EWS1 月 平成16年1月5日 「学ぶことは変わること」②子どもの学びから学んだこと∼授業の総合化∼ 3年2組 石田 聡子 社会や算数、国語などの授業に取り組む時に、活動を仕組み、その後、感想等をノート に書かせる。活動は子どもの自由度を大切にできるものを行おうとしている。一人一人の 自己決定と思考錯誤が、次の思考や活動につながっていく。学習後のノートは、子どもの 1時間の振り返りであり、一人一人の考え方の見取りもできるが、教師の授業に対する正 直な評価でもある。 社会でスーパーマーケットの店内の間取りを考えた。子どもたちはスーパー内部の様子 を、一生懸命思い出しながら図にしていた。その後、A さんは「今日は久しぶりにおもしろ かった。」とノートに書いた。以前の私ならば、意欲的に活動しない A さん自体を問題にし ていたが、今は、A さんが興味を持って取り組める活動が用意できなかったことの正直な現 れであると感じている。 算数の時にも、活動が這い回っていた時のノートには、水をはかるなどの活動自体をお もしろがっていて、「かさ」などの概念を理解している様子は感じられなかったが、子ども たちの目的意識がはっきりした活動だと、活発に思考が働いているようで、ノートにもわ かったことや疑問が多く出てくるようになった。有名な「A させたいなら B させよ。」とい う手法にも似ているが、子どもは、A というしっかりとしたねらいをもっていて活動してい る中でさまざまな気づきや疑問が生まれてくるような活動が大切である。 これは、高志小の総合と似ている。子ども達の学びや気付きを大事にしている。1つの 課題を解決したら終わりではなく様々な学習の発展の可能性がある。前述のスーパーマー ケットの間取り図の時にも「自主学習で他の店のもやってみたい。」という子どもがいた。 家族とスーパーへ行って、さらにくわしく見てくる子どももいた。物の置き場所を目玉商 品やお客のニーズと結び付けて考えている子どももいた。子どもたちの目がいろんな方向 に向き、追求をし続けていけるような活動を考えることが、授業作りで大切なことだと感 じている。 その成果があらわれたのが、図工で取り組んだ「緑の小道のゆめの木」だった。題だけは 同じが、一人一人がみんなちがう木を描き、関わっている自分を描いた。一人一人の絵には 物語があり、話すことが楽しい様子だった。画材や手法も子ども達の個性を生かせるものに なった。何よりも子ども達の満足度や集中度が違った。 総合的な手法は他の教科でも充分に通じると感じている。 教科によっては一人一人の気付きだけで終わってはいけないものも多い。今後は子ども 達の気付きを集約し、他の子ども達にも広めていく新たな活動作りを考えて行きたい。 EWS1 月 平成16年1月5日 「学ぶことは変わること」③総合を中核にした教育課程 3年2組 1 石田 聡子 「緑の小道」での活動に見られる子どもの学びの様相 3 年生の総合「わくわくシーズン」について、この 9 ヶ月間の子ども様相を考えてみた。 ① 小道の散策∼個での活動が中心 緑の小道に来ても何をするかよくわからず、見つけたものや教師に進められるものを とったり遊んだりして楽しむ。4,5 月に多かった。友達との関わりも行き当たりばった りで、少人数で動いたりすることが多かった。また活動時間も短く、集合時刻の1時間 も前から、集まっていて時間を持て余している子供が多かった。 ② 場所を決めて通う∼小さな集団化 自分の木のあるところ、ザリガニやむしなどのいるところ、ブランコなどのあるとこ ろなど、一人一人の目的が出てきて、前回の記憶をもとに同じ場所に行こうとする。し かし、そこへ行っても長くいるわけではなく友達の誘いなどでいろんなところへ移動も する。仲良しの子供達数人と話をし、活動を決めている姿があった。 ③ 自分の場所を工夫する。∼集団化と情報の共有 自分の場所に長くいて、友達や一人で、快適になるように、または目的に合うよう に場所を工夫し始める。例えば、用水の中に木などを置いておきいりの基地までいけ るようにしたり、ススキをカマで刈って基地を広くしたりする。1日中その場所を工 夫や改造することが多い。少しずつ活動集団が大きくなっていき、お互いの情報が共 有されて、見る見る広まっていった時期である。(例えば死の橋という谷にななめにか かった木の場所や、赤い実のなる木の場所など) ④ 自分の場所で他者に働きかける∼奉仕? 自分の場所が決まり、ある程度満足のいく形になると、他の子ども達とのかかわり を求めるようになった。例えば「お休みどころ」では通りがかりの子ども達を「一緒にや ろうと誘う」,「木の実やさん」や「花屋さん」では自分たちがとってきたものを「分け る」「くれる」、自分たちの基地を「案内する」などである。 今子どもたちに見られる様相は、上の4段階である。①から④に行くほど、子ども達の「緑 の小道の活動に対する深まりも増しているように感じる。また、緑の小道での人間関係作 りが子ども達にとってとても大事な時間でもある。②や③や④の段階になり、集団での活 動が多くなってくると、お互いの関わり方が難しい場面も出てきて、解散したり、新しい グループと一緒になったりもしているが、様々な自己決定場面が森の中に展開し、子ども たちが小道で「歩く」「登る」「切る」「折る」「作る」「癒やす」「見つける」などを選択しながら、 活動している。 2 子供達に見える学びの深まり このような活動を通して、どのような力が子ども達についたのか考えてみると ① 活動に対する自信 ② 活動に対する主体的な態度 ③ 仲間との関わりを求めたり、誘ったりしようとする姿勢 ④ 仲間を大事にしようとする姿勢 ⑤ 季節やまわりの変化を敏感に感じ取ろうとするものの見方 等を感じている。子ども達はどんどん強くなっている。また、友達の名前もどんどんシー トに多く書かれる様になって来て、学級を越えて活動している様子が伝わってくる。 ある子どもは、シートに時々「知らない子とOOしました。」と書いているが、名前を知ら なくても基地を作り生き生きと活動している子どもの姿が読み取れる。 子ども達自身も、緑の小道での成長を「(先生がいなくても)自由に遊べるようになった」 「奥までいけるようになった」「友達に声をかけられるようになった」「やることが見つか って楽しくなった」と話していた。 「全身が関わっている運動の感覚は忘れない」 (「記憶が うそをつく!」養老孟司・古館伊知郎対談集より)という言葉通り子ども達の記憶に残っ ていくものであろう。 3 3年生の総合としての「緑の小道」 緑の小道で学んだことが、学校生活や子ども達同士の関わりにも生きている。 総合初体験の子どもたちにとって、緑の小道というフィールドは、すばらしい舞台だと感 じている。子ども達同士が自己を理解し、学級を超えて、関わろうとしていける場所である。 ただ、はじめて行った子ども達にとっては広すぎるフィールドだったのかもしれない。学び の場として不安をもっていた子どもたち、も多かったように感じる。この部分を解消し、生 活科とのスムーズな移行をはかっていくため、4月当初、集団的な学習の場を準備する必 要性も感じられる。また、3年生の習熟度や、英語学習、行事、などの影響で、思ったよりも 学級総合の時間を活かせないもどかしさを感じているのも事実である。 小道の良さを生かしつつも、小道と子ども達をつなぐ緩やかなスロープの準備を感じて いる。
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