「こちら鳩の子放送局」 ~工夫して発信しよう - 教育委員会

第5学年2組 総合的な学習の時間学習活動案
平成21年1月 22日(木)第5校時
場
所
第5学年2組 教室
指 導 者
教諭
大瀧 篤志
【共同研究者】高原 則子 野田 淳子
宅野 紘一 足達 祐子
1 活動名
「こちら鳩の子放送局」
~工夫して発信しよう~
2 活動について
(1) 児童観
本学級の児童は素直で、与えられた課題に対して一生懸命に取り組むことができる児童が多い。
総合的な学習の時間に関してはこれまでに「バケツ稲作り」や国語科の「ごみ問題ってなあに」の資
料から、
「環境」をテーマに調べ学習を行ってきた。そこでは模造紙や新聞形式にまとめたりて、発表
会を行ってきた。実際にペットボトルのリサイクル製品を作ったりして実物を提示したりもしてきた。
新聞形式にまとめたり、模造紙にまとめたりすることについては、それぞれの工夫が見られるようにな
ってきたが、発表に関しては、声が小さい児童が多く、自信を持って発表できる児童が少ない。そこで、
授業の中で意図的に発表の機会を設けたりしながら、徐々に自信を持って発表ができるように指導して
いきたい。
本活動に関する児童の意識調査は以下の通りである。
Q1 話すことは好きですか。
嫌い
あまり
3%
好きで
はない
6%
とても
好き
49%
まあま
あ好き
42%
好きな理由
自分のことを相手に知ってもらえるから。
相手の気持ちが分かるから。話すと楽しいし好きだから。
自分の思っていることが相手に伝わるから。
嫌いな理由
何を話せばいいのかよく分からない。
めんどくさい。
Q2 調べ活動は好きですか。
とても好
き
23%
嫌い
19%
あまり
好きで
はない
23%
まあま
あ好き
35%
好きな理由
調べるといろいろなことが分かってきて楽しいから。
パソコンで調べると細かく書いてあっていいから。
嫌いな理由
めんどくさい。つまらない。
本や新聞で調べるのは好きではない。
Q3 情報はどこから得ていますか。
(複数回答可)
ラジオ
携帯
4
6
新聞
8
先生
8
ネット
14
家族
17
テレビ
25
考察
普段、家で新聞を読んでいる児童は少なく、児童の多くは
テレビが主な情報源となっていることが分かった。
また、インターネットや携帯電話からも情報を収集するな
友達
17
ど、その使い方についても注意をしていきたい。
以上のことから考察すると話すことに関しては好きと捉える児童が多いことがわかる。しかし、みんなに
伝えることになると、はずかしさから発表する児童が決まってきてしまうことがある。何でも言い合える
ような雰囲気作りを普段の生活の中でも作っていきたい。
調べ活動に関しては、調べ方が分からなかったり、調べたことを新聞やレポートなどにまとめることが
めんどくさいと思っている児童も多く、嫌いと回答する児童がいることが分かった。実際に行ってきた調
べ活動においても、インターネットからの情報に頼りすぎて、自分の考えをまとめることができなかった
りもした。
児童一人ひとりに活動してみたいと思わせるように必要感を持たせて探求活動に入らせるようにして
いきたい。
(2) 活動設定の理由
五年生の社会科の学習「わたしたちの生活と情報」では、ニュース番組の作り方やコマーシャル作成
について学習してきた。また国語科の学習「ニュース番組作りの現場から」では、ニュース番組を作る
までの過程や特集について学び、放送原稿の書き方について学んできた。
総合的な学習の時間では、これらの学習をもとに「わたしにとって大切なもの」をテーマにして伝え
方を工夫しながら表現していきたい。児童からは大切なものとして、命、家族、友達、自然、お金、気
持ち(心)などが挙げられた。これらのものは児童にとって大切なものとして当たり前に分かっている。
調べる活動やまとめて発表する活動、他のグループの発表を聞くことを通して、改めてそれらの大切さ
に気づかせたいと考え、本単元を設定した。
(3) 指導観
「総合的な学習の時間」を教科内容の発展的な場とするのではなく、「教科で培った力を活用する場」
「生きる力の育成の場」として捉え、全ての教育活動の基礎となる国語力を身に付けさせていく。その
ためにも国語科と「総合的な学習の時間」を関連させて指導していきたい。
本活動の指導に当たって最も重点を置きたいことは、話す・聞く力と、表現力である。話し方・聞き
方については、声のものさしや掲示等を利用して、常に児童に意識させていくようにしている。また、
年度当初より一分間スピーチを帰りの会等に実施し、自分の思いを相手に伝えることが徐々に出来るよ
うになってきている。
「つかむ」の段階では実際にスキップシティのスタジオ収録を体験し、自分たちも番組作りをすると
いうイメージを持たせるようにしてから本単元に取り組んでいく。
本時では、相手意識を持ちながら、自分たちが伝えたいことが相手に伝わるように表現方法を工夫し
ながら発信させていきたい。また発信方法も「自分たちが伝えたいことは何か、そのためにはどんな発
信方法が適切か」などグループごとに表現方法を工夫させていきたい。そして、グループごとに発表を
聞き合い、さらによくするためにはどうしたらよいのかを観点別カードをもとに話し合わせ、発信の仕
方をさらによくしていきたい。最終的にはビデオに撮って情報を保護者などに発信させていくことを目
標とし、常に相手意識をしながら発信させていき、伝え合う力を育成していく。
3 研究主題との関わり
(1)研究主題
確かに理解し、豊かに考え、表現できる国語力の育成
(2)研究の仮説と手だて
【仮説1】豊かに考える力の育成
体験的な学習を取り入れ、一人一人の考えを互いに交流する場を設定すれば、児
童一人一人の考えが深まり、豊かに考える力が育成することができるだろう。
<手だて>
○体験活動の工夫
・スキップシティを見学し、ニュース番組作りを体験することで、児童に関心を持たせ、番組作り
のイメージをふくらませる。
・情報メディアで調べるだけでなく、身近な人や施設等で取材したりインタビューしたりすること
で思考を深めさせる。
○グループ活動の工夫
・テーマ別のグループを使った話し合い活動・調べ活動を取り入れ、児童が進んで考え、発表し活
動できるようにする。
○掲示物の工夫
・番組の雰囲気を作るような環境・掲示を豊かにする。
・学習活動の見通しと番組全体の構成が分かるような掲示を行う。
○評価の工夫
・授業の終末に相互評価を行い、児童が取り組みの状況・内容を評価できるようにする。
【仮説2】豊かに表現する力の育成
伝え方を工夫し、自分たちの調べたことを表現する場を設定すれば、豊かに表現
する力を育成することができるだろう。
<手だて>
○伝え合う力を育てる工夫
・何でも言い合える雰囲気を作る。みんなの前で話したり読んだりする経験を全教科(総合・英語
の発表会)
、生活(朝の会・帰りの会)の中でさせる中で、話すことに自信を持たせる。
○表現方法の工夫
・自分たちの表現方法に生かすために、テレビやビデオなどの優れた映像を活用して、よいところ
は取り入れさせる。
○表現資料の工夫
・児童が写真や絵、映像、実物の等の資料を作成し、それを活用しながら工夫して表現できるよう
にする。
○話す・聞く力を高める工夫
・
「聞き方・話し方名人になろう」
、
「声のものさし」等を積極的に指導し、相手に分かりやすく伝
える力と内容を聞き取る力を身につけさせる。
4 単元構想図
わたしにとって大切なもの
ふれる 1・2
ニュース番組作りについて学ぼう
・実際にスキップシティに見学し
・
(5 年「ニュース番組作りの現
に行き、ニュース番組作りを体
験し、番組作りに対して興味・
は作られるんだ。作っ
場から」
)
・
(5年「わたしたちの生活と情
関心を持たせる。
こうやって、ニュース
てみたいな。
報(社会科)
」
)
つかむ 3・4
ウェビングし、自分の課題を決めよう
・ウェビングマップ作りで課題か
自分にとっては、○○
ーマにウェブマップ作りに取
ら連想させ、広げていく。
が大切だな。○○につ
り組む。
(5年「言葉の研究レポート」
)
いて調べてみたい。
・わたしにとって大切なものをテ
・6つのグループに分ける。
・グループでの話し合い方
(家族・命・自然・お金・感情・
(声のものさし2)
友だち)
深める 5~
10
見通しを持って計画的に取り組もう
・インタビューでの調査。
・インタビューの仕方やポイント
○○の大切さを伝え
・インターネットで、課題につい
(5 年「インタビュー名人になろ
るために具体的な例
て具体的な例を取り入れなが
ら、ニュースを作っていく。
を取り入れていこう。
う」
)
・ニュース番組作りの過程や特
・写真や映像資料の活用。
集、放送原稿の書き方
・グループごとに役割分担をし、 (5 年「ニュース番組作りの現場
調べていく。
分かりやすくまとめ、工夫して発信しよう
まとめる
~
11
から」
)
プレゼンテーション方法
寸劇
写真
紙芝居
キャスター
実物を見せる
ビデオ
パソコン
ポスター
この方法だとみん
なにわかりやすく
伝わるね。
15
・グループごとに発信方法を工夫
し、練習をする。
発表する。
・発信方法を工夫しながら、発表
会を行う。
・各自が調べたことをまとめて、
(5 年「人とものとの付き合い
方」
)
ビデオに撮って発信させよう。
5 単元の目標と評価規準
(1) 単元の目標
○自分が伝えたいことを、表現方法を工夫しながら、相手に伝えることができる。
(2) 評価規準
①関心・意欲・態度
実際にニュース番組作りのスタジオ体験をすることで、番組作りに対
して興味・関心を持とうとしている。
②問題を見出す力
疑問を持ったりすることができたか。
③問題を把握する力
自分が調べたい事柄を、見つけることができる。
④計画する力
自らの学習課題について、追求・表現する学習計画を立てることがで
きる。
⑤追求する力
それぞれの計画に沿って情報を収集・選択・整理し、問題を解決する
ことができる。
⑥表現する力
自分が調べた事柄を、工夫して相手にわかりやすく伝えることができ
る。
⑦自己評価する力
自分や友だちの学び方について、成果や課題を見出し、自分の学びに
生かすことができたか。
(3) 重視する評価規準
今回は国語力活用の観点から特に⑤追求する力と⑥表現する力を重視し、指導の徹底を図る。
⑤追求する力
・実際にニュース番組作りやスタジオ体験を行い、番組作りに対して
見通しを持ち、意欲的に取り組む態度を育てる。
(つかむ)
・グループごとに自分たちに必要な情報を収集し、まとめることがで
きる。
(深める)
・他のグループの発表を聞き、疑問や感想をもつことができる。
(まとめる)
⑥表現する力
・自分作ったウェブマップから、課題を捉えることができる。
(ふれる)
・グループで活動を見通し、活動計画に表すことができる。
(つかむ)
・自分が調べたことをわかりやすく企画書や放送原稿に書くことがで
きる。
(深める)
・相手意識をしながら、表現方法を工夫しながら伝えることができる。
(まとめる)
・自分が調べたことや相手の発表を聞いて分かったことをメモするこ
とができる。
(まとめる)
6 指導と評価の計画(15時間扱い)
学習計画
活動内容
ふ ・番組作りについて ①②
指導上の留意点
主な評価規準【評価方法】
・これから「わたしにと ・番組作りについて、興味・
れ
興味・関心を持た
実際にスキップシテ って大切なもの」をテー
関心を持とうとしてい
る
せる。
ィのスタジオ収録を マに自分たちで番組を作
る。
【行動・観察】
②
体験し、番組作りに っていくことを伝える。
ついて学ぶ。
問題を見出す力
つ ・課題設定と活動計 ③ウェブマップを作り ・
「わたしにとって大切な ・自分の興味・関心のある
か
画を作成する。
ながら、自分の課題
もの」というテーマか
課題を見つけ、決めるこ
む
を見つけ、グループ
らウェブマップ作りを
とができたか。
②
分けを行う。
行わせる。
④グループごとに活動
【ワークシート】
問題を把握する力 ・活動への見通しをもち、
グループで活動計画を立
計画を作成する。
てることができたか。
【ワークシート】
深 ・調べたり、話し合 ⑤⑥
・必要な情報が集められ ・必要な情報を収集し、必
め
ったりする活動
グループごとに調べ
るよう個別に指導す
要なものを選び、活用す
る
を進める。
活動を行う。課題に
る。
ることができたか。
ついて具体的な事実
⑦
情報を収集する力
を取り入れるように
する。
⑦⑧
企画書にまとめてい
・自分が伝えたいことを企
・それぞれの伝えたいこ
とがわかるように企画
書にまとめさせる。
く。
⑨放送原稿を書く。
⑩⑪(本時)
発表の準備をする。
【行動・観察】
画書や放送原稿等にまと
めることができたか。
【ワークシート】
書く力 ・自分たちにあった表現方
・伝えたいことが分かる
ように放送原稿にまと
法を選び、工夫すること
ができたか。
めてさせる。 書く力
ま ・発表の準備および ⑫よりよい発表になる ・発表会及び、発表後に ・自分の伝えたいことを相
と
リハーサルを行
ようにリハーサル後
自己評価を行い、次の
手にわかるように伝える
め
う。
発 表内 容を 構成 す
発表に生かせるように
ことができたか。
る。
修正や練習を行わせ
る ・発表会をし、活動
④
を振り返る。
・学年内で発表会を
行う。
・出来上がったニュ
ース番組をビデ
オに撮り、保護者
等に発信させて
いく。
⑬⑭⑮
る。
【行動・観察・発表】
・自分や友だちの発表を聞
自分が調べたことを
話す・聞く力
いて、自分のことを振り
表現方法を工夫しな
自己評価する力
返り、学びに生かすこと
がら、相手にわかる
ように伝える。
ができたか。
7 本時の学習指導
(1) 目標
お互いに調べてきた情報を発信し合い、観点カードをもとにしながら、自分たちの発表をよりよく
することができる。
(2) 評価規準
○観点カードをもとに、自分たちの発表を練り直すことができる。
【自己評価する力】
仮説との関わり【仮説1: 豊かに考える力】
○発表方法を工夫しながら、自分が調べてきたことを相手にわかりやすく伝えることができる。
【表現する力】
仮説との関わり【仮説2:豊かに表現する力】
(3) 展開(11/15時)
活動内容
1 発声タイム
教師の支援(○)と評価(☆)留意点(・)
・授業への意欲や集中力を高めるために「声のものさし3」でリズム 2
よく読ませる。
2 本時の課題を確認する。
お互いに発表を見合い、自分たちの発表をよりよくしよう。
3 本時の流れを確認する。
・一時間の授業の流れ、時間の目安を伝える。
(1グループ4分以内)
3
・ペアグループで、3つのコーナーに分かれて活動する。
・発表するときのポイントを確認する。
(声のものさし、話す速さ、相手意識
をしながら)
・発表を聞くときの観点を伝える。
18
4 グループごとにコーナー ○聞き手の観点を示しておく。
に分かれて、表現方法を工 ○聞く観点を明確にしたカードをもとに発表を聞くことで、聞き手の
夫しながら発表をする。
目的意識をもたせる。
・他グループの発表を聞き、 ・発表中はメモを取らずに発表が終わってから観点カードを書くよう
メモをする。
にする。
・他グループの発表を聞いて
質問や意見を言う。
スクリーン
黒 板
ペアグループでの
話し合いの流れ
前半グループの発表
↓
メモ・アドバイス
後半グループの発表
↓
メモ・アドバイス
集合場所
教室配置図
・発表グループのキャスターが司会を務め、ペアグループでアドバイ
スし合う。
☆自分が調べてきたことを発表方法を工夫しながら、相手にわかりや
すく伝えることができる。
【表現する力】
5 グループで話し合い、発 ○観点カードのアドバイスをもとにしながら、グループで話し合い、 7
表を振り返る。
次の発表へと生かして練習をさせる。
☆観点カードをもとに、自分たちの発表を練り直すことができる。
【自己評価する力】
仮説との関わり【仮説1: 豊かに考える力】
6 成果を発表する。
(全体発表)
資料の出すポイント
次は、聞いている人
を、もう一度確認し
を見て、豊かな表情
よう。
で発表しよう。
○代表の 2 グループの発表を見て、成果を確認する。
10
・発表する前にどの点を意識して発表するのかを聞き手に伝えてから
発表させる。
☆発表に対して質問や意見を言ったり、相手の発表のよさを見つけ、
自分自身の学習に生かすことができたか。 【自己評価する力】
7 本時の振り返りを行う。 ○本時の活動を振り返らせ、自己評価させる。
・感想及び自己評価を書き、 ○本時の活動を通して、次の発表会へとつながるように、自分の考え
発表する。
たことを中心に書かせるようにする。
☆自分や友だちの学び方について、成果や課題を見出し、自分の学び
に生かすことができたか。
【自己評価する力】
(4)板書計画
こちら鳩の子放送局 ~工夫して発信しよう~
テーマ わたしにとって大切なもの
1
2
3
4
5
6
7
授業の流れ
発声タイム
めあての確認
前半グループの発表
後半グループの発表
作戦会議
全体発表
自己評価
課題
お互いに発表を見合い、自分たちの発表を
よりよくしよう。
話す・聞く時のポイント
内容
声の大きさ・速さ
豊かな表情
内容
表現方法の工夫
表現方法の工夫
5
(5)資料