第5学年 「正多角形と円周の長さ」 1 単元の目標 観察や構成を通して,正多角形の意味や性質について理解するとともに,円 周率の意味や直径,円周,円周率の関係について理解し,それを用いることが できるようにする。 2 評価規準 【関心・意欲・態度】 正多角形の性質を辺の長さや角の大きさに着目して調べようとする。 直径と円周の長さに関心をもち,その関係を調べようとする。 【数学的な考え方】 正三角形の辺の長さや角の大きさに着目し,正六角形がかける理由を考 え,説明している。円周の長さを求める式を,円周率の意味や求め方から考え,説明して いる。 【技能】 円を使って,多角形をかくことができる。円周率と円の直径から,円周の長さを求 めることができる。 【知識・理解】 正多角形の意味や性質を理解し,円の中心の周りの角を等分すればかけるこ とを理解している。円周の長さは,直径の長さに比例していることを理解している。 3 指導計画(本時 8/10) 時 1 目 標 学習活動 正多角形の意味や性質の理解 正八角形や正五角形の辺の長 さや角の大きさを比べる。 2~6 円周についての理解 円周の意味を知る。 円周率の意味やもとめ方の理解 円周率の意味を知り,もとめ方 をまとめる。 7・8 正多角形をかく方法の理解 正八角形,五角形,六角形をかく。 9・10 学習内容の適用と定着 練習問題を行う。 4 児童の実態 ・自分の考えを自分なりの表現方法で表すことができる児童は増えてきた。 ・作図でまったく手がつけられないという児童は少ない。しかし,図形の学習に対して苦手意 識をもった児童は多い。また,作図した図形が条件に合ったものになっているかどうか,確 かめる習慣がまだ身に付いておらず,正しく作図できない児童が4割程度いる。 25 5 研究主題に迫るための工夫 (1)児童が主体的に取り組むための工夫 ○グループごとの段階に応じて,以下のように課題に差を付けて指導する。(詳細は,本時 案を参照) ①ピタゴラス(発展)グループ 提示は一切行わず,自由な半径の円をかき,そこから自分で考えさせる。 ②アルキメデス(標準)グループ 半径の長さ(5cm)は提示し,できあがった正六角形をかいたワークシートを用い て自力解決を行う。 (対角線については提示なし) A B F C E D ③ユークリッド(基礎)グループ 半径の長さなど必要条件をすべてあたえ,できあがった正六角形のかかれたワークシ ートを用いて自力解決を行う。 A B O C F E D (2)表現力を高めるための支援の工夫 ○言葉,式,図などの様々な表現方法を用いたり,表し換えたりして表現するよう,支援・助 言を工夫する。 ○検討場面においては,発表用シートに正六角形のかいてある画用紙を予め用意する。 (ピ タゴラスグループも正六角形とコンパスではかりとるための半径の長さの直線のみ用意 する。他のグループは(1)と同様とする。) ○ペアでの検討は,友だちに対しても,正しく,丁寧な言葉づかいで話せるよう支援し, 効果を高める。グループごとに次のような意図をもって取り組んでいる。 ・ユークリッド…ペアで相談しながら1つの考えをつくり出したり,正しい答えを導き出 したりできるようにする。 ・アルキメデス…お互いの考えのよい表現を合わせながら,よりよい考えを導き出す。 ・ピタゴラス…自分の考えを,算数の用語を適切に用いて分かりやすく相手に伝える。 26 6-1 本 時 ユークリッドグループ(基礎) (1)本時のねらい:円の半径を用いて正六角形をかくことの説明ができる。 (2)展開 ○学習活動 C予想される児童の反応 ●支援(補助発問・助言) ○正六角形のかき方を考える。 A C:正六角形は,円の中心角を6等分し 課 題 把 握 ◇評価 て60°にすればかける。(前時) B C:コンパスで角の位置が分かる。 (前時) 5 F cm O 5 分 ○本時の問題をとらえる。 C この方法(前時でかいたコンパスを使 う)で正六角形がかけるわけを考えよ E D う。 ●なぜこの方法で正六角形がかけるのかを考 えよう。 *分度器を使わずにかけることに気付かせる。 ○自分なりの考えで正六角形がかける理 ●言葉や図を使って表してみよう。 由を考える。問題を解決する。 ●はじめは,自由に考えされるが,実態に応じ て「三角形 ABO などの三角形」に着目する C1:三角形ABOなどの辺の長さに着 目して,考えようとしている。 A AB=BC=CD= 自 よう助言する。 ●かいた図形には, B DE=EF=FA ①図に補助線や記号などを記入するよう促す。 O F ③既習のどの図形の求め方をもとにしたのか 力 解 C 決 8 分 ②算数の用語,記号を正しく使うように促す。 E D C2:角の大きさが等しいことを見付つ けようとしている。 A B 六角形の角の O 大きさの合計 720÷6=120 角C=120° C F E D 27 を明らかにする。 C3:6つの三角形が合同であることに 着目して,どのように合同である この反応を全体に伝え,まず6つの三角形に のかを証明できるかを考えようと ついて調べてから考えることを促す。 している。 A ●C2へ B 6つの三角形は 力 F O 合同な正三角形 自 分度器を使わずに,調べる方法がほかにない のかどうかを促す。 である。辺の長さ は,全部半径の C 長さで等しく角の E ●C3へ 算数の用語を使い,自分の考え方を伝える方 D 解 大きさは 60°の 決 2つ分の 120°ですべて等しい。 法を考えていくよう促す。 だから,正六角形である。 8 分 ●C1へ ●C4へ どのように図で表せるのかを伝え,考えるよ C4:正六角形の性質から考えようとし う促す。 ている。 6つの三角形は合同な正三角形であ ●C5へ る。中心 O の周りの角度は 60°ずつに △ABO などの三角形の特徴に目を付けてみ 分かれているから,正六角形である。 ようと助言する。 C5:手がつかない ◇【関】正多角形の性質を辺の長さや角の大き さに着目して調べようしている。 ○ペアで検討をする。(一人1分程度) ●友だちの発表を聞くときは, 既習のどのようなことを着目しているのか を考えながら聞くよう促す。 交 流 ・ 検 討 ○二人の意見をまとめ,1枚の発表用ボ ードに記入する。 聞き手に対して,わかりやすい言葉で,ルー ルに従って説明するよう促す。 ○全体で話し合いをする。 ○C1→C2→C4→C3が発表する。 それぞれの妥当性を検討する。 ○共通点・相違点の検討 27 分 ●友だち(全体)に発表するときは, ●それぞれの考えが,同じ場面を違う表現で表 T:似ているところはどこでしょう。 していること,相互に表し変えることができ C:正三角形が6つできている。 ることなどをおさえる。 C:3番目の意見は,合同とか角の大き さの和とか今までに勉強をしたこと をいろいろ使っていてすごい。 28 ○それぞれの考えをまとめる。 交 流 ・ 検 討 *6つの三角形が正三角形であることを基に T:今日のふりかえりをします。 振り返る。 C:六角形は円の中に6つの正三角形が かけました。 C:かけた六角形の辺の長さは,円の半 径の長さでした。 C:中心のまわりの角の大きさはどれも 60°だから正六角形です。 27 分 六角形の中に正三角形が6つできるから, 半径で区切ってかくことができる。 ま と め 5 分 ○適用問題を行う。 C:中心のまわりの角度は,120°で, 360°を3等分しているから,正三角 形。 29 *根拠を言葉や図を用いて説明するよう促す。 6-2 本 時 アルキメデスグループ(標準) (1)本時のねらい:円の半径を用いて正六角形をかくことの説明ができる。 (2)展開 ○学習活動 C予想される児童の反応 ●支援(補助発問・助言) ○正六角形のかき方を考える。 A C:正六角形は,円の中心角を6等分し 課 題 把 握 て60°にすればかける。 (前時) C:コンパスで角の位置がわかる。 (前時) ◇評価 B F 5 cm O 5 分 ○本時の問題をとらえる。 この方法で正六角形がかけるわけを考 C えよう。 E D (円周を半径で区切る方法を実際に見せ る。 ) ●なぜこの方法で正六角形がかけるのかを考 えよう。 *分度器を使わずにかけることに気づかせる。 ○自分なりの考えで正六角形がかける理 由を考える。問題を解決する。 ●はじめは,自由に考えされるが,実態に応じ C1:三角形ABOなどの辺の長さに着 目して,考えようとしている。 A AB=BC=CD= 自 ●かいた図形には, ①図に補助線や記号などを記入するよう促す。 O F ②算数の用語,記号を正しく使うように促す。 ③既習のどの図形の求め方をもとにしたのか 力 解 C 決 8 分 て「三角形 ABO などの三角形」に着目する よう助言する。 B DE=EF=FA ●言葉や図を使って表してみよう。 E D C2:角の大きさが等しいことを見つけ ようとしている。 A B 六角形の角の O 大きさの合計 720÷6=120 角C=120° C F E D 30 を明らかにする。 C3:6つの三角形が合同であることに 着目して,どのように合同である この反応を全体に伝え,まず6つの三角形に のかを証明できるかを考えようと ついて調べてから考えることを促す。 している。 A ●C2へ B 6つの三角形は 力 F O 合同な正三角形 自 分度器を使わずに,調べる方法がほかにない のかどうかを促す。 である。辺の長さ は,全部半径の C 長さで等しく,頂点 E ●C3へ 算数の用語を使い,自分の考え方を伝える方 D 解 の角の大きさは 60°の 決 2つ分の 120°ですべて等しい。 法を考えていくよう促す。 だから,正六角形である。 8 分 ●C1へ ●C4へ どのように図で表せるのかを伝え,考えるよ C4:正六角形の性質から考えようとし う促す。 ている。 6つの三角形は合同な正三角形であ ●C5へ る。中心 O の周りの角度は 60°ずつに △ABO などの三角形の特徴に目を付けてみ 分かれているから,正六角形である。 ようと助言する。 C5:手がつかない ◇【関】正多角形の性質を辺の長さや角の大き さに着目して調べようしている。 ○ペアで検討をする。(一人1分程度) ●友だちの発表を聞くときは, 既習のどのようなことを着目しているのか を考えながら聞くように促す。 交 流 ・ 検 討 ○二人の意見をまとめ,1枚の発表用ボ ードに記入する。 聞き手に対して,分かりやすい言葉で,ルー ルにしたがって説明するよう促す。 ○全体で話し合いをする。 ○C1→C2→C4→C3が発表する。 それぞれの妥当性を検討する。 ○共通点・相違点の検討 27 分 ●友だち(全体)に発表するときは, ●それぞれの考えが,同じ場面を違う表現で表 T:似ているところはどこでしょう。 していること,相互に表し変えることができ C:正三角形が6つできている。 ることなどをおさえる。 C:3番目の意見は,合同とか角の大き さの和とか今までに勉強をしたこと をいろいろ使っていてすごい。 31 ○それぞれの考えをまとめる。 交 流 ・ 検 討 T:今日のふりかえりをします。 *6つの三角形が正三角形であることを基に C:六角形は円の中に6つの正三角形が 振り返る。 かけました。 C:かけた六角形の辺の長さは,円の半 径の長さでした。 C:中心のまわりの角の大きさはどれも 60°だから正六角形です。 27 分 六角形の中に正三角形が6つできるから, 半径で区切ってかくことができる。 ま と め 5 分 ○適用問題を行う。 C:中心のまわりの角度は,120°で, 360°を3等分しているから,正三角 形。 32 *根拠を言葉や図を用いて説明するよう促す。 6-3 本 時 ピタゴラスグループ(発展) (1)本時のねらい:円の半径を用いて正六角形をかくことの説明ができる。 (2)展開 ○学習活動 C予想される児童の反応 ●支援(補助発問・助言) ○正六角形のかき方を考える。 A C:正六角形は,円の中心角を6等分し 課 題 把 握 て60°にすればかける。 (前時) C:コンパスで角の位置がわかる。 (前時) ◇評価 B F T:この間,コンパスで円周を切ってい く方法を学習しましたね。 5 分 ○本時の問題をとらえる。 この方法で正六角形がかけるわけを考 C えよう。 E D (円周を半径で区切る方法を実際に見せ *分度器を使わずにかけることに気づかせる。 る。) ○円をかき(任意の大きさ)その中に正 六角形をかく。 ●はじめは,自由に考えされるが,実態に応じ ○自分なりの考えで正六角形がかける理 由を考える。問題を解決する。 目して,考えようとしている。 A AB=BC=CD= 力 DE=EF=FA 8 分 ②算数の用語,記号を正しく使うように促す。 B ③既習のどの図形の求め方をもとにしたのか O C F E D C2:角の大きさが等しいことを見つけ ようとしている。 A B 六角形の角の O 大きさの合計 720÷6=120 角C=120° ●かいた図形には, ①図に補助線や記号などを記入するよう促す。 解 決 て「三角形 ABO などの三角形」に着目する よう助言する。 C1:三角形ABOなどの辺の長さに着 自 ●言葉や図を使って表してみよう。 C F E D 33 を明らかにする。 C3:6つの三角形が合同であることに 着目して,どのように合同である この反応を全体に伝え,まず6つの三角形に のかを証明できるかを考えようと ついて調べてから考えることを促す。 している。 A ●C2へ B 6つの三角形は O 合同な正三角形 自 力 分度器を使わずに,調べる方法がほかにない F のかどうかを促す。 である。辺の長さ は,全部半径の C 長さで等しく,頂点 E ●C3へ 算数の用語を使い,自分の考え方を伝える方 D 解 の角の大きさは 60°の 決 2つ分の 120°ですべて等しい。 法を考えていくよう促す。 だから,正六角形である。 8 分 ●C1へ ●C4へ どのように図で表せるのかを伝え,考えるよ C4:正六角形の性質から考えようとし う促す。 ている。 6つの三角形は合同な正三角形で ●C5へ ある。中心 O の周りの角度は 60° △ABO などの三角形の特徴に目を付けてみ ずつに分かれているから,正六角 ようと助言する。 形である。 ◇【関】正多角形の性質を辺の長さや角の大き C5:手がつかない さに着目して調べようしている。 ○自分の意見を発表用ボードにかく。 ●発表用ボードには,算数用語を使用して,か くように促す。 交 流 ○ペアで検討をする。(一人1分程度) ●友だちの発表を聞くときは,既習のどのよう (自分の意見を発表用のボードを使って なことに着目しているのかを考えながら聞 発表する) くように促す。 ・ ●友だち(全体)に発表するときは, 検 聞き手に対して,分かりやすい言葉で,ルー 討 ルにしたがって説明するよう促す。 ○全体で話し合いをする。 27 分 ○C1→C2→C4→C3が発表する。 それぞれの妥当性を検討する。 34 ○共通点・相違点の検討 ●それぞれの考えが,同じ場面を違う表現で表 T:似ているところはどこでしょう。 していること,相互に表し変えることができ C:正三角形が6つできている。 ることなどをおさえる。 C:3番目の意見は,合同とか角の大き さの和とか今までに勉強をしたこと をいろいろ使っていてすごい。 ○それぞれの考えをまとめる。 交 流 ・ 検 討 T:今日のふりかえりをします。 C:六角形は円の中に6つの正三角形が かけました。 C:かけた六角形の辺の長さは,円の半 *6つの三角形が正三角形であることを基に 径の長さでした。 振り返る。 C:中心のまわりの角の大きさはどれも 60°だから正六角形です。 27 分 六角形の中に正三角形が6つできるから, 半径で区切ってかくことができる。 ま と め 5 分 。 ○適用問題を行う。 かくことができる。 C:中心のまわりの角度は,120°で, *根拠を言葉や図を用いて説明するよう促す。 360°を3等分しているから,正三角 形。 35
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