A01 DT中性子計測への応用をめざした 高品質単結晶ダイヤモンドの合成と特性評価 北海道大学大学院 工学研究科 金子純一 特定領域「プラズマ燃焼のための先進プラズマ計測」シンポジウム 拡大総括班 平成17年度 第一回会合 ダイヤモンド放射線検出器の特性及び開発目標 特長 ・高耐放射線性(共有結合?) ・高温動作可能(大きなバンドギャップ:5.5eV) ・高速応答(高移動度μe:2000cm2/V・sec) ・可視光不感 ・14MeV中性子と炭素の12C(n,α)9Be反応 核融合炉の ためにある ような半導 体材料!! 開発目標 ・12C(n,α)9Be反応を利用した、D-T核融合炉におけるプラズマイ オン温度測定用14MeV中性子エネルギースペクトロメータ ・高温・高放射線環境下においてエネルギー分析可能な人工ダイ ヤモンド放射線検出器の実用化 ダイヤモンド検出器によるプラズマイオン温度測定 飛行時間法に必要な領域 電極 電極 ダイヤモンド 9Be n α0 印加電圧 14MeV中性子の測定原理 ダイヤモンド放射線検出器 ITER DIAGNOSTICS ,ITER DOCMENTATION SERIES NO.33(1991), IAEA,p.p.42-46 より 測定方法 飛行時間法 検出効率 寸法[m3] 備考 3×10-4 2×5×6 サイズに難 反跳陽子法 10-4∼10-5 0.4×1×2 ダイヤモンド検出器 10-3∼10-5 小さい 実現すれば理想的 10-3 小さい 耐放射線性に難 シリコン表面障壁型検出器 検出効率に難 これまでの14MeV中性子に対する ダイヤモンド放射線検出器の性能 200 2500 12 12 C(n,n)12C 12 C(n,n')12C* C(n, n) C 2000 12 C(n, n')12C∗ 計数率;∼104cps 1500 12 9 C(n,α ) Be 1000 500 150 カウント カウント 12 計数率;∼30cps 12 C(n,α )9Be 12 C(n,n')3α 100 50 12 0 0 C(n,n')3α 2 4 6 0 8 10 エネルギー [MeV] (a) 最良の天然IIa型ダイヤモンド※1 エネルギー分解能1.95%(連続値) 方法;連続測定 0 2 4 6 8 10 エネルギー [MeV] (b) 高圧高温合成IIa型ダイヤモンド※2 エネルギー分解能9% 測定方法;最大45分間を複数回測定し積算 プラズマイオン温度測定にはエネルギー分解能2%が必要。 人工ダイヤモンド(HP/HT IIa型)は空間電荷の蓄積による分極 現象が顕著であり、エネルギー分解能も不十分。 ※1 A.V.Krasilnikov et al., Rev. Sci. Instrum., 68(4), April (1997) p.1722. ※2 J. Kaneko et al., Rev. Sci. Instrum., 70(1) (1999) p.1102 CVD単結晶ダイヤモンド検出器の現状と問題点 スペクトロメータグレードCVD単結晶の合成 1997 2002 住友電気工業 デ・ビアスダイヤモンド 高いエネルギー分解能と計数率を達成!! しかし、 歩留まりが非常に悪い 500 カウント 400 印加電圧: 400V (5.71kV/cm) Gain:0.40×1k, ST:2μs 300 200 100 0 736 768 800 832 864 チャンネル 住友電気工業製CVD単結晶ダイヤモンドを用いた α線エネルギースペクトル測定例 *1 *1 J. H. Kaneko et al., Nucl. Instrum. Meth. A505 (2003) p.p. 187-190. *2 G. J. Schmid et al., Nucl. Instrum. Meth. A527(2004)p.p.554-561. デ・ビアス製CVD単結晶ダイヤ モンドを用いた放射線検出器に よる14MeV中性子応答関数測 定例 図(b) *2 人工ダイヤモンドの現状(まとめ) 人工ダイヤモンドによる14MeV中性子エネルギースペクトロメータを 実現するには極めて電気特性の良い理想的なダイヤモンドのバル ク結晶が必要になる HP/HT IIa単結晶 CVD単結晶 窒素:1∼0.1ppm 窒素・ホウ素:0.1ppm未満 不純物 ホウ素:0.1ppm 水素:∼100ppm 結晶性 非常に優れている やや劣る(転位欠陥) 厚さ制御 薄くても100μmが限界 容易に可能 歩留まり 良い 極めて悪い HP/HT 不純物をいかにして低減するか CVD 結晶性と歩留まりをいかに してあげるか HP/HTダイヤモンドの高純度化(研究課題の範囲) 高圧アンビル プラズマ プラズマCVD 法により高 純度多結晶 ダイヤモンド を合成 CVDダイヤモ ンドを原材料 と て HP/HT法 によって単結 晶化 高品質単結晶 ダイヤモンドの 完成 合成手順 フィードバックループ ダイヤモンドの合成 住友電気工業 (結晶合成委託先) 検出器の製作と 特性評価 北海道大学 (原研・FNS*) * 14MeV中性子応答関数測定で協力を仰ぐ。ただし、結晶合成・特性評価のスケジュールを考 えるとH17年度中にFNSで実験が行えるかは不明。計画書では組織に入れていない。 単結晶CVDダイヤモンドの歩留まり向上(研究課題の範囲) 1997年の段階では、20mm×20mmの面積で使えたのは2mm×2mm が2個程度 半導体用大型基板の要求から大面積のCVD単結晶基板合成技術は劇的 に向上。ただし、電気特性を重視した合成条件ではない。 合成条件、高純度基板、オフ角制御、基板表面制御によるスペ クトロメータグレード単結晶CVDダイヤモンドの合成 オフ角付き基板はテラ ス状成長が容易で高品 質結晶が合成しやすい。 成長方向 プラズマ オフ角θ (100)成長面 高純度ダイヤモンド基板 α線、パルスUVレーザーを用いたダイヤモンド 結晶中の電荷キャリァ輸送特性評価 ∼ 14μm α 粒子 (5.486MeV, 0.8pJ) 213nm パルスUV レーザー オーミック電極 Q(t) +++ −−− q + − 正孔 電子 100μm 正孔 0 電荷有感型 前置増幅器 H.V. te 電子と正孔のドリフト距離の大きな開き Q(t) = q 0 /d ・(vete+vhth) ve:電子のドリフト速度 vh:正孔のドリフト速度 α 粒子の個数 結晶厚さ >> α粒子の飛程 Q(t):誘導電荷量 q 0 : 生成電荷量 d: 結晶厚さ 電子+正孔 th エネルギースペクトル 誘導電荷量 (Q) 自立膜の場合電子と正孔の挙動をそれぞれ分離して観測可能 t 電荷輸送特性評価に基づく結晶品質改善の例 1000 103 800 Count/Channel 104 1st trial [CVD polycrystalline] 2nd trial [CVD High Oriented] 3rd trial [CVD High Oriented] 約二桁の速度 向上に成功 600 ) ) d d n n o o m m a a i i ) D D e d d e n e i t t l n n a t e e i i s r r O y lO l lr a a a i c i i r h h r ry t t t l g g o i i d tp dH H n s r ( ( (2 3 1 Drift Velocity (cm/sec) 10 5 400 200 102 103 104 105 Electric Field (V/cm) 106 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 Induced Charge (Arb.) 電荷キャリアのドリフト速度の改善 誘導電荷収集率の改善(α線による励起) 評価結果をベースに結晶合成手法を検討し結晶の電気特性 を向上する 2005年5月16日 ICNDST-10 in つくばにて デ・ビアスに続く結果が出る!! イタリア・ローマ大学 Prof. M. Marinelli ○デ・ビアスクラスの単結晶合成・・・住友電工でも多分可能 専門の人間が半年かけて条件を出し、合成装置もそれ 専用にする必要がある・・・5000万円∼出せば可能(例: Spring-8・モノクロメータ用HP/HT単結晶ダイヤモンド) ○単結晶バルクの合成は手間と時間がかかるので、他人 に頼むのは不可能 ダイヤモンドコミュニティーのバックアップがあるので、合成 装置が1台あれば、北海道大学で合成可能。 プラズマCVDダイヤモンド合成装置 ∼2700万円 核融合プラズマコミュニティーに安定してダイヤモンド検出 器を供給するには、自前で合成する以外に選択肢無し。 補足資料 単結晶CVDダイヤモンド試料 α線評価結果例 住友電気工業製CVD単結晶ダイヤモンド(ID#:CVD213): 寸法2.5×2.5×0.123mm gain:0.550×500 Shaping time:6μs 前置増幅器:キャンベラ社製 2003BT α線100%収集標準試料 +300V印加 CVD219 +300V印加 CVD219 -300V印加 50 1 -300V(24kV/cm) 40 CVD213(電子) -1 Counts Voltage (mV) 0 -2 HP/HT IIa (正孔) 30 20 CVD213(正孔) -3 10 -4 -5 0 -40 -20 0 20 40 60 80 100 0 400 600 800 1000 誘導電荷量分布 前置増幅器出力信号測定例 ドリフト速度(cm/s)* 200 CH Time (ns) 移動度(cm2/Vs)* 平均自由行程(μm) 電子 3.0×105 13.1 9.6 正孔 4.2×105 16.9 5.3 * 24kV/cmにおける値 レーザーによる自立膜測定手法の確立 YAGレーザー サンプル住友電工製 HP/HT IIa 、 厚さ0.3mm、両面Ti/Au オシロスコープ (アナログ帯域: 1GHz) 50Ω 5倍高調波 λ=213nm ⊿t=100ps 4.0 3.5 3.0 2.5 Voltage(V) 電極(半透明) 2.0 1.5 1.0 0.05μF コリメーター ダイヤモンド試料 実験体系 10MΩ HV ミラー 0.5 0.0 -0.5 -1 0 1 2 3 4 Time(μs) UV パ ル ス レ ー ザ ー 照 射 に よ る HP/HT IIa型単結晶ダイヤモンド からの出力信号測定例。 α線評価済試料をもちいて測定法評価を行う。整合性の取れた データ取得に成功。最初のピークについては光電効果の可能性 大。さらに測定法の改良を進める。 電荷キャリア捕獲準位の同定(研究課題の範囲) 現在準備中 基本的に20k∼80k程度まで冷却するの がベスト!!でもお金が足りないのでとりあ えずは常温でトライ!! ①α線で帯電させる(e or h をトラップ) α線 I︵電流︶ +++++ ②光を赤外→紫外の方向で照射し て漏れ電流を測定 光 I−V 単色光源は神戸製鋼所 から借用 225nm 励起光波長 (フォトンエネルギー) 積層型CVD単結晶ダイヤモンド放射線検出器 単結晶CVDの歩留まり向上に対する一つの回答 Ti/Au電極 (30/20nm) グランド ライン ボロンドープ Al電極 CVDダイヤモンド (50nm) (500ppm, 数μm) ノンドープ CVDダイヤモンド HP/HT Ib型(100) ダイヤモンド基板 金属マウント 20μm 1200 カウント / チャンネル 信号読み出し線 (正印加電圧) 1000 800 600 測定環境:真空中、室温 線源:241Am線源 shaping time:10μs gain:0.8×500 ΔE/E=2.6% 400 200 0 0 100 200 300 チャンネル 試作検出器の構造図(断面) 5.486MeVα線に対する エネルギースペクトル測定例 積層型構造(金属-絶縁体-半導体構造)を導入 高圧高温合成ダイヤモンドでは極めて困難な、有感層膜厚20μmでかつ歩留まり の良いエネルギースペクトロメータグレードのダイヤモンド放射線検出器を実現 多結晶CVDダイヤモンドは実用化寸前 !! 同じダイヤモンドでも、その電気特性はピンからキリまで。最高品質の多結晶ダ イヤモンドであればここまでいけます。特に耐放射線性は結晶品質の影響を非 常に大きく受けるので、各種試験を行う価値大!!!! 10000 HP/HT IIa(Hole) CVD(Electron) CVD(Hole) 250 200 150 100 50 0 Counts/Channel Counts/Channel 300 8000 Polycrystal CVD DEBEERS CVD Bias : +200V Neutron / 18830sec /20cps 6000 4000 2000 0 0 50 100 150 200 250 300 Channel Numbers 多結晶CVDダイヤモンドによる α線スペクトル測定例 0 100 200 300 400 500 600 700 800 Channel Numbers 多結晶CVDダイヤモンドによる 14MeV中性子測定例 計数率測定実験、耐放射線性実験等を行ってから中性子カメ ラへの適用の可否を判断してはいかがでしょうか? 多結晶高配向ダイヤモンドを用いた位置検出器 位置検出器動作実験測定体系 5mm Oscilloscope 電極1 50Ω 電極2 レーザー Ch1 50Ω Ch2 ボロンドープダイヤモンド 高配向膜ダイヤモンド YAGレーザ パルス幅:100psec 波長:213nm 周波数 :10Hz 強度 :1.8mW 高配向 ダイヤモンド 検出器写真
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