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BNP
第1章
これからの要件定義のあり方
1-1
1-2
1-3
1-4
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要件定義の背景と目的
顧客要求の内容と特性
要件定義書の記述
責任者の役割と品質・リスク
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-1 要件定義の背景と目的
1) 視点
業界標準・動向
業界標準・動向
プロジェクトの目的・目標
プロジェクトの目的・目標
経営の要求
業務の要求
要件定義書
要件定義書
システム機能
システム機能
業務ルール
現行システム・業務
現行システム・業務
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情報技術の進展
情報技術の進展
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-1 要件定義の背景と目的
2) 情報システム
① 情報システムそのものが、経営のツールになって
きている。
→ 情報システムに価値があるのでなく、情報システムを使用
する仕組み・運用に価値がある。
② システム構築が短期間になっている。
→ 競争への対応・効果の実現から、情報システムの有効性が
早期に求められている。
③ プロジェクト失敗の多くが、要件定義の成果物に
起因している。
→ 顧客要求の複雑性と多様性が増しているし、システム外の
要件整理の重要性が高まっている。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-1 要件定義の背景と目的
3) 要件定義とは
要件定義とは、顧客の情報システム構築の「目
的・目標・期待効果」を達成するために、必要な
情報を収集し、達成すべき情報システムのモデ
ル(システム機能・仕組み)作成とその実現に必
要な条件を整えることである。
そして、その情報システムのモデル構築と稼動
に必要な情報を、次作業以降に漏れなく渡すこ
とである。
情報システムのモデル=情報システムがビジネスプロセスの構成を担う及びりサポートする内容の定義
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-1 要件定義の背景と目的
4) 要件定義の目的
顧客のシステム構築の目的達成のために、必要な
顧客のシステム構築の目的達成のために、必要な
要求仕様を、顧客・システム構築者ともに理解でき
要求仕様を、顧客・システム構築者ともに理解でき
合意できる具体的な要件定義書を作成する。
合意できる具体的な要件定義書を作成する。
顧客要求(=プロジェクトの目的)を実現するシステ
顧客要求(=プロジェクトの目的)を実現するシステ
ム構築の条件、及びシステム稼動・運用に必要な条
ム構築の条件、及びシステム稼動・運用に必要な条
件を整理する。
件を整理する。
要件定義以降の作業を確実に開始できる成果物を
要件定義以降の作業を確実に開始できる成果物を
創る。
創る。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-2 顧客要求の内容と特性
1) 要求の内容
経営の要求
経営の要求
・・ プロジェクトの目的、目標
プロジェクトの目的、目標
・・ 期待効果、投資効果
期待効果、投資効果
・・ ビジョン、スコープ
ビジョン、スコープ
制約条件
業務の要求
業務の要求
・・ 業務処理の目的、目標
業務処理の目的、目標
・・ 問題点/課題の解決
問題点/課題の解決
・・ 実現すべき基準、指標
実現すべき基準、指標
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システム機能の要求
システム機能の要求
システム非機能の要求
システム非機能の要求
・・ 業務処理の満足
業務処理の満足
・・ セキュリティ、操作
セキュリティ、操作
・・ 情報活用
情報活用
・・ 品質、性能
品質、性能
・・ 運用条件
運用条件
・・ 外部インターフェイス
外部インターフェイス
スコープ=成果物・対象範囲・作業範囲
・・ 予算、スケジュール
予算、スケジュール
・・ 技術、法律
技術、法律
・・ 運用コスト
運用コスト
業務ルール
業務ルール
・・ 業界標準
業界標準
・・ 経営方針、会社規定
経営方針、会社規定
・・ 管理会計、取引条件
管理会計、取引条件
・・ 管理基準、マネジメント
管理基準、マネジメント
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-2 顧客要求の内容と特性
2) 要求内容と関連作業
プロジェクト計画
要件定義の対象
経営の要求
業務の要求
・ フェーズの組立て
・ リスク、課題への対応
システム
システム
要件定義
要件定義
-
- 基本定義
基本定義
-
システム機能
- システム機能
-
- 非機能
非機能
設計、カスタマイズ
・ 重視作業の選別
・ 必要スキルの把握
テスト
業務ルール
・ テスト質量の把握
・ テスト計画の立案
稼動準備・移行
・ 稼動条件の整備
・ 現行システムとの関連
制約条件
実現条件
-
- リスク要因
リスク要因
*情報システムのモデル
稼動・運用
・ 安定稼動の条件
・ 安定運用の保証
*要件定義以降の作業を考慮した要件定義書作成がベターである。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-2 顧客要求の内容と特性
3) 要求の特徴と対応
要求の特徴
・ 体系的でなく個別的である。
・ 具体的でなく抽象的である。
・ 問題点が整理されていない。
・ 解決策が不透明である。
・ 目的達成に対して、漏れ・抜
けがある。
・ 目的達成に対しての道筋が
わからない。
・ 新しい技術を使いたい。
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* まず、この要求の特徴をキチンと抽出し整理する
ことが優先します。これなくして、最良の「対応の
仕方」ができません。
対応の仕方
・ 「経営・業務の要求」から体
系的に要件定義を構成する。
・ 具体的で関係者による検証
(理解→確認→判断)が可能
である。
・ 顧客が自分の業務処理とし
て理解でき納得できる。
・ 次作業が曖昧さがなく着実
に行える。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-2 顧客要求の内容と特性
4) 顧客の特性と姿勢
■
■ 顧客の特性
① 情報・知識 → 同じ内容なり意味でないケースがある。
(同じ言葉でもありえる)
② 理解・経験 → 同じ事実・ケースに対して、異なる解釈と判断
をすることがある。
③ 役割・責任 → 会社・組織において、違った立場にある。
■
■ 要件定義作業への姿勢
① 目的・目標 → 異なった要望・要求・期待感・責任感をもつ。
② スコープ
→ 担当分野なり立場からの判断・意見をもつ。
③ 基本手順
→ 自分勝手に解釈と役割を決める面をもつ。
(対応)
(対応) 要件定義はこのことを前提にした、ベクトルあわせが大事になる。
要件定義はこのことを前提にした、ベクトルあわせが大事になる。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-3 要件定義書の記述
1) 対象
● 経営・業務の要求
→ プロジェクト目的・目標との合致
● システム関連
→ システム機能・非機能の範囲と整
合性、具体性。基本定義
● 業務ルール
→ 改定・追加部分、システム機能と
の関連性
● 制約条件
→ コスト、スケジュール、未解決事項
予算、技術、法律
● 実現条件
→ 次作業(「1-2-2)要件定義の対象」参照)
のリスク・課題への対応
2) 指針
■ 専門用語を避け、顧客の用語を使用する。
■ 意味不明の文章でなく、視覚に訴える表現に徹する。
■ 重点項目の整理により、メリハリのつけた構成にする。
■ 必要な情報は、文章・絵・図解などで網羅する。
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第1章.これからの要件定義のあり方
1-3 要件定義書の記述
3) 基準
いずれの記述にもその解釈は1つしかないこと。用語が明確で、顧客に
不明瞭でないこと 理解できる定義であること。
完全であること
重要な要求仕様がすべて含まれていること。定義項目間の整合性があ
り、論理的であること。
検証できること
プロジェクトの一部に指定された機能に対し、これらが適切に提供され
たかどうかを判断するためのテストが用意されていること。
首尾一貫している 特に、矛盾する用語、相反する必須処理、そして実行不可能な組合せ
がないこと。
こと
修正作業が容易
であること
重複部分がなく、索引や内容が正しいこと。
出所が明確である 参照される要求仕様すべてが一意的で、事実として確認できること。
こと
正確であること
記述された要求仕様すべてが、構築されるシステムに何らかの形で必
要なものを示していること。
*参考 「IEEE 830 Documentation Standard for a Software Requirements Specification」
簡潔であること
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主語・述語が明確で、論理的で意味明瞭の文章であること。
顧客が分かりやすく、読んで見て理解できること。
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【参考】 飛行と要件定義
飛 行
行
飛
情報システム
情報システム
目的地
目的
飛行路
範囲
燃料
費用・期間
機体・乗務員
スキル・技法
天候状況
要求情報
滑走路=要件定義
滑走路=要件定義
○ これらを怠って離陸すると「引き返し」か「無理な着陸」
が待っているのが常である。
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