「豊森しあわせ論」(駒宮)

2012/6/29
豊森2期
豊森的しあわせ論
「幸福の科学」とは関係ありません!
新しい幸せの形はあるのか?
駒宮博男
ぎふNPOセンター・地域再生機構・地球の未来理事長
新しい幸せの形を求めて
ブータンの幸せの定義は
●先行する諸国
・キューバ
ソ連崩壊後、都市内農園等 → FEC自給圏?
・ブータン
国王が提唱した“GNH”
(cf. “GAH”(東京都荒川区))
・タイ
国王が提唱した“足るを知る”生活
・ベトナム
ドイモイ政策以降の経済発展+仏教的生活観
急速な高学歴化
・欧州連合
欧州評議会社会統合研究開発部「社会的責任の分かち合い」
●幸せの特徴
・仏教?(過度な物欲を制限)
・王様の力?(民主主義は人類普遍の原理か?)
●ブータンの幸せの定義
・人と人の関係が良好なこと
・人と自然の関係が良好なこと
・祖霊を含め、世代間の関係性が良好なこと
⇒ 様々な関係性が良好=幸せ
●振り返って日本社会を見ると・・・・・
・コミュニティーの崩壊、過度な競争で人間関係はずたずた
・自然から離れた都市生活で、自然との関係は稀薄
・世代間は断絶、お墓参りもあまりしない
⇒ 如何にしてこうした関係性の途絶を回復するか?
⇒結局は、モラルの問題!!
(※ ドイツの原発に関する「倫理委員会」)
ガバナンスの問題は極めて大きい
ガバナンスに関する問題
国民
消費税
何が根本的な問題なのか?
取り敢えず、ガバナンス(統治)とモラルが大きな問題か?
いわゆる地方自治
所得税
国家
通貨
国債
格付け等影響
擁護
法人税
真の地方自治
県
市町村
地域コミュニティー
行政
県民
行政
市町村民
地域の自然
地域の祖霊
八百万の神々
地域住民
グローバル企業
FEC自給圏
グローバル金融市場
補完性の原則
virtual
real
過度な中央集権
分権社会
コントロール不能
(人智を超えた状態)
コントロール可能
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2012/6/29
「国家」の役割を改めて問う
結局はモラルの問題のような気がする
low
●歴史
・国民国家の成立 ⇒ コモンズの崩壊
自然資源と人間社会の分離
・リアルな社会(共同体)から、バーチャルな「国家」へ
・軍事国家は国民国家の必然
●現状
・国家資本主義と経済のグローバル化
⇒ グローバル経済での勝利が国家保持の絶対条件?
(と、思い込んでいる?!)
・行過ぎた中央集権の巨大な弊害(日本に特有な現象)
⇒ 遅々として進まない震災復興を見れば明らか
⇒ 明確化した国家の機能不全
●あるべき国家の将来像は?
・EUの狡猾な挑戦
⇒ 国家の機能 = 外交+防衛+通貨管理
moral
high
誰の利益のために動いているか
(私益・組織益)
(公益)
アダムスミスの主張?
普通の人
小規模農家
小規模林家
政治家
行政マン
現在の意思決定者
持ち上げ
すぎ?
財界人
金融マン
マスメディア
コンサル
間接民主制の機能不全
(ドラッカー、チョムスキー)
学者
技術者
日本的民主主義は想像でき
るか?
(『忘れられた日本人』(宮本
常一)に見る古式民主主義)
教師
芸術家
芸術家
革命家
人間はどうやってモラルを保持してきたか
●宗教によるモラル保持の弱体化
・宗教の自由によるモラルの多様化
・唯物主義による宗教そのものの否定
*新渡戸稲造の「日本に宗教教育はない」という言葉に、「では、どのようにして道徳教育
を行うのか?!」というオランダ教育学者の問い(『武士道』の冒頭より)
●「階級」への一方的批判を再考する
(ヨーロッパとアジアの階級は少々違うのでは?)
①カースト
最高位“バラモン”は決して裕福ではない
②士農工商
最も貧富の差があったのは“士”
③モラル保持システムとしての家長制度
どんなダメオヤジでも、家長は家長
●小さな社会(コミュニティー)ではモラルは保持し易い(?)
・暗黙知の共有
(顔見知りの中では悪いことは出来にくい)
・暗黙知の共有のない社会(=信頼を前提としない社会)は・・・・
⇒法の必要性、書面による契約、拝金主義・・・・・・
様々な関係性を奪ってきた
「近代」
とは何か
究極の問題は・・・・
コミュニティーの基本構造と、近代による破壊
人
自
然
祖
霊
神
々
失われた
人と自然の関係
カムイ
経済システム
(生産・消費の分離)
自然科学
唯物論
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2012/6/29
これまでの(持続可能社会だった頃の)産業構造
現在の日本の経済構造
地域の自然資源(利子分)だけを使った第1次産業と第2次産業、そして、
多くの場合ボランティアで行われていた第3次産業。
地域の自然資源は見捨てられ、一次産業は衰退、海外の自然資源に頼った構造となった。
さらに、第二次産業の中心は「世界の工場」中国へ。
当然、地域の自然資源だけが、地域の生産財だった。
「田舎」といえども、産業の中心は第三次産業へ。
まとめてみると・・・・・
日本の産業構造の変化
自然資本主義的産業構造
不労所得願望社会??
60歳
私が生まれた年
50歳
40歳
明確な社会の変わり目
⇒ 地域における地元学・聞き書きできっと確認
(1959年 伊勢湾台風)
(1964年 東京オリンピック)
戦後日本の目標だったアメリカの産業構造の変化
失われた
人と祖霊・神々の関係
“Socially Useful R & D” by Mike Cooley 1980
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2012/6/29
世代間・祖霊との関係を概観する
参考まで(蛇足?)
現世は来世のためのもの?
この宇宙観を持ち、天命を知ることが重要??
これから生まれてくる人
家を守る、地域を守る(農地、森林)
今、生きている人 = 世代間
神の領域
「思い」の世界
(精神世界)
霊界
幽界
家、地域の伝統智を守り、感謝する
過去の人(亡くなった人)
「現世」
(物質世界)
物質界
(精神を向上させる世界)
参考図書 : 「人は死なない」(矢作直樹:東大病院救急部長)
人と人の関係を概観する
家族
友人
失われた
人と人の関係
血縁 ⇒ 核家族
自分
地縁 ⇒ コミュニティーの崩壊
地域コミュニティー
社縁 ⇒ 日本型経営の崩壊
職
場
※ あらゆる縁が途絶しがちな現代社会
※ 行政(地方・中央政府)との関係は?
パーソナル・サポート・サービスの現場から
(Personal Support=PS)
• 湯浅誠氏の見解
地縁・血縁・社縁の崩壊
「福祉」と「雇用」の狭間の大きな落とし穴
(新自由主義が作った過剰な競争社会)
• もう少し深堀すると・・・
「人と人の関係性」の崩壊
特にコミュニティーの崩壊が大問題
少々哲学的なお話
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2012/6/29
PSにおける言葉の問題
・個人情報はどこまで言語化可能か
・数回の面接で何が分かるか
・五感で感じとるということ
・面接ではなく、現場に
・さらに、現場周辺のコミュニティーへ
・制度(言語化されたもの)はどこまで有効か
・制度=言語化が有効な範囲と無効な範囲
・「暗黙知」は「制度」に反映されるか
日本古来の地域コミュニティーでは
・三代前まで知り尽くされている「個人」
・個人プロファイルが不要な世界
・コミュニティーの崩壊=年限関係の崩壊
・濃すぎる関係性を嫌悪し、都会へ
・共有財産の消失とコモンズの崩壊
⇒ 結局PSは、都会的問題を扱っているのか?
しかし、田舎にも蔓延する都会的問題
個人情報はどこまで言語化可能か
・数回の面接で何が分かるか
「◎中式」にも限界がある
カンファレンスは「妄想合戦」??
・五感で感じとるということ
クライアントの表情、雰囲気は言語化不能?
・面接ではなく、現場に
自宅訪問は巨大な情報源
「匂い」、「雰囲気」・・・・・・・
・さらに、現場周辺のコミュニティーへ
クライアントは地域でどう思われているか?
制度(言語化されたもの)はどこまで有効か
・制度=言語化が有効な範囲と無効な範囲
・そもそも制度の狭間が問題を生んだ
制度の狭間=言語の狭間
・制度でしか動けない行政の限界
・「暗黙知」は「制度」に反映されるか
・暗黙知=言語化されていない情報
・「知=情報」=明示された知+暗黙知
=言語情報+非言語情報
・制度に頼ることの困難性
言語の基本属性
― 「りんご」という言葉を例に -
1.同質性の抽出
⇒同じ性質を抽出しカテゴリー化する
・赤い色、甘酸っぱい、いい香り・・・・
2.異質性の排除
⇒違ったことは排除する
・生物個体なので、少しづつ異なる
・どこの枝についていたか、その他沢山
3.関係性の遮断
⇒あたかも一つの個体が単独で存在する印象
・隣の枝についていた
・恵那市のあるおじさんが丹精込めて作った
Cf. 科学の基本属性
1.言語化
言語化されない限り事実と認定しない
(言語化できないと、他人が認識できない)
しかし、言語化できない事実は無限にある
2.再現性
同一条件下では同一の結果が生じる
(同一条件で違った結果が出た場合、論理
的とは言えない)
そもそも物理学的に、完全な「同一条件」はない!
⇒ 科学は、厳格な言語世界の部分集合
⇒ 科学には、論理的な意味での「限界」が存在する
ましてや、科学から生まれた「技術」だけで世の中はよくならない
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2012/6/29
言語の狭間をどうやって克服するか
(来年度以降の戦略は?)
関係性について
・PSを非言語世界(地域社会)へ
・面談・見立ての困難性の克服 ⇒ 地域へ
・地域社会は機能しているか?
・科学、言語は関係性を排除してきた
・要素還元主義の問題点
(個物の特性からスタートし、関係性は後付)
(ミハイル・エンデの有名な事例)
・「群盲象を語る」の愚(原始仏典)、とは
(言語は「本質」の部分的表現に過ぎない)
・内閣府、厚労省の限界=中央集権の限界
・事件は常に現場で起こる
・言語情報だけに頼る霞が関の限界
・補完性の原則を如何にして納得させるか?
・華厳経における存在論
・あらゆるものは関係性の中にしか存在しない
・しかも、関係性は瞬時のうちに変化する
(生態学の常識)
華厳経における関係性
まとめとして
「事事無碍 理理無碍」(井筒俊彦)
セイフティーネット論
• いわゆる社会的セイフティーネット
年金、生活保護
障がい者年金
• 本当のセイフティーネット=近代が奪ったもの
自然
コミュニティー
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