京都大学 1982 年 入学試験 理系数学 問題 3 問題 解答

京都大学 1982 年 入学試験 理系数学 問題 3
問題
平面上に四辺形 ABCD があって,どの頂点も,残りの頂点の作る三角形の外部にある.△BCD の重心を
A1 ,△CDA の重心を B1 ,△DAB の重心を C1 ,△ABC の重心を D1 として,四辺形 A1 B1 C1 D1 を作る.
これを 1 回目とし,同様の手続きをくり返して,n 回目に得られる四辺形を An Bn Cn Dn とする.
このとき,次のことを示せ.
1. 線分 AA1 ,BB1 ,CC1 ,DD1 は 1 点 P を共有する.
2. 点 An (n = 1,2,3,· · · )は 1 直線上にある.
3. An と P との距離 An P について, lim An P = 0 である.
n→∞
解答
→
適当な点 O をとってそこから点 X へのベクトルを −
x とする。
→
→
線分 AA1 は ta −
a + (1 − ta )−
a1 (0 ≦ ta ≦ 1) と表すことができる。
他の線分も同様。
1.
−
→ −
−
→
b +→
c + d
−
→
より
a1 =
3
−
→ → −
→
(1 − ta )( b + −
c + d)
−
→
線分 AA1 は ta a +
(0 ≦ tx ≦ 1) と表せるので
3
1
ta = の時の点を P とすると
4
→ → −
→
1 → −
−
→
p = (−
a + b +−
c + d)
4
となり、他の線分も同様になる。
よって他の線分は1点 P を共有する。
2.
−−→ −−→ −−→
bn−1 + cn−1 + dn−1
−
→
an =
3
(
)
1 1 (−−→ −−→ −−→) 1 (−−→ −−→ −−→) 1 (−−→ −−→ −−→)
an−2 + cn−2 + dn−2 +
an−2 + bn−2 + dn−2 +
an−2 + bn−2 + cn−2 +
=
3 3
3
3
−−→
−→)
1 ( −−→
−→ + 2−
=
3an−2 + 2bn−2 + 2−
cn−2
dn−2
9
1 −−→
−→)
= (3an−2 + 6−
an−1
9
1 −→
−→)
= (−
an−2 + 2−
an−1
3
以上より A を A0 とすると n ≧ 2 のとき An は線分 An−2 An−1 上にある。
n ≧ 2 ならば An は線分 A0 A1 上にあるので
点 An は1直線上にある。
3.
Pn を An , Bn , Cn , Dn 重心とすると
− →
−
→)
1 (−
→+→
−
−
a
b
+
c
+
d
p→
=
n
n
n
n となる。
n
4
1 (−−→ −−→ −−→)
−
a→
bn−1 + cn−1 + dn−1
n =
3
−
→ 1 (−−→ −−→ −−→)
bn =
an−1 + cn−1 + dn−1
3(
1 −−→ −−→ −−→)
−
→
cn =
an−1 + bn−1 + dn−1
3(
−
→ 1 −−→ −−→ −−→)
dn =
an−1 + bn−1 + cn−1
3
より
(
)
1 1 (−−→ −−→ −−→) 1 (−−→ −−→ −−→) 1 (−−→ −−→ −−→) 1 (−−→ −−→ −−→)
−
→
pn =
bn−1 + cn−1 + dn−1 +
an−1 + cn−1 + dn−1 +
an−1 + bn−1 + dn−1 +
an−1 + bn−1 + cn−1
4 3
3
3
3
1
=
(3an−1 + 3bn−1 + 3cn−1 + 3dn−1 )
12
1
= (an−1 + bn−1 + cn−1 + dn−1 )
4
−→
=−
pn−1
となり Pn と Pn−1 は等しい。
よって Pn = P
1 −→ −−→ −−→ −−→
→
−
p = (−
an−1 + bn−1 + cn−1 + dn−1 )
4
1 −→
= (−
an−1 + 3−
a→
n)
4
1 −→ 3 −
= −
an−1 + a→
n
4
4
より点 P は An と An−1 の線分上にある。
1 −−→ 2 −−→
−
a→
n = an−2 + an−1 より
3
3
1 −−→ 1 −−→
−
→
−
−
→
an − an−1 = (an−2 − an−1 )
3
3
−−−−−→
1 −−−−−−−→
|An−1 An | = |An−2 An−1 |
3
1
となり線分 An−1 An の長さは線分 An−2 An−1 の長さの
3
よって線分 An−1 An の長さを ln とすると
1
ln = ln−1
3
よって l1 = l とすると
1
ln = n−1 l
3
点 P は常に線分 An−1 An 上にあるので An−1 An > An P
1
lim ln = lim n−1 l = 0 より
n→∞
n→∞ 3
lim An P = 0
n→∞
証明終了