AQT90FLEX NT-proBNPの基礎検討及び、BNPとの比較

【ポスターセッション③】
15:00~15:30 (第 4 会場・市民ホール 401+402+403)
医療技術部門
-臨床検査部門-
AQT90FLEX NT-proBNP の基礎検討及び、BNP との比較
《演者》
戸田中央臨床検査研究所
上野 慎
【目的(はじめに)】
ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(以下 NT-proBNP)はヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド
(以下 BNP)とともに心不全マーカーの一つである。今回、POCT 対応機器である AQT90FLEX(ラジオメーター
社)を用い、NT-proBNP の基礎検討を行う機会を得たので報告する。また、NT-proBNP は腎機能低下で影
響を受ける為、CKD 重症度分類 GFR 区分を用い BNP との比較検討を行った。
【方法(内容)】
NT-proBNP の 測 定 装 置 は AQT90FLEX( ラ ジオ メ ー タ ー 社 : 時 間 分 解 蛍 光 免 疫 測 定 法 ) 、試 薬 は
NT-proBNPAQT テストキットを使用し基礎検討および BNP との比較を行った。BNP の測定装置 AIA-1800
(TOSOH:EIA 法)、試薬は ST‐E テスト TOSOHⅡ BNP を使用した。
また CKD 重症度分類 GFR 区分毎に NT-proBNP と BNP の比較を行った。
【結果(結論)】
同時再現性:3 濃度の精度管理試料を 10 回測定した結果、低濃度 CV=5.7%、中濃度 CV=2.9%、高濃度
CV=2.1%であった。日差再現性:同時再現性と同一試料を 10 日間 2 重測定した結果、CV(%)は 1.9~4.1%で
あった。直線性:35000pg/mL まで直線性が確認できた。安定性:EDTA 加全血検体を用いた採血後から 24
時間後までの経時的測定結果より安定性が確認された。BNP と NT-proBNP の比較:CKD 重症度分類 GFR
区分 G1 r=0.919、G2 r=0.959、G3a r=0.747、G3b r=0.817、G4 r=0.921、G5 r=0.452 であった。
【考察】
基礎検討では良好な結果が得られた。AQT90FLEX は迅速検査に対応しており、利便性や操作性から
POCT 対応検査機器として有用であると考えられる。NT-proBNP と BNP の重症度分類 GFR 区分毎の比較
は、G1~G4 では差が見られなかったが G5 では差が見られた。これは G5 において BNP に比べ NT-proBNP
測定値の増加の程度が大きい為と考えられる。今回の比較検討では G5 における n 数が少なく、今後は検体数
を増やし BNP と NT-proBNP の腎機能低下の影響を検討していきたい。
第 52 回TMG学会