はじめに - マセマ出版社

◆
はじめに
◆
み な さ ん , こ んにちは。数学の馬場敬之 ( ば ば け い し ) で す 。高校生活に
も慣れ,数学 I・A の内容もこなせるようになってきている頃だと思う。しかし,
高校数学で質・量共に最も充実しているのが数学 II・ B なんだよ。これから解説
する数学 II では,
“高次方程式”
,
“図形と方程式”,“三角・指数・対数関数”,それ
に“微分・積分”と,多彩な内容が目白押しなんだね。
今回は,共著者の久池井茂先生と共にこの内容豊富な数学 II を楽しく分かりや
すく教えるために,この 「 元気が出る数学 II ( 新課程 ) 」 を書き上げた。
本格的な内容ではあるけれど,基本から親切に解説しているので,初めて数学
II を学ぶ人,一度習ってはいるが自信が持てない人でも,この本で本物の実力を
身につけることが出来るんだよ。
公式についても出来るだけ丁寧にその証明や考え方を解説しているけれど,ま
ず始めは詳細な解説は飛ばしても構わないから,全体を 1 度 「 流し読み 」 する事
を勧める。これでまず,数学 II の全体像をつかむ事が出来るからだ。その後は,
各章毎に 「 精読 」 して完璧に理解できるまで頑張ろう。そして,自信がついたな
らば,今度は“例題”や“絶対暗記問題”
,そして“頻出問題にトライ”の各問
題を「自力で解く」練習を繰り返し行う事だ。この「反復練習」によって,本物
の実力が培われていくんだよ。頑張ろうね。
ここまでやれば,これまで手も足も出なかった受験問題だって,自力で解ける
ようになるんだよ。これまで,多くの先輩達がマセマの本で大学に合格していっ
た。今度は,キミ達がこの定評あるマセマの本で自分自身の夢を実現させる番な
んだね。
今回のこの参考書作りでは,高杉豊先生(マセマ出版取締役),久池井努氏,
小田達郎氏,印藤治君,そして滝本隆君が昼夜を分かたず活躍して下さった。
この分かりやすくてパワー溢れる参考書がキミ達の役に立ち,そして長く良き
パートナーとなる事を心より祈っています・・・。
マセマ代表 馬場 敬之
2
◆ 目 次 ◆
講義1
方程式・式と証明
講義2
図形と方程式
講義3
三角関数
講義4
指数関数と対数関数
講義5
微分法
講義6
積分法
§ 1. 実数から複素数まで,数の範囲を広げよう! ……………………………6
§ 2. 2 次方程式の実数条件まで,マスターしよう! ………………………12
§ 3. 高次方程式 f (x ) = 0 では,因数定理 f (a ) = 0 を使う! ………………20
§ 4. 不等式の証明には,4つの計算テクがある! …………………………30
● 方程式・式と証明 公式エッセンス ………………………………………38
§ 1. 内分点の公式は,
“たすきがけ”で覚えよう!…………………………40
§ 2. 2 直線の位置関係は,傾きで決まる! …………………………………46
§ 3. 円と直線の位置関係は,中心と直線との距離に着目しよう! ………54
§ 4. 不等式により,上・下,左・右,内・外の領域が表せる! …………62
● 図形と方程式 公式エッセンス ……………………………………………70
§ 1. 一般角で角度を自由に表現できる! ……………………………………72
§ 2. sin(θ + π ) などの変形のコツをつかもう! ………………………………82
§ 3. 三角関数の合成も,加法定理でマスターできる! ……………………88
§ 4. 三角方程式・不等式では単位円が有効だ! ……………………………98
● 三角関数 公式エッセンス ………………………………………………108
§ 1. 指数部は,有理数まで拡張できる!……………………………………110
§ 2. 指数関数のグラフには,2つのタイプがある!………………………116
§ 3. 対数計算の公式を使いこなそう!………………………………………124
§ 4. 対数方程式・不等式では,まず真数条件を押さえよう!……………132
● 指数関数と対数関数 公式エッセンス …………………………………140
§ 1. 微分係数 f ´ (a ) は,曲線の接線の傾きだ!……………………………142
§ 2. 微分を応用して,接線・法線を求めよう!……………………………148
§ 3. 微分法を使えば3次関数のグラフもラクラクわかる!………………156
§ 4. 文字定数を含んだ方程式はグラフで解ける!…………………………164
● 微分法 公式エッセンス …………………………………………………172
§ 1. − a ≦ x ≦ a の定積分は,偶関数・奇関数に要注意だ!……………174
§ 2. 定積分で表された関数は,積分区間に注目しよう!…………………180
§ 3. 面積公式で面積計算がグッと楽になる!………………………………188
● 積分法 公式エッセンス …………………………………………………199
◆頻出問題にトライ・解答&解説 ……………………………………………200
◆ Term・Index ……………………………………………………………………………214
3
内分点の座標と線分の長さ
絶対暗記問題 17
x y 座標 平 面 上に ,
CHECK2
CHECK3
1
3 点 A(2, − 2), B( − 1, 4), C( − 5, 0) がある。
難易度
★
CHECK
( 1 ) 線 分 AB を 2 : 1 の比に内分する点 P , お よ び 線 分 B C を 1 : 3 の 比
に 内 分 す る点 Q の座標を求めよ。
( 2 ) 線 分 P Q の中点 M の座標, および線分 PQ の 長 さ を 求 め よ 。
(1) は , 文字通り内分公式の問題だ。計算がメンドウと感じ
る か も し れ な い が , 慣 れ て し ま え ば な ん で も な い よ。(2) で , “ 線 分
ヒント!
PQ の長さ”といってるけれど , これは 2 点 P , Q 間の距離と同じ意味だ。
解答&解説
(1) 2 点 A(2,
− 2),
B ( − 1 , 4 ) を結ぶ線分
AB を 2 : 1 に内分する点 P の座標は ,
(
× + × ( − 1)
1 × ( − 2) + 2 × 4
,
P 1 2 2
2+1
2+1
∴ P(0, 2)
内分点の公式:
( nxm
)
1+
mx 2
)
ny 1 + my 2
を使った !
m+n
( m = 2, n = 1, x 1 = 2, x 2 = − 1, y 1 = − 2, y 2 = 4 )
P
+n
,
………………………………( 答 )
また, 2 点 B ( − 1 , 4 ) , C ( − 5 , 0 ) を結ぶ
線 分 BC を 1:3 に内分する点 Q の座標は,
(
× ( − 1) + 1 × ( − 5)
3×4+1×0
,
Q 3
1+3
1+3
∴ Q( − 2, 3)
内分点の公式 !
)
y
……………………………( 答 )
中点の公式 : M
(
)
)
(
∴ M − 1,
)
x1 + x2 , y1 + y2
を使った !
2
2
5
2
)
(3
(
+ ( − 2)
2+3
,
M 0
2
2
C( − 5, 0)
……( 答 )
ま た, 2 点 P , Q を結ぶ線分の長さ PQ は,
PQ = √{0 − ( − 2)}2 + (2 − 3)2
= √2 + ( − 1) = √5
2
44
2
M
P(0, 2)
2
( 2)
の 中 点 M の 座標は,
( 1)
( 2 ) 2 点 P ( 0 , 2 ) , Q ( − 2 , 3 ) を結ぶ線分 P Q
B( − 1, 4)
1)
( − 2, 3)Q (
公式 :
………………( 答 )
√ ( x 1 − x 2)
2
−1
0
−2
A(2,
x
− 2)
+ ( y 1 − y 2 ) を使った
2
!
講義
外分点と重心の座標
難易度 ★
CHECK1
絶対暗記問題 18
3 点 A ( 1 , 3 ) , B ( 4 , 6 ) , C ( 5 , 3 ) がある。
2
1
2
3
方
程
式
・
式
と
証
明
3
CHECK
CHECK
( 1 ) 線 分 AB を 5 : 2 の比に外分する点 P の座 標 を 求 め よ 。
( 2 ) 線 分 AC を 3 : 1 の比に内分する点 Q の座 標 を 求 め よ 。
( 3 ) △ AP Q の重 心 G の座標を求めよ。
講義
図
形
と
方
程
式
( 1 ) の 線 分 A B を 5:2 に外分する点 P の 座 標 は , 内 分 公 式 の
n = 2 の 代 わ り に , − n = − 2 を使えば求まる 。( 3 ) の 三 角 形 の 重 心 は x ,
ヒント!
y 座標 共 に , 3 つの座標をたして, 3 で割れば い い。
講義
解答&解説
( 1 ) 2 点 A(1, 3), B(4, 6) を結ぶ線分 AB を 5:2 に外
分する点 P の座標は , P
∴ 点 P(6, 8)
(
−2×1+5×4 −2×3+5×6
,
5−2
5−2
) (
外分点の公式:
P
− nx1 + mx2
m−n
− ny1 + my2
,
m−n
を使った !
…………………………………( 答 )
三
角
関
数
)
( 2 ) 2 点 A(1, 3), C(5, 3) を結ぶ線分 AC を 3:1 に内
分する点 Q の座標は , Q
×1+3×5
,
3+1
1×3+3×3
3+1
)
AP Q の重 心 G の座標は ,
(1
+6+4
3
,
3+8+3
3
) (
重心の公式:
G
を使った !
よって , 三角形 APQ の重心 G
頻出問題にトライ・5
x1 + x2 + x3 y1 + y2 + y3
,
3
3
( 113 , 143 )
難易度
★★
3 点 A ( − 2 , 4 ) , B (α , 2 ) , C ( 8 ,
)
)
…………………………………( 答 ) 8
( 3 ) 3 点 A ( 1 , 3 ) , P ( 6 , 8 ) , Q ( 4 , 3 ) でできる三角形
G
y
6
3
(5
∴ 点 Q(4, 3)
(1
B
P(6, 8)
(4, 6)
G
A
)
(2
C(5, 3)
( )
(1, 3) ( 3) Q 1
(4, 3)
……( 答 ) 0
1
1
4
2
CHECK
CHECK
− 1 ) が あ る。 点
x
6
3
CHECK
C は , 線分 AB
を m : n の 比 に 外分 するも のと する 。原点 を O ( 0 , 0 ) とする。
( 1 ) m : n の 比 を , 最も簡 単な 整数比 で表 せ。 ( 2 ) α の 値を求めよ。
( 3 ) △ OA C の重 心 G の 座標 と , 2 点 O , G 間の 距離を求めよ。
解答は p.202
45