栄養成分表示制度の変遷 平成7年の栄養改善法の一部改正により、栄養成分の補給ができる旨の表示をする食品を厚生大臣が個別に 許可する「栄養強化食品」から、現在の「栄養表示基準」へ移行した。 特殊栄養食品 特殊栄養食品制度 昭和27年 特殊栄養食品制度の創設(栄養改善法に規定) 特に栄養的に優秀な食品について、それが表示事項と間違いない ことを保証し、消費者が安心して入手できるよう考慮 平成3年 「補給できる旨の表示」から「栄養強化食品」に ☆国民の健康志向の高まり ☆食を通じた健康づくりへの関心の高まり ☆「高たんぱく質」「低糖」「低カロリー」等、 栄養成分等についてアピールする食品の増加 など 補給できる旨の表示(大臣許可) 特定の栄養成分の補強を行い、その栄養成分が 積極的に補給され得る旨の表示 栄養強化食品(大臣許可) 【強化食品】 米、押麦、小麦粉、食パン、 ゆでめん、乾めん、即席めん、みそ、マーガリン、 魚肉ハム・ソーセージ(10品目) 【栄養成分】 ビタミンA、B1、B2、C、D、カルシウム、 鉄、L-リジン(8成分) 【許可】 補給ができる旨又は強化されている旨 (強化、添加、含有等) 特殊栄養食品制度 平成7年 栄養改善法の一部改正(平成8年より施行) 栄養表示基準(自己認証) ○特殊栄養食品制度の廃止 ○栄養表示基準の施行 ○「栄養強化食品(厚生大臣許可)」→「栄養表示基準(自己認証)」 平成15年 健康増進法の施行(栄養改善法の廃止) *健康増進法に基づく栄養表示制度の規定に変更はなし 10 健康・栄養政策と栄養表示基準 ① 健康増進法では、厚生労働省において進められる健康・栄養政策と、消費者庁において進め る栄養表示政策とは、整合性がとられる仕組みとなっている。 健康増進法施行規則(厚生労働省令) (健康増進法第30条の2に基づく) 国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏・過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響 を与えている栄養素を定める。 内閣府令(健康増進法第31条に基づく) 健康増進法施行規則に定められた栄養素のうち正確 な情報伝達が必要な栄養成分を定める。 食事摂取基準(厚生労働省告示) 健康増進法施行規則に定められた各栄養素につき、 摂取量の基準を定める。 健康・栄養政策と 栄養表示政策との調整 栄養表示基準(消費者庁告示) ①健康増進法施行規則に定められた栄養素の中から、必 要な栄養成分を選択し、その量に関し表示すべき事項 及び表示の方法を定める。 ②内閣府令に定められた栄養成分について、補給・適切 な摂取ができる旨を表示する際の遵守事項を定める。 11 健康・栄養政策と栄養表示基準 ② 《食事摂取基準において摂取量の基準が定められている栄養素》 欠乏が健康に影響を与えるもの 過剰な摂取が健康に影響を与えるもの 熱量 たんぱく質 n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸 脂質、飽和脂肪酸、コレステロール 炭水化物、食物繊維 糖類(単糖類又は二糖類であって、 糖アルコールでないものに限る。) ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、 ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、 ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、 パントテン酸、ビオチン、ビタミンC カリウム、カルシウム、マグネシウム、 リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、 セレン、クロム、モリブデン ナトリウム 《栄養表示基準において表示の基準が定められている栄養成分》 栄養表示基準に含有量表示を定めている栄養成分 「補給ができる旨」の基準を定めている栄養成分 「適切な摂取ができる旨」の基準を定めている栄養成分 12 (参考)日本人の食事摂取基準 ○ 厚生労働大臣は、健康増進法に基づき、食事による栄養摂取量の基準(食事摂取基準)を定めている。 ○ 食事摂取基準とは、健康な個人または集団を対象に、国民の健康の維持・増進、生活習慣病の予防を目的として、エネルギー 及び各栄養素の摂取量の基準を示すもの。 (参考)食事摂取基準を策定した栄養素と設定した指標(1歳以上) ○健康増進法に基づき、厚生労働大臣告示として 規定(平成22年3月18日厚生労働省告示第86号) ○指標の概要 健康の維持・増進と欠乏症予防、過剰摂取による 健康障害の予防や生活習慣病の一次予防を目的 として、6つの指標を設定 ・推定エネルギー 必要量(EER) エネルギー出納が0(ゼロ)となる確率が最 も高くなると推定される習慣的な1日あたり のエネルギー摂取量 ・推定平均必要量 (EAR) 50%の人が必要量を満たすと推定される1 日の摂取量 ・推奨量(RDA) ほとんどの人において1日の必要量を満た すと推定される1日の摂取量 ・目安量(AI) ある一定の栄養状態を維持するのに十分 な量 ・耐容上限量 (UL) ほとんどすべての人々が、健康障害をもた らす危険がないとみなされる習慣的な摂取 量の上限を与える量 ・目標量(DG) 生活習慣病の一次予防を目的として、現在 の日本人が当面の目標とすべき摂取量 推定平均 必要量 (EAR) ○ たんぱく質 脂質 炭水化物 脂 溶 性 ビ タ ミ ン ミ ネ ラ ル 水 溶 性 多 量 微 量 脂質 飽和脂肪酸 コレステロール n-6系脂肪酸 n-3系脂肪酸 炭水化物 食物繊維 ビタミンA ビタミンD、E ビタミンK ビタミンB1、B2、 B12、ビタミンC ナイアシン ビタミンB6 葉酸 パントテン酸 ビオチン ナトリウム カリウム カルシウム マグネシウム リン 鉄、亜鉛、銅、 ヨウ素、セレン、 モリブデン マンガン クロム 推奨量 (RDA) 目安量 (AI) ○ - 耐容 上限量 (UL) - - - - - ○ - - ○ - ○ - - - - ○ ○ - ○ - ○ ○ ○ ○ - - ○ ○ - - - ○ ○ - ○ - ○ ○ - ○※ - - - ○ - - ○ ○ ○ - ○ ○ - ○ ○ ○ ○※ ○ ○ ○ - ○ ○ - ○ - ○ ○ ○ - ○ - - ※ 通常の食品以外からの摂取について定めた 目標量 (DG) - 13
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