475 104 BNPがNT-proBNPよりも高値を呈した一例 BNPがNT-proBNPよりも高値を呈した一例 ○山田 恵,石川 かおり,黒田 紀行,片倉 有希,梶川 達志 ○山田 恵,石川 かおり ,黒田 紀行,片倉 有希,梶川 達志(香川大学医学部附属病院), (香川大学医学部附属病院),井町 仁美,村尾 孝児 井町 仁美,村尾(香川大学医学部先端医療・臨床検査医学) 孝児(香川大学医学部 先端医療・臨床検査医学) 【はじめに】BNP及びNT-proBNPは心不全の重症度に応じて 験,免疫グロブリン吸収試験及び他法(CLIA:アボット)での 血中濃度が上昇するため,心不全の診断及び病態把握に用 測定を行った。NT-proBNP(ECLIA:ロシュ)は近年NT- いられるマーカーである。両者は生理活性の有無,半減期, proBNPの糖鎖修飾により測定反応が阻害され,測定値が過 分解・代謝過程等の違いにより通常の血中濃度はBNP<NT- 小評価されている可能性が報告されており,除糖鎖試験を proBNPとなる。今回我々は臨床症状と比較するとBNPが高 行った。 値であり, BNP>NT-proBNPとなった症例を経験したので報 【結果および考察】BNPの希釈試験,吸収試験では明らかな 告する。 原因は特定できなかった。BNP:937.5pg/mlに対し他法 【症例】70歳代男性。前医にて狭心症のため入院し,治療 BNP:619.2pg/ml,NT-proBNP:454.2 pg/mlであった。NT- が施行された。入院時BNPは高値(2917.1pg/ml)であった proBNPの除糖鎖試験では,除糖鎖後NT-proBNPは上昇を認め が,NYHA心機能分類ではⅠ∼Ⅱ度程度,心エコーでは壁運動 たもののBNPよりは低値であり,原因特定には至らなかっ 異常,有意な弁膜症などの所見は認めず,腎機能低下も認め た。その後,現病とは関係なく補液及び血液製剤の投与が ず,臨床症状とBNP値は乖離していた。その後もBNP高値 行われる状況となった。補液後はBNP:368.7pg/ml,NT- (1000pg/ml以上)は数か月に渡り持続していたため,BNPと proBNP:281.2pg/mlと乖離幅の減少が生じ,血液製剤投与 NT-proBNPを同時測定したところBNP:1133.2pg/ml,NT-pro 後はBNP:175.8pg/ml,NT-proBNP:285.9pg/mlとBNP<NT- BNP:505.6pg/mlと乖離が認められ精査目的で当院紹介と proBNPとなった。血液製剤投与により蛋白分解酵素が補充 なった。 されBNP値に影響を与えたのではないかと考え,本症例に文 乖離原因を測定系における非特異反応と考え,当院来院 献学的考察を加えて報告する。 時検体で確認試験を行った。BNP(FEIA:東ソー)は希釈試 連絡先:087-898-5111(内線3676)
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