都市マスタープラン(表紙~序章)(1297KB)(PDF文書) - 海老名市

はじめに
海老名市は、交通利便性に恵まれた最大の特徴を活かした
海 老名駅周 辺の中心 市街地の 整備に代 表される 「都市的 な
顔」と海老名耕地の田園風景や大山・丹沢の眺望などの「自然
的な顔」を持つバランスの取れた魅力的な都市として発展を
続けています。
また、圏央道海老名インターチェンジの開設により、広域
的な自動車交通の利便性が大幅に向上したことから、都市の
発展に向けた潜在的な能力は非常に高くなっています。
今後のまちづくりにおいては、海老名市が持つ優位性を最大限に活かしながら、都市
と自然が共存し、持続的に発展し続けるための都市づくりを進める必要があります。
今回の都市マスタープランでは、都市づくりの基本的な考え方を「都市機能を集積し、
暮らしの質を高める都市づくり」とし、海老名市第四次総合計画の将来都市像である「快
適に暮らす 魅力あふれるまち 海老名」の実現を目指してまいります。
なお、持続的な発展のためには、少子高齢化や人口減少社会を見据えた的確な対応が
必要であり、今後10年間の都市づくりが、その後の10年、20年先の海老名市の発
展を左右すると考えています。そのためには、将来に禍根を残さない魅力的な都市づく
りが必要であり、今後も積極的に取り組んでまいります。
策定にあたっては、「まちづくりを考えるワークショップ」や「都市マスタープラン
策定委員会」等において、市民の皆様をはじめ、学識経験者や関係団体の代表の方など
に参画いただき、多くの方々からご意見をいただきながら策定してまいりました。今後、
都市マスタープランの実現に向け、市民・企業・行政が協働で、次世代においても継続
して発展し続けることができる「まちづくり」を進めてまいりますので、皆様のご理解
とご協力をお願いいたします。
結びに、「まちづくりを考えるワークショップ」の皆様をはじめ、都市マスタープラ
ンの策定に参画いただきました多くの市民の皆様、委員の皆様へ心より感謝申し上げま
す。
平成22年9月
海老名市長
内野 優
目
序
次
章
1. 「海老名市都市マスタープランとは」 ・・・・・・・・・・
1
2. 「海老名市都市マスタープラン」の目標年度 ・・・・・・・
2
3. 「海老名市都市マスタープラン」の構成 ・・・・・・・・・
2
4. 本市の概況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
5. 都市づくりの課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
第1章
全体構想
1. 海老名市の将来像と目標 ・・・・・・・・・・・・・・・ 15
2. 土地利用の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
3. 市街地整備の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34
4. 都市施設の整備・改善方針 ・・・・・・・・・・・・・・・ 38
5. 自然・都市環境の形成方針 ・・・・・・・・・・・・・・・ 48
6. 都市景観の形成方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
7. 安全・安心なまちづくりの方針 ・・・・・・・・・・・・・ 52
第2章
地域別構想
1. 地域区分の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55
2. 地域別構想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
第3章
実現化の方策
1. 制度・事業の活用による効果的な都市づくり ・・・・・・107
2. 市民・企業・行政の協働によるまちづくりの推進 ・・・・116
3. 都市マスタープランの運用と見直し ・・・・・・・・・・118
参考資料
■改定体制・経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119
1. 都市マスタープラン改定体制 ・・・・・・・・・・・・・119
2. 都市マスタープラン改定の経過 ・・・・・・・・・・・・120
■用語の解説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124
序
章
1 「海老名市都市マスタープラン」とは
上等、望ましい将来の都市像を描き、その実現のための都市づくりの方向を
総合的に示すものです。
○
今後の都市計画の見直しや都市基盤施設の整備は、この計画に基づいて進
められるため、とても重要な計画と位置づけられます。
○
策定にあたっては、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」及び「市
の総合計画」に即することが定められており、市民の都市計画に対する理解
を深め、また、その意見等を反映させたものであることが求められています。
【県の計画】
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
【分野別計画】
【市の計画】
緑の基本計画
総合計画
都市
マスタープラン
景観基本計画
その他の
分野別計画
【具体の都市計画】
地域地区
都市施設
市街地開発事業
地区計画
図-都市マスタープランの体系
1
その他都市計画
章
画で、土地利用や道路、公園・緑地等の整備、自然環境の保全、安全性の向
序
○ 「海老名市都市マスタープラン」とは、都市計画法第18条の2に基づく計
序
章
2 「海老名市都市マスタープラン」の目標年度
○
都市づくりに関わる事業や制度の導入による効果が現れるまでには、長い
期間を要することから、平成37年(2025年)を目標年度とします。
○
なお、本計画は社会経済情勢の変化等に適切に対応するため、必要に応じ
て見直しを図ることとします。
3 「海老名市都市マスタープラン」の構成
○
「海老名市都市マスタープラン」は、一体的かつ総合的な都市づくりを進
める視点から、市全域を対象に、目指すべき将来都市像とその実現のための
方針を定める「全体構想」、市民の暮らしの目線で、身近な地域における都
市づくりの方針を定める「地域別構想」、これらの構想を実現するための考
え方や方策を示した「実現化の方策」から構成しています。
【地域別構想】
【全体構想】
1.海老名市の将来像と目標
1.地域区分の考え方
2.土地利用の方針
2.地域別構想
3.市街地整備の方針
・北部地域
4.都市施設の整備・改善方針
・中央地域
5.自然・都市環境の形成方針
・南部地域
6.都市景観の形成方針
7.安心・安全なまちづくりの方針
【実現化の方策】
1.制度・事業の活用による効果的な都市づくり
2.市民・企業・行政の協働によるまちづくりの推進
3.都市マスタープランの運用と見直し
2
4 本市の概況
(1)位置・地形
本市は、神奈川県のほぼ中央に位置し、東京から40km、横浜から20km
圏内にあります。市域面積は約2,648haで、東西6.15km、南北8.70kmの
大和市及び綾瀬市、南は藤沢市及び寒川町と接しています。
○
地形は、通称「相模横山九里の土手」といわれる相模野台地の崖線が、市
域を南北に縦断し、中央部から西部にかけての平地と東部の台地・丘陵地に
大きく二分されています。
○
中央部では、温暖な気候と肥沃な土地を活用し、県央地域で有数の穀倉地
帯が形成されています。東部の丘陵地帯では、年々宅地化が進み著しい変貌
をとげているなかで、相模国分寺跡、相模国分尼寺跡、秋葉山古墳群等、数
多くの歴史的遺産が残されています。
図-海老名市の位置
3
章
南北に長い形状となっており、西は相模川を隔て厚木市、北は座間市、東は
序
○
序
章
(2)交通
○
東京都心に連絡する小田急小田原線(以下「小田急線」という。)、横浜
に連絡する相模鉄道本線(以下「相鉄線」という。)、神奈川県を南北に縦
断するJR東日本相模線(以下「JR相模線」という。)の鉄道3路線が乗
り入れており、交通利便性に恵まれています。
○
市内の主要な幹線道路としては、南北方向に県道46号相模原茅ヶ崎、県道
51号町田厚木等が、東西方向に東名高速道路、国道246号、県道22号横浜
伊勢原、県道40号横浜厚木、県道43号藤沢厚木等が通っています。
○
今後は、首都圏中央連絡自動車道〔圏央道〕(以下「さがみ縦貫道路」と
いう。)や第二東名自動車道(新東名高速道路)の整備により、さらなる交
通利便性の向上が期待されます。
(3)人口・世帯
○
人口
平成17年国勢調査における本
140,000
(5.3%)の増加となっています。
○
昭和55年以降の推移をみると、
交通利便性の向上を背景に宅地開
100,000
人
口
・
世
帯
数
80,000
2.50 1
93,159
世
77,498
2.00 帯
60,000
してきましたが、宅地開発の沈静
化による流入人口の減少や少子高
0
42,815
39,626
34,887
23,412
20,000
28,790
0.50
0.00
昭和55年 昭和60年
齢化の進展等の要因により、増加
平成2年
平成7年
平成12年 平成17年
図-人口・世帯の推移
資料:国勢調査
率は年々小さくなっています。
○
○
当
た
り
46,871
人
1.00 員
1.50
40,000
発が進み、一貫して増加傾向を示
3.50
3.03 113,430 117,519 123,764
3.00
2.86
105,822
2.74
2.64
120,000
り、平成12年と比較し6,245人
1世帯当たり人員
3.24
3.31
市の総人口は123,764人であ
世帯数
世帯数は人口を上回るペースで
凡 例
増加し、1世帯当たり人員は一貫
昭和60年
して減少傾向を示しており、世帯
平成2年
の小規模化が進んでいます。
平成7年
15.9
年齢別人口構成は、年少人口が
平成12年
14.6
14.4%、生産年齢人口が
平成17年
14.4
71.3%、老年人口が14.3%と
神奈川県
(平成17年)
13.5
なっており、少子高齢化の進展は
全国
(平成17年)
13.8
国・県と比較して緩やかな傾向に
年少人口
25.0
老年人口
69.5
5.5
74.4
19.1
0%
あります。
生産年齢人口
6.5
75.9
8.1
74.7
10.7
71.3
14.3
69.2
16.8
66.1
20%
40%
20.2
60%
80%
100%
図-年齢3区分別人口構成比の推移
資料:国勢調査
4
(4)産業
○
移をみると、第3次産業のみが増
昭和60年
2.9
加傾向にあり、第1次産業と第2
平成2年
2.0
次産業については、減少傾向にあ
平成7年
1.7
平成12年
1.5
平成17年
1.5
ります。
○
農業は、農業従事者の減少と高
齢化が進んでいます。
○
第1次産業
第2次産業
第3次産業
41.8
55.1
40.3
57.0
36.0
60.6
32.4
65.3
27.1
0%
章
凡 例
序
昭和60年以降の就業構造の推
69.8
20%
40%
60%
80%
100%
図-産業大分類別就業人口構成比の推移
工業は、大規模な工場が研究開
資料:国勢調査
発施設に転換されたことに伴い、
平成18年度に製造品出荷額、従
事業所数
業者数が大きく減少しています。
す。
10,493
5,001
10,593
4,732
2,799
2,000
億
1,000 円
)
)
人
数、従業者数、年間販売額ともに
2,000
概ね減少傾向にあります。
158
151
144
140
159
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
0
0
図-工業の推移
小売業は、ビナウォークの完成
資料:工業統計調査
等の影響により、商店数について
は減少、従業者数、年間販売額に
商店数
10,000
商
店
数 8,000
従業者数
商品販売額
5,000
9,364
8,656
4,539
8,647
8,907
8,596
4,000
(
3,644
店
6,000
2,632
)
2,000
2,085
1,000
979
889
889
902
823
平成6年
平成9年
平成14年
平成16年
平成19年
0
0
)
図-商業の推移
資料:商業統計調査
5
億
円
)
2,000
人
2,467
年
間
販
3,000
売
額
(
・
従
業 4,000
者
数
(
ついては増加傾向にあります。
8,250
7,733
2,595
(
卸売業は、平成6年以降、商店
製
造
品
4,000 出
荷
3,000 額
等
5,000
(
事
10,000
業
4,333
所
・ 8,000
従
業 6,000
者
数 4,000
ついては、増加の傾向にありま
○
製造品出荷額等
6,000
10,474
また、研究開発施設の従業者数に
○
従業者数
12,000
序
章
(5)土地利用
○
平成17年度都市計画基礎調査
における本市の土地利用現況は、
自然的土地利用が35.7%、都市
的土地利用が64.3%となってい
ます。内訳をみると、住宅用地が
24.4%と最も多く、次いで農地
が23.9%、交通施設用地が
12.9%となっています。
○
区域区分別にみると、市街化区
域における主な土地利用は、住宅
用地が39.5%、交通施設用地が
16.3%、工業・運輸施設用地が
12.2%となっており、都市的土
地利用が約9割を占めています。
○
市街化調整区域における主な
土地利用は、農地が44.0%、交通
施設用地が9.1%、公共公益施設
用地が8.0%となっており、自然
的土地利用が約6割を占めてい
図-土地利用現況
ます。
農地
山林
河川水路
平成12年度
都市計画区域
(市全域)
荒地
26.0
平成17年度
都市計画区域
(市全域)
商業・業務
3.7 2.6 6.3
23.9
工業・運輸
2.8
23.4
3.23.1 5.5
24.4
4.0
公共公益
8.1
6.5
8.2
7.3
空地
8.0
交通
12.4
7.5
12.9
1.5
0.5
5.8 2.7
市街化区域
住宅
39.5
5.6
44.0
市街化調整区域
3.9 5.9
6.7
12.2
10.0
7.8
9.4
3.8
8.0
16.3
5.5
9.1
2.1
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
図-土地利用現況構成比の推移
6
70%
80%
90%
100%
5 都市づくりの課題
(1)海老名市を取り巻く課題
○
上位計画である海老名市第四次総合計画が示す将来都市像『快適に暮らす
があります。
○
関 東圏 域及 び日 本各 地へ 伸び る高 速道 路網 との 連絡 性の 飛躍 的な 向上等
を踏まえ、都市機能を適切に配置・整備していく必要があります。
②将来の人口減少・少子高齢社会の進展を考慮した都市づくり
○
人口減少、少子化・高齢化が進展するなか、都市としての個性や魅力をよ
り高めていくことが重要であり、そのためには、開発と保全のバランスに配
慮しつつ、市域の特性に則した土地利用と都市機能配置を進めていく必要が
あります。
○
地球環境問題への対応として、地域の特性、自然環境の保全、環境負荷の
軽減に視点をおいた都市構造の構築等に取り組む必要があります。
③都市間競争力の強化と周辺都市との連携を視野に入れた都市づくり
○
本市の地域特性を十分に捉えた上で、地域特性をより高める魅力ある都市
づくりを進めることにより、広域圏での都市間競争力を高めていく必要があ
ります。
○
各都市間における人口の流出入は増加傾向にあることから、都市機能の確
保・配置に際しては、周辺都市との連携を含め、広域的な視点から都市機能
のあり方を示す必要があります。
7
章
魅力あふれるまち海老名』の実現に向けた都市づくり政策を具体に示す必要
序
①海老名市の特性を活かした都市の形成
序
章
(2)社会的側面からの課題
①堅調な人口の増加と進展する少子高齢社会
○
昭和40・50年代に大規模開発された住宅地では、高齢化率が非常に高く
なっており、さらに、アンケート結果では20歳代の若い世代で転出意向が高
くなっていることから、「高齢者が安心して暮らせるまち」「若い世代が暮
らしたいと思えるまち」を視点に、各施策に取り組む必要があります。
○
公共交通の利便性の確保や道路における歩行空間の確保、公園や福祉施設
等の適切な配置等、様々な世代の「暮らしやすさ」を考えた環境整備を進め
ていく必要があります。
○
アンケート結果から、通勤・通学や買物等の日常生活に関わる利便性は総
じて高いといえますが、地域別にみると利便性に対する満足度が低い地域も
みられます。そのため、「各地域の特性を活かした拠点形成」と「拠点間を
結ぶネットワーク機能の強化」を通じて、いずれの地域においても一定の利
便性が確保された都市機能を構築していく必要があります。
②高速道路網を活かした産業の振興
○
今後、さがみ縦貫道路や第二東名自動車道の整備等により、自動車交通の
利便性は飛躍的な向上が見込まれるため、工業については、この利便性を活
かした「新たな産業地の確保」と「既存産業地の機能の強化・拡充」を通じ
て、産業の活性化を図る必要があります。また、この産業の活性化により、
新たな雇用と定住人口を創出する職住近接の都市形態の構築につなげる必
要があります。
○
商業については、海老名駅周辺を中心としたさらなる商業・業務施設の集
積により、本市のみならず県央の中心地としての魅力と賑わいを創出してい
く必要があります。既存の商店街等については、身近な都市機能の一つとし
て、駐車場や歩行空間の確保等、商業空間として機能改善を図る必要があり
ます。
○
農業については、まとまりのある優良な農地を中心に、食料の生産地とし
て、また都市近郊の貴重な空間地として、農政サイドと連携しつつ適切な保
全を図る必要があります。また、イチゴ等の観光農園のPRや遊休農地の市
民農園としての利用等、都市づくりの面から見た農地の利活用策についても
調整していく必要があります。
○
相模国分寺跡・相模国分尼寺跡・秋葉山古墳群等、市内に分布する多くの
歴史遺産・文化財は、貴重な観光資源であるため、観光振興に視点をおいた
都市づくりを図る必要があります。
8
(3)土地利用の課題
①住宅地、商業地、工業地等のメリハリのある土地利用の推進
○
海老名駅周辺の商業地域については、一部で高層住宅の集積がみられるた
め、土地利用・建築物立地の状況を踏まえつつ、地域の特性に応じた良好な
準工業地域及び工業地域にあって、住宅と工場の混在が進む地域について
は、土地利用・建築物立地の状況を踏まえつつ、用途地域の見直しや地区計
画の導入等により、適切な土地利用の誘導を図る必要があります。
○
生産緑地地区については、市街地における身近な自然環境の保全に資する
緑地として、適正な保全を図る必要があります。
②市街化調整区域における都市的な土地利用の抑制と適正な誘導
○
市街化調整区域では、中心市街地周辺をはじめ、市街化区域の縁辺部等、
各所で宅地利用が散在的に進んでいます。そのため、「まとまりのある農地」
や「緑地等の豊かな自然」については、保全を前提に、秩序ある土地利用を
誘導する必要があります。
○
市街化区域は、都市的土地利用が9割に達しており、開発できる余力は少
ないのが現状といえます。そのため、海老名市第四次総合計画の目標人口で
ある13万5千人を実現するためには、市街化調整区域において、都市基盤整
備と連動しながら、必要な規模、範囲で市街化区域の拡大等を想定した土地
利用の配置を検討する必要があります。
○
海老名インターチェンジの周辺については、幹線道路の沿道を中心に開発
圧力が高まると想定されるため、計画的な土地利用に向けた規制・誘導を図
る必要があります。
○
農地については、食を支える生産地としてだけではなく、農業を身近に体
験する交流の場・観光資源として、また、都市の安全性や快適性を支える緑
地として、農政サイドと連携しながら、保全を図る必要があります。
9
章
○
序
都市環境の誘導を図る必要があります。
序
章
(4)都市施設整備の課題
①交通混雑の緩和と歩行者等の安全性の確保が求められる道路整備
○
幹線道路では、慢性的な混雑が発生している区間があり、アンケート結果
では上郷・下今泉地域や本郷地域で、特に整備状況に対する評価が低くなっ
ています。このような状況にあって、今後、さらなる交通量の増大が見込ま
れることから、都市計画道路の整備や幹線道路の整備・改善等による道路
ネットワークの強化等、自動車交通の円滑化に向けた取り組みを早期に進め
る必要があります。
○
県道等の幹線道路において、歩道等の整備が進んでいない箇所が見受けら
れ、アンケート結果では、生活道路や通学路の安全性、幹線道路における歩
道の整備状況への評価が低い結果となっています。このことから、「安全な
歩行空間確保に向けた施設整備」と「交通規制による歩行者安全性の確保」
の両面から対応していく必要があります。
○
少子高齢社会の到来に備え、誰もが安心して快適に利用できる道路空間を
実現するため、道路の補修や修繕、歩道の設置、段差の解消等、ユニバーサ
ルデザインに配慮した道路整備を推進する必要があります。
②鉄道駅や市内各所への利用利便性の向上が求められる公共交通
○
市内には、小田急線、相鉄線、JR相模線の3路線が乗り入れる海老名駅
を中心に7箇所に9つの駅が設置されており、鉄道交通の利便性が高いとい
えます。しかし、海老名駅を除いては、駅前広場等、交通結節点としての機
能は十分とはいえない状況にあるため、地域や駅の特性に応じた駅周辺整備
により、地域の交通結節点としての機能を高めていく必要があります。
○
市東部では、バスが主要な公共交通手段となっており、高齢社会を迎える
なか、バスの利便性が暮らしの利便向上に果たす役割はこれまで以上に高
まってきていることから、市で運営するコミュニティバスを含め、バスの利
便性をより高めていく必要があります。
○
JR相模線については、鉄道輸送力増強のため複線化等について、具体化
に向けた調整を図る必要があります。
③身近な利用を考慮した公園・緑地の整備・保全
○
公園については、人口分布や市街化の動向を踏まえた、整備・配置を図る
必要があります。また、公園機能については、誰もが安全で安心して利用で
きるよう、ユニバーサルデザインに配慮し整備する必要があります。
10
○
河岸段丘や丘陵地帯に残る樹林地、まとまりのある農地については、市街
地の緑の骨格を形成する緑地として、具体的な保全策を検討する必要があり
ます。
○
相模川をはじめとする河川周辺については、地域の自然を感じることので
序
きる貴重な水辺空間として、河川整備と連携しつつ、親水化等の利活用が望
まれます。
相模国分寺跡、相模国分尼寺跡、秋葉山古墳群、今福薬医門公園について
は、貴重な文化財として保存するとともに、歴史公園等観光資源としての積
極的な活用が望まれます。
④都市型水害の防止や河川等の水質保全に向けた下水道の整備
○
公共下水道(汚水)の整備率は9割以上となっていますが、公共下水道(雨
水)の整備率は4割程度となっており、市街地の過密化による雨水流出量の
増加や集中豪雨等による浸水被害に対応するため、雨水排水施設の整備を進
める必要があります。
○
市街化調整区域においても、生活環境の向上と河川等の水質保全に向け、
公共下水道の整備を進める必要があります。
⑤海老名市の将来を見据えた効率的かつ効果的な公共施設の配置・再編
○
相模川をはじめとする河川については、都市化の進展に伴う雨水流出量の
増加に対処するため、河川整備により治水機能の向上を図る必要がありま
す。
○
公共施設については、保健・医療・福祉・住宅・教育・スポーツ等の各分
野と相互に連携しながら、施設整備を図る必要があります。
○
人口の増加や少子化・高齢化の進展等、将来の需要を見据えながら、既存
施設の有効活用、必要となる施設の配置・整備により、効率的かつ効果的な
公共施設の配置・再編を進める必要があります。
○
ごみ処理施設については、人口の増加や社会経済活動の推移を踏まえ、循
環型社会の構築の視点から、より効率的で安全・安定的なごみの処理体制を
確立するとともに、必要な施設を広域的に確保・配置する必要があります。
11
章
○
序
章
(5)都市環境の課題
①「海老名らしさ」を表す良好な自然環境・景観
○
相模川をはじめとする河川、市街化調整区域に広がる優良農地、河岸段丘
や丘陵地帯に残る斜面緑地等は、本市の自然環境を形づくっていることか
ら、これら自然環境の保全を通じて、「海老名らしい」良好な都市環境形成
を図る必要があります。
○
相模川や相模横山九里の土手等の自然的景観、相模国分寺跡、相模国分尼
寺跡や秋葉山古墳群等の歴史的景観、海老名耕地・有馬耕地の水田等の生活
文化的景観等、本市固有の景観については、周辺地域を含め、地域特性に則
した景観保全を図る必要があります。
○
市街地については、中心市街地周辺や幹線道路沿道を中心に、周辺環境と
調和した屋外広告物や建築物の誘導等により、魅力的な都市景観の形成を図
る必要があります。
②「安全」「安心」への関心の高まり
○
アンケート調査では、
「安全」や「安
心」に対する要望が強いことから、
「災
文化的な
害に強いまちづくり」「犯罪を生まな
安全な
いまちづくり」を視点に、各種施策に
にぎわいのある
取り組む必要があります。
○
構成比(%)
0.0
地震災害に備え、建築物の耐震化・
不燃化を促進するとともに、避難路の
確保、緊急輸送路となる幹線道路の整
備、避難地となる公園等のオープンス
ペースの整備を計画的に図る必要が
都市化の進展に伴う雨水流出量の
増加を考慮し、雨水排水対策を進める
30.0
40.0
14.3
自然の豊かな
32.2
34.7
便利な
美しい
60.0
44.8
31.8
歴史を感じる
50.0
20.6
7.5
11.0
27.4
人に優しい
6.4
心やすらぐ
○
20.0
活力のある
成熟した
あります。
10.0
21.4
図-将来の姿として望むイメージ
(アンケート調査)
必要があります。
○
急傾斜地における崩落等の災害を防止するため、開発・建築行為を適正に
誘導するとともに必要な対策を講じる必要があります。
○
市民の治安に対する不安が高まっていることから、防犯灯の設置拡大や公
園における見通しの確保等、都市づくりの面から積極的な対応を図る必要が
あります。
12
③誰もが安心して暮らすことのできる都市空間の確保
○
高齢者等の移動手段として、さらには環境負荷の軽減に向けた取り組みの
一貫として、コミュニティバスを含む、バス交通の充実と利便性の向上を図
る必要があります。
高齢者の生きがいづくりや健康増進を支援する視点等から、集会所や公民
序
○
館、各種福祉施設、健康増進施設等の機能充実や利用促進を図る必要があり
○
章
ます。
公共公益施設等については、誰もが快適かつ安全に暮らせるような都市空
間の創出を図る必要があります。
コミュニティバス
13
序
章
(6)その他の課題
①行政主導から市民参加による協働のまちづくりへ
○
行政サービスに対する需要の増加や多様化に対し、市民・企業・行政が適
切に役割を分担し、相互連携によって都市づくりを進めていく視点が不可欠
となっています。
○
市民のまちづくりに対する関心が高いことから、実践的な取り組みへとつ
なげるための仕組みの構築が求められます。特に若年層で顕著であることか
ら、そのアイディアや行動力を積極的に活かしたまちづくりが期待されま
す。
海老名市役所
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