続けていくということで、
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レベルから言うとニューヨークの方が相当進んでいると思いますけれど
も、ロンドンはむしろ的を絞っているだけに、これから急速にいろんな
ことが出てくる可能性もあると思っております。両方とも東証が将来、
国際的な競争の中で生き残るだけではなくて、その一角を占めるような
立場を確保するために、絶対に必要な連携であるということを形として
表す第一歩がようやく出てきたと申し上げていいかと思います。
ご記憶のとおり、1月の記者会見のときに、今年は東証は、今まで考
えたり、しゃべったりしたことを具体的に形としてあらわす年になると
申し上げました。その具体的な形のうちの国際化の部分は、ある程度顔
を出してきたと申し上げていいかと思います。
記
者 今月、みすず監査法人が事実上の解体を発表しました。今後、みすず
さんに頼んでいた上場企業は監査法人の変更を迫られると思うのですけ
れども、この影響を含めまして社長のご所見をお伺いしたいのと、みす
ずの前身である旧中央青山は日興さんの監査をやっていたわけで、今回
の問題も不正な会計処理を見逃したという批判もありますけれども、こ
ういったところが解散することにより、日興さんの上場廃止問題にどの
ように影響するのか、社長はどのようにお考えになるのか。この 2 点を
お願いします。
西
室
まず、みすずさんの解散に近いような顧客の移転の動きというものと、
日興コーディアルグループさんの上場問題とは全く関係ないと申し上げ
ておきます。みすずさんに関しましては、東証自身も一時会計監査人と
してお願いしております。それ以前は中央青山さんで、昨年の夏の 1 カ
月間の営業停止から先は、一時会計監査人をみすずさんにお願いしてい
るというわけですから、みすずさんがこれから先、対象会社を移管しな
ければいけないという対象のうちの一つに私どもも入っております。
今回のみすずさんの処置は、まさに監査法人として非常に善意をもっ
て、これから先の事態の収拾を図ろうとしておられると理解をしたいと
思っております。これから本決算までの間、監査はしっかりとやります。
しかし、そこから先を続けるということは非常に難しいので、ほかの監
査法人さんにお願いしたい。これをこの時期に表明してくださったとい
うのは、混乱を避けるという意味では極めて意味のあることであったと
思います。
同様に、私どもでは昨年の 12 月くらいから、来年度の監査人をどうす
るかということについて調査を始めておりまして、3 月中にはどちらにお
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願いするか自主的に決めさせていただくつもりです。ほかの会社も、み
すずさんに依頼して、どこでもいいから紹介してくれとおっしゃってい
るところもおありのようですし、そういうところについては会計士協会
が協力しながら、新しい監査法人を紹介するという形をとられる。それ
と、私どもも含めて、自分で決めたいという会社も相当数ございますの
で、そういう会社は、多分3月か4月のうちに来年度の監査人を決める
ことになるのではないかと思います。
ですから、今回のみすずさんの発表で、混乱を避けることができるの
ではなかろうか、ある程度の混乱はあるかも知れませんけれども、最小
限に抑えたという意味では、しっかりとした処置をしてくださったと思
っています。
記
者 海外の証券取引所との提携についてですけれども、ニューヨーク、ロ
ンドン証券取引所に続きまして、今年中にほかの証券取引所との提携を
考えていらっしゃいますでしょうか。特にここの取引所と提携をしたい
というような希望はございますでしょうか。
西
室 海外といっても、多分ご質問はアメリカとか、ヨーロッパのお話だと
思います。アメリカの取引所で具体的なお話をしておりますのは、シカ
ゴのCME(シカゴ・マーカンタイル・エスクチェンジ)と提携交渉が
現在進行中です。それから、それ以外の取引所といたしましては、欧州
のもう一つのメジャーでありますドイツ証券取引所とも、いかなる提携
があり得るかという入口のお話はしております。
それ以外、アジア地域はいろいろございます。もう既にアジアだけで
も七つくらいの取引所とMOUを結んでいますが、それをさらに拡大す
る可能性もございます。3月22日にAOSEF(アジア・オセアニア
証券取引所連合)の総会が香港でございますので、そのときにはアジア
の取引所が全部集まります。そういう機会も含めて、これから先、相互
のお客様のためにベターなサービスは何ができるかというお話をやって
いこうと思っています。
記
者 上場廃止制度そのものに対する東証としての立場について聞きたいの
ですが、廃止制度自身の目的ですが、投資家保護にあるのか、あるいは
ペナルティー的な意味合いもあるのか、この辺のバランスについて、原
則的な考え方として東証はどのようにして制度運用に当たっているのか、
その点をちょっと確認させてください。
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西
室 基本的には投資家保護です。投資家保護が最大の目的であって、した
がって、決算そのものの内容について虚偽の決算をしたとか、そういう
ことは投資家に対してのディスクロージャーができていなかったどころ
か、投資家に誤った情報を伝えてしまったということになります。上場
廃止には、そういうものに対するペナルティー的な性質もございますが、
それをすぐにやるということをしたならば、大変な混乱になるというこ
ともわかっております。それで監理ポストという特別なポジションをつ
くって、監理ポストに入っておられる間に精査して、その間に投資家の
方々にも、場合によったら廃止になる、場合によったら通常に復帰する
ということを考えていただく時間が用意できるということになっていま
す。
記
者 関連してですけれども、今後の上場制度整備の中で、いわゆる上場廃
止以前に、例えば制裁金であるとか、別途、段階を置いた措置について
も検討する方向だったと思うのですけれども、その辺について、現状の
検討状況を教えてください。
西
室 現状では、上場制度整備懇談会の中でもその論議はやっておりますけ
れども、具体的にまだ決まったものはありません。上場制度全体の整備
プログラムの検討課題に、上場廃止制度も含まれてはいますが、まだ方
向づけがはっきりと出ているわけではありません。
記
者 日興の件ですが、先ほど訂正報告書が開示されまして、僕も会見の直
前だったので、ざっと見ただけなのですが、今回のNPIH以外の買収
目的会社については不正な行為はなかったというような内容で、監査法
人の適正意見もついているようなのですが、これについてどのようにと
らえられるのか、可能な範囲でお伺いしたいのですが。
西
室 可能な範囲と言われても極めて限られていて、まだ読んでいませんか
ら、コメントできません。詳細に読んでみなければわからないし、私ど
もとしては、それをしっかりと熟読玩味した上で、どのように評価すべ
きかということを決めていきたいと思っています。
記
者 日興の問題ですが、今日あわせて責任追及委員会の方で損害賠償請求
等の発表があるようなのですが、こういった日興サイドの襟を正すとい
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うか、過去との決別を表明するという意識のあらわれというのが、廃止
の是非を問う判断にどう影響するのかというのを、可能な範囲で教えて
いただけるとありがたいのですが。
西
室
すごく難しいご質問だと思いますけれども、後になってというよりは、
これから先を目指して、いろいろな手段を講じられる、そして過去に起
こったことについてのペナルティーを請求する、これは企業体として日
興コーディアルグループさんがしっかりとした決意を持っておやりにな
ることだということで、高く評価をしたいと思います。
ただ、それがすべて、将来大丈夫なのだから過去のことは一切問わな
いという形で反映されるかというと、そういうわけにはいかないのだろ
うと思っています。つまり、そういう心証的な問題というのは、ないわ
けではないですが、実際に、それによって過去に起こったことの程度が
軽くなるということではないのではないかなと思います。
記
者 今回の上場廃止の件ですけれども、そもそも上場廃止の基準が今回は
虚偽記載ということになると思います。虚偽記載が非常に重大な影響を
与えた場合に、上場廃止にするという基準だったかと思うのですけれど
も、余り客観性が感じられなくて、不明確ではないかという指摘もござ
います。この件に関して、西室社長はどう思っていらっしゃるのか。ま
た、明確な基準を示す必要があるのであれば、どういった基準を考えて
いらっしゃるのかお聞かせください。
西
室 私どもは批判に耐えられるような結論を出すつもりでおります。基準
そのものに数値目標だとか、そういうものは入っておりませんが、私ど
もとしては、それが、株式市場と投資家の方々に対して果たしてどうい
う意味を持っているのか、そして、これがどういう影響があるのかとい
うことも考え合わせながら、基準に基づいて、これから判断していこう
という段階にあります。
したがって、その判断の基準は、現在までの上場廃止基準の運用の仕
方がベースになっております。ですから、まだどのように考えるかとい
う道筋についてお話をする、あるいは将来変えるのだったらどうように
変えるかという話をさせていただくような段階にはないということです。
つまりは、今のご質問には現状では答えられないということであります。
記
者
最初の方の質問で、日興コーディアルが監理ポストから抜け出るとい
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うことに関して、社長の方からしっかり説明する責任があるというお話
がありましたけれども、仮に上場廃止にならなかった場合でも、会見等
で東証はきちっと説明していただけるのでしょうか。過去の例ですと、
上場廃止のときは会見があるのですけれども、普通に監理ポストから抜
け出るときは、単にリリース文を投げ込むだけで終わっていたのですが。
西
室 監理ポストから外れるということでしたら、リリースで終わりという
のが通例ですけれども、皆さん方のご要請があるのでしたら、それなり
の会見をすることについてはやぶさかではございません。
記
者 現段階では、特に会見するかどうか決めているわけではないというこ
とですか。
西
室 今のところ、まだ全く決めていません。つまり最初から申し上げてい
るように、予見を持たずというのは、結論について予見を持っていない
のと同時に、最後の結論を出したときの報道の仕方も、今までと同じよ
うな形というつもりでした。
記
者 もう1点。日興コーディアルグループですけれども、コーディアル証
券が東京証券取引所の2万株を保有する株主ということですが、これは
判断に何らか影響するものでしょうか。
西
室
みずほファイナンシャル・グループさんも私どもの株をお持ちですが、
訴訟をしてくださったくらいですから、東証の方針というものに持ち株
の影響は全くございません。
以
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上